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奴隷から聖女へ。
第20話 心揺さぶる香り。
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「アリエッタ、君は純粋すぎる。簡単に人を信じてはいけないよ。どんな人間に対しても、まずは疑ってかかる事だ。まぁ純粋さは君の美点でもあるし、かつての私もそうだったのだけれど」
ルーフェンはナハティムと対峙しながら、私にそう言った。確かに思う所はある。だが、やはり生まれ持った性分。生きる中で身についた習性は変えがたいものがある。私は誰もかれも疑ってかかる事はしたくない。出来る事なら信じたい。人を。
「その役目はあなたに任せるわ、ルーフェン」
「ふふっ。では仰せのままに、姫」
女王様の次は姫か。私はこんな状況にも関わらず、思わず笑いが込み上げそうになった。
「おい、貴様ら! 随分と舐めた真似をしてくれるじゃないか! このスイッチを押せば、全ての奴隷が死ぬのだぞ! わかっているのか!?」
ナハティムは怒りをあらわにしていたが、少し焦っているようにも見える。
「ああ、構わないよ。押してみればいい。遠慮はいらないよ。ほら、思いっきり行きなよ」
ルーフェンはそう言って、ナハティムに近づいて彼の両手を掴んだ。
「なっ、お、おい! いいのか! 死ぬんだぞ奴隷が! リーファス国民だった者が死ぬんだぞ、このスイッチ一つで!」
「ああ、いいとも。ほら早く! 早く押せったら!」
ルーフェンはナハティムの手首を強引に動かし、スイッチを押させようとする。
「ちょっとルーフェン! 一体何をやってるの!?」
私はルーフェンを止めようと彼女に近づいた。スイッチの脅しで身動き出来ない私とネリスを尻目に、ルーフェンはやりたい放題だ。彼女が何を考えているのか、私には理解出来ない。
奴隷達が死んだらどう責任を取るつもりだろうか。その中にはきっとまだ生きているだろう私の親友、シエラもいる。それにもしかしたら、元奴隷であるネリスや私にも、知らない内に何か埋め込まれているのかも知れないと言うのに。
「はははっ! 心配いらないよアリエッタ! この男の言っている事は嘘! 大嘘! ハッタリ! このスイッチはハリボテなんだ!」
「おい、何をする!」
ルーフェンは抵抗するナハティムの顔を押しやり、スイッチを取り上げる。手のひらサイズの四角い装置。その真ん中にある、丸ボタンをポチッと押した。
広がる静けさ。何も起こらない。とりあえず私とネリスに異常は無く、倒れているメイド達の脈を測ったが正常だった。
「ほらね。アリエッタ、これあげるよ」
ルーフェンは手に持っていたスイッチを、私に投げてよこした。ハリボテと彼女は言っていたが、本当にそうなのだろうか。
「ルーエント・デナフィリア! かの者の詳細を我が目に伝えよ!」
私は受け取ったスイッチに、魔術「鑑定の呪文」を施した。
うん。確かにルーフェンの言う通り、これはハリボテだ。ただ、スイッチの形をしたモノ。
「こんなもので、私達に言う事を聞かせようとしていたの!?」
私はスイッチを強く握り、バギャッと破壊する。
「許さない!」
私はナハティムをギロリと睨む。彼は怯えたように首をすくませ「ヒッ」と悲鳴を漏らした。
「でも、どうしてルーフェンはこれが偽物だってわかったんだろう」
ネリスが私に歩み寄り、壊れたスイッチを見つめた。
「ああ、勘だよ、勘」
ルーフェンは何でもないように笑ってそう言った。
「ええ!? 勘だけで、奴隷の命を賭けたの!?」
私は思わず叫んだ。根拠もない事に、どうしてあそこまで自信を持てたのか見当もつかない。
「もちろん根拠はある。まず、奴隷は彼らの財産であると同時に、魔人達の財産でもある。そう簡単に皆殺しに出来る筈はない。奴隷商人にとって、その選択はデメリットしかないんだよ」
ルーフェンはナハティムを見据えたままそう言って、彼の首をぐいっと掴む。
「なぁ、そうだろ? 君のような小心者に、そんな大それた事が出来る筈もないものな」
「ぐっ、くっ......!」
ナハティムは自身の首を掴むルーフェンの手を振り解こうとしながら、悔しそうに歯軋りをする。
「さて、さっき宣告したよね。これからお仕置きを執行するよ」
ルーフェンはナハティムの首を右手で掴んだまま、左手の指をパチンと鳴らす。
「えっ、この香り......まるで花のような......」
ネリスがそう言ってクンクンと鼻を鳴らす。
「ええ、すごく、いい香り......」
その香りは確かに私の嗅覚も刺激した。花のような、森のような、とても清々しい香りだ。
「ふふっ。さっきは無臭に近かったからね。今回はわかりやすい香りにしてみたよ」
ルーフェンは微笑んで、ナハティムの首を掴んでいた手を離す。すると突然、ナハティムが自身の体を掻きむしり始めた。
「ぐああああ! 痒い、痒い、痒い! 痒くてたまらん!」
その掻きむしり具合は激しく、顔や頭、服の中やズボンの中、手が届くあらゆる場所を掻きむしる。皮膚が破れ、出血してもナハティムは掻くのを止めようとしない。
「死ぬ! 死ぬ! 痒くて死にそうだ! 助けてくれぇぇ! ぐああああっ!」
ナハティムは床を転げ回りながら、体を掻きむしって悶える。
「これは一体......」
ネリスは呆気に取られながら、転がりまわるナハティムを見つめる。
「私には光の女神ルクス様の加護が宿っているのさ。能力名は【心揺さぶる香り】。対象を選んで、私自身から香りを放つ。そして香りには様々な効果を持たせる事が出来る。さっきメイドに施したのは【人間】の女性だけを対象とした眠りの香り。そして今回は【人間】の男性だけを対象とした痒みの香り。どちらの香りも半魔人の君たちは対象にならないし、能力者自身にも効果はない。よって今、ナハティムだけが転げ回っていると言う訳さ」
なんて恐ろしい能力なのだろう。私はゾッとした。
「あなたの能力があれば、隷従の首輪や謙虚の手錠はいらないんじゃない?」
私は率直な感想を漏らした。だがルーフェンは肩をすくめる。
「そうでもないさ。もちろん弱点はあるからね。それが何かは、聡明な君ならすぐに気付くだろう。さて、この男から必要な情報をありったけ引き出すとしようか」
ルーフェンは転げ回るナハティムの頭をゲシッと踏みつけ、尋問を開始した。
尋問の内容は以下の通り。
まず奴隷達の囚われている場所。次に「高速培養槽」の設置してる場所。そして残りの奴隷商人の数。最後に奴隷商人達の黒幕であろう「あのお方」の正体。
「あのお方」に関しては最後まで口を割らなかったが、母体の回収に行った奴隷商人達は事ごとく失敗し、全員捕らえられてしまったそうだ。どうやら私達の他にも、奴隷商人の討伐に動いている者達がいるらしい。
つまり、あとは「高速培養槽」さえ破壊してしまえば、奴隷商人、引いては「あのお方」とやらの企みは全て阻止出来ると言うわけだ。
「よし、わかった。それじゃあアリエッタが【高速培養槽】を無事に破壊してきたら、君の痒みをとってやるよ」
「早く! はやぐしてくれぇ! 痒い! 痒い! ぎゃあああーっ!」
のたうちまわるナハティムを観察しながら、ルーフェンは私達を部屋の外へと促す。
「この男は私が見張ってるから、気をつけて行ってきて」
「わかったわ。行きましょう、ネリス!」
「うん!」
私とネリスは駆け出した。目指すは最奥にあると言う研究室。そこには恐ろしい番人がいるらしいが、おそらく私とネリスの敵ではないだろう。
間もなくだ。間もなく奴隷商人を壊滅出来る。お父様、お母様。天国からエッダの事、見守っていて下さいね。
ルーフェンはナハティムと対峙しながら、私にそう言った。確かに思う所はある。だが、やはり生まれ持った性分。生きる中で身についた習性は変えがたいものがある。私は誰もかれも疑ってかかる事はしたくない。出来る事なら信じたい。人を。
「その役目はあなたに任せるわ、ルーフェン」
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「ああ、構わないよ。押してみればいい。遠慮はいらないよ。ほら、思いっきり行きなよ」
ルーフェンはそう言って、ナハティムに近づいて彼の両手を掴んだ。
「なっ、お、おい! いいのか! 死ぬんだぞ奴隷が! リーファス国民だった者が死ぬんだぞ、このスイッチ一つで!」
「ああ、いいとも。ほら早く! 早く押せったら!」
ルーフェンはナハティムの手首を強引に動かし、スイッチを押させようとする。
「ちょっとルーフェン! 一体何をやってるの!?」
私はルーフェンを止めようと彼女に近づいた。スイッチの脅しで身動き出来ない私とネリスを尻目に、ルーフェンはやりたい放題だ。彼女が何を考えているのか、私には理解出来ない。
奴隷達が死んだらどう責任を取るつもりだろうか。その中にはきっとまだ生きているだろう私の親友、シエラもいる。それにもしかしたら、元奴隷であるネリスや私にも、知らない内に何か埋め込まれているのかも知れないと言うのに。
「はははっ! 心配いらないよアリエッタ! この男の言っている事は嘘! 大嘘! ハッタリ! このスイッチはハリボテなんだ!」
「おい、何をする!」
ルーフェンは抵抗するナハティムの顔を押しやり、スイッチを取り上げる。手のひらサイズの四角い装置。その真ん中にある、丸ボタンをポチッと押した。
広がる静けさ。何も起こらない。とりあえず私とネリスに異常は無く、倒れているメイド達の脈を測ったが正常だった。
「ほらね。アリエッタ、これあげるよ」
ルーフェンは手に持っていたスイッチを、私に投げてよこした。ハリボテと彼女は言っていたが、本当にそうなのだろうか。
「ルーエント・デナフィリア! かの者の詳細を我が目に伝えよ!」
私は受け取ったスイッチに、魔術「鑑定の呪文」を施した。
うん。確かにルーフェンの言う通り、これはハリボテだ。ただ、スイッチの形をしたモノ。
「こんなもので、私達に言う事を聞かせようとしていたの!?」
私はスイッチを強く握り、バギャッと破壊する。
「許さない!」
私はナハティムをギロリと睨む。彼は怯えたように首をすくませ「ヒッ」と悲鳴を漏らした。
「でも、どうしてルーフェンはこれが偽物だってわかったんだろう」
ネリスが私に歩み寄り、壊れたスイッチを見つめた。
「ああ、勘だよ、勘」
ルーフェンは何でもないように笑ってそう言った。
「ええ!? 勘だけで、奴隷の命を賭けたの!?」
私は思わず叫んだ。根拠もない事に、どうしてあそこまで自信を持てたのか見当もつかない。
「もちろん根拠はある。まず、奴隷は彼らの財産であると同時に、魔人達の財産でもある。そう簡単に皆殺しに出来る筈はない。奴隷商人にとって、その選択はデメリットしかないんだよ」
ルーフェンはナハティムを見据えたままそう言って、彼の首をぐいっと掴む。
「なぁ、そうだろ? 君のような小心者に、そんな大それた事が出来る筈もないものな」
「ぐっ、くっ......!」
ナハティムは自身の首を掴むルーフェンの手を振り解こうとしながら、悔しそうに歯軋りをする。
「さて、さっき宣告したよね。これからお仕置きを執行するよ」
ルーフェンはナハティムの首を右手で掴んだまま、左手の指をパチンと鳴らす。
「えっ、この香り......まるで花のような......」
ネリスがそう言ってクンクンと鼻を鳴らす。
「ええ、すごく、いい香り......」
その香りは確かに私の嗅覚も刺激した。花のような、森のような、とても清々しい香りだ。
「ふふっ。さっきは無臭に近かったからね。今回はわかりやすい香りにしてみたよ」
ルーフェンは微笑んで、ナハティムの首を掴んでいた手を離す。すると突然、ナハティムが自身の体を掻きむしり始めた。
「ぐああああ! 痒い、痒い、痒い! 痒くてたまらん!」
その掻きむしり具合は激しく、顔や頭、服の中やズボンの中、手が届くあらゆる場所を掻きむしる。皮膚が破れ、出血してもナハティムは掻くのを止めようとしない。
「死ぬ! 死ぬ! 痒くて死にそうだ! 助けてくれぇぇ! ぐああああっ!」
ナハティムは床を転げ回りながら、体を掻きむしって悶える。
「これは一体......」
ネリスは呆気に取られながら、転がりまわるナハティムを見つめる。
「私には光の女神ルクス様の加護が宿っているのさ。能力名は【心揺さぶる香り】。対象を選んで、私自身から香りを放つ。そして香りには様々な効果を持たせる事が出来る。さっきメイドに施したのは【人間】の女性だけを対象とした眠りの香り。そして今回は【人間】の男性だけを対象とした痒みの香り。どちらの香りも半魔人の君たちは対象にならないし、能力者自身にも効果はない。よって今、ナハティムだけが転げ回っていると言う訳さ」
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「うん!」
私とネリスは駆け出した。目指すは最奥にあると言う研究室。そこには恐ろしい番人がいるらしいが、おそらく私とネリスの敵ではないだろう。
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