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第20話 マッチョなパーティに、いちゃもんつけられた。
しおりを挟む「おい! 俺は本気でミーナさんと戦って負けたんだ! 侮辱するのは許さねーぜ!」
ノーマンが私と冒険者たちの間に割って入る。冒険者たちは五人程。おそらくパーティを組んでいるのだろう。イカツイ男ばかりのむさ苦しい連中だ。
ノーマンは自惚れが過ぎるのが玉に傷だが、さすが元SS級冒険者なだけの事はある。なかなかの実力者だ。だが相手の五人も確かSS級のはず。ノーマン一人では少々荷が重い。
「それが嘘くせーって言ってんだよノーマン! その女が何もしてねーのに、いきなり土下座しただろうがテメーはよ! ギルドマスターとグルになって、その女をSSS級にランクアップさせたんだろう! いくら積まれたのか知らねーが、やり方がキタねーんだよ!」
リーダーらしき剣術士風の男は、ものすごい剣幕でノーマンに摑みかかる。だがギルドマスターの名前が出た事で、彼もカウンターから出てくる。
「おいおい、ギルドがそんなやらせみてーな事する訳ねーだろが。こっちは国の援助受けて金なんざ有り余ってんだ。いくら金積まれたところで、不正はしねぇ」
だがギルドマスターの台詞にも、五人の冒険者は訝しげな視線を送り、互いに目配せし合う。
「信用出来ないって顔だね。じゃあ、こうしましょう。あなたたちSS級の五人対、SSS級の私一人。それで決闘よ。あなたたちが勝ったら、全員SSS級にランクアップ。私はG級に逆戻りでいいよ。どう?」
私の提案に、マスターが青ざめる。
「おいミーナ、勝手に......」
「面白ぇ! おいマスター、約束は守れよ!」
リーダー格の冒険者は豪快に笑いつつ、ギルドマスターの肩をバシンと叩いた。
「おら行くぞ闘技場! 」
五人の冒険者たちは、ドヤドヤと地下への階段を降りて行く。
「おいミーナ! 大丈夫かあんな約束しちまって!一人に決闘で勝って、五人もSSS級にするなんて、ギルドのルールに反するぞ! もし負けたらお前、俺の首が飛ぶかも知れん! どうするつもりだ!?」
珍しく激昂するギルドマスター。そのスキンヘッドには、汗が滲んでいる。
「ミーナ、お前近接戦は苦手じゃなかったか? 大丈夫なのか?」
ホムラも心配そうに私を見つめる。
だがノーマンとリカーナは、目をキラキラと輝かせている。
「頑張ってください! ミーナさん!」
「ミーナ様、私も応援してます!」
この二人は私の恐ろしさを、身を持って体験しているからねー。うふふ。
「大丈夫だよ。ホムラは知らないと思うけど、頑張って特訓したの。私、近接戦も得意になったんだ。マスターも安心して。必ず勝つから」
私はマスターにウインクし、仲間たちに手を振りながら、地下闘技場への階段を降りて行った。
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