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第22話 舎弟が五人増えたんだけど、マッチョすぎる(笑)。

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「ゆっ、許してくだ......」

 リーダーマッチョが土下座しようとしたので、その眼前にダガーを突きつける。

「うひぃぃぃっ!」

 絶叫するリーダーマッチョ。

「勘弁してよ。土下座されてさ、また別の人に難癖付けられたらたまったもんじゃないわ。男なら、正々堂々と戦いなさいよ。もしかしたら、勝てるかもよ?」

「ううーっ! くそぉ! やってやる! 死ね!」

 リーダーマッチョは右手に持っていたロングソードを、下から私に斬りつけて来た。

「ほい」

 私はその刃先を二本の指で挟むようにキャッチ。

「な、ななな! ばば、ば! バカな!」

 リーダーマッチョは、ロングソードを私の指から解放しようと必死だ。だがピクリとも動かない。

「なんて力だ! チクショウ!」

 リーダーマッチョは顔を真っ赤にして力を込めている。私はその力の込められたロングソードの刃先を、指で「ぐいいいっ」と動かし、リーダーマッチョの眼前に突きつけた。

「今この指離したらさ、あんたの顔に刺さっちゃうかもね♡」

「うううー! 離さないでください! そんな事になったら、俺は死んじまいます!」

「そう? きっと大丈夫だよ。顔がぐちゃぐちゃになるだけで済むんじゃないかな? よーし、離すよー」

 リーダーマッチョが剣に込める力を抜けば、剣が顔に刺さる事はない。だが、ほとんどパニック状態の彼には、それすらわからないかも知れない。

「参りました! 戦意喪失です! 許して下さい!」

「えー? 私、まだ十分の一も実力出してないよ? 降参するの早くない? もう少し遊ぼうよ♡」

 私はロングソードの刃先を掴んだまま、リーダーマッチョの腹にヒザ蹴りをぶち込んだ。

「うぐぇ!」

 リーダーマッチョは腹を抑えて、その場にうずくまる。

 私は彼の横をツカツカと通りすぎ、雷撃の檻に囚われた三人をレアスキル「魔力崩壊」で解放してあげた。

 そして武術士の肩に刺さっているダガーを抜き、まだうずくまっているリーダーマッチョを含めた五人の冒険者に向き直る。

「さーて。次は何して遊ぼっか♡」

 五人は悲鳴をあげ、逃げだした。ギャラリーがポカーンとする。だが少しして、彼らはギャラリー達に強引に連れ戻された。その顔には恐怖が刻まれている。

「ミーナさん! あなたの実力を疑ったりしてすいませんでした! 俺たち全員、負けを認めます! あなたの舎弟になります! 許してください!」

「仕方ないなぁ。じゃあ許してあげる。今後は私の言う事を何でも聞くこと。舎弟なんだからね。裸踊りでもなんでもやるのよ。わかった?」

「はい!!!!」

 五人は元気よく返事をした。

「じゃあ早速、裸踊りね。マスター、お盆持って来て」

「本当にやらせるのかよ。 お前結構、鬼だな」

「私はSSS級ランクとマスターの首も賭けたのよ。そうでもしなきゃ割に合わないじゃない」

「それもそうか。わかった。持ってくる」

 マスターは丸盆を五枚持ってきた。五人は服を全て脱ぎ、お盆で大事な所だけを隠して踊った。

「何恥ずかしそうにしてんの! もっと面白い顔して踊って! 笑い取れなかったら殺すわよ!」

「はい! すいません!」

 五人は思いっきり変な顔をして、珍妙な動きで踊りまくった。そしてその場にいる全ての冒険者たちの、笑いの的になった。うぷぷ、ざまぁ。

「はー、面白かった。あんた達、なかなかやるじゃない。また頼むわ。さ、気も済んだし帰りましょ。早く寝ないとお肌が荒れちゃう。行きましょ、リカーナ」

「はい! ミーナ様!」

 リカーナの手を引き、ホムラ、イグニス、ノーマンに別れを告げてギルドを出る。帰りはまたタクシーを拾おう。リカーナがいては「超高速忍び足」は使えないしね。

「リカーナ、ベッドは一個しかないから、今日は一緒に寝ようね。明日、ホームセンターに行って、家具とか見てこよ。あ、あと洋服も必要だね。一回色城の家に行こっか。必要な物を持ってこよう」

「はい! ありがとうございます! ミーナ様と一緒のお部屋、嬉しいです!」

 タクシーの中で、私はリカーナと沢山の話をした。話をしているうちに、彼女への友愛が生まれてきた。あんなに憎んでいたのに、人の心とは不思議なものだ。

 いや、私が人間としての器が大きいって事だよね。うんうん。
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