聖剣伝説〜乙女の姿しばしとどめむ〜

rabao

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僕の可愛い女の子 ③

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「おお、勇者よ、よくぞ戻られた。」
先日は、沼地の奥まで探索を続けたはずであったが、やはりここから始まるようであった。
「先日そなたが打ち倒した大サソリには、この町の皆も大変難儀しておったのだ。」
「女神の里までの道であるが、清水は泥の沼地に変貌し、渡ろうと試みたもの達はあの大サソリの毒に侵されて、発狂するように自分を卑下し、精神が壊れてしまっていた。」
「もはや、あの里には行けぬものと思っていたが、そなたの活躍で沼地を元の美しい街道に戻すことが出来た。」
「女神はあの里で、そなたが来ることを待ちわびている。」
「そなたは、あの里で女神の次なる信託を受けることになるだろう。」

「世界の平和を取り戻すために、何時も励め!」
「さぁ、行け勇者よ!」

今日も上から目線の説教ではあったが、女神の里への沼が無くなったのは嬉しかった。
あの泥による連続的な刺激は、思い出すだけで身を捩りそうになってしまう。
その快感を補う為にも、女神の犬として早く御主人様にひれ伏して、言葉だけで果ててしまうような感覚をこの身で享受したかった。
国王の長い話の中で、僕の魂は空想の空に飛び出し、ふしだらな欲望を掻き立てていた。
僕は、抜け殻の身体を国王の前に立たせたまま、聖剣をズボンの中で固く尖らせていた。

『この先、女神の里』
看板はそのままだが、本当に沼地が無くなっていた。
所々に靴やズボンが落ちているが、やはりここを通った時に、皆衣類を泥に持っていかれたのであろう。
清水が湧き出すこの場所で、僕は確かに〇〇さんの頭を抱えながら最高の瞬間を迎えたのだ。
にわかに毒が巡ってきたように、聖剣が甘く痺れた。

村が見えてきた。
王城の町よりも更に寂れていた。
テントもなく、岩場の影に万屋の店主が挟まるようにして商売をしていた。
山をくり抜いた、祠型の聖壇に女神は祀られていた。
城のものよりも小さい。
人間のサイズ感だった。

清水の囲む祠の中で、宝石に彩られた一本の道が、清水の中心で一段高く安置された女神へと続いていた。
それだけでも、この世界の人々の女神に対する厚い信仰心が伺われた。
近づいていくと、その像は、温度を持つ艶めかしい肉体を彷彿とさせるほどの、造形であった。
慈愛に満ちたその口唇は少しだけ開き、何かを語るようでもあり、何かを口に求めているようでもあった。
また、不思議なことにどこから見ても、女神像は僕をその瞳の中に収めていた。

聖堂内には誰もいない。
僕は確認をした後に、女神像の後ろにまわり前方にあるふくよかに張り出した双房を下からすくい上げる。
石とは思えないような柔らかさを感じるようであった。
後ろから女神を抱いている僕の鼻先にある女神の髪の毛が発する香りが、僕の鼻先をくすぐった。
後ろから女神のお尻にこすりつけたズボンの中で、聖剣が軽くはぜた。

「あッ、・・・あぁ・・・。」
僕は、がっくりと力を失った全身を、女神の像にすがりつかせて悶えていた。
その瞬間に女神の声が脳内に直接響いてきた。

「まるで、猿だな。」
「だが、勇者にふさわしい器だ。」
「お前が、今触れている像は私自身だ。」
「鬼と化した女の情念をこの世界にのみ押し止める為に、私はこの地で祈っている。」
「だが、彼女らの情念は日々膨れ上がり、現世に向けて流れ出そうとしている。」
「それを防がんとする私にも、その情念が波動となって襲い、私もこうして徐々に石になってしまう。」
「私が再度力を取り戻すためには、我が実体を取り戻す他はない。」
「真実を現す鏡を手に入れ、真実の私を解き放つのだ。」
「さすれば、実体化した私が、そなたを快楽の渦に呑み込んでやってもよい。」
「そなたが、望むままに。」

「我を救い、女の情念を打ち払うのだ!」
「さぁ、行け勇者よ!」

女神の声が聞こえなくなったと同時に、そこに居るように感じていた女神の姿はなくなっていた。
祠の中心に女神の硬い石像が、安置されているだけであった。
僕の手の中には、先程女神像を楽しんだ時に女神から脱がせたのだろうか、ふわりとした薄衣が握られていた。
返そうとしたのだが、どういうわけか女神像はそれと同じ形状の衣を、石像の中でふわりと羽織っていた。
僕はそれをしっかりと握って聖堂を後にした。
女神のあまりにもザックリとした情報であったが、この衣がなにかの手がかりになるのかも知れないと思った。

里の人に聞いても、女神の話に合致するような情報は無かった。
少し大きい街があると情報をもらったが、道はよくわからないのだと言う。
僕はとりあえず村を出て周辺を散策した。

草原の横手を這うように続く岩山が重なり合う谷間で、岩の上からそれは突然襲いかかってきた。
キラリと陽光の反射の輝きを感じて振り仰ぐと、仮面で顔をつつみ全身に鎧を纏った戦士が、頭上から反り返った刀で僕に切りかかってきていた。
僕は間一髪でその切っ先を躱すことが出来たが、その剣の切れ味は凄まじく、飛び去った僕の背後から、学生服もろとも硬いベルトすらも両断していた。
前面に割烹着のように垂れ下がった学生服が、僕の両腕の運動を阻害している。
思うように動けない学生服を脱ぎ捨ててかろうじて引っかかているだけのズボンとパンツをぐっと下ろした。
生白い僕の皮膚が、太陽のもとにさらされている。

「フッ・・・フッ・・・」
せせら笑うような戦士の嘲笑が仮面の下から湧き上がった。
確かに筋肉質でもなく、インドア特有の生白い素肌。
そして、刀で襲われる恐怖からか、切られないように身を守っているのか、僕の腰に下げた聖剣は明らかに小さく腹の中にめり込んでいた。



つづく
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