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第27話 デートと惨劇。
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「あー、楽しかったぁー!」
「俺も!」
引越しの翌日、日曜日。私は勇気と池袋へ。サンシャインシティでのデートを心ゆくまで楽しんだ。
「水族館も綺麗だったし、プラネタリウムも! 展望台も見晴らし良かったよねー♡」
「そうだな。ナンジャタウンも良かったし、ご飯も美味しかった。今日はありがとね、みなちゃん」
「ううん。こちらこそだよー。デートオッケーしてくれて嬉しかった」
「あ、そうか、デートか」
デートと言う言葉を聞いて、勇気が照れたように笑う。駅へと戻る道。私たちは並んで歩いた。勇気は結構背が高く、私は彼を見上げながら歩く。
「私とデートじゃ嫌だった?」
きっとそんな事は思ってないだろうと考えつつ、意地悪で聞いてみる。
「嫌な訳ねーじゃん。 久々にみなちゃんに会ったけどさ、可愛いくなったよね。その、彼氏とか、いるの?」
勇気の目が、サングラス越しにまっすぐ私を見つめる。普段は変装しないらしいけど、池袋は人通りが多い。なので一応、今日は軽く変装していてるのだ。
「いないよ。募集中」
「あっ、そうなんだ。俺もいないんだ」
「えっ、意外。芸能人だし、勇気イケメンだからモテるでしょ?」
勇気はウーンと唸る。
「いやー、俺ってさ、中二病じゃん? だから長続きしないんだよね。ファンタジー系の話すると、みんな逃げちゃう。みなちゃんだけだよ、俺の話をマジで聞いてくれるの。あ、もう一人いたか」
もう一人、と言う言葉に私はピンと来た。
「もしかして、ローレライで食事した友達?」
「あ、うん。良くわかったね。恭子ちゃんて言うんだけどさ。彼女がモンスターだなんて、いまだに信じられないよ。冒険者ギルドに保護されたんだよね? もう会えないなんて、ちょっと寂しいな」
「好きだったの?」
勇気はまた、ウーンと唸る。
「わからない。でも、彼女は俺の恋人のつもりだって言ったんだ。あの時は、守らなきゃって思ったよ。でも、それが恋愛感情かどうかは、わからないんだ。近い感情で言えば、家族愛かな。妹? 的な」
「そっか。じゃあ私にもチャンスあるかな」
「えっ、あー、うん」
勇気は顔をポリポリと掻いた。沈黙が訪れる。私たちは黙ったまま、歩き続けた。
「みなちゃん、そっち自転車くるから危ないよ」
勇気はそう言って、私の手を握った。そして安全な場所まで連れて行ってくれた。
「ありがとう」
私と勇気は手を繋いだまま、駅へと進む。
池袋駅の東口。入り口に人だかりが出来ている。何か事件でもあったんだろうか。
「あの、何かあったんですか?」
私は駅から出てきた人に、声をかけた。
「なんかね、男の人が血まみれで倒れてるんだよ。彼女っぽい女の子が、側で泣いてる。二人とも外国の人みたいで、金髪だった。救急車は呼んだと思うんだけどね」
金髪の男女? 何か嫌な予感がした。
まさか、リカーナとノーマンがモンスターに襲われたとかじゃ、ないよね?
ミーナに変身していない私は、敵の気配や殺気を一切感じ取れない。ただのアラサー女子に過ぎないのだ。周囲で異変が起こったとしても、気づく事が出来ない。
「すいません、通ります!」
人混みをかき分け、私と勇気は中へと進んだ。ようやく視界が開ける。駅の中では確かに男性が一人倒れていて、女性が寄り添っている。二人とも金髪だった。
最悪の予想が当たってしまった。そこで目にしたのは、見慣れた二人。血まみれのノーマンと、彼の血で衣服を真っ赤に染めた、リカーナだった。
「俺も!」
引越しの翌日、日曜日。私は勇気と池袋へ。サンシャインシティでのデートを心ゆくまで楽しんだ。
「水族館も綺麗だったし、プラネタリウムも! 展望台も見晴らし良かったよねー♡」
「そうだな。ナンジャタウンも良かったし、ご飯も美味しかった。今日はありがとね、みなちゃん」
「ううん。こちらこそだよー。デートオッケーしてくれて嬉しかった」
「あ、そうか、デートか」
デートと言う言葉を聞いて、勇気が照れたように笑う。駅へと戻る道。私たちは並んで歩いた。勇気は結構背が高く、私は彼を見上げながら歩く。
「私とデートじゃ嫌だった?」
きっとそんな事は思ってないだろうと考えつつ、意地悪で聞いてみる。
「嫌な訳ねーじゃん。 久々にみなちゃんに会ったけどさ、可愛いくなったよね。その、彼氏とか、いるの?」
勇気の目が、サングラス越しにまっすぐ私を見つめる。普段は変装しないらしいけど、池袋は人通りが多い。なので一応、今日は軽く変装していてるのだ。
「いないよ。募集中」
「あっ、そうなんだ。俺もいないんだ」
「えっ、意外。芸能人だし、勇気イケメンだからモテるでしょ?」
勇気はウーンと唸る。
「いやー、俺ってさ、中二病じゃん? だから長続きしないんだよね。ファンタジー系の話すると、みんな逃げちゃう。みなちゃんだけだよ、俺の話をマジで聞いてくれるの。あ、もう一人いたか」
もう一人、と言う言葉に私はピンと来た。
「もしかして、ローレライで食事した友達?」
「あ、うん。良くわかったね。恭子ちゃんて言うんだけどさ。彼女がモンスターだなんて、いまだに信じられないよ。冒険者ギルドに保護されたんだよね? もう会えないなんて、ちょっと寂しいな」
「好きだったの?」
勇気はまた、ウーンと唸る。
「わからない。でも、彼女は俺の恋人のつもりだって言ったんだ。あの時は、守らなきゃって思ったよ。でも、それが恋愛感情かどうかは、わからないんだ。近い感情で言えば、家族愛かな。妹? 的な」
「そっか。じゃあ私にもチャンスあるかな」
「えっ、あー、うん」
勇気は顔をポリポリと掻いた。沈黙が訪れる。私たちは黙ったまま、歩き続けた。
「みなちゃん、そっち自転車くるから危ないよ」
勇気はそう言って、私の手を握った。そして安全な場所まで連れて行ってくれた。
「ありがとう」
私と勇気は手を繋いだまま、駅へと進む。
池袋駅の東口。入り口に人だかりが出来ている。何か事件でもあったんだろうか。
「あの、何かあったんですか?」
私は駅から出てきた人に、声をかけた。
「なんかね、男の人が血まみれで倒れてるんだよ。彼女っぽい女の子が、側で泣いてる。二人とも外国の人みたいで、金髪だった。救急車は呼んだと思うんだけどね」
金髪の男女? 何か嫌な予感がした。
まさか、リカーナとノーマンがモンスターに襲われたとかじゃ、ないよね?
ミーナに変身していない私は、敵の気配や殺気を一切感じ取れない。ただのアラサー女子に過ぎないのだ。周囲で異変が起こったとしても、気づく事が出来ない。
「すいません、通ります!」
人混みをかき分け、私と勇気は中へと進んだ。ようやく視界が開ける。駅の中では確かに男性が一人倒れていて、女性が寄り添っている。二人とも金髪だった。
最悪の予想が当たってしまった。そこで目にしたのは、見慣れた二人。血まみれのノーマンと、彼の血で衣服を真っ赤に染めた、リカーナだった。
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