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カマルリア編

真相

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※フリードリヒ視点になります。



食事を終え、おやつを食べながら学園長の話を聞くことになった。既にマーハはレイジスと一緒に眠っている。隣にいるだけでも魔力の譲渡は可能らしい。だがそれは、レイジスの魔力を持っているマーハしかできない。それに「一人は寂しいから」とレイジスにくっついて眠っている。それをジズ(ソルから聞いた)とベヒモスとレヴィアタンが見守っているそうだ。クラーケンはレイジスの手を握って動かないらしい。それにクラーケンもまた、水属性を与え続けているようなのでよしとしておこう。
魔物4匹でレイジスを守ってくれているのなら、ということで聖獣たちも一度それぞれの国に戻り、魔力を蓄えると言って戻っていった。王族4人は契約者とはいえ、まだ仮。本来の力が出ないようで唇を噛んでいた。
そして。
ソルからこの国の第二王子、アルフレッドの正体は光属性の聖獣だと聞き驚いた。どうやら7年前から人の姿になっていたそうだ。だから私は『アルフレッド殿下』を知らなかったのだ。それに、カマルリアは徹底して情報を隠したのも大きい。
その聖獣―ルクスもまた、テーブルについて話を聞くことにしたらしい。
学園長―いや、メーカネーの話に私たちは神経をとがらせる。王族4人も静かにカップを傾けながらメーカネーを見つめていた。
そして、メーカネーがその口を開く。

「事の始まりは、この世界がたまたま選ばれたことでした」
「世界が選ばれた?」
「はい」

世界が選ばれた? どういうことだ?
それはウィンシュタインから来た我々だけではなく、王族4人も眉を寄せている。

「そうですね。まずはこの世界の話をしましょうか。この世界が生まれた時に、私は…いえ、私たちはこの世界の管理を任されました」
「私たち?」
「メーカネーとグラナージ、だな?」
「グラナージ?」

聞きなれない言葉にアルシュが繰り返すと、メーカネーがこくりと頷く。

「グラナージはこの世界の決定権を持つ竜です」
「竜?」
「はい」
「だがそんなものはいなかったぞ?」

ソルに連れられて儀式の塔なるところへ連れてこられた時には竜などいなかったはずだ。あの時はレイジスのことで頭がいっぱいだったから見逃したか?

「グラナージには少し隠れてもらってる」
「ルクス?」
「あいつもまだ回復してないからさ」
「回復?」

どういう?と眉を寄せれば「そうですね」とメーカネーが苦笑いを浮かべる。

「グラナージはレイジス君と繋がり、あちらの世界からこちらの世界に戻りました」
「戻った?」
「はい。グラナージは230年前、聖女が倒したといわれる暗黒竜のことです」
「何?!」

聖女が倒した竜が戻った?! しかもレイジスと繋がって?!
我々が驚愕していると「だが」とガラムヘルツが口を開く。

「なぜグラナージが暗黒竜になったのだ?」
「それは…先も言いましたがこの世界が選ばれてしまったから、ですね」
「なに?」

そう言って瞳を伏せるメーカネー。そして、顔を上げると話し始めた。

「この世界が選ばれたのは偶然でしょう。たまたま暗黒竜と似ているグラナージがいて…そして世界観が似ているこの世界が選ばれてしまった」
「…聖女の日記に書かれていた『ゲーム』と呼ばれるものに、か?」
「はい。その『ゲーム』に選ばれたこの世界は変わってしまいました。けれど世界がめちゃくちゃになる前に、グラナージは私にそれぞれの聖獣を作れと言ってきました」
「そこで聖獣、か」
「そゆこと」

にまりと笑ってから、おやつのモンブランをもしゃりと食べるルクス。ソルも、もしゃりと食べている。今はマーハがいないからか、心なしか食べるスピードが落ちているが。

「ふむ。聖獣がこの世界を守るために作られたのは分かった。だったらなぜ主であるグラナージと戦えたのだ?」
「それは…」
「逆らえなかったんだよ」
「逆らえなかった?」
「そ。僕らから見てもグラナージは悪いやつだってなってたから」
「なんと」

メーカネーに変わってそう答えるルクスは後悔をにじませて、モンブランを食べたフォークをぎりりと噛んでいる。

「恐らくは『強制力』だろうな」
「『強制力』?」
「ああ。ゲームは強制的に話を進めていくことが少なくない」
「なんだそれは」

『ゲーム』について一応理解はあるものの、やはり一番詳しいメトルが説明を引き継ぐ。メトルもメーカネーから色々と聞いているだろうし。

「イベントも強制的なものが多い。だから『敵』に対してそうなったんだろう」
「何ともはや…」

怒りとも呆れとも取れない態度を示すのはシュルスタイン。

「その『強制力』のせいで、聖獣たちは主と…グラナージと戦うことになりました」
「だったらお前は何をしていたんだ?」

ぴっとフォークをメーカネーへと向けるのはギルクロード。口元にクリームがついてるぞ。言わないが。

「私は…ただの舞台装置ですから」
「は?」

言いながら俯いたメーカネー。舞台装置?

「メトル君にはメーカネーという言葉よりもデウス・エクス・マキナの方が馴染みがあるかもしれませんね」
「ああ。だから舞台装置か」
「どういうことだ?」

メトルだけが恐らくメーカネーの言葉の意味を正しく理解した。私たちにはそう言った知識はないからな。ここにメトルがいて助かった。

「デウス・エクス・マキナってのは『機械仕掛けの神』と呼ばれているものだ」
「『機械仕掛けの神』?」
「そ。舞台なんかで使われるんだけど、おっさんのいう舞台装置と似てるんだ。細かく言えば違うんだけど、この世界に関しては舞台装置と言った方がいい」
「なぜ舞台装置なのだ?」
「私は舞台を…この世界の物事を担う神。それだけなんです」
「物事を担う?」
「はい。ですから私に決定権はないんです」
「あー…なるほど」

メーカネーの言葉が今一わかっていない我々とは真逆にメトルが「なるほどな」と納得している。おい、詳しく話せ。

「つまりはこの世界の『設定』をメーカネーが担って、その設定を『決定』するのがグラナージってことだろ?」
「それであってますね」
「『設定』…」

その言葉でこの世界が『ゲーム』に選ばれたことを知らしめる。

「私はこの世界の物事や天気などを設定…つまり作ることしかできません」
「そしてそれを決めるものがいない、と」
「はい。そこで聖女…スズネの存在です。彼女たちがグラナージを倒した後、私は彼女にコンタクトを取りました。そして事のあらましを伝えると、グラナージを倒した者すべてを集めて私の言葉を伝えました。そして気付いたのです。我々はとんでもない間違いを犯した、と。倒すまでは絶対悪だと思っていたものが必要なものだったと気付いた後、私と当時の王、そして討伐した若者達はこのことを隠すことにしました」
「なぜ?」
「当時はグラナージが悪でしたからね。悪を倒して平和になった、と思っている人々を絶望させるわけにはいかなかったのです」
「………………」
「だったらなぜ聖女信仰になったんだ?」
「スズネはグラナージと同じ『決定』の力を持っていました。ですから『決定』の力が欠けた私は、この世界を左右する『決定』の力を持つ聖女信仰を早急に広めたかったんです」

ここにきて聖女信仰か。本当に信じていたものが根本から崩れていくな。

「聖女信仰が広がれば『決定』の力がなくてもその祈りの力で動くと思ったんです。実際動かしてみれば問題なく『決定』されたので、グラナージが戻るまでこれでしのごう、と」
「だがカマルリアは旧神、いわばグラナージとメーカネーを信仰する国だろう?」
「急に聖女信仰が広がれば、裏をかく者も出てきます。その者たちを集めるためにカマルリアは聖女信仰ではなく旧神の信仰をお願いしたんです」
「そうなると聖女信仰にも裏があるのか」
「はい。グラナージがこの世界から消え去った後、不安定になってしまったこの世界を安定させるためには一刻も早く聖女信仰が必要でした。それを担うためにスズネは作り話を持ちかけました」
「作り話?」
「いわば聖女信仰を一気に広めるための話ですね」
「それがスズネの日記、というわけか」
「はい」

ここまで話を聞いたが、正直分からないことが多すぎる。考えを整理するためにカップを傾ければ、温かい。それにおや?と視線を向ければそこにはいつも通りの侍女頭がいて。
それにふっと笑ってから、のどを潤す。

「なんつーか…。ゲームの世界に入り込んだと思ったけど、実際は選ばれただけの実在する世界だもんな。申し訳なくなる」

メトルがはぁと大きなため息を吐き、がしがしと頭を掻く。

「ですが、君たちと繋がったことでグラナージが戻ってきました」
「レイジスの犠牲があったからな」
「それは…」
「なぜ、レイジスだったのだ?」

つい会話に口を挟めば「そうか。そうだよな」とメトルがメーカネーを見る。
メーカネーもまた迷っているようで、眉を寄せていた。

「構わん。言ってくれ」

恐らくは言いづらい事なのだろう。だが、それでもなぜレイジスでなければならなかったのか。
それが知りたい。

「そうですね…レイジス君に関してはまずは謝らねばならないことがあります」
「謝る?!」

ばん!とテーブルに両手を叩き立ち上がったのはガラムヘルツ。その顔には怒りが浮かび、叩いた両手は拳に変わった。

「謝って済む問題ではありません。ですが…」
「だから…!」
「落ち着け、ガラムヘルツ」
「お前…!」
「怒っているのはお前だけじゃないんだ。それよりも話を聞こう」
「――――ッ!」

ギリクロードにそう言われ、どすんと椅子に座りなおすガラムヘルツ。そう、怒っているのはここにいる全員だ。ルクスも怒っているらしい。

「フリードリヒ君を除く君たちはレイジス君についてはどこまで知っていますか?」
「レイジスが先祖返りをしている、ということだけ」
「そうですか。ならちょうどいいかもしれませんね。メトル君、話しても?」
「ああ。構わない」
「分かりました。ではまずレイジス君について。レイジス君は君たちが知っての通り『先祖返り』…分かりやすく言えばあちらの世界から死んだ者が生まれ変わった人です」
「は?」

4人の重なった声がその衝撃を現している。だが。

「レイジスはレイジスではないのか?」
「そのことで謝りたいのですよ。フリードリヒ君」
「どういう…?」

私はレイジスがレイジスだと聞いているが、4人は聞いていないからか困惑しているようだ。

「以前レイジス君は事故であちらの世界に行き、中にいた人物が死亡したから魂が戻ってきた、と言いましたよね?」
「嘘だったのか」
「…はい。すみません」
「なぜ嘘を吐いた?」
「…レイジス君がこうなることを分かっていたので保険をかけました」
「どういう…!」
「では。あの子がレイジス君ではない、と分かったら、あなた方はレイジス君にここまでしましたか?」
「それは…」

その質問にぐっと言葉が詰まる。さっきまで衝撃を受けていた王族たちも言葉を詰まらせた。
メーカネーの言うことも分かる。レイジスがレイジスだと思っていたから必死になった。だが、レイジスがレイジスでなかったらここまで必死になっただろうか? そう考えれば答えは『否』だ。
私たちはレイジスが『レイジス』だと思っていたから必死だった。それは認めよう。しかし。

「そうだな…以前のままなら見限っていた」
「フリードリヒ!」

叫んだのはガラムヘルツ。あの時はまだルスーツと婚約期間だったこともあり、怒りが湧いたのだろう。

「けどね。『今』のレイジスが私たちの知る『レイジス』なんだ。その中身がレイジスでなくても、ね」
「ふむ」
「私の知るレイジスはベッドの上で苦しそうにしていたレイジスだ。気が狂ったように泣き叫び、物を投げて魔法を放つ『レイジス』でもある」
「殿下…」

以前のレイジスを知るものはアルシュと私しかいない。リーシャとノアは学園に入ってからの付き合いだし、他の王族はほとんど付き合いがなかったからな。噂だけを聞いていたのだろう。それもまた事実なのだけれど。

「性格が変わってしまった『レイジス』が死んだ者…名前は分からないがその者なのだろう?」
「ああ。レイジスになったあいつは男同士の恋愛なんかは毛嫌いしていたからな」
「そうなんだ?」
「おう。あいつは…立花はおっぱいが大きい女の子が好きな、ごくごく普通の男だったからな」
「…メトルはそいつと知り合いだったのか?」

レイジスの中の者の情報がでてくるあたり、知り合いだということは確定している。だが、自然と言葉にしていた。
そして「そうだな」と少し照れ臭そうに鼻の下を掻きながら笑う。

「あいつは…立花は同期で親友だった」
「ドウキ?」
「会社に入ったのが一緒だったんだ。新人で右も左も分からない時に一緒に仕事してたんだよ」
「それがなんで死者に?」

ごく自然にそう尋ねるリーシャ。リーシャにとって『死』は間近にあったようで、けろりとしている。私たち貴族にとって『死』は最も遠いものだからな。守られているから遠く、リーシャは守られていなかったから『死』が近かった。それだけなのに。

「お前、聞きにくいことをあっさり聞くな」
「だって市井なんかじゃ死ぬなんてあたりまえだったからね」
「なるほど。王都もお綺麗なとこばかりじゃないんだな」
「そうだよ。たとえ僕の知り合いが死んでも貴族にとっては話しのネタにしかならないし。それか話題にもならないんだよ。貴族ってやつはそうなんだ」
「…貴族が嫌いなのか?」
「当然。平民から無理やり貴族になったからね。さんざん馬鹿にされたりしたし。それでもいい事はあった」

リーシャは魔力の保有と全属性が使えるというだけで貴族になった。だからこそ、私たちとは違う視点でいつも見ていた。それが分からなかったが、レイジスと一緒にいてそれが分かった。

「レイジス様と出会えたからね」
「初めは毛嫌いしていたけどな。リーシャは」
「当然でしょ? 貴族ってだけで何をしても許されるってのが一番腹が立つことだし」

何をしても許される、それはきっとレイジスが侍女や侍従に怪我をさせても罪に問われることがないからだろう。それに、ウィンシュタインもユアソーン家をかばうようなことをするから余計に怒りが増す。それでも王家がユアソーン家を手放せないのはスズネの祝福があるからだろう。

「今は違う?」
「当たり前! キッチンに自ら入って料理するとか考えられないし、平民に堂々とお礼を言うとかね。貴族ってなんだっけ?って何度も考えた」

そう言って肩を竦ませるリーシャに、ほぼ全員が「分かる」と頷く。レイジスは型破りだからね。貴族という概念をことごとく壊していった。
それは私たちのレイジス像もそうだ。苦しそうに眉を寄せていた顔も、恐怖に満ち満ちたあの顔も、今はほとんど思い出せない。思い出せるのは、お花が咲き誇った笑顔とべしょべしょと泣いている顔。それに落ち込んだり怒ったりとせわしなく動く表情。
だからもう、前のレイジスは殆どいないといっても過言ではない。
たとえそれが違う人物だとしても。

「それで? その『タチバナ』なる人物はなぜ?」
「なんてことはないさ。交通事故に二人で巻き込まれただけだ」
「コウツウジコ?」
「車…鉄の塊に轢かれたんだよ」
「鉄の塊?」
「そ。自走する鉄の塊だ。それはまぁいいんだ」
「それで二人して死んでここに来たってこと?」
「いや? 俺は自殺…自死しておっさんに拾われた」
「は?」

あっけらかんとそう告げるメトルに思わず声を出してしまったが。自死? 己で命を絶った?

「え?なんで? どういうこと?」
「事故で立花だけが死んでさ。俺は助かったんだけど、それが立花に助けられたって聞いて。なんで俺なんかをかばったんだって荒れてさ。自責の念に耐え切れず、な」
「でも助けてもらったのに」
「立花はそれでいいさ。自己満足みたいなもんで俺をかばって死んだからな。けど残された方はたまったもんじゃねぇ。誰彼構わず『助けてもらったのに』って言われてみろ。嫌になる」

はっ、と鼻で笑いながら話すメトルからは嫌悪がにじんでいて。周りからずっと『助けてもらったのに』と言われれば嫌にもなるか。私も「王太子なのだから」といわれ続けたからな。気持ちは分からなくもない。

「そこでさ迷っていたメトル君…河島君の魂を拾って交渉したんです」
「交渉?」
「はい。立花君と一緒に転生させる代わりに、この『ゲーム』を最高の形で終わらせることを」
「最高の形、とは?」
「レイジスを生かして、かつ世界を終わらせない」
「レイジスを生かす…」
「ああ。その為に俺は裏ルートを選択した。あとは転生した立花次第だったけど…。まぁ盛大にやらかしてくれた」

ははっと笑うメトルだが、レイジスのあれで怪我をさせられたものなどは笑い話では済まないだろう。けれどレイジスが記憶を失っていたことを聞いた後で「怪我…治せませんか?」と眉を下げてお願いしに来たことがあった。
それに「治療も終わってるから、ね?」と言えば何かを察したのか「…分かりました」としょんぼりしていた。まだ数か月前の話なのにとても懐かしい。

「それでそのタチバナくんが、今のレイジスの性格になった理由はあるのか?」
「立花君が転生した後6年間飲まず食わず、しかも眠っていない上に魔法を使っていたのに生きていた。これってある意味奇跡ですよね?」
「確かに。魔法を使っていたのなら回復をしなければ枯渇す…」

ふむ、と顎に手を乗せていたガラムヘルツがそこまで言ってから、ハッとした。
私たちもそこまで聞いて気付いた。

「魔力が枯渇しても生きていた?」
「そうです。今回は過剰な魔力の枯渇でしたが、立花君は常に魔力不足でした」
「だが、魔力を補給した覚えはない」
「以前フリードリヒ君たちはソルから『属性魔力』のことを聞きましたよね?」
「はい。魔力過剰でも、魔力不足でも『死』につながると」
「それから魔物や人が魔力切れを起こすと肉体が分解するとも」

アルシュとノアがそう言えば、こくりとメーカネーが頷く。

「それにソルはこうも言ってませんでしたか?『死んだ魔物が消えないのは残りの命を燃やして魔力に変換するからだ』と」
「つまりはルクスが『記憶を燃やして生きてるだけだから』と言ったのはそう言うことか」
「はい。魔力が枯渇すると何かを変換して魔力を生み出します。人も魔物もなくしてもあまり弊害がないものが『記憶』です。言い換えれば『思い出』を焼却して魔力に変換し、魔力不足を補っています」
「なるほど…。だから目覚めた時のレイジスから記憶がごっそりと抜け落ちていたのはそういうことか」
「あれ? でもパッチでそうなったって言ってなかった?」
「パッチ?」

なんだそれ、と首を傾げるルシミアルに「ああ、あんたたちには言ってなかったな」とメトルが説明をする。

「記憶がないところに記憶を埋め込むのか。これはなかなか非道だな」
「俺もレイジスに記憶がないことは知らなかったんだ。ただ暴れている、という噂しか聞かなかったからな。けど学園の食堂でレイジスを見つけた時、すでに違和感はあったんだ。だから会いに行って確かめた後、おっさんに聞きにいった」
「ではその『タチバナ』なる者の記憶はほとんどないのか?」
「私が立花君の様子を見にいった時には、すでに大半の記憶を燃やし尽くしていました。残った記憶は大学生時代前後の…18~20歳ほどまでの記憶までしかありませんでした」
「なんでそこだけ…」
「恐らく、一番鮮明に残っていた『記憶』なんでしょうね」
「なるほど? となると『ゲーム』をプレイしたことがないわけではなくて、『ゲーム』自体を知らないわけか。だが腐男子設定はどこから来たんだ?」
「あれ? 河島君はさすがに立花君の過去は知りませんでしたか」
「うん?」

どういうことだ?とメトルが視線で訴えれば、メーカネーが「言っちゃってもいいのかな?」と困惑したが「もうあいつはいないんだからいいんじゃね?」というメトルの言葉に「そうですね」と笑った。
もういない。その言葉に悲しさを感じるが、メトルはすでに昇華しているようでからからと笑う。…強いな。
私にはできそうもない。

「立花君は男性といろいろとトラブルを起こして、男性が苦手になったんですよ」
「マジかー…! あいつゲイだったのか!」

うわー!と目元に手を置いて天を仰ぐメトルにきょとんとするのは我々。ゲイ、とは?

「ゲイとは同性が好きな人のことを指します」
「な…?!」

メーカネーの言葉に驚愕する。レイジスの中に入っている者はそうだったのか!
ということは『いろいろ』の言葉の意味を理解できてしまう。

「あー…そっかー。だからレイジスの中に入ったら暴れるわけか…」
「うん? メトルはそういうの気にならないの?」
「なにが?」
「さっき驚いていただろう?」
「ああ。同性同士ってやつか。俺は気にしないぞ? さっきも単純に驚いただけで、嫌悪はない」

けろりとそう告げるメトルに、そういえば私とレイジスがいちゃいちゃしていても呆れるだけで嫌悪を感じていることはなかったなと今思う。

「記憶が燃やされたおかげで、素が出ちゃったんでしょうね。おかげで助かりましたが」
「まぁな。ガチで嫌いな奴にこういうのをやらせるのが一番難しいからなー。ましてや悪役だ」
「それだ」
「あん?」
「なぜレイジスが悪役でなくてはならないんだ?」

悪役でなければストーリーが変わり助けられないかもしれない、というメトルの言葉でべしょべしょと泣きながらレイジスが「やるぅー!」と言っていたが。
実はまだ私は納得できていない。あんなに素直で可愛いレイジスを悪役にするなどと。

「それはあのフードを被った者たちに関係します」
「そうだった。結局あいつらはなんだったんだ?」
「あれは旧神の信仰者」
「グラナージとメーカネーのか」
「はい。聖女信仰のおかげでなんとかなってますがやはり旧神を信仰する者がいますからね。その者からしたら聖女は悪です。しかもその血を継ぐレイジス君は絶対悪だったんです」
「それとこれと関係が?」
「実はスズネの血を引いているのはウィンシュタイン王家で、ユアソーン家は王家の血しか混ざっていないと言ったらウィンシュタイン王家が狙われます」
「ちょ…ちょっと待て! ユアソーン家には聖女の血が入っていない?!」
「はい…ってあれ? 言ってませんでした?」

おや?と首を傾げるメーカネーに額に手を当てる私。ちょっと待て。どういうことだ。混乱する頭をどうしたものかと、軽く頭を振ると「大丈夫ですか?」とアルシュが声をかけてくれる。それに「一応は」と答えればアルシュも困惑しているのか、瞳が揺れていた。

「うーん…どうしましょう。皆さん混乱してますよね? 少し休憩にします?」
「気になるからさっさと話せ」

もう後で整理しようとメーカネーに話を続きを促せば、侍女が温かなお茶を入れていく。少し落ち着こう、とカップを傾けクッキーを手にすれば、それは可愛らしい動物で。

「これは…」
「レイジス様が喜んでおられたものです」
「そうだった。『可愛いうさぎさん!』と見せてくれたな」

たくさんのクッキーの型からうんうんと唸りながら選んでくれたうさぎの顔の型。それを思い出しながら口にすれば、さくりと砕ける。

「うまい」
「ああ。うまいな」

さくさくとクッキーを齧りながら小休憩をはさめば、ルクスもソルも無言でクッキーを食べている。お腹がすいているのか、もしゃもしゃと食べる姿につい笑えば「レイジス様ならお皿一杯食べるんでしょうね」と懐かしそうな瞳で語るアルシュ。

「早くレイジスがご飯を食べているところが見たい」
「ああ、分かる。レイジスがご飯を食べているとこちらまで食べたくなるからな」
「あの食べっぷりは見ていて気持ちがいいからな」

うんうんと頷くガラムヘルツにシュルスタイン。それにギルクロードとルシミアル。ここにいる全員がレイジスの食べっぷりを知っているからか、その光景が目に浮かぶ。

「さて、話の続きを聞こうか」
「そうですね。ウィンシュタイン王家に聖女の血が、ユアソーン家に王家の血が入ってることでしたね」
「本当にどういうことなんだ」
「それはスズネの計画にありました。スズネは聖女信仰を広めるために、まずは己の存在を消すことにしました」
「また突拍子もないことを…」
「ですが、おかげで聖女信仰は今でも問題なく続いていますからね。それからヴァルヘルム王との間にできた子供をウィンシュタイン王にしたのは間違いありません」
「ふむ」

ここまでは一応日記と同じだな。背景は違うが。

「そしてユアソーン家ですが…。こちらは当時の王と当時のユアソーン家の当主との間に生まれた子供が継いでいます」
「うん?」
「ユアソーン家の当主は女性だったのかい?」
「いえ。男性です」
「ああ…もう訳が分からない」
「脱落するなら脱落してベッドで休むことをお勧めしよう」
「そんなわけにはいかないだろう! レイジスのことだからな!」

ギルクロードとガラムヘルツの軽い口論を聞いてから、メーカネーが笑う。

「ユアソーン家は…レイジス君はみんなに愛されてますね」
「当然だろう。レイジスは可愛いからな」

ふん、と鼻息荒く胸を張るガラムヘルツに「はいはい」と軽くあしらうギルクロード。仲がいいんだか悪いんだか。

「それでですね。そうなったのはスズネの『祝福』です。フリードリヒ君はこのことを聞いていますよね?」
「ああ。ウィンシュタイン王家とユアソーン家の男児は惹かれあう、という『祝福』であり『呪い』だと」
「なんだそれは」
「スズネの計画で一番のネックはこの世界とあちらの世界を繋ぐことでした。だからあちらの世界の死者をこちらに呼び込んで『転生』させ、聖女のスキルを与えることが本来の『祝福』です」
「そう言えばなぜあちらとこちらを繋ぐ必要があったんだ?」
「スズネの計画の目的はグラナージをこちらに戻すことでしたから。それにあちらとこちらが繋がらないと戻ってこれないんです」
「その役割を『転生者』が担うんだ」
「なるほど。あちらとこちらをつなぐ役割がメトルとレイジスだった、というわけか」
「レイジス君はイレギュラーでしたが、聖女のスキルを得たことが大きいんです。今までの『転生者』たちはそれができなかったから」

ふむ。となるとあの海のカツオブシコウジョウもその『先祖返り』…いや『転生者』の仕業か。なるほど。

「『転生者』がいるのにも関わらず、せっかくのチャンスを生かせなかった私はあちらの世界にコンタクトをとることにしました」
「まさか…!」
「はい。それがロゼッタです」
「ははぁ。なるほど。だからごり押ししたのか。納得」
「? ゴリオシ?」
「ああ。実はこの『ゲーム』を作るにあたってロゼッタが反対意見をほとんど聞かなかったんだ。結果的には売れたから良かったものの、売れなかったら首が吹っ飛んでた」
「なんと…! 処刑されるのか!」
「そう言われると、ある意味処刑だな」

ははっと笑うメトルに、王族たちが「なんと恐ろしいことをしたのだ」と戦慄している。かくいう私も処刑をされるほどのことを覚悟してロゼッタ様は事を進めたのか、と身震いすらしてしまう。

「この『ゲーム』はレイジス君が悪役だからこそ、こちらの世界につながるんですよ」
「うん? レイジスは悪を見事に演じ、グラナージを呼んだのだから悪である必要はもうないのだろう?」
「この世界はまだ『ゲーム』としての世界を保ったままなんです」
「はぁ?!」
「レイジス君とメトル君が卒業するまで、この世界は保たれたままです。ですので…」
「卒業するまでレイジスは悪役を貫く必要がある、と」
「まぁ…ご飯がおいしいのは罪だからな」
「このまま帰ってもご飯がおいしいとは限らないからな…。全く。レイジスはとんだ悪党だ」

肩を竦めながらそう告げるガラムヘルツ。恐らくは娘においしいご飯を食べさせたいと思っているんだろう。だが、それを作れるものが果たしているか、といえば答えは『否』だろうな。

「レイジスが悪を貫かねばならない理由は分かったが…」
「男が子を産むなど聞いたことないぞ?」
「それはそうでしょうね。ウィンシュタイン王家とユアソーン家の『祝福』は、私が『設定』してスズネが『決定』しましたから」
「そうだった。スズネはグラナージと同じ権限を持っていたな」
「だがそうだとしたらフリードリヒとレイジスはそれによって好き合っている、ということにならないか?」

そう。それが一番聞きたくなく、そしてレイジスが離れていった理由。
もしかしたら気持ちが『そう』されているのではないか、ということだ。その不安から体調を崩し、一度考える時間が欲しいとレイジスがカマルリアに来た理由。

「フリードリヒ君とレイジス君は問題ありません」
「なぜそう言える?」
「実はこれ『本当に愛し合っている者』にしか『祝福』が発動しないんですよ。それはすでにフリードリヒ君とレイジス君が『繋がった』時点で問題はないですからね」
「なっ?!」
「おい!」

メーカネーの言葉に4人の瞳が私を貫き、私はプライベートなことがばらされたことによりメーカネーを睨む。リーシャはもぐもぐとタルトを食べ、アルシュ、ノアに至ってはポテトチップスなるものを無心で食べている。ルクスはタルトを、ソルもポテトチップスを食べている自由さ。
くっ…!

「フリードリヒ! 貴様、レイジスに…あ、あんなことやこんなことをしたのか?!」
「同意したからな。悪いとは思っていない」
「お…お父さんは許さんぞ!」
「誰がお父さんだ。フォルス…実父からは許可をもらっている」
「な…っ?!」

まるで娘を傷物にされたような言い方はやめてくれ。レイジスは私の婚約者だ。

「レイジスが傷物に…!」
「うるさい」
「アーブ!」
「レイジスがそう願ったのなら、私たちは祝福をするべきだろ」
「だが…!」
「あんまり口うるさいと嫌われるぞ?」
「うっ!」

メトルの言葉に言葉を詰まらせると、しおしおとしぼむガラムヘルツ。全く。レイジスが大切なのは分かるが少々過保護すぎないか?

「今回とてフリードリヒとレイジスが交尾をしたことによって、我にも繋がりができていたからな。そのおかげでいち早く気付けた」
「ソル…。交尾という言い方はやめろ」
「ならセ…」
「ええい!やめろやめろ! もう聞きたくない…」

そう言ってさめざめと泣き始めたガラムヘルツを、面倒くさそうに見つめるルシミアル。そんなガラムヘルツを放置してメーカネーは話を進める。

「そういうわけでスズネの『祝福』が発動しなければユアソーン家といえど子供を産むことはできません。例外はありますが」
「あるのか」
「はい。万が一ユアソーン家の跡取りがいない場合は例外として産むことが可能です」
「その辺りはお前が設定するのか?」
「はい。ただ『決定』はできませんので、本当に見ていることしかできませんが」

あははと力なく笑うメーカネーに、はぁとため息を吐く。この調子ならグラナージの苦労が見て取れる。大変だな、と思いながらそこでふと疑問がわく。

「ロゼッタ様はあちらの世界で生きておられるのだろう?」
「はい、そうですね」
「聖女のために協力するなど、嫌ではなかったのか?」
「それについてもフリードリヒ君は知る権利がありますね。実はスズネの日記はわざと情報を混乱させることが書いてあります」
「なぜ?」
「万が一を考えてですよ。『転生者』が日記を読んで情報を鵜呑みにしても、ウィンシュタイン王家は信じませんからね」
「ロゼッタ様を悪く言われると父上のように激昂するからな」

日記を読んでロゼッタ様を悪く言われたときの父上の激昂は記憶に新しい。私も初めて聞いたときはそうだったから。メトルやアルシュ、ノア、リーシャには迷惑をかけた。

「スズネとロゼッタは親友でした。そしてヴァルヘルムもスズネのことを愛していました。ウィンシュタインが悪く書かれているのは、王家がグラナージを倒したことへのせめてもの贖罪をしたかったからでしょうね。そしてウィンシュタインが悪を背負い、その負担をカマルリアも背負うことになりました。けれど、それもスズネが亡くなった後変わってしまいました」
「というと?」
「カマルリアが、自分たちの都合のいいように改変させてしまったんです」
「なんと」
「だから僕は姿を消した。その影響でテネブラエも姿を消すことになったけど」
「そう言えばソルのことをテネブラエって呼ばなくていいの?」
「レイジスが落ち着くまではやめておいた方がいいだろうな。属性のバランスが崩れる」
「ルクスはいいの?」
「ホントはノクスって呼んでくれた方がいいけど、レイジスのことを考えてルクスって呼んで」

口周りにクリームをつけてにぱーと笑うルクスに肩を竦めて、ソルが口周りを拭いている。ああ、レイジスと同じだな。

「それにしてもレイジスお姉ちゃんのご飯、ホントにおいしいよね」
「お姉ちゃん?」
「おっとっと。癖が出た」
「3か月ほどそう呼んでいたからな。仕方あるまい」
「ご飯がめちゃくちゃおいしいし、お姉ちゃんは優しいしホント楽しかった」
「ルクスは聖女が大好きだからな」
「うん!」

ふふーと笑うルクスの頭を撫でるソルに、少しの寂しさを覚えるとかちゃ、と寝室のドアが開いた。そしてそこから現れたのは…。

「メーカネー」
「分かった」

黒い髪を足首まで伸ばした瞳に歯車が浮かんでいる男が立っていて。
グラナージに呼ばれたメーカネーが代わりに寝室へ入っていくと、彼が座っていた席へと腰かけた。

「それで? どこまであいつは話した?」

威圧的な態度だが、それと同時に神々しささえ感じる。それにごくりと喉を鳴らす。

「グラナージ…ギリシャ語で『歯車』か。確かに舞台装置は歯車が一つないだけでも動かないからな」

そう独り言のように呟いた言葉に「なるほど」と、聖獣二人を除いた全員が頷いた。


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