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第1部 勇者令嬢アキラ
第5話 夢を食べて、スキル獲得。
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チュンチュン。小鳥の鳴く声で目が醒める。昨晩、私はクラウドの夢をたっぷりと食べて、力を回復した。
バクの力の源は、夢なのだ。二十年という歳月は、私からすっかり力を奪っていた。夢を食べる事で、魔力も体力も、すっかり元どおりになった。
さらに、クラウドの夢から【念動力】のスキルをゲットした。夢の内容次第では、このようにスキルを獲得出来る。
ちなみに【念動力】は、呼吸や手足の動作と同様に、クラウドが無意識に使用している魔術だ。夢でも当然、彼はそれを無意識に使用している。
夢喰いのスキルは、魔術ですら自分のスキルとして取り込む事が出来る。使い方次第では、結構チートなスキルなのだ。あのクズ勇者程じゃないかも知れないが。
くっ、ヨシオめ......! 思い出したら、また腹が立ってきた。私は自分を落ち着かせる為、ロケットペンダントを開いた。中には、ディアナとリーファの写真が入っている。
「ディアナ、リーファ。必ず助けるからね」
私はしばらくの間二人の写真を見つめた。そしてロケットを閉じてキスをすると、衣服の乱れを直して立ち上がった。
「じゃあね、クラウド。いつもありがとう。また来るわ」
私は気持ち良さそうに眠っているクラウドの髪を撫でた。
クラウドの家を出発し、森を抜けて城下町に戻る。例え兵士に見つかっても、私を国王だと判断出来る者はいないだろう。
美少女勇者アキラが男になり、国王になった事を知る者は、先代王ヴァリアスとディアナ、そしてクラウドの三人だけだ。私自身知らなかった訳だし。
さて、まずは朝食を取ろう。クラウドが起きるまで待てばタダ飯が食えたけど、情が湧いてしまうと困る。
ほとんどの飯屋は宿屋に併設されている。私は「猪突猛進亭」の扉を開いた。食堂はすでに客でごった返している。二十年前からここは繁盛店だった。早朝から来る客も多い。ちょっと寝過ぎちゃったかな。
「よーう! アキラちゃんじゃねぇか! 最近こねぇから死んだのかと思ったぜ!」
入り口で受付をしていた店主が、私を見つけて手を振った。
「生きてて悪かったわね。あいにく私は不老不死なの。席、空いてる?」
「悪りぃな、今満席だ。俺の膝の上なら空いてるが」
「おかみさんに言いつけるわよ」
「冗談だよ! 全く、アキラちゃんの彼氏が羨ましいぜ。元気にしてるか? あれからもう二十年だしなぁ。あいつと結婚したのか?」
「ぐーぐー寝てるわ。それにもう、彼とはなんでもないの」
「おっ! て事はフリーか!? おーい、おめーら、アキラちゃんが今、彼氏募集してるってよ!」
店主の呼びかけに、常連客たちが一斉に色めき立つ。
「ちょっ、マスター! 何勝手な事言ってるの! みんな、違うの!」
私は慌てて訂正しようとしたが、客たちの騒ぎは収まらない。すっかり興奮している。
「なにぃ!?」
「あ、アキラちゃん! 異世界に帰ったのかと思ってたぜ!」
「俺なんかどうだアキラちゃん! 一生守るぜ!」
「おおー! 美少女勇者アキラちゃんじゃねーか! 相変わらずおっぱいデケェな!」
「不老不死って噂は本当だったんだな! 俺たちゃ、こんなに老けちまったってのによー! アキラちゃんはイイ女のままだ! ババァになってねぇ!」
やんややんやと喝采を浴び、私は手を引かれた。強引に開けられた席に座らされ、これでもかとご馳走される。
「マスター! 肉追加!」
みんな嬉しそうだ。私もチヤホヤされて、悪い気はしなかった。国王として貴族や大臣たちにおべっかを使われるのとは、気分が全然違う。
みんな下心はあるのかも知れないが、陽気で楽しく、純粋だった。嘘や企みなんて、見抜く必要も無い。
肩の力が、一気に抜けていく。ここでは、ありのままの自分でいいんだ。そう思えた。
バクの力の源は、夢なのだ。二十年という歳月は、私からすっかり力を奪っていた。夢を食べる事で、魔力も体力も、すっかり元どおりになった。
さらに、クラウドの夢から【念動力】のスキルをゲットした。夢の内容次第では、このようにスキルを獲得出来る。
ちなみに【念動力】は、呼吸や手足の動作と同様に、クラウドが無意識に使用している魔術だ。夢でも当然、彼はそれを無意識に使用している。
夢喰いのスキルは、魔術ですら自分のスキルとして取り込む事が出来る。使い方次第では、結構チートなスキルなのだ。あのクズ勇者程じゃないかも知れないが。
くっ、ヨシオめ......! 思い出したら、また腹が立ってきた。私は自分を落ち着かせる為、ロケットペンダントを開いた。中には、ディアナとリーファの写真が入っている。
「ディアナ、リーファ。必ず助けるからね」
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「じゃあね、クラウド。いつもありがとう。また来るわ」
私は気持ち良さそうに眠っているクラウドの髪を撫でた。
クラウドの家を出発し、森を抜けて城下町に戻る。例え兵士に見つかっても、私を国王だと判断出来る者はいないだろう。
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さて、まずは朝食を取ろう。クラウドが起きるまで待てばタダ飯が食えたけど、情が湧いてしまうと困る。
ほとんどの飯屋は宿屋に併設されている。私は「猪突猛進亭」の扉を開いた。食堂はすでに客でごった返している。二十年前からここは繁盛店だった。早朝から来る客も多い。ちょっと寝過ぎちゃったかな。
「よーう! アキラちゃんじゃねぇか! 最近こねぇから死んだのかと思ったぜ!」
入り口で受付をしていた店主が、私を見つけて手を振った。
「生きてて悪かったわね。あいにく私は不老不死なの。席、空いてる?」
「悪りぃな、今満席だ。俺の膝の上なら空いてるが」
「おかみさんに言いつけるわよ」
「冗談だよ! 全く、アキラちゃんの彼氏が羨ましいぜ。元気にしてるか? あれからもう二十年だしなぁ。あいつと結婚したのか?」
「ぐーぐー寝てるわ。それにもう、彼とはなんでもないの」
「おっ! て事はフリーか!? おーい、おめーら、アキラちゃんが今、彼氏募集してるってよ!」
店主の呼びかけに、常連客たちが一斉に色めき立つ。
「ちょっ、マスター! 何勝手な事言ってるの! みんな、違うの!」
私は慌てて訂正しようとしたが、客たちの騒ぎは収まらない。すっかり興奮している。
「なにぃ!?」
「あ、アキラちゃん! 異世界に帰ったのかと思ってたぜ!」
「俺なんかどうだアキラちゃん! 一生守るぜ!」
「おおー! 美少女勇者アキラちゃんじゃねーか! 相変わらずおっぱいデケェな!」
「不老不死って噂は本当だったんだな! 俺たちゃ、こんなに老けちまったってのによー! アキラちゃんはイイ女のままだ! ババァになってねぇ!」
やんややんやと喝采を浴び、私は手を引かれた。強引に開けられた席に座らされ、これでもかとご馳走される。
「マスター! 肉追加!」
みんな嬉しそうだ。私もチヤホヤされて、悪い気はしなかった。国王として貴族や大臣たちにおべっかを使われるのとは、気分が全然違う。
みんな下心はあるのかも知れないが、陽気で楽しく、純粋だった。嘘や企みなんて、見抜く必要も無い。
肩の力が、一気に抜けていく。ここでは、ありのままの自分でいいんだ。そう思えた。
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