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17. それは遺伝なの…?

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※お兄さん(ギル)がちょっとだけ変態チックです。
前回に引き続きライル君が女装中ですので、苦手な方はご注意ください。



「のわっ?!」
「ライ?!」

宮殿から村まで飛び無事、お家へ着きました! ただいま!
急に現れた僕をお兄さんが受け止めてくれた。さすがお兄さん! ありがとう!
というか椅子に座ったままの体勢だったから、受け止めてくれなかったら尻もち着いた状態だったよ…。

「ありがとう! お兄さん!」
「ライ…! よかった…!」

ほっと眉を下げたお兄さんに甘えるように猫みたいに首筋に頭をぐりぐりと押し当てて甘える。あー…帰ってきたよー!

「「ライ!」」
「ただいま!」

兄ちゃんずもお兄さんの腕の中にいる僕を見て声をかけてくれる。けどなんで二人とも泣きそうな顔してるの?
そしてぎゅうぎゅうと抱き締められる。ふふふ、くすぐったいよー。兄ちゃんたちー。

「ライがローレンスに攫われたって聞いた後に水晶が割れたから心配で心配で…」

一足先に冷静になったバジル兄ちゃんがそう教えてくれる。そっか、貞操帯の魔法が解けちゃったから水晶も割れちゃったのか。

「ライル! あの男に変なことはされてないな?!」

ユリウス兄ちゃんが鼻水たらしながら真顔で言うからちょっと笑っちゃった。答える前にティッシュティッシュ。
バジル兄ちゃんが呆れながらユリウス兄ちゃんにティッシュを渡して鼻をかんでもらってお兄さんはソファに僕も一緒に座る。そう言えば父ちゃんと母ちゃんは?

「とりあえず変なことは…されたような…? あ! でも前みたいなことはされてない! されそうにはなったけど!」
「あんのクソ男め…」

ユリウス兄ちゃんから普段でない言葉に僕は苦笑いを浮かべると、バジル兄ちゃんも静かに切れてた。実はバジル兄ちゃんの方が怒ると怖いんだよ…。

「あら、あらあらあらあら!」

母ちゃんがリビングに来て僕を見つけるなり両手を口に当てて瞳を大きくしてる。息子がウエディングドレスきて帰ってきたらそうなる…ってローズさん?
なんかローズさんの瞳がめちゃくちゃキラキラしてるんだけど…?
思わずぎゅう、とお兄さんに抱き付けば「ライ?」と心配そうに声をかけられた。

「ライ君…あなた…!」
「ふぇ?!」

名前を呼ばれるなり、ツカツカと近付いてくるローズさん。突進に近い! 怖い!
僕の前に来ると、兄ちゃんずがなぜか顔を見合わせる。助けて! 兄ちゃんず! だがそんな願い虚しく、僕から離れると側に立つ。兄ちゃんずのバカー!
するとちょこんとしゃがむとにっこりと微笑むローズさん。何? 何されるの? 僕?
びくびくと怯えていると「ギルバード、あなた早くヴェールを上げなさい」とお兄さんを見る。そうなんだ。まだヴェールをかぶったままなんだよ…。おかげで視界が悪くて…。

「は、はい!」

おお、お兄さんもローズさんには逆らえぬか…。まぁ母ちゃんには逆らわない方がいいよね。うん。
そんなことを思っているとゆっくりとヴェールが持ち上げられていく。なんだろう、この妙な緊張感。ドキドキする。

「あらぁ…」

ヴェールが完全に持ち上げられるとようやく視界がクリアになる。見えるって素晴らしい!
そんな僕をお兄さんは瞳を丸めて見つめている。あ、やっぱり化粧が似合わないよね? 浄化魔法で綺麗にしちゃおっかな。なんて魔力を込めてると、その手がっしと掴まれた。ふぉあ?! 怖い!

「お…お兄さん?」

いつもとは違うお兄さんの行動に僕は何かしただろうかと伺うように上目遣いで見てみると「うっ」と呻いたのはユリウス兄ちゃんだった。なんで?!

「ライ…」

呻いたユリウス兄ちゃんは大丈夫なんだろうかと視線を移す前に、ぎゅうと握られた手に力がこもってちょっと痛い。けど、その真剣な表情のお兄さんから視線が外せない。

「おにい…さん?」
「名前を、呼んでみてくれないか?」
「え?」
「名前。ギルベルト、と」

名前? 呼んでいいの? あれだけダメだって言われてたのに? なんで?
ぱちぱちと瞬きをしていると「ダメか?」って言われて「ダメじゃない!」って返したら嬉しそうに空色の瞳が細まった。うわ…なんか…胸がすごいドキドキしてる。

「ギ…ルベルト」

なんか恥ずかしくて視線を強引に外して逸らしながら呼んだから、語尾が小さくなっちゃったけど大丈夫…だよね?
しん…と静寂が部屋を支配する。
え? 何かやっちゃった?
すると「ふぐっ!」というユリウス兄ちゃんの声にハッとする。大丈夫なの?!
思わず兄ちゃんの方を見ようと顔を上げた瞬間、顎を掴まれお兄さんの顔が近付いた。

「おにぃ…」

さん、が口の中へと消えた。唇には柔らかなものが触れていて、僕の視界はお兄さんでいっぱいで。
ちゅ、という音がやけに大きく聞こえてお兄さんの顔が離れていく。
何が起きたのか分らず、ぽかんとしているとお兄さんが蕩けるような笑顔で僕を見ている。

「これでライル君は私の子になるのね!」
「ふえ?!」

ぱん、と両手を叩く音にハッとするとその音の方へと顔を向ければローズさんがそれはそれは嬉しそうに笑っていて。
そうだったー! 母ちゃんも、兄ちゃんずもローズさんもいるんだったー!
てかお兄さんギルベルトって言っちゃったけどいいの?!
慌てて母ちゃんを見れば「大きくなったねぇ…」と涙ぐんでてユリウス兄ちゃんはまた某キャラみたいに倒れてる。クレーターできなくてよかった。バジル兄ちゃんはそんなユリウス兄ちゃんを、ゴミを見るような目で見てる。もう少し優しくしてあげて。バジル兄ちゃん。

「本当、綺麗よ。ライル君」

ローズさんの顔は慈愛に満ち満ちていて、お世辞ではないことを知らせている。それに「あ、りがとうございます」と瞳を伏せてお礼を言えば「この子が私をお義母さまって呼んでくれるのね!」と嬉しそうに笑っている。
お義母さま?! え?!
何?! なんでそんなことになってるの?!
話の展開に付いていけずお兄さんを見れば、唇に口紅がついてる。うわぁ…なんかえっちい…。
また、くい、と顎を持ち上げられるとローズさんが「待ちなさい!」とストップをかけた。そうだよ!お兄さん! キスは二人きりの時にたくさんしようね!

「まだレイナードに見せていないわ!」

そっちかー!
てっきり「はしたないからやめなさい!」って意味だと思ったけど違ったー!

てか父ちゃんにも見せるの?! やだよ! 恥ずかしい!

「そういえば、団長にも見せないといけませんね」
「そうでしょう? こんな綺麗なライル君を見たら泣いてしまうかもしれませんね」
「ああ、泣きますね」

確実に、なんていうバジル兄ちゃん。なんで父ちゃんが泣くの?!

「ギルバード、レイナードが来るまでおさわり禁止ですからね」
「…善処します」

そういうお兄さんは困ったように笑って。でも、僕を支えているもう片方の腕がお腹の辺りをいやらしく撫でてるの知ってるんだからね。


◆◆◆


「つ…疲れた…」
「お疲れ様、ライ」
「ん…」

あの後、父ちゃんやお兄さんの本当のお母さんにそのままの姿で会い、散々愛でられ、終いには僕がポラロイドカメラを魔法で作り写真を撮った。お兄さんに白のタキシードを魔法で着せて二人で写真を撮ってもらった。それをなぜかその場にいた全員分の写真を撮られ、お母さんに「息子をよろしくね」と言われたりとなかなか大変だった。
そのままベッドに降ろしてもらってうつ伏せで枕を抱いて一息つく。そのまま僕たちはまたログハウスへ避難。
「明日はいつでもいいから」という言葉に赤面して飛んできた。
仰向けにひっくり返されて、ちゅっと頭にキスをされてくすくすと笑いあってから唇を重ねる。もう口紅が落ちちゃうとか心配しなくていいから、思う存分唇を重ねて舌も絡める。うん、やっぱりお兄さんとのキス、好きだ。

「んっ、ふぅ…んむ…っ」

首に腕を絡ませて、呼吸を奪い合いながらキスをする。くちゅくちゅと唾液をかき混ぜ、舌を蛇のように絡ませる。
その間にお兄さんの手が胸をやんわりと揉んでくる。あ、気持ちいいけどやっぱり乳首がじんじんする。するとお兄さんが服をずるりと下げて胸を露わにすると、すぐさま指が乳首を摘まんできた。

「あ…んぅ…っ!」

ちゅる、と唾液を吸われると唇が離れていくと、乳首をぎゅうっと指先に力が込められながら引っ張られる。

「痛い?」
「いたい…けど、きもちいい」

ふへっと笑いながら言えば摘ままれたそれを指が擦り合わせるように動かされれば、ぴくぴくと僕の物が反応しているのが分かる。うあー…気持ちいい…。
人差し指を噛んで伸ばされて潰されてる乳首を見ていると、ふっと笑われた。

「気持ちがいいって顔してるね」
「うん…きもちいい、から」
「ところで…ライル?」
「ん…ぅ?」

摘ままれていたそれを急に離され、ぷくりと赤くなった乳首が寂しいとじんじんと痺れる。なんで? いつもはもっと…とお兄さんを見れば顔は笑ってはいるけど、目が笑ってない。
え? 何?
するとトントン、と首筋を指先で軽く叩かれるとハッとした。そうだ! あいつめっちゃ吸ってたじゃん! ってことは…

「これ、あいつにつけられたの?」
「あ、はい。ソウデス」

ひえええ! すっかり忘れてた!
ってことはあの写真…キスマークが写ってるってこと?! バカー! 僕のバカー!

「安心しろ、ライ」
「ふえ?」
「シャシンとかいうやつには写らないようにしてあるから」
「え…? そう…なの?」
「ああ、お前以外の全員が気付いていたからな」
「ふぉ?!」

え? じゃあ僕以外全員がこれ見てるって訳で…? あばばばば。めっちゃ恥ずかしい! 思わず両手で顔を隠せば「ライ」とお兄さんが優しく名前を呼んでくれる。

「これ、俺がこの上から付け直しても?」
「ぅえ…?」

言うが早いか、お兄さんが首筋に潜り込んでちゅうと強く吸い付く。うう、ちょっと痛いのが気持ちいいんだよー!

「ぁ、んっ」
「キスマークつけられるの気持ちがいいんだ?」
「ぅん…、お兄さんにつけられるの…気持ちがいい…っ」
「じゃあ、全部。付け直しちゃおうか」
「お願い…します」

僕の言葉にくすりと笑ったお兄さんが、ちゅちゅと首筋に吸い付いては舐めていく。時折、放置されてる乳首をいじめながら僕の身体を高めていく。でも、さ。

「まって…おにいさ…ぁん」
「どうした?」

ちゅうちゅうと乳首に吸い付いていたお兄さんがちらりと僕を見る。うん、空色の瞳。安心する。

「あの…あのね…」
「うん」

もじもじとまるでトイレを我慢する子供のように膝を摺り合わせながら、お兄さんを見る。恥ずかしい…けど、言わなきゃ。

「貞操帯…なくなったから…えと、おちんちん…」
「勃ってるの?」

お兄さんの言葉にこくりと頷くと、空色の瞳がぎらりと光った。それはローレンスのものと同じだけど、お兄さんだと怖くない。寧ろ、食べられたい。
すると、お兄さんの視線が下肢を見る。うわぁ…恥ずかしい…。
いくら布がたっぷりとはいえ、勃っているそこを直接見られるのはやっぱり恥ずかしい。ぽぽぽと頬が熱くなって視線を逸らせば「本当だ」って呟かれる。

「ん…やぁん!」
「うん、しっかり勃ってる」

そっとお兄さん大きな手が僕のそこを撫でると、びくびくと腰が震える。
うわぁ…ダメ。触られただけでイキそうになっちゃた…。危ない…。

「見てもいい?」
「んぐ…」
「ダメ?」
「いいよ。お兄さんなら…いくらでも」

あいつの場合は有無を言わせなかったからな! ちゃんと確認を取ってくれるお兄さんはやっぱり優しい。好きだなぁ。

「じゃあ見せてね」

そう言ってお兄さんが裾をめくると「あ」という言葉を漏らす。え?何? 思ってたより小さいって?


「そう言えば、靴脱がしてなかったね」
「え? そう…だっけ?」
「ああ。脱がすよ?」
「ん」

なんかもう身体の一部となってたね。ヒール。
するりと脹脛を撫でられるとお兄さんから「何を穿いてるの?」という言葉に僕は「何って?」と聞き返す。そう言えばニーハイ…?みたいなの穿いてたな、と思い出した。それがどうかしたんだろうか?

「なんかすーすーするやつはいてる」
「すーすー?」

僕もよく分ってないから、お兄さんはもっと分からないだろう。

「よく分んないから見て」
「? わかった」

かぽりとヒールを脱がしてもらえば足の指が自由になる。うん、結構きつかった。
するとお兄さんが踵を恭しく掌に乗せた。何をするんだろう、と首を傾げるとその足の指をお兄さんがぱくりと口に含んだ。

「ひょっ?!」

じゅる、じゅると唾液を含めながら舐められる度に、くすぐったさに眉を寄せる。
ぽかんとしながらしばらくお兄さんを見てたけど、にゅるりと舌が指に絡まったところでハッと我に返った。ってちょっと待って?! 足! 臭くない?!  浄化魔法使われたけど、今までヒール履いてて蒸れてたんだよ?! やだ! 恥ずかしい!

「お、おに…お兄さん何やって…?!」

動揺がそのまま声に出たけど気にしない。それより本当に何やってんの?!

「何って…ライの足の指を舐めてるだけだが?」
「いやいやいや! ちょっと待って?! なんで舐めてるの?!」
「…うまそうだった、から?」
「半疑問形?! 舐めるなら言ってよー! 浄化魔法かけるからー!」

なんか足って匂いがすごそうじゃない?! てか本当になにや…ってそういえばローレンスも抜けた僕の髪の匂いかいでたよね。
え? 匂いフェチなの?
てかあいつもそうなんだから、まさか…血なのかな? 王族って匂いフェチなの?!

「浄化魔法何かかけたらライの匂いがなくなるだろう?」

ん? と首を傾げるの可愛いんだけどさ…。僕の足の指さえ舐めてなきゃもっと可愛いんだけど…。

「あ、あのさ…。足じゃなきゃ…ダメ、なの?」
「まぁ…足じゃなくても、いいが。嫌、だったか?」
「あぅ、あぅ」

嫌だけどお兄さんだから嫌って訳じゃなくてでもやっぱり足は嫌で…。あ、そっか。

「嫌…じゃないけどその…匂いを嗅ぐならそう言ってくれた方が心の準備ができるっていうか…えっと…」
「…分った。なら次はそうする」
「あ、うん…」

王族って…やっぱり匂いフェチ…なんだろう、ね…。知りたくなかった。

ちょっぴりショックを受けてると、満足したのかお兄さんがするる、と指先で足をなぞるように裾を持ち上げていく。
うわー…これ、恥ずかしいねー…。

「うん。実に扇情的だ」
「ぅん?」

どういうこと? 僕のが勃ってるから?

「ライ、君は自分が着ている物の全てを見た?」
「ううん? 見てないよ?」
「そうか…じゃあこれがなにかも?」
「?」

そう言って腿と紐の間に指先を入れられた。そんなところに紐なんてあったの?

「これも…あいつの趣味だと思うと腹が立つな」
「脱いだ方がいい?」
「いや。このままで」
「なんかよく分んないけど…お兄さんがいいなら、いいよ」

なんせ自分が着てるものが分んないからね! お兄さんが嬉しい?ならいいよ。なんだって着ちゃうんだから!

「そうか。ならまずはこのままライのを食べても?」
「たべ…」

くすっと笑いながらお兄さんが視線を下ろすのを見て、僕はぼぼっと頬を赤くする。うわー! そうだった! 王族の血のせいでちょっと萎えかけちゃったけど大丈夫なのかな?

「食べてもいいかい?ライル?」
「ん…たべて…ほしい…」

恥ずかしくて裾を両手で持って口元を隠しながら、膝を摺り合わせてもじもじしながらそう言えばお兄さんの喉が上下に動いて空色の瞳が夕日に染まる。
ああ…食べられる。
そう思った瞬間『待て』をしていた猛獣が『よし』を得て、僕のそれを口に含んだ。奇しくもローレンスと同じように腿の後ろから両腕で抱えるようにして持ち上げる体勢で。
でも、気持ち悪くない。ぬるぬるする口の中は一緒なのに、舌を絡められて先端の穴を舌先でぐりぐりされても気持ち悪くも嫌悪感もない。あいつの時はただただ嫌だったのに。

「あっ、はぁ…っあん!」

じゅぷじゅぷとお兄さんが僕の物を吸い上げたり舌先で穴をいじめる度に、僕は甘い声が止まらない。かくかくと腰が上下に動くたびに、お兄さんの舌が裏筋を舐めてくるからぞくぞくとした快感が全身を駆け巡る。
気持ちいい、気持ちいい。
やっぱりあいつとは違う。ちらりと僕を見つめてくる夕日色の瞳も安心する。

「あっ、おにぃさ…ぁ! あっ、おにいさ…ぁん!」

気持ちよすぎて直ぐに出そう。でも出しちゃうとこの気持ちいいのがなくなっちゃう。でも出したい、お兄さんの口の中に出したい。
相反する気持ちにどうしたらいいのか分らなくなって、掴んでいた布を噛みしめればじゅるるると強く射精感を催すほど吸い上げられる。

「ん…! やぁ…っ! あぁぁっ! ああっ!」

それにたまらずお兄さんの口の中へと液を飛ばせば、それを受け止めたお兄さんが最後の一滴まで啜るように吸い上げる。それにかくかくと腰を動かせば、くたりと力を無くす。
はぁはぁと肩を上下に動かして荒い息を整えていると、ちゅっと瞼にキスをされる。嫌悪からではなく、生理的に出た涙を吸い取られるとほっと息を吐く。

「ライのは美味しいな」
「おい…しいの?」
「ああ」

満足そうにそういうお兄さんは嬉しそう。そうだね。ずっと貞操帯つけてたから勃起することも射精することもできなかったし。それが強引に消されてお兄さんと一緒の身体になったんだもんね。

「ぼくも…今度お兄さんの、飲んでみたい」
「それは…考えておこうか」

なんで? ちょっとした好奇心だけど、お兄さんのなら飲めそうなんだもん。
はぅはぅと呼吸を整えながらお兄さんを見れば、服に手をかけてきぱきと脱いでいく。おお。やっぱりいい胸してるなー。
最後にズボンも脱いでお兄さんが素っ裸になると、さっきと同じように腰を浮かせる。
うん、これでおしまいじゃないもんね。
って、あそうだ。

「お兄さん…ちょっと待って」
「嫌か?」
「ん、そうじゃなくて…」

そう言って人差し指で円を描くと、瓶に入ったそれを出す。中身は言わずもがな。たぶん必要になるんじゃないかなって思って出してみたんだけど。
腰の近くに転がったそれをお兄さんが手にすると「これは?」と問われる。

「それ…ぬるぬるするやつ」
「ああ。なるほど」

僕の説明だけで理解したお兄さんすごい。まぁこの状況で「スライムでしたー☆」なんでバカなことはしないからね。
キュポン、とコルクを抜き匂いを嗅ぐお兄さん。…やっぱり気になるんだ。

「これは…薔薇の匂い?」
「分かんない…適当に、出したから」

何となくいい匂い=花という安直な考えでイメージしてみた。石鹸の匂いとかの方がよかったかな?

「これだと…ライの匂いが消えてしまうな」

んんっ?!
今さらっとすごいこと言ったな?!
ちょっと待ってお兄さん! 匂い嗅ぐのはいいけどお風呂入ってからだよ?! 汗臭い匂いは嫌でしょ?!

心底がっかりしているお兄さんの呟きを無視して、それから気を反らすようにはにかみながら「お兄さん…まだ?」と言ってみた。これが吉と出るか凶と出るかは分からん!

「今はあいつの匂いを消すのにちょうどいい、か」

よし!と心の中でガッツポーズをしてから更に、すす…と爪先をわざとスカートの上を滑らせる。そして膝を合わせるとお兄さんの気が僕の匂いから完全に逸れたようで、下着に手をかけた。

「ライ、足あげて」
「ん、分った」

するる、と下着を脱がされるとその下着を僕の目の前に晒す。白いレースの小さな下着。…男にしては小さすぎるそれ。

「全く…下着まで女性ものを履かせるとは…」
「あー…」

やっぱそうだよね。てかそれに気付かない僕も僕だけど。いや。小さいとかいうなよ?
でもまだパンツ履いてる感じがするのはなんでだろう? たぶんこれがあったから普通のパンツだと思ったんだよ。

「ガーターは…そのままでいいか」
「いいんだ」
「ああ、これはこれで…うん。背徳的な感じがして」
「ふぅん?」

ガーターってガーターベルトのことでしょ? 女教師がよく履いてるやつ。ってかそれを今僕は穿いてるのか! 似合わなさそう…だけどお兄さんがなんか興奮してるからいいや。というかお兄さんのもう半勃ちしてる…。でもまだおっきくなるんだよね…。入るのかな?

「少し冷たいかもしれないけど…我慢しなくていいからな」
「ん、分かった」

そう言ってころりと転がされてお腹の下に枕を入れられた。そうなると必然的にお尻が高くなる。僕も膝をなるべく腹の近くに盛ってくると、くん、とお尻を持ち上げてみる。シーツに化粧が付きそうだったから顔だけ浄化魔法をかけて綺麗にする。ふいー…さっぱりしたー。なんかこう…皮膚を塞がれてる感じが嫌だったんだよね。
とそんなことをしているとぱくりと尻たぶを割られ、そこにとろりとさっきのローションを流された。

「冷たくない?」
「だい…じょぶ…」

こんなこともあろうかと思って、人肌程度の温もりに触れるとすぐに温かくなる魔法をかけておきましたから。冷たくてそれを温めてる時間が惜しいじゃない?
あ。お兄さん、お兄さん。ローションが胡桃に垂れて気持ち悪いよー?
一向に動こうとしないお兄さんを僕は肩越しから、ちらりと見れば僕のそこをガン見してた。
え? 何してるの?

「ライ、本当にあいつとは何もなかったんだな?」
「ん? うん。そこは使われてないよ?」
「そう…か」

あれ? 何か困惑してる? なんで?

「いや…すまない。ここがもう、ひくひくしてるから」
「あ」

そうだ。あいつにフェラされてるときそこ、ひくひくしてた。気持ちいいを感じたからまたひくひくしちゃってるんだ。

「えっと…たぶん、気持ちがいいからそうなっちゃうんだと思う」
「気持ちがいい、から?」
「うん。ほら今までは貞操帯があったからそうならなかったけど…さ」
「なるほど。ここがもうこんなになってるのはそういうことか」
「そ…にゃあ?!」

そうだよ、という言葉はお兄さんがいきなりそこに指先をねじ込んだことで変な言葉になる。
んんー! お兄さんの指おいしい!
ちゅぱちゅぱとお兄さんの指をしゃぶるそこにお兄さん引いてないかな? なんて不安になってもう一度肩越しから見れば、ぬちゅりと指を引かれる。

「あ…っ! やぁん!」
「痛みは…なさそうだけど…。魔力を流して痛みを…」
「ダメ!」

お兄さんの提案に僕は叫ぶ。だってそれだとあいつと同じになる。痛みを魔力で誤魔化すのは嫌だ。

「魔力を流されると僕気持ちよすぎてわけわかんなくなっちゃうから」
「痛みがあるよりは…」
「それだとお兄さんので気持ちがいいのか魔力が気持ちいいのか分んなくなっちゃう。僕はお兄さんので気持ちよくなりたいのに…」
「ライ…。すまない。痛みがなさそうだからもう一本入れるよ?」
「うん」
「痛かったら言うんだ。絶対に我慢はしないでくれ」
「分かった」

お兄さんと約束をして一度指を引き抜かれると今度は二本挿入される。

「んー…!」
「痛いか?」
「いたくは…ないけど、圧迫感が…」

お兄さんの指太いから違和感がもうすごい。でも痛みはない。僕の穴どうなってんの? この歳でもうがばがばなの?

「すごいな…ライルの中は…。早く入れたい」
「たぶん…いけると思うよ?」
「まだダメ。もう少し、な?」

そう言って指をにゅこにゅこと抽挿されると、それに合わせて腰が揺れちゃう。なんか淫乱みたいだけど身体がねー…。反応しちゃうんだよね…。
それもこれも全部あいつのせいだろうけどな!

「ライ、腰が揺れてる」
「だって…気持ちいいから」

素直にそう言えば「そうか」とお兄さんが笑う。嘘じゃないからね!本当だから!
でも正直に言えば指じゃなくて早くお兄さんのが欲しいんだよね…。なんかもう奥が準備万端なんだよ。お腹が切なくて寂しい。
だからお兄さんを煽る為にそろそろと腕を後ろに伸ばして尻たぶを自らの手でぱくっと割ってそこを露わにする。

「ん、ね。お兄さん、指はいいから早く入れて?」

ええい! お尻も振ってあげよう!
僕のもすっかりと元気になってるから辛いんだよー。
そんな僕の姿にお兄さんがごくりと喉を鳴らす。うんうん。そのまま食べて!

「…本当ならもう少し慣らさなきゃいけないんだろうけど…」
「僕が我慢できない。ね? もう入れて? お兄さんので奥いっぱい突いて?」
「…ライ。君って子は…」

あ、嫌いになっちゃった? でも、僕もう我慢できないんだよ。

「そこまでされて入れないのは不能だけだね」

お兄さんも覚悟を決めたのかにゅぷりと指を引き抜くと、熱いものをぴたりとそこに押し当てた。
すごい。もう完勃ちして液だらだら出てる。
それに僕のそこもぱくぱくと開閉し始めてる。うわぁ恥ずかしい!

「いくよ。ライ」
「きて…お兄さんの、ちょうだい?」

興奮で呼吸を乱しながら僕がそう言えば、ずぶりと先端がそこにめり込んだ。
すると開閉をしていたそこが待ってましたと言わんばかりにぱくりと開いて先端を飲み込む。

「あっ、あっ」
「痛くは…なさそうだね? ライ?」
「もっと…おくぅ」
「先端を全部入れちゃうからね?」
「ん…分かった」

僕を傷付けないようにしてくれるお兄さんには悪いんだけど、今の僕は肉食獣なんだ。がおーって食べちゃうんだからね!
ずっずっとゆっくり、それこそもどかしいくらいに挿入するお兄さんのそれは熱くて太くて、入ってくるたびにお腹が圧迫さていく。これ、全部入ったらどうなるんだろう? ドキドキと興奮と期待で高鳴る胸を感じながら、お兄さんのを少しずつ受け入れていく。
先端が入っちゃえば後は比較的楽だから、尻たぶから手を離すとその手首を掴まれた。

「え?」
「悪い…! ライ!」
「ああ! ああぁっ! あぁあアッ…あぁ!」

お兄さんが謝ったかと思ったら、その手首を引かれ背中が反る。引かれた反動でごりゅごりゅと襞を擦られながら奥まで一気に突かれた。
そしてそのままお兄さんの腰が前後に動く。

「あ…! あ…ぁっ! んンっあ…っんん…ん!」
「ライ…っ! ライル…っ!」

ばちゅんとお兄さんの下生えが尻に当たる度にちかちかと星が飛ぶ。ずるりと引き抜かれればお腹が切なくてお兄さんを追いかける。そこにまた太いものが強引に侵入して奥を強引に拓いていく。
抽挿する度にローションがんぬちゃぬちゃと音を立て、ベッドもぎっぎっと鳴く。そこに僕たちの乱れた呼吸とパンパンと肌のぶつかる音だけが部屋を支配する。
やばい。やばい。気持ちがいい。
突かれる度に僕の物がぷるぷると震えて液をこぼす。
犯されてるような錯覚さえ覚えるえっちに僕は舌を付き出し唾液をひたすらこぼす。
すると、ずるっとお兄さんの物が引き抜かれ、またひっくり返された。
邪魔な枕はお兄さんに引き抜かれると、そのまま投げ飛ばされた。枕ー! 後で拾ってやるからなー!

「ライル…っ!」

ぐっと足を持ち上げてそのまま胸につくほどまで近付かせると、僕は腿裏に手を伸ばし足を固定してにこりと笑えばお兄さんの物がすぐに突き刺さった。

「あぁ…っ! んン…っ! ああァっ、ン…っ!」
「ライの中は…熱くて蕩けて…っく、でも嬉しそうに絡みついてくる」

僕の腰を掴み、はっ、はっと熱い息を吐きながらお兄さんが腰を動かす。その度に頭がベッドに擦れ、セットされてた髪形が崩れていく。たぶんスカートの部分もローションで汚れてるんだろうな、なんて考える余裕はなく。
がくがくと揺さぶられながら僕はただ嬌声と息だけを吐く。でもそれもお兄さんの唇に食べられちゃったから、今はベッドの軋む音と肌がぶつかる音、それにぬちゃぬちゃという粘っこい音だけ。
動きがどんどんと早くなって腿裏を掴んでいた手が外れると、お兄さんの首に絡める。舌を絡めて唾液を飲んで呼吸と言葉を食べられて。僕の中をお兄さんので擦られ突かれ引き抜かれ。
気持ちがいいをたくさん与えられて、足の指がきゅうと丸まる。乳首も触ってほしいけど触られたら頭がおかしくなりそうだからそのままでいいかも。

「…ルベルトぉ…! ギル…ベルト…ぉ!」
「――っ?! ライ…っ!」

お兄さんの名前を呼びながらしがみつけば、腰の動きが早くなる。飲みきれない唾液をこぼしながら喘ぐと、また言葉を食べられた。肉食獣だったはずの僕だったけど、どうやら勘違いだったみたい。肉食獣はやっぱりお兄さんだったみたい。僕は…草食動物だった。
ぷは、と呼吸をするために唇が離れたことはいいけどそれすらも許さない突き上げに僕は喘ぐ。
滅茶苦茶に、けど確実に奥を突かれると身体が限界を迎える。

「でる…ぅ! でちゃ…でちゃう…ぅ!」

お兄さんの鍛えられた腹筋に擦られ続けた僕のものはとっくに限界で。
しがみつきながら限界を訴えると、ずるりと入り口ギリギリまで腰を引かれた。それになんで、という言葉を告げる前にどちゅんと最奥を穿たれた。

「うあぁああ…っ! あ…あ! あ…ぁぁあぁあっ!」
「っく、ぅ…っ! ライ…っ!」

ビクビクと全身を震わせてお兄さんのお腹にそれを吐き出すと、びゅるると勢いのあるそれが最奥に噴きかけられる。その感覚にもびくびくと身体が反応してぴゅくりとそれを吐き出した。
はぁはぁとお互い荒い息を吐きながら抱き締める。
ようやく…ようやくお兄さんを受け入れることができて僕は生理的じゃない涙を流した。



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旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜 名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。 愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に… 「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」 美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。 🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶 応援していただいたみなさまのおかげです。 本当にありがとうございました!

大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

かとらり。
BL
 前世でやっていたRPGの中ボスの大魔法使いに生まれ変わった僕。  勇者に倒されるのは嫌なので、大人しくアイテムを渡して帰ってもらい、塔に引きこもってセカンドライフを楽しむことにした。  風の噂で勇者が魔王を倒したことを聞いて安心していたら、森の中に小さな男の子が転がり込んでくる。  どうやらその子どもは勇者の子供らしく…

【完結】王子様の婚約者になった僕の話

うらひと
BL
ひょんな事から第3王子のエドワードの婚約者になってしまったアンドル。 容姿端麗でマナーも頭も良いと評判エドワード王子なのに、僕に対しては嘘をついたり、ちょっとおかしい。その内エドワード王子を好きな同級生から意地悪をされたり、一切話す事や会う事も無くなったりするけれど….どうやら王子は僕の事が好きみたい。 婚約者の主人公を好きすぎる、容姿端麗な王子のハートフル変態物語です。

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

【完結】予想外の異世界で俺は第二の人生を生きることになった

オレンジペコ
BL
死のうと思っていたのに、何故か異世界に召喚された主人公のお話です。 初投稿です。 誤字脱字報告は嬉しいですが、感想はお手柔らかにお願いいたします。 R-18は保険。 そのうちそういうシーンが入るかな~という希望的観測です。 予めご了承ください。 ***** アクアブロンシュタルト王国に突如訪れた悲劇。 氷漬けにされた国王や重鎮達。 一体誰が何の目的でそんなことをしたのか? これはそんな不幸に見舞われ、父の跡を継いで急遽宰相職に就いた男と、 召喚で呼び出されたはいいものの、仲間だったはずの聖女に逃げられて日本に帰れなくなった勇者と、 そんな二人を仕方がないなぁと思いつつ手助けすることになった主人公のとりとめのない話である。

【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ
BL
 神の家でステンドグラスを作っていた俺は地上に落とされた。俺の出来る事は硝子細工だけなのに。  硝子じゃお腹も膨れない!硝子じゃ魔物は倒せない!どうする、俺?!  設定はふんわりしております。 少し痛々しい。

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