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第15話 尻軽女に復讐開始。(残酷描写あり。お気をつけ下さい)
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「何!? あんた誰!?」
トイレに飛び込んで来た色城恭子は、顔面蒼白になってお尻を抑えている。私は笑いを堪えるのに必死だった。トイレ内は結構広く、彼女と私の間には一メートルくらいの間隔がある。
ぷぅぅー。
またも色城の尻から、おならが漏れる。彼女は全く気づいていないが、ホムラの「ヘルフレイム・ボンバー」を食らって倒れた彼女に、すかさず吹き矢を命中させていた私。
矢には毒が塗ってあった。ノーマン戦でもおなじみの、魔力が込められた毒。レアスキル「ウロボロス」で作った毒だ。
今回の毒は「放屁毒」。おならが止まらなくなると言う、恐ろしい毒である。
「あはは! ぷぅー、だって! ウケるー!」
笑いをこらえきれず、お腹を抱えて爆笑する私。色城は、顔を真っ赤にして震えている。
「もしかしてこれ、あんたの仕業!? もしそうならタダじゃおかないわよ!」
「へぇ。 どうタダじゃおかないのかな? やってみてよ」
私はあえて、相手を挑発して反応を見た。
「くっ! 舐めるんじゃないわよ! 私はこれまで、一度たりとも敗北した事がない。男の冒険者は「魅了」で骨抜きに。女の冒険者は、男の冒険者たちを操って襲わせる。今は手駒が無いけど、問題ないわ。私はね、近距離の戦闘でも負けた事はないのよ。あんたみたいなメス猫一匹、瞬殺よ!」
色城は魔力を腕に宿らせ、胸の前に円を描くように腕を動かした。
「ふふっ。そうでしょうね。 あのホムラの一撃を食らって生きているんだもの。大したもんよね」
私は素直に感心していた。
「それにあなたの実力なら、あの攻撃は避けられたはず。勇気がかばってくれたから、驚いて避ける事が出来なかった。そうじゃない?」
「そ、それは......」
色城は目を泳がせた。図星だ。
「もしかして初恋? サキュバスって男を取っ替え引っ換えなんだってね。そんな中で初めて本当に好きになっちゃった訳だ。まるで恋愛小説ね」
色城は顔を赤くし、うつむいた。こんな尻軽女の心を鷲掴みにするなんて、勇気も罪な男だね。
「そんな初恋の男に、思いっきり聞かれちゃったね♡ おならの音! 私なら恥ずかしくって死んじゃうなぁー」
私がそう言うと、色城は涙目になって、こちらをキッと睨んだ。
「貴様! 殺す!」
色城はシリアスな顔だが、ブッとおならが出てしまい、台無しになる。
だがもはや、それは抑止力にはならなかった。色城は魔力を一気に高め、両手で作った輪から、魔力の球を作り出した。
「ナイトメア・オーブ!」
あとはその魔力球を、射出するだけだ。彼女は腕を動かし、射出の動作を試みる。だが。
「う、動かない!」
色城の額から、玉のような汗が流れ落ちる。渾身の力を込めて、腕を動かしているようだ。だけど無駄無駄!
「魔力を込めた糸をね、あなたの全身に巻きつけたの。今は動きを封じるだけだけど、魔力を調整する事で糸の鋭さは変化する。あなたの体をバラバラに刻む事だって出来るの。嘘だと思うなら試してみる?」
「くっ! おのれぇぇー!」
色城は悔しそうに顔を歪め、ギリギリと歯ぎしりした。せっかく集めた魔力も霧散し、魔力球は消失してしまったようだ。
「うふふ。私は暗殺士。ターゲットに姿を見せたのなら、暗殺はほぼ完了している。あなたは蜘蛛の巣に囚われた蝶と一緒よ。下手な真似はしない方が身の為ね。さて、まずは簡単な質問をするわ」
「な、何よ......」
「この名前を覚えているかしら。助川好平。三十代のエリートサラリーマンよ」
「さ、さぁ......覚えてないわ、そんな人、うぎゃあああっ!」
色城の右手の小指が切断され、宙を舞う。おびただしい量の血液が、ボタボタと流れ落ちる。
「答えは慎重にね、色城さん。あなたにとってはお遊びなのかも知れないけど、それで人生を狂わされた人は沢山いるの。一生懸命思い出して。じゃないとまた、うっかり切断しちゃうかも」
「はぁ、はぁ、思い出します、思い出しますから! あ、え、えーっと、確か『HN広告社』営業課の人で、婚約者がいると言ってた人ね」
「うん、あってる。その人は婚約者の事をなんて言ってた? 愛してると言っていた?」
色城は呼吸を荒くし、涙を流しながら目を動かしている。思い出しているのだろう。私の元婚約者「助川好平」。彼女にとっては、食べ飽きた食事と変わりない。なんの感情も動かず、思い入れも無い。
「えっと、あんな女、もうどうでもいいって。恭子ちゃんの方が何倍も素敵だって、そう言って、ぎゃあああーっ!」
色城のもう一方の小指が飛ぶ。血しぶきが、トイレの個室に飛び散って絵画のようになる。
「ちゃんと答えたのにぃー!」
「ああ、そうね。ありがとう。言い忘れてたけど私、残酷なの。だけど優しい暗殺士なんて聞いた事ないでしょ? だから普通ね。もちろん、なんの罪もない人に対してこんな事はしない。だけどあんたは別。邪悪なモンスター。あまたの男を食い物にし、その恋人達を絶望の淵に追いやった。その罪は、死んでも償えない」
小指の次は、爪だ。薬指の生爪を、糸で一枚剥ぎ取った。
「ぎゃあああああーっ! 痛い! やめてぇー!」
「やめて欲しい? なら、これから私が言う事をよく聞いて実行するの。そうすれば、許してあげる」
「わかりました! やります! やりますから!」
私は彼女への罰として、寝とった男たちに対し、メールの一斉送信を行わせる事にした。
トイレに飛び込んで来た色城恭子は、顔面蒼白になってお尻を抑えている。私は笑いを堪えるのに必死だった。トイレ内は結構広く、彼女と私の間には一メートルくらいの間隔がある。
ぷぅぅー。
またも色城の尻から、おならが漏れる。彼女は全く気づいていないが、ホムラの「ヘルフレイム・ボンバー」を食らって倒れた彼女に、すかさず吹き矢を命中させていた私。
矢には毒が塗ってあった。ノーマン戦でもおなじみの、魔力が込められた毒。レアスキル「ウロボロス」で作った毒だ。
今回の毒は「放屁毒」。おならが止まらなくなると言う、恐ろしい毒である。
「あはは! ぷぅー、だって! ウケるー!」
笑いをこらえきれず、お腹を抱えて爆笑する私。色城は、顔を真っ赤にして震えている。
「もしかしてこれ、あんたの仕業!? もしそうならタダじゃおかないわよ!」
「へぇ。 どうタダじゃおかないのかな? やってみてよ」
私はあえて、相手を挑発して反応を見た。
「くっ! 舐めるんじゃないわよ! 私はこれまで、一度たりとも敗北した事がない。男の冒険者は「魅了」で骨抜きに。女の冒険者は、男の冒険者たちを操って襲わせる。今は手駒が無いけど、問題ないわ。私はね、近距離の戦闘でも負けた事はないのよ。あんたみたいなメス猫一匹、瞬殺よ!」
色城は魔力を腕に宿らせ、胸の前に円を描くように腕を動かした。
「ふふっ。そうでしょうね。 あのホムラの一撃を食らって生きているんだもの。大したもんよね」
私は素直に感心していた。
「それにあなたの実力なら、あの攻撃は避けられたはず。勇気がかばってくれたから、驚いて避ける事が出来なかった。そうじゃない?」
「そ、それは......」
色城は目を泳がせた。図星だ。
「もしかして初恋? サキュバスって男を取っ替え引っ換えなんだってね。そんな中で初めて本当に好きになっちゃった訳だ。まるで恋愛小説ね」
色城は顔を赤くし、うつむいた。こんな尻軽女の心を鷲掴みにするなんて、勇気も罪な男だね。
「そんな初恋の男に、思いっきり聞かれちゃったね♡ おならの音! 私なら恥ずかしくって死んじゃうなぁー」
私がそう言うと、色城は涙目になって、こちらをキッと睨んだ。
「貴様! 殺す!」
色城はシリアスな顔だが、ブッとおならが出てしまい、台無しになる。
だがもはや、それは抑止力にはならなかった。色城は魔力を一気に高め、両手で作った輪から、魔力の球を作り出した。
「ナイトメア・オーブ!」
あとはその魔力球を、射出するだけだ。彼女は腕を動かし、射出の動作を試みる。だが。
「う、動かない!」
色城の額から、玉のような汗が流れ落ちる。渾身の力を込めて、腕を動かしているようだ。だけど無駄無駄!
「魔力を込めた糸をね、あなたの全身に巻きつけたの。今は動きを封じるだけだけど、魔力を調整する事で糸の鋭さは変化する。あなたの体をバラバラに刻む事だって出来るの。嘘だと思うなら試してみる?」
「くっ! おのれぇぇー!」
色城は悔しそうに顔を歪め、ギリギリと歯ぎしりした。せっかく集めた魔力も霧散し、魔力球は消失してしまったようだ。
「うふふ。私は暗殺士。ターゲットに姿を見せたのなら、暗殺はほぼ完了している。あなたは蜘蛛の巣に囚われた蝶と一緒よ。下手な真似はしない方が身の為ね。さて、まずは簡単な質問をするわ」
「な、何よ......」
「この名前を覚えているかしら。助川好平。三十代のエリートサラリーマンよ」
「さ、さぁ......覚えてないわ、そんな人、うぎゃあああっ!」
色城の右手の小指が切断され、宙を舞う。おびただしい量の血液が、ボタボタと流れ落ちる。
「答えは慎重にね、色城さん。あなたにとってはお遊びなのかも知れないけど、それで人生を狂わされた人は沢山いるの。一生懸命思い出して。じゃないとまた、うっかり切断しちゃうかも」
「はぁ、はぁ、思い出します、思い出しますから! あ、え、えーっと、確か『HN広告社』営業課の人で、婚約者がいると言ってた人ね」
「うん、あってる。その人は婚約者の事をなんて言ってた? 愛してると言っていた?」
色城は呼吸を荒くし、涙を流しながら目を動かしている。思い出しているのだろう。私の元婚約者「助川好平」。彼女にとっては、食べ飽きた食事と変わりない。なんの感情も動かず、思い入れも無い。
「えっと、あんな女、もうどうでもいいって。恭子ちゃんの方が何倍も素敵だって、そう言って、ぎゃあああーっ!」
色城のもう一方の小指が飛ぶ。血しぶきが、トイレの個室に飛び散って絵画のようになる。
「ちゃんと答えたのにぃー!」
「ああ、そうね。ありがとう。言い忘れてたけど私、残酷なの。だけど優しい暗殺士なんて聞いた事ないでしょ? だから普通ね。もちろん、なんの罪もない人に対してこんな事はしない。だけどあんたは別。邪悪なモンスター。あまたの男を食い物にし、その恋人達を絶望の淵に追いやった。その罪は、死んでも償えない」
小指の次は、爪だ。薬指の生爪を、糸で一枚剥ぎ取った。
「ぎゃあああああーっ! 痛い! やめてぇー!」
「やめて欲しい? なら、これから私が言う事をよく聞いて実行するの。そうすれば、許してあげる」
「わかりました! やります! やりますから!」
私は彼女への罰として、寝とった男たちに対し、メールの一斉送信を行わせる事にした。
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