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新たなる旅立ち
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「今日も洗ってますね~。」
「モテないお兄ちゃん!」
僕がパンツを洗う光景は、もはや日常の一コマのように当たり前になってしまっていた。
「〇〇、洗ったパンツは大変だから、洗濯かごの下に入れないでね。」
女性が環境の変化に対応する力には、目を見張るものがある。
当然にそうなることであれば、どのようにして欲しいかを言葉で直接伝えてくる。
なんとか察してほしい、男には到底できない芸当であろう。
そういう小さな部分が重なって、家庭での父親の立場はどんどん弱いものになっていくのであろう。
僕は言われた通りに、洗ったパンツをかごの一番上に置いた。
妹が興味深そうに、そのパンツを見ていたが、綺麗に洗ってあるのだ。
ニオイなどするはずが無いはずだ。
朝食を済ませて、今日も早めに家を出た。
『選挙・・・?』
そんなことよりも、僕にはもっと大事なものがあるのだ。
「じゃあ〇〇、今日は頑張りなさいよ。」
母の言葉がありがたかった。
今日はただひたすらに、みんなに謝るのだ。
朝の冷たい僕への視線に耐え、一人の時間が過ぎていった。
チャイムが鳴りホームルームが始まる。
僕はクラス委員長として教壇に立ち、いつものように挨拶をした後で、勇気を振り絞って頭を下げた。
「僕は、今まで一人で勘違いをしていました。」
「全然偉くもないくせに、みんなは僕の言う事を何でも聞いてくれるなんて思い上がっていました。」
「皆んなの優しい気持ちを、僕の傲慢な態度で踏みにじってしまいました。」
「本当にす、本当に申し訳ありませんでした。」
晴れ晴れとした気持ちでこの時間を迎えたのだが、謝っているうちに涙がボロボロと流れ落ちていた。
「本当に、ごめんなさい。」
最後は絶叫に近かった。
しゃくり上げながら、僕は泣き顔を上げた。
「よく謝れたな!」
「それじゃあ、私が副委員長として応援してやるよ。」
「多分選挙は、私が出た方が勝てる確率は高いと思うけど、応援演説は任せておけよ!」
あれから熱狂的では無かったが、ちらほらと手伝ってくれる女の子も現れてくれたし、男の子達も手伝ってくれるようになった。
すぐには変わらないクラスの空気だったが、それでも徐々に落ち着いて、僕も元通りのモブの一人に戻れていた。
感謝。
今はただそれだけしかない。
もう、寂しい思いはしたくはなかった。
独り占めもしないし、ハーレムも欲しくはなかった。
ただ、皆と一つになってこのお祭りも含めて、楽しい学園生活を送りたいだけだった。
数日が過ぎ、生徒会の役員候補者による演説会が体育館で行われた。
僕の応援演説は、副委員長の〇〇さんがしてくれる。
これほど影響力のある、頼もしい応援団長はなかなかいないだろう。
全校生徒からの万雷の拍手の中で〇〇さんの応援演説が終わり、候補者である僕が壇上に登った。
「え~っ、あっあ~~・・・。」
緊張して声が出なかった。
全校生徒の目が僕に向かっていた。
「頑張れ~!」
シンとした体育館の中で、勇気を振り絞ったクラスの男子が僕に声援をかけてくれた。
嬉しかった。
それを合図に、僕は思い出したようにマイクに向かって話し始めていた。
「あの人、〇〇ちゃんのお兄ちゃんなの?」
「 結構カッコイイんじゃないの?」
「家ではどんな感じなの?」
「エ~ッ! あれが?」
「お兄ちゃんは、この間まで生意気に威張っていたから、無視してやったんだよ。」
「そしたら泣いて謝ってきたから、許してあげたんだ。」
「だから、これからは私の言う事をよ~く聞きなさいって。」
「あっ!それとね、これは誰にも言っちゃいけないんだけど、お兄ちゃんは毎朝パンツをこっそりと洗ってるんだ。」
「モテなくて大変なんだろうけど、まぁ、気づかない振りをしているところが私の優しさなんだけどね。」
「それでも気付かれていないと思ってる所なんか、どうかしてるんだよね。」
「あとこの間なんか、あぁ、これもお母さんには絶対言ちゃダメって言われてるんだけど、お兄ちゃんがおねしょしちゃってさぁ~~~www。」
ベラベラと自分の兄の秘密を喋り続ける女の子を見て思った。
『私、この子と色々な秘密を共有しちゃったけど、本当に大丈夫なのかしら??』
『もしかしたら、もうあちこちで喋っちゃってるんじゃないの?』
不安が疑念になり、モヤモヤと心の中に暗い影が広がっていく。
「でねっ!~~~、~~~。」
彼女の兄の演説中だというのに、彼女の口が止まることはなくなっていた。
『絶っ対に、信用しちゃダメ!』
彼女の心と連動するように、この町から異世界へと流れ込む清水が、彼女から漏れ出したモヤと同じぐらいにほんの少しだけ黒く濁っていた。
清水が流れ込む。
清らかな湖の中に、その影がほんの少しだけ混じった。
拍手が巻き起こった。
なかなか良い演説だったようだ。
舞台を降りた僕にクラスメイト達が、「良かったよ。」と祝福してくれる。
皆んなのおかげでここまで来れたことが嬉しかった。
「う~ん、残念だったわね。でも、まぁこんなものなのかな・・・。」
授業のプリントを集めて職員室に持って行くと、〇〇先生が足を組みながら僕に声をかけてきた。
「うん。いや~、次点だったのよ。」
「書記なんかにしておけば、なんとか通ったかもしれないんだけどね~。」
「私も、もし〇〇君が生徒会長になれたら、何でもしてあげたかったのにな~。」
先生は胸元を見せつけるように、大きくはだけたブラウスの襟元を持って、パタパタと職員室の冷たいクーラーの風を胸元に導いていた。
「はっはっはっはっはっ~! ダメですよ~〇〇先生~。」
「中学生には刺激が強すぎますよ~。」
「今回は僕の勝ちということで、今晩軽くどうですか?」
「僕の未来もあなたの未来の一つだと思えれば、選択肢もぐっと広がってくるはずですよ。」
「ふんッ図々しいわね。でも、なかなか魅力的な提案ね。」
「今日は当然、〇〇先生の驕りで呑みに行くんでしょうね?」
「勿論です。」
「いいお店を知ってるんですよ!」
すでに二人の世界に入り込んでいる先生方には、僕の存在はすっかり見えなくなっているようだった。
僕は黙って頭を下げて職員室を後にした。
「教頭先生。校長先生がお呼びですよ。」
声をかけられた彫りの深い教頭先生は、職員室を出てふかふかの絨毯の敷かれた校長室に入っていった。
「おお、教頭先生。 よくぞ参られた。」
校長先生は足が悪いのか、少し震える足をステッキに頼りながら立ち上がった。
そして、応接用のテーブルにあるソファーを教頭先生に勧めた。
「いやいや、今回の選挙は、生徒会長が他の人間が頼りないから続投するなどと申しておったが、 教頭先生の機転のお陰で大量の応募者も集まり、彼女もついに生徒会長を下りる決心をしたようだ。」
「さすがに、我が校から最高学府に一番近い〇〇高校へ確実に行けるような逸材を、生徒会の些末な行事に組み込んで、学業を疎かにさせるわけにはいかんからな。」
「うはははは~!これで我が校の進学率も上がり、たくさんの優秀な人材が集まってくるであろう。」
劇画のように彫りの深い教頭先生は、何も言わずに頭を下げて、テーブルの上に置いてあった封筒を取り、ジャケットの内ポケットの中にしまった。
「ほっほっほっほほ~!今回も教頭先生に、してやられたわい。」
「いったい、わしからどれだけ絞り取れば気が済むのじゃ!」
「たまには、ワシを勝たせてみせろ。」
校長先生は、人の良さそうな顔を愉快そうにほころばせて笑っている。
「あっぁ~っ。教頭先生、あの男は二番であったな・・・?」
ソファーに座る二人だったが、テーブルの天板から顔を見上げるようにしながら校長が教頭に声をかけた。
「覚えておられたんですね・・・。」
「おぅ!覚えておるとも。教頭こそ、わしが覚えておらんとでも思ったのか?」
「これで引き分けじゃなぁ?」
ニヤリと笑う校長へ、教頭が内ポケットの中から先ほどの封筒と、もう一つの封筒を取り出してテーブルの上に置いた。
「このタヌキめ!」
「勝った時だけ、しゃぁしゃぁと受け取りおって、出し渋るな!」
「じゃが、あの勇者は相当だったので、今回はあやつで決まりと思っていたぞ。」
「まさかの倍付けじゃわい!」
「ほっほっほっほっほ~!」
残りの人生の全てを楽しむような顔をして、校長先生が愉快そうに笑っていた。
「〇〇先生に恋人ができて、エデンがなくなると皆は嘆いておるようじゃが、やはり彼女はもうエデンには来んのであろうなぁ。」
「少し残念ではありますが、私は一度で凝りましたよ。」
「うん、何?行ったのか!?」
「えぇ、 実は・・・。」
「で・・・?で?どうじゃった??」
「それはもう。~~~、~~~~。」
異世界を旅するこの二人は、すでに若さは失っていたが未だにその掟を守り続けている。
異世界。
それは君のすぐ隣にある世界。
ドラゴンを狩り、己自身が新たな龍となり、大空を舞う。
どのように羽ばたくかは自分で決めるしかない。
羽ばたきを間違えれば、新たな竜に必ず駆逐される。
自由があり、責任がある。
大人になりどのように羽ばたくかは、他人に決めさせるべきものではない。
どんな道であろうと自分で決めて進むしかない。
信じるのは魂を込め磨き上げた、己の聖剣のみ。
少年よ、断崖の滝を昇り世界へ翔び立つのだ。
聖剣伝説
~乙女の姿しばしとどめむ~ 完
「モテないお兄ちゃん!」
僕がパンツを洗う光景は、もはや日常の一コマのように当たり前になってしまっていた。
「〇〇、洗ったパンツは大変だから、洗濯かごの下に入れないでね。」
女性が環境の変化に対応する力には、目を見張るものがある。
当然にそうなることであれば、どのようにして欲しいかを言葉で直接伝えてくる。
なんとか察してほしい、男には到底できない芸当であろう。
そういう小さな部分が重なって、家庭での父親の立場はどんどん弱いものになっていくのであろう。
僕は言われた通りに、洗ったパンツをかごの一番上に置いた。
妹が興味深そうに、そのパンツを見ていたが、綺麗に洗ってあるのだ。
ニオイなどするはずが無いはずだ。
朝食を済ませて、今日も早めに家を出た。
『選挙・・・?』
そんなことよりも、僕にはもっと大事なものがあるのだ。
「じゃあ〇〇、今日は頑張りなさいよ。」
母の言葉がありがたかった。
今日はただひたすらに、みんなに謝るのだ。
朝の冷たい僕への視線に耐え、一人の時間が過ぎていった。
チャイムが鳴りホームルームが始まる。
僕はクラス委員長として教壇に立ち、いつものように挨拶をした後で、勇気を振り絞って頭を下げた。
「僕は、今まで一人で勘違いをしていました。」
「全然偉くもないくせに、みんなは僕の言う事を何でも聞いてくれるなんて思い上がっていました。」
「皆んなの優しい気持ちを、僕の傲慢な態度で踏みにじってしまいました。」
「本当にす、本当に申し訳ありませんでした。」
晴れ晴れとした気持ちでこの時間を迎えたのだが、謝っているうちに涙がボロボロと流れ落ちていた。
「本当に、ごめんなさい。」
最後は絶叫に近かった。
しゃくり上げながら、僕は泣き顔を上げた。
「よく謝れたな!」
「それじゃあ、私が副委員長として応援してやるよ。」
「多分選挙は、私が出た方が勝てる確率は高いと思うけど、応援演説は任せておけよ!」
あれから熱狂的では無かったが、ちらほらと手伝ってくれる女の子も現れてくれたし、男の子達も手伝ってくれるようになった。
すぐには変わらないクラスの空気だったが、それでも徐々に落ち着いて、僕も元通りのモブの一人に戻れていた。
感謝。
今はただそれだけしかない。
もう、寂しい思いはしたくはなかった。
独り占めもしないし、ハーレムも欲しくはなかった。
ただ、皆と一つになってこのお祭りも含めて、楽しい学園生活を送りたいだけだった。
数日が過ぎ、生徒会の役員候補者による演説会が体育館で行われた。
僕の応援演説は、副委員長の〇〇さんがしてくれる。
これほど影響力のある、頼もしい応援団長はなかなかいないだろう。
全校生徒からの万雷の拍手の中で〇〇さんの応援演説が終わり、候補者である僕が壇上に登った。
「え~っ、あっあ~~・・・。」
緊張して声が出なかった。
全校生徒の目が僕に向かっていた。
「頑張れ~!」
シンとした体育館の中で、勇気を振り絞ったクラスの男子が僕に声援をかけてくれた。
嬉しかった。
それを合図に、僕は思い出したようにマイクに向かって話し始めていた。
「あの人、〇〇ちゃんのお兄ちゃんなの?」
「 結構カッコイイんじゃないの?」
「家ではどんな感じなの?」
「エ~ッ! あれが?」
「お兄ちゃんは、この間まで生意気に威張っていたから、無視してやったんだよ。」
「そしたら泣いて謝ってきたから、許してあげたんだ。」
「だから、これからは私の言う事をよ~く聞きなさいって。」
「あっ!それとね、これは誰にも言っちゃいけないんだけど、お兄ちゃんは毎朝パンツをこっそりと洗ってるんだ。」
「モテなくて大変なんだろうけど、まぁ、気づかない振りをしているところが私の優しさなんだけどね。」
「それでも気付かれていないと思ってる所なんか、どうかしてるんだよね。」
「あとこの間なんか、あぁ、これもお母さんには絶対言ちゃダメって言われてるんだけど、お兄ちゃんがおねしょしちゃってさぁ~~~www。」
ベラベラと自分の兄の秘密を喋り続ける女の子を見て思った。
『私、この子と色々な秘密を共有しちゃったけど、本当に大丈夫なのかしら??』
『もしかしたら、もうあちこちで喋っちゃってるんじゃないの?』
不安が疑念になり、モヤモヤと心の中に暗い影が広がっていく。
「でねっ!~~~、~~~。」
彼女の兄の演説中だというのに、彼女の口が止まることはなくなっていた。
『絶っ対に、信用しちゃダメ!』
彼女の心と連動するように、この町から異世界へと流れ込む清水が、彼女から漏れ出したモヤと同じぐらいにほんの少しだけ黒く濁っていた。
清水が流れ込む。
清らかな湖の中に、その影がほんの少しだけ混じった。
拍手が巻き起こった。
なかなか良い演説だったようだ。
舞台を降りた僕にクラスメイト達が、「良かったよ。」と祝福してくれる。
皆んなのおかげでここまで来れたことが嬉しかった。
「う~ん、残念だったわね。でも、まぁこんなものなのかな・・・。」
授業のプリントを集めて職員室に持って行くと、〇〇先生が足を組みながら僕に声をかけてきた。
「うん。いや~、次点だったのよ。」
「書記なんかにしておけば、なんとか通ったかもしれないんだけどね~。」
「私も、もし〇〇君が生徒会長になれたら、何でもしてあげたかったのにな~。」
先生は胸元を見せつけるように、大きくはだけたブラウスの襟元を持って、パタパタと職員室の冷たいクーラーの風を胸元に導いていた。
「はっはっはっはっはっ~! ダメですよ~〇〇先生~。」
「中学生には刺激が強すぎますよ~。」
「今回は僕の勝ちということで、今晩軽くどうですか?」
「僕の未来もあなたの未来の一つだと思えれば、選択肢もぐっと広がってくるはずですよ。」
「ふんッ図々しいわね。でも、なかなか魅力的な提案ね。」
「今日は当然、〇〇先生の驕りで呑みに行くんでしょうね?」
「勿論です。」
「いいお店を知ってるんですよ!」
すでに二人の世界に入り込んでいる先生方には、僕の存在はすっかり見えなくなっているようだった。
僕は黙って頭を下げて職員室を後にした。
「教頭先生。校長先生がお呼びですよ。」
声をかけられた彫りの深い教頭先生は、職員室を出てふかふかの絨毯の敷かれた校長室に入っていった。
「おお、教頭先生。 よくぞ参られた。」
校長先生は足が悪いのか、少し震える足をステッキに頼りながら立ち上がった。
そして、応接用のテーブルにあるソファーを教頭先生に勧めた。
「いやいや、今回の選挙は、生徒会長が他の人間が頼りないから続投するなどと申しておったが、 教頭先生の機転のお陰で大量の応募者も集まり、彼女もついに生徒会長を下りる決心をしたようだ。」
「さすがに、我が校から最高学府に一番近い〇〇高校へ確実に行けるような逸材を、生徒会の些末な行事に組み込んで、学業を疎かにさせるわけにはいかんからな。」
「うはははは~!これで我が校の進学率も上がり、たくさんの優秀な人材が集まってくるであろう。」
劇画のように彫りの深い教頭先生は、何も言わずに頭を下げて、テーブルの上に置いてあった封筒を取り、ジャケットの内ポケットの中にしまった。
「ほっほっほっほほ~!今回も教頭先生に、してやられたわい。」
「いったい、わしからどれだけ絞り取れば気が済むのじゃ!」
「たまには、ワシを勝たせてみせろ。」
校長先生は、人の良さそうな顔を愉快そうにほころばせて笑っている。
「あっぁ~っ。教頭先生、あの男は二番であったな・・・?」
ソファーに座る二人だったが、テーブルの天板から顔を見上げるようにしながら校長が教頭に声をかけた。
「覚えておられたんですね・・・。」
「おぅ!覚えておるとも。教頭こそ、わしが覚えておらんとでも思ったのか?」
「これで引き分けじゃなぁ?」
ニヤリと笑う校長へ、教頭が内ポケットの中から先ほどの封筒と、もう一つの封筒を取り出してテーブルの上に置いた。
「このタヌキめ!」
「勝った時だけ、しゃぁしゃぁと受け取りおって、出し渋るな!」
「じゃが、あの勇者は相当だったので、今回はあやつで決まりと思っていたぞ。」
「まさかの倍付けじゃわい!」
「ほっほっほっほっほ~!」
残りの人生の全てを楽しむような顔をして、校長先生が愉快そうに笑っていた。
「〇〇先生に恋人ができて、エデンがなくなると皆は嘆いておるようじゃが、やはり彼女はもうエデンには来んのであろうなぁ。」
「少し残念ではありますが、私は一度で凝りましたよ。」
「うん、何?行ったのか!?」
「えぇ、 実は・・・。」
「で・・・?で?どうじゃった??」
「それはもう。~~~、~~~~。」
異世界を旅するこの二人は、すでに若さは失っていたが未だにその掟を守り続けている。
異世界。
それは君のすぐ隣にある世界。
ドラゴンを狩り、己自身が新たな龍となり、大空を舞う。
どのように羽ばたくかは自分で決めるしかない。
羽ばたきを間違えれば、新たな竜に必ず駆逐される。
自由があり、責任がある。
大人になりどのように羽ばたくかは、他人に決めさせるべきものではない。
どんな道であろうと自分で決めて進むしかない。
信じるのは魂を込め磨き上げた、己の聖剣のみ。
少年よ、断崖の滝を昇り世界へ翔び立つのだ。
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