20 / 38
爽やかな君の潮味 ①
しおりを挟む
焦燥した顔つきで娘がリビングに入ってきた。
いつものお茶目な感じがまるでしなかった。
「お母さん。私、見ちゃった。お兄ちゃんのシャセー・・・。」
娘が何を言っているかはピンとこなかったが、息子が娘に何かをして精子を出したのだろう。
これは母親として黙っているわけにはいかなかった。
廊下を走って兄の部屋のドアを開けた。
若い男の寝起きの汗と、あの匂いがこもっていた。
母親が入ってくるとは思いもしなかった僕は、前の冷たくなったパンツを慌てて引き上げて、 何もなかった風を装った。
?
「あなた、〇〇に何かした?? 」
母親が何を言っているのか全く分からなかった。
「今起きたんだけど・・・。」
寝ながら泣いていたのか、息子の顔は、涙と鼻水とよだれで情けないほどに汚かった。
脱ごうとしていたパンツもシャツも、汗でびちょびちょだった。
『射精ではなく夢精だ。』
娘は 兄の部屋を覗いて、この青臭い匂いを嗅いだのだ。
全ては娘の勉強不足から起きた。
「そうなの・・・。汗の匂いがすごいから、シャワーを浴びてくるといいわよ。」
「 昨日あげたやつも使ってみなさいよ。」
しどろもどろになりながらも、何とかごまかして彼の部屋のドアを閉めた。
リビングに戻り娘の話を聞いて、娘の勉強不足を確認した。
「いい、お兄ちゃんには絶対に喋っちゃだめよ。」
「デリケートな話だから、友達にも絶対に話してはだめよ。」
「お兄ちゃんが来たら、いつも通り振る舞うよ。」
母のネゴシエーションのことなど知りもしないで、さっぱりと身体の汗を流す。
母のくれた紙袋から、おしゃれな男の必需品であるワックスを取り出し初めて使ってみる。
どんな感じがおしゃれなのかさっぱり分からなかったが、カッコよく頭にシャンプーで作るようなトゲを作ってみた。
『イカス!のかもしれない。』
カッコよくなった自分をアピールする為に、リビングのドアを開けて、母と妹に身体をひねってくるりと回転して見せた。
『お兄ちゃん かっこいい~♡』
そんな言葉を期待していたが、なんだかよそよそしい。
ちょっと奇抜すぎて引かれたのかもしれない。
「まぁ、いいわね。」
なんとなく、母もぎこちない。
「 なんだよ、カッコいいだろう?」
「こいつで、お前のこと刺しちゃうぞ~。」
妹にとんがり頭を近づけていくと、妹は「バカッ!」と言いながら出て行ってしまった。
なにか妹は機嫌が悪い。
もしかしたら、生理が始まったのかもしれないな。
少し前に精通を果たしたばかりであったが、妹の成長が微笑ましく思える大人になった兄心だった。
教室に入ると、想像以上の食いつきであった。
隣の席の〇〇さんが最初に気づいて話しかけてくれた。
それを聞いていた〇〇さんも、本を閉じて僕らの話に加わる。
いつも近づいてきてもくれない〇〇さんも、僕に「素敵だよ」とお世辞を言ってくれる。
そして何より喜んでくれてたのは、前に座っている〇〇さんだった。
触覚のリボンを揺らしながら、顔を僕に近づけて、ツンと尖らせた僕の髪の毛を触ったりしてくれる。
僕のハーレムぶりを、遠目に見ているクラスメイトの男子も、ざわざわと皮肉など言っている。
そんな、ウジウジとしているクラスメイトに、〇〇さんが僕を持ち上げつつも、男子生徒を鼓舞するように釘を刺した。
「〇〇みたいに努力をしろよ~!女がみんな〇〇に取られちゃうかもしれないぞ~!」
一軍女子の言葉に、一瞬にして男たちの目の色が変わった。
今、女の子をめぐる、男たちの争奪戦の火蓋が切って落とされたのであった。
つづく
いつものお茶目な感じがまるでしなかった。
「お母さん。私、見ちゃった。お兄ちゃんのシャセー・・・。」
娘が何を言っているかはピンとこなかったが、息子が娘に何かをして精子を出したのだろう。
これは母親として黙っているわけにはいかなかった。
廊下を走って兄の部屋のドアを開けた。
若い男の寝起きの汗と、あの匂いがこもっていた。
母親が入ってくるとは思いもしなかった僕は、前の冷たくなったパンツを慌てて引き上げて、 何もなかった風を装った。
?
「あなた、〇〇に何かした?? 」
母親が何を言っているのか全く分からなかった。
「今起きたんだけど・・・。」
寝ながら泣いていたのか、息子の顔は、涙と鼻水とよだれで情けないほどに汚かった。
脱ごうとしていたパンツもシャツも、汗でびちょびちょだった。
『射精ではなく夢精だ。』
娘は 兄の部屋を覗いて、この青臭い匂いを嗅いだのだ。
全ては娘の勉強不足から起きた。
「そうなの・・・。汗の匂いがすごいから、シャワーを浴びてくるといいわよ。」
「 昨日あげたやつも使ってみなさいよ。」
しどろもどろになりながらも、何とかごまかして彼の部屋のドアを閉めた。
リビングに戻り娘の話を聞いて、娘の勉強不足を確認した。
「いい、お兄ちゃんには絶対に喋っちゃだめよ。」
「デリケートな話だから、友達にも絶対に話してはだめよ。」
「お兄ちゃんが来たら、いつも通り振る舞うよ。」
母のネゴシエーションのことなど知りもしないで、さっぱりと身体の汗を流す。
母のくれた紙袋から、おしゃれな男の必需品であるワックスを取り出し初めて使ってみる。
どんな感じがおしゃれなのかさっぱり分からなかったが、カッコよく頭にシャンプーで作るようなトゲを作ってみた。
『イカス!のかもしれない。』
カッコよくなった自分をアピールする為に、リビングのドアを開けて、母と妹に身体をひねってくるりと回転して見せた。
『お兄ちゃん かっこいい~♡』
そんな言葉を期待していたが、なんだかよそよそしい。
ちょっと奇抜すぎて引かれたのかもしれない。
「まぁ、いいわね。」
なんとなく、母もぎこちない。
「 なんだよ、カッコいいだろう?」
「こいつで、お前のこと刺しちゃうぞ~。」
妹にとんがり頭を近づけていくと、妹は「バカッ!」と言いながら出て行ってしまった。
なにか妹は機嫌が悪い。
もしかしたら、生理が始まったのかもしれないな。
少し前に精通を果たしたばかりであったが、妹の成長が微笑ましく思える大人になった兄心だった。
教室に入ると、想像以上の食いつきであった。
隣の席の〇〇さんが最初に気づいて話しかけてくれた。
それを聞いていた〇〇さんも、本を閉じて僕らの話に加わる。
いつも近づいてきてもくれない〇〇さんも、僕に「素敵だよ」とお世辞を言ってくれる。
そして何より喜んでくれてたのは、前に座っている〇〇さんだった。
触覚のリボンを揺らしながら、顔を僕に近づけて、ツンと尖らせた僕の髪の毛を触ったりしてくれる。
僕のハーレムぶりを、遠目に見ているクラスメイトの男子も、ざわざわと皮肉など言っている。
そんな、ウジウジとしているクラスメイトに、〇〇さんが僕を持ち上げつつも、男子生徒を鼓舞するように釘を刺した。
「〇〇みたいに努力をしろよ~!女がみんな〇〇に取られちゃうかもしれないぞ~!」
一軍女子の言葉に、一瞬にして男たちの目の色が変わった。
今、女の子をめぐる、男たちの争奪戦の火蓋が切って落とされたのであった。
つづく
11
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる