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「そもそも神官と魔導士なんか魔力が足りなさ過ぎて、儀式に何十人と必要だったじゃない?」
そいう言われて召喚された時のことを思い出す。
確かにあの部屋にいたのは二十人前後。
俺たちをかごめかごめのごとく囲っていたのはその神官と魔導士だろう。
そういえば、と恐怖であまり思い出したくない(いきなり大人数に囲われてたら怖いだろ?)記憶に「なるほど」と納得する。
「それに比べて俺は普通の人よりも魔力マシマシだから、1人でなんでもできるんだ」
「だから聖女のスキルも使えるのか」
ふふん、と胸を張る勇者様が歳よりも幼く見えて、思わずくつくつと笑えば勇者様は恥ずかしかったのか頬を少しだけ赤らめた。
でもそろそろ手を離してはくれませんかね。
「そうだ。ショーマは全部の色を混ぜたら何色になるか知ってる?」
頬を少し赤くしたまま突然そう告げる勇者様に、俺は「色?」と口にしていた。
全部の色かぁ。
中学の美術以来の質問だな。
「黒」
「正解」
にこにこと笑う勇者様に、俺は意味もなくふふん、と胸を張れば「可愛いなぁ、もー!」と握ったままの手を額に押し当てぶんぶんと頭を振っている。
満足するまで悶えさせ、握った手を不承不承ながらも離してくれた勇者様が不意に自分の髪を摘まみあげた。
「だから黒い髪の持ち主は全ての魔法が使えるって言われてるんだ」
「へー」
ここにきての新事実。
そういえばRPGとかでも黒髪って珍しいよなって勇者様を見た時思ったけど、まさかそんな事実が隠されているとは…。
というか俺が知ってるこの世界は王宮内の俺に与えられた部屋だけという非常に、ひっじょーに狭い世界だけだった。
まぁおまけだからね。
チカタナイネ。
そんなクソ狭い世界の中でも黒髪を持つ人とは出会ったことすらなかったな、と今になって思う。
やることなくて日がな一日ごろごろしてたからなー。
完全ニートだよ。
ご飯も出るし、寝る場所もあるし。
ただマジでやることなくて少しだけ気が狂いそうになったのは内緒だ。
ネットもゲームもマンガも、スポーツもないんだから。
どうやって一日時間を潰そうか、なんてあっちの世界じゃ簡単な悩みだったけど、こっちじゃ深刻な悩みだったからな。
そんな生活も勇者様に会ってから変わったけれども。
ありがたいことに文字は読めたりしたからね。
王宮内の書庫に行けるようになったことに俺は歓喜した。
マジで。
あれだけ読み物が嫌いだった俺もやることがあるだけで気分がよかった。
脱線しまくっているのは許してほしい。
俺だって今の今まで忘れていた事なんだ。
「でも俺はスキルすらないよね?」
「ショーマはスキルはないけど、今なら魔力はあるね」
「え?! マジ?!」
またまた新事実。
スキルがないから魔力はないと思ってた。
だってスキルがなけりゃ普通魔力はないと思うだろ?
「知らなかった?」
「スキルがないと言われた時点でそんなものはないと思ってた」
「だから体よく軟禁されてても、不思議には思わなかったのか」
「ちょっと待て。なんだって?」
おおっと、今さらっとすごい言葉が出てきたぞ。
軟禁?
日本じゃおおよそ聞くことのない言葉がポンと出てきたことに俺は驚く。
「ショーマと一緒に旅に出たい、って言った時のこと覚えてる?」
「うん。一人置いていったら危ないーみたいなこと言ってたな」
その時は身体的にヤバいのかと思ってたけど、今の話を聞く限りそうじゃないということが分かる。
「そうそう。よく覚えてたね。あのままだったら魔力だけを搾り取られるだけだったから」
「あー…そうなるよなー…」
黒は全部の魔法とスキルが使える。
でも俺にはスキルがない。
ではおまけでしかない異世界から来た俺に何が残るのか。
魔力。
それを狙われていた、と言われぞっとした。
勇者様がいなかったら今頃どうなっていたか…。
ぶるりと身体を震わせると「怖がらせてごめんね」とぎゅうと抱き締められた。
そしてちゅ、ちゅと音を立てながら頭にキスの雨が降ってくる。
それがなぜか気持ちいいと感じてしまう俺はおかしいだろうか。
「んっ、ちょ…っ」
ちゅ、ちゅ、と言う音が頭を通りすぎこめかみに、そして瞼にも降ってくる。
柔らかいそれが触れる度、そこが熱を持ち今ここにいることを教えてくれることがこんなにも安心できるとは…。
「おい…勇者様!」
「オル、だよ。ショーマ」
「んぇ?」
「俺の名前」
「はぁ…」
まさかの勇者様の名前。
つかなぜここで言ったし。
「名前、呼んで。ショーマ」
「――っ!」
とろりと蕩けた赤い瞳が期待を含んで揺れている。
その瞳の中には俺しか映っていなくて。
なんだか急に恥ずかしくなって、ふい、と顔を背けたのはしょうがないと思う。
そしたらぎゅうと抱き締められたかと思ったら顔が案外近くにあって。
「あ…」
「ショーマ」
鼻先が触れ、呼吸が触れ合う距離。
どくどくと心臓が早鐘を打ち、俺の視界には勇者様の…オルの顔だけになって。
「呼んでくれないとこのままキスするよ?」
いつも優しく、明るい声色がなりを潜め、ワントーン低くなった声色にぞくりと肌が粟立つ。
ヤバイ。
何がヤバイって今の声で腰抜けたかもしれない俺がヤバイ。
ついでにちんこもヤバい。
たぶん今、顔真っ赤だ。
耳も熱い。
でも視線が外せない。
ヤバイ。
ヤバイ。
ヤバイ。
もう色々なんかヤバイ。
唇にかかる吐息もヤバいし、抱き締められてる手の熱もヤバい。
つかヤバイしか言えない。
語彙力が置手紙して旅に出たみたいだ。
「ショーマ」
「………っ!」
ああもう!
やめろ!
そんな熱っぽい…エロい声で俺の名前を呼ぶな!
あとそんな目で見るな!
揺らぐだろ!
「名前、呼んで?」
「おる…」
はい。
無事陥落しました。
無理。イケメン怖い。
ついでにちんこ痛い。
ちんこはどうでもいい…わけでもないんだけど、今は唇に触れてる柔らかい物の方に意識がいっちゃってるから…。
「可愛い」
「は…っ、おる…んぅ…」
ちゅ、ちゅと顔に降らせたキスみたいに触れては離れてを繰り返す。
その度に音がするのが恥ずかしいんだけど、でも「キスしてるんだなー」って実感がじわじわ湧いてきてなんか胸が温かい。
でも数回繰り返すうちに何か物足りなくなってきて、腕をオルの首に回して引き寄せ自分からちゅ、とキスをする。
あ、これ恥ずかしい。
でも、さっきよりも長く触れ合ってる所が熱くて気持ちよくて。
ついうっとりと瞳を閉じれば、べろりと唇を舐められている感触。
「んむ?」
瞳を少しだけ開いてみれば、そこにはぺろぺろと熱心に俺の唇を舐めていらっしゃる勇者様の顔。
ふうふうと鼻息が荒いのは気持ちいいから?
うんそうだね!
興奮してるんだよね!
俺だってキスだけでもうすっかり興奮して股間がもりもりしてるんだよ。
お。オルのちんこもしっかり反応していらっしゃいますな。
俺の尻に当たるそれが恥ずかしいんだけど、でも嬉しくなるのはなんでなんだ?
「ショーマ…!」
「ふふふ。気持ちいいじゃろ?」
オルのちんこを刺激するように尻を動かしてやれば、キスどころじゃなくなったらしく唇が離れていった。
散々舐めていたからか、糸引いた唾液がなんかエロい。
頬を染めて眉を寄せて…オルがエロ過ぎるのがいけない。
次第に俺の動きも横だけじゃなくて尻の合間にちんこを擦るように動けば、どんどんと変な気分になってくる。
「んっふ…オルのちんこも元気じゃのー」
「こ、の…! 悪戯はそれくらいに…っ!」
「のわぁ?!」
ふへへと笑いながらこすこすと腰を動かしていると、ぎっと鋭くなった赤い瞳。
その目がぎらぎらとしていて少し怖かったけど、それ以上に心臓がバクバクと早くなった。
なんでだ?と思うよりも「こいつになら何をされてもいい」と思っちゃったわけだ。
するっと服の中に入ってきた熱が腹を撫でてくる。
「んっ」
なんだ?今のは。
鼻から抜ける甘い…。
「や…なんで…?!」
まるで腹を下した時みたいに、掌がゆっくりとくるくる回る。
くすぐったいんだが、それ以上にぞわぞわとしたものが全身を襲ってくる。
気持ちいいんだけど触ってほしいのはそこじゃねぇんだよな…。
「おる…」
「どうしたの? ショーマ」
獰猛な光を宿した瞳が閉じられ、にこにこと笑うオルにちょっといらっとするが、徐々に掌が下に移動し下腹部を撫で始める。
「あ…っ、気持ちいいけど…」
「けど?」
うん。
そうなんだ。
オルに腹を…下腹部を撫でられ始めてからそこがずくずくと疼き始めたんだ。
こう…きゅんきゅんするというか…そこにないのが不満というか…。
よく分からん感覚に、はふはふと呼吸が荒くなり始める。
ちんこが勃って痛いから早くどうにかしたいんだけど、オルの手が離れるのもなんか寂しいんだよな…。
でも。
「は…っ、もう無理…っ」
限界を感じズボンのボタンを外し前を寛げパンツの紐を解くと、だらだらと液を垂れ流してるちんこを躊躇いなく握ると性急に上下に動かす。
少しズボンが邪魔だな、と思っていたら腰を浮かせた瞬間オルがするりとズボンとパンツを器用に膝下まで下げてくれた。
これで汚す心配がなくなった。助かったぜ、オル。
「んっ、あ…っ、はぁ…っ」
「ふふ、オナニーショーしてくれるの?」
「そう…じゃねぇ…けど…っぁん!」
俺がちんこを扱き始めると同時に、止まっていたオルの手も動き始める。
オナニーを見られるとか普通なら考えられないことだけど、興奮の方が羞恥を勝っているのか気にならない。
というか、オルに見られると興奮が増してるような気がするんだが…。
まさか俺は見られて興奮するタイプだったのか?
「ショーマ、ここ。ここ、どんな感じ?」
くるくると優しくそこを撫でられながら耳元で囁くように言われると、ぞくぞくとしたものが背中を駆け抜けていく。
それと同時にとぷりと液があふれ出る。
思わず手を離して液で濡れたそれを下腹部を撫でているオルの手に重ねる。
「あ…んぅ…きゅんきゅんする…」
「そう。物足りない感じ?」
物足りない。
それだ。
「うん。ここに欲しい」
「そっか。ここが機能し始めたんだね。よかった」
よかった?
何が?
「ぁん…っ!」
そんな疑問はオルの手によって綺麗に消滅した。
「え…? ぁや…っ!」
「ん? ショーマのオナニーショー見せてくれるんでしょ?」
にっこりと笑いながら重ねられてた手をやんわりと外され、逆に重ねられた。
そして放置されたちんこを握らされ、ゆっくりと手を動かされる。
「おる…ぅ」
「うんうん。気持ちいね。ショーマ」
竿を少し強く握って扱けば、かくかくと腰が勝手に動きだす。
ああ、ヤバイ。
俺の手だけど、重ねられてるオルの手しか見えないからオルの手で扱かれてる錯覚をする。
「どうしたの?」
「おる…俺のちんこ扱いて…」
気付いたらそう口走ってた。
閉じることを忘れた口からは唾液がだらだら出てるし、なんだったら舌も出てる。
まるで犬になったような気分だ。
はぁはぁと肩で息を吐きながら、じっと俺の痴態を見ていた赤い瞳に訴えかければ、ごくりと喉が動いたのを見た。
尻に当たるオルのちんこもギンギンで苦しそうだし。
けど煽る余裕なんかない。
自分自身で精一杯なんだ。
すまんな。オル。
「じゃあ、一緒にやってみる?」
何を?と聞くよりも早く俺は「するぅ♡オルのちんこと一緒にごしごしするぅ♡」と口走る。
うん。
なんかおかしいな。俺の身体。
ずっと禁欲してだけって訳でもなさそうなんだよ。
そういやキスした時から妙に興奮したよなー。
確かに初めてのキスだから興奮はした。うん。した。
けど、あんな子供がするキスだけでちんこに響くのか?と言われれば違うと言えると思う。
女の子と付き合ったことなんてないけどな!
そういえば、昔から女の子に縁がなかったな。
かといって男と縁があるわけでもなく。
可もなく不可もない交友関係だったわけだが…。
なんかいい感じ感じになるといつも女の子の方が他の誰かといい感じになってたな。
まぁ、年頃だしそんなもんかと思ってたけど、今考えるとおかしい。
なんせ俺が好きになる子全員が、俺に興味を無くす。
というか近寄らなくなる。
昨日まで普通に話してた子が急に話しかけなくなる、なんてのは当たり前。
何かしたのかと友達にそれとなく聞いてもらったけど特に何をしたわけでもなく。
不思議に思っていたけど気にする事はなく、忘れてたけど。
「ショーマ? 何考えてるの?」
「あ…っ」
ちゅっとこめかみにキスされてはっとする。
俺が考え込んでる間にどうやらオルも我慢できなになったんだろう。
ちんこの下からちんこが生えてる。
なんと奇遇な!ごっこができるなとか思ったけど、ちょっと待ってくださいよ。
なんだそのちんこ。
お前、俺と同じ年なんだろ?!
なのになんでこんなにサイズが違うんだよ!
それに色もこう…。
なんかオルの見た後だと俺のちんこ子供っぽいな…。へこむわー…。
「ショーマのは可愛くて色も綺麗だね」
「うるさい」
嬉々としてそう言われるのは腹立つ。
けどすりすりと先端を撫でられて気持ちいのと嬉しいのが同時にくるから俺ってちょろいよな。
「あぁ…んぅ!」
「可愛いね。ショーマ」
なでなでされるの気持ちいい。
よし。俺もオルのちんこの先、よしよししちゃうぞ。
「っふ…ショーマに触られるの嬉しいな」
「ん…そう、かよ…ぉ、っあ! ダメ…ぇ!」
二人で互いのちんこの先をよしよししてると、オルの手が俺の手を掴む。
それから二つのちんこを握らせられると、上下に動かし始めた。
「あっつ…」
「ショーマのも熱いね」
ふうふうと耳にかかるオルの吐息が興奮を煽ってくる。
あーもー!
ほんとエロいんだけどー!
「ぬちゅぬちゅいっててエロいよね」
「んぁ…っ! オル…ぅ!」
オルも少し汗ばんでいるのか匂いが強くなってきた。
ああ…ヤバイ…。
オルの匂いくらくらする…。
二人分の液で滑りがよくなってくちゅくちゅ、ぬちゅぬちゅという音と、荒い呼吸が耳を侵してくる。
それにオルの手が強制的に上下に動くから、俺のいいところをかすっていくのがもどかしいのがまた興奮する。
オルと俺のちんこの向きが違うからオルが気持ちいいだろう場所は、俺にはあまり気持ちよくはないんだけれども。
すると俺の考えていた事がわかったのかオルの手がするりと離れたかと思えば、直ぐに人差し指が先端を撫で始めた。
「んぁ?!」
くるくると指先で液を塗りたくるように動かされ、びくびくと腰と足が跳ね、背を丸めて気持ちがいいと態度で示せば、ちゅ、ちゅと耳にキスが降ってきた。
「ここ、好き?」
「うん…っ、すきぃ…っ!」
少しだけ掠れた声にぞくぞくと悪寒にも似たものが全身を駆け抜けていく。
それだけでイケそうだったけど、オルの指が何か企んでいそうな動きをしているから、我慢しちゃったよ…。
「ショーマ」
艶っぽく名前を呼ばれて、顔を上げればすぐに唇を塞がれる。
しかし先程の触れるだけのキスとは違い、呼吸を奪うような噛み付くキス。
「んぐ…っ?!」
口全体を塞がれ、にゅるりとした肉厚の熱い塊が口の中を這いまわる。
気持ち悪い、と思うよりもそれに俺のを絡めたらもっと気持ちよくなれると瞬間的に悟り、躊躇いなく俺から絡めに行く。
「んう…っ、ふ…ぅん!」
果敢に攻めに行ったはいいが俺に舌を絡めるという高等技術は持っていない。
彼女歴ゼロの俺にはこれ以上どうしたらいいのか分らなくなり、ただオルの舌を舐めるだけになってしまった。
「ショーマ…可愛い」
そんなオルの言葉が聞こえたような気がするが、俺の妄想かもしれない。
だってオルの口は塞がっているんだから。
「んむ…ぅ!」
赤い瞳がぎらぎらと光って俺の舌に蛇のように絡みついてきた。
もしかしたら俺の行動を見守ってくれてたのかもしれない。
子供が初めて何かをするのを見守る親のような。
でもその瞳にあるのは慈愛ではなく情欲だけれども。
舌を絡められては吸われ、一度唇が離れたかと思えば再び呼吸を食べにくる。
くちゅくちゅ、という音は果たして舌を絡めている音なのか、先端で動く指からなのかもう分らない。
ただ俺に分るのは気持ちがいい、ということだけ。
びくびくと足と肩を跳ねさせながらオルに与えられる快楽に酔う。
キスを繰り返し舌を絡めて口の中全体を舐められ、唾液を贈られる。
それを躊躇いなく飲みこみ、もっととせがんでいると強い刺激に身体が跳ねた。
「んんっ?!」
たまらず瞳を見開けば、赤い瞳が楽しそうに細まっている。
ああ、もう。
どんな顔しててもイケメンだな! お前は!
たまらん! 好き!
けど、先端で遊んでいた指がありえない所に入っているのはどういうことか教えてもらってもいいですかね?!
オルさん!
「んぐ…っ! ふ、ぅんん…っ!」
未知の刺激に視線を動かそうとしたがいつの間にか後頭部をがっちりと支えられていて動かせない。
流石勇者様!
イケメン!
って違う!
俺の大事なちんこの先端、鈴口に少しだけ入りこんでるのは爪先…か?
てかそんなとこ入れないでよー!
気持ちいいんだけど、怖いよー!
「ひぐ…っ!」
思わず悲鳴をあげれば、大丈夫、というようにがっつり抑えられている手から力が抜け頭を撫でてくれる。
オルに撫でられるの好きなんだよなー。
安心できるっているかなんていうか…。
そういや昔、誰かにこうやって撫でられたような気がする。
母親だったか? それとも叔父さんだったか?
小さいころだから覚えてないけど、大きな手に撫でられるのって気持ちいいよね。
「あ…ふ、ん…っ」
知らず力の入っていた身体がオルに頭を撫でてもらったことによって再びふにゃりと抜けていく。
それと同時にぐりっと指先を半回転させられ抜かれれば、今まで我慢してたそれが待ってましたと言わんばかりに勢いよく吹き出す。
「んぐぅ?! ふう…んんっ!」
キスされたまま射精をすれば「んぐっ」という小さなうめき声が俺の口の中で聞こえオルも吐き出したことを知る。
最後にごしごしと扱かれながら残滓までもきっちりと吐き出させると、ようやく唇が解放された。
途端、でろりと唾液が糸を引く。
それがまたエロいんだ。
だからそれをうっとりと見つめちゃうのは仕方ないだろ。
ヤリたい盛りなんだから。
オルも同じみたいだったけど、ちゅっと、名残惜しそうに離れていく顔が可愛くてにこりと笑えば「ふぐっ!」という妙な声が漏れた。
それすらも可愛いと思うのはオルがよく俺に対して言う「可愛い」と同じなんじゃなかろうか。
そんなことを思いながら、お互い呼吸を調えるために視線を逸らし自分の身体を見てみる。
見つめ合ってたらまたキスしたくなるからね。
今度キスして盛り上がったら触りっこだけじゃ絶対すまないことくらい分ってる。
だって俺のあそこがきゅんきゅんしてるんだもん。
意識すれば、ぱくぱくと開閉してるような気さえする。
そこから無理矢理意識を引き剥がし改めて俺の状態を確認することにした。
お互いの唾液で俺は胸元まで濡れて、服もそれを吸ったのか少しだけ濡れている。
これならすぐ乾くかな、とのんびり考えながら下へと視線を向ければ閉じた太ももにたぶん俺とオルの吐き出した精液が溜まっててなんかエロいなって。
そんなことを思いながらちらりとオルを見れば、こいつも俺を見ていて同じことを思っていたようで。
ああ、やめろ。
そんな目で俺を見るな。
「オル…」
「ショーマ。可愛い。好き」
分ったよ。
俺も我慢できねぇんだ。
ぎゅうとオルを抱きしめれば、抱き締め返される。
「俺も。俺もオルが好きだ」
オルにとって俺は庇護対象でもなんでもいい。
もう離れたくない。
だから。
だから。
あの時みたいに、置いていかないで。
そいう言われて召喚された時のことを思い出す。
確かにあの部屋にいたのは二十人前後。
俺たちをかごめかごめのごとく囲っていたのはその神官と魔導士だろう。
そういえば、と恐怖であまり思い出したくない(いきなり大人数に囲われてたら怖いだろ?)記憶に「なるほど」と納得する。
「それに比べて俺は普通の人よりも魔力マシマシだから、1人でなんでもできるんだ」
「だから聖女のスキルも使えるのか」
ふふん、と胸を張る勇者様が歳よりも幼く見えて、思わずくつくつと笑えば勇者様は恥ずかしかったのか頬を少しだけ赤らめた。
でもそろそろ手を離してはくれませんかね。
「そうだ。ショーマは全部の色を混ぜたら何色になるか知ってる?」
頬を少し赤くしたまま突然そう告げる勇者様に、俺は「色?」と口にしていた。
全部の色かぁ。
中学の美術以来の質問だな。
「黒」
「正解」
にこにこと笑う勇者様に、俺は意味もなくふふん、と胸を張れば「可愛いなぁ、もー!」と握ったままの手を額に押し当てぶんぶんと頭を振っている。
満足するまで悶えさせ、握った手を不承不承ながらも離してくれた勇者様が不意に自分の髪を摘まみあげた。
「だから黒い髪の持ち主は全ての魔法が使えるって言われてるんだ」
「へー」
ここにきての新事実。
そういえばRPGとかでも黒髪って珍しいよなって勇者様を見た時思ったけど、まさかそんな事実が隠されているとは…。
というか俺が知ってるこの世界は王宮内の俺に与えられた部屋だけという非常に、ひっじょーに狭い世界だけだった。
まぁおまけだからね。
チカタナイネ。
そんなクソ狭い世界の中でも黒髪を持つ人とは出会ったことすらなかったな、と今になって思う。
やることなくて日がな一日ごろごろしてたからなー。
完全ニートだよ。
ご飯も出るし、寝る場所もあるし。
ただマジでやることなくて少しだけ気が狂いそうになったのは内緒だ。
ネットもゲームもマンガも、スポーツもないんだから。
どうやって一日時間を潰そうか、なんてあっちの世界じゃ簡単な悩みだったけど、こっちじゃ深刻な悩みだったからな。
そんな生活も勇者様に会ってから変わったけれども。
ありがたいことに文字は読めたりしたからね。
王宮内の書庫に行けるようになったことに俺は歓喜した。
マジで。
あれだけ読み物が嫌いだった俺もやることがあるだけで気分がよかった。
脱線しまくっているのは許してほしい。
俺だって今の今まで忘れていた事なんだ。
「でも俺はスキルすらないよね?」
「ショーマはスキルはないけど、今なら魔力はあるね」
「え?! マジ?!」
またまた新事実。
スキルがないから魔力はないと思ってた。
だってスキルがなけりゃ普通魔力はないと思うだろ?
「知らなかった?」
「スキルがないと言われた時点でそんなものはないと思ってた」
「だから体よく軟禁されてても、不思議には思わなかったのか」
「ちょっと待て。なんだって?」
おおっと、今さらっとすごい言葉が出てきたぞ。
軟禁?
日本じゃおおよそ聞くことのない言葉がポンと出てきたことに俺は驚く。
「ショーマと一緒に旅に出たい、って言った時のこと覚えてる?」
「うん。一人置いていったら危ないーみたいなこと言ってたな」
その時は身体的にヤバいのかと思ってたけど、今の話を聞く限りそうじゃないということが分かる。
「そうそう。よく覚えてたね。あのままだったら魔力だけを搾り取られるだけだったから」
「あー…そうなるよなー…」
黒は全部の魔法とスキルが使える。
でも俺にはスキルがない。
ではおまけでしかない異世界から来た俺に何が残るのか。
魔力。
それを狙われていた、と言われぞっとした。
勇者様がいなかったら今頃どうなっていたか…。
ぶるりと身体を震わせると「怖がらせてごめんね」とぎゅうと抱き締められた。
そしてちゅ、ちゅと音を立てながら頭にキスの雨が降ってくる。
それがなぜか気持ちいいと感じてしまう俺はおかしいだろうか。
「んっ、ちょ…っ」
ちゅ、ちゅ、と言う音が頭を通りすぎこめかみに、そして瞼にも降ってくる。
柔らかいそれが触れる度、そこが熱を持ち今ここにいることを教えてくれることがこんなにも安心できるとは…。
「おい…勇者様!」
「オル、だよ。ショーマ」
「んぇ?」
「俺の名前」
「はぁ…」
まさかの勇者様の名前。
つかなぜここで言ったし。
「名前、呼んで。ショーマ」
「――っ!」
とろりと蕩けた赤い瞳が期待を含んで揺れている。
その瞳の中には俺しか映っていなくて。
なんだか急に恥ずかしくなって、ふい、と顔を背けたのはしょうがないと思う。
そしたらぎゅうと抱き締められたかと思ったら顔が案外近くにあって。
「あ…」
「ショーマ」
鼻先が触れ、呼吸が触れ合う距離。
どくどくと心臓が早鐘を打ち、俺の視界には勇者様の…オルの顔だけになって。
「呼んでくれないとこのままキスするよ?」
いつも優しく、明るい声色がなりを潜め、ワントーン低くなった声色にぞくりと肌が粟立つ。
ヤバイ。
何がヤバイって今の声で腰抜けたかもしれない俺がヤバイ。
ついでにちんこもヤバい。
たぶん今、顔真っ赤だ。
耳も熱い。
でも視線が外せない。
ヤバイ。
ヤバイ。
ヤバイ。
もう色々なんかヤバイ。
唇にかかる吐息もヤバいし、抱き締められてる手の熱もヤバい。
つかヤバイしか言えない。
語彙力が置手紙して旅に出たみたいだ。
「ショーマ」
「………っ!」
ああもう!
やめろ!
そんな熱っぽい…エロい声で俺の名前を呼ぶな!
あとそんな目で見るな!
揺らぐだろ!
「名前、呼んで?」
「おる…」
はい。
無事陥落しました。
無理。イケメン怖い。
ついでにちんこ痛い。
ちんこはどうでもいい…わけでもないんだけど、今は唇に触れてる柔らかい物の方に意識がいっちゃってるから…。
「可愛い」
「は…っ、おる…んぅ…」
ちゅ、ちゅと顔に降らせたキスみたいに触れては離れてを繰り返す。
その度に音がするのが恥ずかしいんだけど、でも「キスしてるんだなー」って実感がじわじわ湧いてきてなんか胸が温かい。
でも数回繰り返すうちに何か物足りなくなってきて、腕をオルの首に回して引き寄せ自分からちゅ、とキスをする。
あ、これ恥ずかしい。
でも、さっきよりも長く触れ合ってる所が熱くて気持ちよくて。
ついうっとりと瞳を閉じれば、べろりと唇を舐められている感触。
「んむ?」
瞳を少しだけ開いてみれば、そこにはぺろぺろと熱心に俺の唇を舐めていらっしゃる勇者様の顔。
ふうふうと鼻息が荒いのは気持ちいいから?
うんそうだね!
興奮してるんだよね!
俺だってキスだけでもうすっかり興奮して股間がもりもりしてるんだよ。
お。オルのちんこもしっかり反応していらっしゃいますな。
俺の尻に当たるそれが恥ずかしいんだけど、でも嬉しくなるのはなんでなんだ?
「ショーマ…!」
「ふふふ。気持ちいいじゃろ?」
オルのちんこを刺激するように尻を動かしてやれば、キスどころじゃなくなったらしく唇が離れていった。
散々舐めていたからか、糸引いた唾液がなんかエロい。
頬を染めて眉を寄せて…オルがエロ過ぎるのがいけない。
次第に俺の動きも横だけじゃなくて尻の合間にちんこを擦るように動けば、どんどんと変な気分になってくる。
「んっふ…オルのちんこも元気じゃのー」
「こ、の…! 悪戯はそれくらいに…っ!」
「のわぁ?!」
ふへへと笑いながらこすこすと腰を動かしていると、ぎっと鋭くなった赤い瞳。
その目がぎらぎらとしていて少し怖かったけど、それ以上に心臓がバクバクと早くなった。
なんでだ?と思うよりも「こいつになら何をされてもいい」と思っちゃったわけだ。
するっと服の中に入ってきた熱が腹を撫でてくる。
「んっ」
なんだ?今のは。
鼻から抜ける甘い…。
「や…なんで…?!」
まるで腹を下した時みたいに、掌がゆっくりとくるくる回る。
くすぐったいんだが、それ以上にぞわぞわとしたものが全身を襲ってくる。
気持ちいいんだけど触ってほしいのはそこじゃねぇんだよな…。
「おる…」
「どうしたの? ショーマ」
獰猛な光を宿した瞳が閉じられ、にこにこと笑うオルにちょっといらっとするが、徐々に掌が下に移動し下腹部を撫で始める。
「あ…っ、気持ちいいけど…」
「けど?」
うん。
そうなんだ。
オルに腹を…下腹部を撫でられ始めてからそこがずくずくと疼き始めたんだ。
こう…きゅんきゅんするというか…そこにないのが不満というか…。
よく分からん感覚に、はふはふと呼吸が荒くなり始める。
ちんこが勃って痛いから早くどうにかしたいんだけど、オルの手が離れるのもなんか寂しいんだよな…。
でも。
「は…っ、もう無理…っ」
限界を感じズボンのボタンを外し前を寛げパンツの紐を解くと、だらだらと液を垂れ流してるちんこを躊躇いなく握ると性急に上下に動かす。
少しズボンが邪魔だな、と思っていたら腰を浮かせた瞬間オルがするりとズボンとパンツを器用に膝下まで下げてくれた。
これで汚す心配がなくなった。助かったぜ、オル。
「んっ、あ…っ、はぁ…っ」
「ふふ、オナニーショーしてくれるの?」
「そう…じゃねぇ…けど…っぁん!」
俺がちんこを扱き始めると同時に、止まっていたオルの手も動き始める。
オナニーを見られるとか普通なら考えられないことだけど、興奮の方が羞恥を勝っているのか気にならない。
というか、オルに見られると興奮が増してるような気がするんだが…。
まさか俺は見られて興奮するタイプだったのか?
「ショーマ、ここ。ここ、どんな感じ?」
くるくると優しくそこを撫でられながら耳元で囁くように言われると、ぞくぞくとしたものが背中を駆け抜けていく。
それと同時にとぷりと液があふれ出る。
思わず手を離して液で濡れたそれを下腹部を撫でているオルの手に重ねる。
「あ…んぅ…きゅんきゅんする…」
「そう。物足りない感じ?」
物足りない。
それだ。
「うん。ここに欲しい」
「そっか。ここが機能し始めたんだね。よかった」
よかった?
何が?
「ぁん…っ!」
そんな疑問はオルの手によって綺麗に消滅した。
「え…? ぁや…っ!」
「ん? ショーマのオナニーショー見せてくれるんでしょ?」
にっこりと笑いながら重ねられてた手をやんわりと外され、逆に重ねられた。
そして放置されたちんこを握らされ、ゆっくりと手を動かされる。
「おる…ぅ」
「うんうん。気持ちいね。ショーマ」
竿を少し強く握って扱けば、かくかくと腰が勝手に動きだす。
ああ、ヤバイ。
俺の手だけど、重ねられてるオルの手しか見えないからオルの手で扱かれてる錯覚をする。
「どうしたの?」
「おる…俺のちんこ扱いて…」
気付いたらそう口走ってた。
閉じることを忘れた口からは唾液がだらだら出てるし、なんだったら舌も出てる。
まるで犬になったような気分だ。
はぁはぁと肩で息を吐きながら、じっと俺の痴態を見ていた赤い瞳に訴えかければ、ごくりと喉が動いたのを見た。
尻に当たるオルのちんこもギンギンで苦しそうだし。
けど煽る余裕なんかない。
自分自身で精一杯なんだ。
すまんな。オル。
「じゃあ、一緒にやってみる?」
何を?と聞くよりも早く俺は「するぅ♡オルのちんこと一緒にごしごしするぅ♡」と口走る。
うん。
なんかおかしいな。俺の身体。
ずっと禁欲してだけって訳でもなさそうなんだよ。
そういやキスした時から妙に興奮したよなー。
確かに初めてのキスだから興奮はした。うん。した。
けど、あんな子供がするキスだけでちんこに響くのか?と言われれば違うと言えると思う。
女の子と付き合ったことなんてないけどな!
そういえば、昔から女の子に縁がなかったな。
かといって男と縁があるわけでもなく。
可もなく不可もない交友関係だったわけだが…。
なんかいい感じ感じになるといつも女の子の方が他の誰かといい感じになってたな。
まぁ、年頃だしそんなもんかと思ってたけど、今考えるとおかしい。
なんせ俺が好きになる子全員が、俺に興味を無くす。
というか近寄らなくなる。
昨日まで普通に話してた子が急に話しかけなくなる、なんてのは当たり前。
何かしたのかと友達にそれとなく聞いてもらったけど特に何をしたわけでもなく。
不思議に思っていたけど気にする事はなく、忘れてたけど。
「ショーマ? 何考えてるの?」
「あ…っ」
ちゅっとこめかみにキスされてはっとする。
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ちんこの下からちんこが生えてる。
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「ショーマのは可愛くて色も綺麗だね」
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けどすりすりと先端を撫でられて気持ちいのと嬉しいのが同時にくるから俺ってちょろいよな。
「あぁ…んぅ!」
「可愛いね。ショーマ」
なでなでされるの気持ちいい。
よし。俺もオルのちんこの先、よしよししちゃうぞ。
「っふ…ショーマに触られるの嬉しいな」
「ん…そう、かよ…ぉ、っあ! ダメ…ぇ!」
二人で互いのちんこの先をよしよししてると、オルの手が俺の手を掴む。
それから二つのちんこを握らせられると、上下に動かし始めた。
「あっつ…」
「ショーマのも熱いね」
ふうふうと耳にかかるオルの吐息が興奮を煽ってくる。
あーもー!
ほんとエロいんだけどー!
「ぬちゅぬちゅいっててエロいよね」
「んぁ…っ! オル…ぅ!」
オルも少し汗ばんでいるのか匂いが強くなってきた。
ああ…ヤバイ…。
オルの匂いくらくらする…。
二人分の液で滑りがよくなってくちゅくちゅ、ぬちゅぬちゅという音と、荒い呼吸が耳を侵してくる。
それにオルの手が強制的に上下に動くから、俺のいいところをかすっていくのがもどかしいのがまた興奮する。
オルと俺のちんこの向きが違うからオルが気持ちいいだろう場所は、俺にはあまり気持ちよくはないんだけれども。
すると俺の考えていた事がわかったのかオルの手がするりと離れたかと思えば、直ぐに人差し指が先端を撫で始めた。
「んぁ?!」
くるくると指先で液を塗りたくるように動かされ、びくびくと腰と足が跳ね、背を丸めて気持ちがいいと態度で示せば、ちゅ、ちゅと耳にキスが降ってきた。
「ここ、好き?」
「うん…っ、すきぃ…っ!」
少しだけ掠れた声にぞくぞくと悪寒にも似たものが全身を駆け抜けていく。
それだけでイケそうだったけど、オルの指が何か企んでいそうな動きをしているから、我慢しちゃったよ…。
「ショーマ」
艶っぽく名前を呼ばれて、顔を上げればすぐに唇を塞がれる。
しかし先程の触れるだけのキスとは違い、呼吸を奪うような噛み付くキス。
「んぐ…っ?!」
口全体を塞がれ、にゅるりとした肉厚の熱い塊が口の中を這いまわる。
気持ち悪い、と思うよりもそれに俺のを絡めたらもっと気持ちよくなれると瞬間的に悟り、躊躇いなく俺から絡めに行く。
「んう…っ、ふ…ぅん!」
果敢に攻めに行ったはいいが俺に舌を絡めるという高等技術は持っていない。
彼女歴ゼロの俺にはこれ以上どうしたらいいのか分らなくなり、ただオルの舌を舐めるだけになってしまった。
「ショーマ…可愛い」
そんなオルの言葉が聞こえたような気がするが、俺の妄想かもしれない。
だってオルの口は塞がっているんだから。
「んむ…ぅ!」
赤い瞳がぎらぎらと光って俺の舌に蛇のように絡みついてきた。
もしかしたら俺の行動を見守ってくれてたのかもしれない。
子供が初めて何かをするのを見守る親のような。
でもその瞳にあるのは慈愛ではなく情欲だけれども。
舌を絡められては吸われ、一度唇が離れたかと思えば再び呼吸を食べにくる。
くちゅくちゅ、という音は果たして舌を絡めている音なのか、先端で動く指からなのかもう分らない。
ただ俺に分るのは気持ちがいい、ということだけ。
びくびくと足と肩を跳ねさせながらオルに与えられる快楽に酔う。
キスを繰り返し舌を絡めて口の中全体を舐められ、唾液を贈られる。
それを躊躇いなく飲みこみ、もっととせがんでいると強い刺激に身体が跳ねた。
「んんっ?!」
たまらず瞳を見開けば、赤い瞳が楽しそうに細まっている。
ああ、もう。
どんな顔しててもイケメンだな! お前は!
たまらん! 好き!
けど、先端で遊んでいた指がありえない所に入っているのはどういうことか教えてもらってもいいですかね?!
オルさん!
「んぐ…っ! ふ、ぅんん…っ!」
未知の刺激に視線を動かそうとしたがいつの間にか後頭部をがっちりと支えられていて動かせない。
流石勇者様!
イケメン!
って違う!
俺の大事なちんこの先端、鈴口に少しだけ入りこんでるのは爪先…か?
てかそんなとこ入れないでよー!
気持ちいいんだけど、怖いよー!
「ひぐ…っ!」
思わず悲鳴をあげれば、大丈夫、というようにがっつり抑えられている手から力が抜け頭を撫でてくれる。
オルに撫でられるの好きなんだよなー。
安心できるっているかなんていうか…。
そういや昔、誰かにこうやって撫でられたような気がする。
母親だったか? それとも叔父さんだったか?
小さいころだから覚えてないけど、大きな手に撫でられるのって気持ちいいよね。
「あ…ふ、ん…っ」
知らず力の入っていた身体がオルに頭を撫でてもらったことによって再びふにゃりと抜けていく。
それと同時にぐりっと指先を半回転させられ抜かれれば、今まで我慢してたそれが待ってましたと言わんばかりに勢いよく吹き出す。
「んぐぅ?! ふう…んんっ!」
キスされたまま射精をすれば「んぐっ」という小さなうめき声が俺の口の中で聞こえオルも吐き出したことを知る。
最後にごしごしと扱かれながら残滓までもきっちりと吐き出させると、ようやく唇が解放された。
途端、でろりと唾液が糸を引く。
それがまたエロいんだ。
だからそれをうっとりと見つめちゃうのは仕方ないだろ。
ヤリたい盛りなんだから。
オルも同じみたいだったけど、ちゅっと、名残惜しそうに離れていく顔が可愛くてにこりと笑えば「ふぐっ!」という妙な声が漏れた。
それすらも可愛いと思うのはオルがよく俺に対して言う「可愛い」と同じなんじゃなかろうか。
そんなことを思いながら、お互い呼吸を調えるために視線を逸らし自分の身体を見てみる。
見つめ合ってたらまたキスしたくなるからね。
今度キスして盛り上がったら触りっこだけじゃ絶対すまないことくらい分ってる。
だって俺のあそこがきゅんきゅんしてるんだもん。
意識すれば、ぱくぱくと開閉してるような気さえする。
そこから無理矢理意識を引き剥がし改めて俺の状態を確認することにした。
お互いの唾液で俺は胸元まで濡れて、服もそれを吸ったのか少しだけ濡れている。
これならすぐ乾くかな、とのんびり考えながら下へと視線を向ければ閉じた太ももにたぶん俺とオルの吐き出した精液が溜まっててなんかエロいなって。
そんなことを思いながらちらりとオルを見れば、こいつも俺を見ていて同じことを思っていたようで。
ああ、やめろ。
そんな目で俺を見るな。
「オル…」
「ショーマ。可愛い。好き」
分ったよ。
俺も我慢できねぇんだ。
ぎゅうとオルを抱きしめれば、抱き締め返される。
「俺も。俺もオルが好きだ」
オルにとって俺は庇護対象でもなんでもいい。
もう離れたくない。
だから。
だから。
あの時みたいに、置いていかないで。
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