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第34話 ユークリウッドの裁き。
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「ユー君!」
「ユー兄ちゃん!」
泣きじゃくる私がようやく落ち着きを見せると、遠慮がちに離れていた火凛ちゃんと凛太郎君が、ユークリウッドに抱きついた。
「ははっ。二人とも元気そうだね。よしよし」
ユークリウッドは、火凛ちゃんと凛太郎君の正体がホムラとイグニスであると瞬時に見抜いた。彼のみが持つレアスキル【神眼】の力だろう。
「良かったね、ミーナ。本当に、良かったねぇ」
火凛ちゃんは泣きながら微笑んでいる。きっと彼女もユークリウッドを好きだろうに。なんて良い子なのだろう。
「ミーナ。辛い思いをさせてごめんね。あの時オレは、魔王との相打ちを予言されていたんだ。どうしても君を守りたかった。死んで欲しくなかったんだ」
寂しげに笑うユークリウッド。
「ホムラに聞いたよ。でもあの時はね、本当にあなたを恨んだよ。どうして私を捨てたの!? ってね」
「ごめん」
謝る勇気の頭を、軽くコツンと小突く。
「ふふっ。もう良いわ。許してあげる。悪いのは魔王だもの」
私はそう言って、魔王を振り返る。彼女は涙を流し、自分の身を抱きしめて震えていた。
「いやだ。ユーク......。私の元に来てくれ......。お願いだから私を、愛してくれ......」
魔王。可哀想な人。こんな強引なやり方でしか、愛情を表現出来ないなんて。
魔王を見つめる私の髪を、ユークリウッドが優しく撫でる。
「ミーナ、少し待ってて」
そう言って微笑んだ彼に、私はコクリと頷いた。彼のする事なら、私は全て信じる。もう二度と疑ったりしない。
ユークリウッドはゆっくりと、私たち三人から離れた。そして魔王の側に立ち、彼女をジッと見た。
「マオ。君がした事は、とても許される事じゃない。自分の欲望の為に多くの人々を傷つけ、苦しめた。でもね」
ユークリウッドは、震える魔王の両肩に、そっと手を置いた。
「誰にも許されないなら、俺が許してあげるよ。多くの人々を苦しめた魔王は、もう死んだんだ。生まれ変わった今、これ以上罪を重ねないでくれ。青空勇気ファンクラブ、会員No.452番。内海優希(うつみ ゆき)ちゃん」
魔王はハッとした顔になって、ユークリウッドを見上げる。
優しく微笑むユークリウッド。次の瞬間、彼の体が眩しく輝き、周囲を白い光に包み込む。
あまりの眩しさに、私は目を瞑った。再び目を開いた時、ユークリウッドは勇気の姿に戻っていた。そしてその正面には、内気そうな女性。シンプルな色合いのシャツとスカートを身につけ、眼鏡をかけている。
彼女が、生まれ変わった魔王の姿。私と同じOLだろうか。美人ではあるけれど、とても地味な印象を受ける。
「許してくれるんですか。こんな私を......! 誰にも必要とされない、意地悪で、自己中で、醜い私を......!」
顔を両手で覆い、泣き崩れる魔王。いや、今は優希ちゃん、か。私の姿も、美奈子に戻っているようだ。足元には、猫のみーたんが擦り寄っている。ユークリウッドのスキルで、この場の全員の変身が解除されたのだろう。
しゃがみ込んでしまった優希ちゃん。勇気は同じようにしゃがみ込み、彼女の肩を抱いた。
「許すよ。俺が許す。だからもう、みんなを困らせるような事をしちゃ駄目だ。それに誰にも必要とされないなんて、そんな訳ないよ。お父さんとお母さんを思い出して。優希ちゃんを、とても大事に思ってる」
「はい......。そうです、よね。会いたい。お父さんとお母さんに、会いたいです」
震える声でそう返す優希ちゃん。
「勇気君の事は、諦めます。あんなに可愛い彼女さんが、いるんですもんね。でも、ずっとファンでいさせて欲しいです。応援させて欲しいんです。あの、それでもいいですか?」
「もちろん。分かってくれてありがとう、優希ちゃん。これからも応援よろしくね!」
「はい!」
勇気が快活な笑みを見せると、優希ちゃんも笑った。この子はきっと、もう大丈夫だ。
「さぁ、後は事後処理班に連絡して、お任せしよう。帰ろうか」
「うん!」
私は勇気の腕に抱きついた。そこへすかさず優希ちゃんがやって来て、深々と頭を下げる。
「あの、ごめんなさい! 私、私......」
オロオロする優希ちゃん。
「いいよ。勇気が許すって言うなら、私も許してあげる。火凛ちゃんと凛太郎君も、それでいいよね?」
「うん、もちろん。許しちゃう。今度女子会しようよ」
「お姉ちゃんがいいなら、僕も、許すよ」
「あ、ありがとうございます!」
また顔を覆って泣き出す優希ちゃん。結構メンタル弱めなんだね。可愛いかも。
「ユー兄ちゃん!」
泣きじゃくる私がようやく落ち着きを見せると、遠慮がちに離れていた火凛ちゃんと凛太郎君が、ユークリウッドに抱きついた。
「ははっ。二人とも元気そうだね。よしよし」
ユークリウッドは、火凛ちゃんと凛太郎君の正体がホムラとイグニスであると瞬時に見抜いた。彼のみが持つレアスキル【神眼】の力だろう。
「良かったね、ミーナ。本当に、良かったねぇ」
火凛ちゃんは泣きながら微笑んでいる。きっと彼女もユークリウッドを好きだろうに。なんて良い子なのだろう。
「ミーナ。辛い思いをさせてごめんね。あの時オレは、魔王との相打ちを予言されていたんだ。どうしても君を守りたかった。死んで欲しくなかったんだ」
寂しげに笑うユークリウッド。
「ホムラに聞いたよ。でもあの時はね、本当にあなたを恨んだよ。どうして私を捨てたの!? ってね」
「ごめん」
謝る勇気の頭を、軽くコツンと小突く。
「ふふっ。もう良いわ。許してあげる。悪いのは魔王だもの」
私はそう言って、魔王を振り返る。彼女は涙を流し、自分の身を抱きしめて震えていた。
「いやだ。ユーク......。私の元に来てくれ......。お願いだから私を、愛してくれ......」
魔王。可哀想な人。こんな強引なやり方でしか、愛情を表現出来ないなんて。
魔王を見つめる私の髪を、ユークリウッドが優しく撫でる。
「ミーナ、少し待ってて」
そう言って微笑んだ彼に、私はコクリと頷いた。彼のする事なら、私は全て信じる。もう二度と疑ったりしない。
ユークリウッドはゆっくりと、私たち三人から離れた。そして魔王の側に立ち、彼女をジッと見た。
「マオ。君がした事は、とても許される事じゃない。自分の欲望の為に多くの人々を傷つけ、苦しめた。でもね」
ユークリウッドは、震える魔王の両肩に、そっと手を置いた。
「誰にも許されないなら、俺が許してあげるよ。多くの人々を苦しめた魔王は、もう死んだんだ。生まれ変わった今、これ以上罪を重ねないでくれ。青空勇気ファンクラブ、会員No.452番。内海優希(うつみ ゆき)ちゃん」
魔王はハッとした顔になって、ユークリウッドを見上げる。
優しく微笑むユークリウッド。次の瞬間、彼の体が眩しく輝き、周囲を白い光に包み込む。
あまりの眩しさに、私は目を瞑った。再び目を開いた時、ユークリウッドは勇気の姿に戻っていた。そしてその正面には、内気そうな女性。シンプルな色合いのシャツとスカートを身につけ、眼鏡をかけている。
彼女が、生まれ変わった魔王の姿。私と同じOLだろうか。美人ではあるけれど、とても地味な印象を受ける。
「許してくれるんですか。こんな私を......! 誰にも必要とされない、意地悪で、自己中で、醜い私を......!」
顔を両手で覆い、泣き崩れる魔王。いや、今は優希ちゃん、か。私の姿も、美奈子に戻っているようだ。足元には、猫のみーたんが擦り寄っている。ユークリウッドのスキルで、この場の全員の変身が解除されたのだろう。
しゃがみ込んでしまった優希ちゃん。勇気は同じようにしゃがみ込み、彼女の肩を抱いた。
「許すよ。俺が許す。だからもう、みんなを困らせるような事をしちゃ駄目だ。それに誰にも必要とされないなんて、そんな訳ないよ。お父さんとお母さんを思い出して。優希ちゃんを、とても大事に思ってる」
「はい......。そうです、よね。会いたい。お父さんとお母さんに、会いたいです」
震える声でそう返す優希ちゃん。
「勇気君の事は、諦めます。あんなに可愛い彼女さんが、いるんですもんね。でも、ずっとファンでいさせて欲しいです。応援させて欲しいんです。あの、それでもいいですか?」
「もちろん。分かってくれてありがとう、優希ちゃん。これからも応援よろしくね!」
「はい!」
勇気が快活な笑みを見せると、優希ちゃんも笑った。この子はきっと、もう大丈夫だ。
「さぁ、後は事後処理班に連絡して、お任せしよう。帰ろうか」
「うん!」
私は勇気の腕に抱きついた。そこへすかさず優希ちゃんがやって来て、深々と頭を下げる。
「あの、ごめんなさい! 私、私......」
オロオロする優希ちゃん。
「いいよ。勇気が許すって言うなら、私も許してあげる。火凛ちゃんと凛太郎君も、それでいいよね?」
「うん、もちろん。許しちゃう。今度女子会しようよ」
「お姉ちゃんがいいなら、僕も、許すよ」
「あ、ありがとうございます!」
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