悪役令息に転生したのでそのまま悪役令息でいこうと思います

マンゴー山田

文字の大きさ
上 下
58 / 105
海編

vs クラーケン

しおりを挟む
「そのご様子だとクラーケンが出るのは初めてではなさそうですね」
「……………」

ノアがそう言えばカルモさんがびくりと肩を震わせる。んん? もしかして陛下にせっついてたのはお魚さん関係だけじゃなかった?

「そうだ」
「カルモ!」

スワリさんがノアの言葉に頷くとカルモさんの顔色が変わった。っていうかなんかスワリさんの方が貴族っぽい感じがするのはなんでだろう?

「それで? 王族にここに来るように言ったのはこれがあるからか?」
「…………………」

わー! わー!という声は聞こえるけど、パニックになっている気配はない。それどころかフーディ村と一緒で統率が取れている。
ただかつお節や昆布を作っている村じゃなさそう。
そんなこんなで集会所にぞくぞくと人が集まってくる。あれ? ここ避難場所も兼ねてるの?

ぐいっと袖で涎を拭うと「ちょっとレイジス様、袖で涎拭くのやめてくださいよ」とリーシャに言われて、光魔法で綺麗にしてもらう。ありゃ、ばれちゃったか。

「っていうか今の話のどこに涎を出す要素があったんですか…」
「え? だってクラーケンだよ? タコさんかイカさんだよ? 絶対美味しいじゃん」
「はい?」

わふーとにんまりと笑うと、フリードリヒ達以外が「何ってんだ? こいつ」という視線を僕に向けてくる。
フリードリヒ達はすでにアンギーユという魔物を食べてるからね。

「イカ焼き美味しんだよー。網であぶってマヨネーズ付けてむしゃぁってすると幸せになれるし、タコさんも炙り焼きでむしゃぁってすると幸せになれる」
「つまりどちらを食べても幸せになれる、ということか」
「はい!」
「イカ焼き…おいしそう」

僕の話を聞いてごくりと喉を鳴らすのはリーシャ。むふふ。

「それにイカ焼きはビールのお供に最高なんだよー」
「ビール?」
「発泡酒、って言えばいいのかな? キンキンに冷えた発泡酒と温かいイカ焼きをむしゃぁってするともうね…お口の中が楽園よ」

にまりと少しだけ悪い笑みを浮かべながらソルゾ先生とハーミット先生に向けてそう言えば「口の中が…楽園…!」とソルゾ先生が呟いている。
ふふふ。海の幸はビールにあいまくるからね。

「それにタコさんがあれば酢の物ができるし」
「酢の物?」
「はい。三杯酢っていうお酢と砂糖とお醤油を混ぜたものに、タコさんとワカメとキュウリを入れるだけでできちゃううえに、さっぱりしてとってもおいしいんですよー」
「ほう?」

おお? 酢の物にガラムヘルツ殿下が食い付いたぞ? それにシュルスタイン皇子もそわっとしている。むふふ。だが忘れてはいないだろうか。

「でも魔物ですからねー」

そう。美味しい料理はあるが食材は魔物である。アンギーユさんを食べているフリードリヒ達は今更魔物が食材でも問題はないけど二人は抵抗ありそうだし。

「よし! なら狩るか!」
「そうだな。例え魔物だろうがうまければ問題ないだろう」

あるぇー?
もっと躊躇うかと思ったけど案外あっさりだな?! 騎士さん達のほうが抵抗ありそうだよ?

「狩るにしてもあいつは海の中だ。どうやって倒すんだ?」
「コカトリスと同じように氷で道を作って行くって言うのは?」
「あー…それなんだけどね。一時的には作れるけどすぐに溶けちゃうんだよー…」
「そうなんですか?」
「というかコカトリス?」

あ、はい。でもそれは後でお願いします。ガラムヘルツ殿下。

「ならどうやって…」
「ううーん…氷がダメなら雷…?」
「雷?」
「塩水に限らず落雷すると電気が四方八方に流れるのでびりびりして驚いて逃げていくか、直撃すればこんがりできるかと」
「こんがり?」
「でもこれだと他のお魚さんに影響でまくるのでお勧めはできませんが…」

電気漁っていうのがあるけどあれは日本では禁止されてる。それくらいの漁の仕方だから本当に最終手段になるんだよ。
でも最低でも足の一本は欲しい。イカ焼き、もしくはタコの炙りが食べたいのだ!

「…どうする?」
「…雷を使って奴が逃げればそれでいい。だが」
「こちらに危害を加えるのならば倒す」
「ということは、危害は加えられていないのか?」
「ああ。ただ姿を見せて暴れまわるだけで」

スワリさんの言葉を聞いて首を傾げる。ふーん? なんか変なの。
アンギーユさんでさえ暴れていたというのに。あれはまぁ…うん。ハルがちょっかい出してたからなんだけど。

「そもそもクラーケンを怒らせるようなことはなにも…」

そう言う村の人たちからは原因がさっぱりわからない、と困惑の表情が浮かんでいる。
お腹が空いて餌の多い場所に来た、ってことなのかな?

「いつ頃から現れたの?」
「王都に要請していた頃はまだそんなに姿を見せていなかった。けど花の月辺りから急に暴れ出した」
「花の月?」

んんん? それって僕が転生したことを思い出した月だよね? むむ?

「とにかく、だ。雷であいつを驚かせてここが危険な海域だと思わせばいいんだな?」
「ああ」
「だが雷の魔法を持っているのはレイジスだけだろう? レイジス1人にやらせるのか?」

はえ? あれ? なんでガラムヘルツ殿下は僕が雷の魔法が使えることを知ってるんだ?

「アルシュ。お前も使えるはずだな?」
「恐らくは」
「ならハーミット先生もいけると思うよ!」

はーいはーいと手をあげて発言すると、ガラムヘルツ殿下もシュルスタイン皇子も騎士さん達も眉が寄った。
おろろ?

「こいつは無能だろう?」
「レイジス。無属性と言うのは知ってるかい?」

両王子にハーミット先生が無能であるかを言われて、僕はむかぷんちんとむかっ腹が立ってつい「違うもん!」と叫んでいた。

「確かに無属性ではあると思います! でも無属性だから雷だって使えるはずなんです!」
「レイジス様…」
「無ってことはそれだけ可能性があるってことです! 寧ろ僕は先生が羨ましいですよ!」
「レイジス…」

そうだ。無属性ということは効果もそれなりにだけど、逆を言えば属性攻撃もそれなりになるということで。弱点がないからこそ強いのだ。

「それに! 中途半端に属性を持つと会得できない魔法もあるんですからね!」

むきゃー!とそう言えば、ガラムヘルツ殿下とシュルスタイン皇子の瞳が細くなった。んにゃ?! さすがに言いすぎました! ごめんなさい!

「落ち着け、レイジス」
「むきゅー!」
「申し訳ないがお二方はここで待機を願います」
「まぁ確かにな。これはウィンシュタインの問題だ」
「それに火属性が強い私は助けになりそうもないしな」

後ろからお口を手でふさがれむがー!むがー!と興奮している僕をハーミット先生が「落ち着いてください」と肩に手を乗せられた。だってー!

「ならあんたが対処してくれるんだな? フリードリヒ殿下」
「ああ。私は何もできないがね」

そう言って笑うフリードリヒ。むがむがと暴れる僕だけど雷魔法自体がよく分らない。
ほとんど使わないからね。リーシャやソルゾ先生も付属はできそうだけど。

「なら頼む」
「ああ。任せてくれ」

そう言ってフリードリヒが頷くと、口を塞がれたままずるずると引き摺られるように集会所を出る。するとそこでようやく塞がれていた口が解放された。

「むはっ!」
「レイジス様、大丈夫でしたか?」
「うん。大丈夫」

ずっと口を塞いでいたアルシュが申し訳なさそうに眉を下げて聞いてくるから、それに頷くと「いきなり口を塞いで申し訳ございません」と謝ってきた。
それに首を左右に振ると、ばしゃーん!という音が耳に届く。そっちに顔を向ければそこには大きなタコさんが足を動かし、白いしぶきを作っている。
おかげで波は荒れて白が多い。サーフィンする人なら喜んで乗りそうなほど荒れてるなぁなんて思いながら見つめていると「さて」とフリードリヒが僕を見る。

「雷魔法を飛ばす、ということだけど…?」
「はい。たぶん距離的には魔法だと届かないので…」
「『弓』ですか?」
「むふ。正解」

属性武器。アルシュもノアも作ったことがあるからね。僕の考えてることは丸わかりかー。
僕たち魔導士組が属性武器を作っても問題しかない。なんでって? 僕たち魔法科の腕力と騎士科のアルシュ、ハーミット先生を比べれば一目瞭然。近距離ならいけるけど遠距離になると力が足らないんだ。

「となると今回私は役に立てそうもありませんね」
「そう言えば雷属性ってどうやって付くのか条件が分んないんだよね」
「アルシュ君はどうやって雷属性を得たんですか?」
「確かあの時はレイジス様が作った煙幕と言う名の水蒸気に向かって風の矢を撃ったら雷が出ました」
「ううーん…じゃあ雷を受ければ付属するのかな?」
「それ、最悪死にますよね?」

やめてくださいよ?と距離を置くリーシャに「さすがにしないよ。今は」と言っておく。
むむー…。でも本当に分かんないんだよねー。

「ともあれ、雷が使えるアルシュと…ハーミットは?」
「レイジス様によってクリスタルに突っ込まれました」
「なら頼もうか」
「僕らはシールドを張ればいいんですかね?」

さくさくっと役割を決めていざ、属性武器作り。
ハーミット先生は不安定要素が多いから様子を見ながら。

「あ、ハーミット先生。クリスタルを握って作った方が安定するかもです」
「分かった」

そう言って、たたっと二人から離れて『神の目』を発動させる。これで魔力の流れがわかるから何かあっても対処は可能。
何もないことが一番だけどね。

すうっと息を吸ってアルシュが前に出した手に魔力を集めていく。ハーミット先生も同じようにクリスタルを握ってそこに魔力を流していく。
途端、パリ…という静電気がアルシュとハーミット先生の周りに集まっていく。

うえ?! 不味くない?

それは徐々に大きくなりアルシュの髪とハーミット先生の髪を浮かせる。
でもハーミット先生はすごいな。魔力の制御がうまい。
すると『パリッ』という音が近くで聞こえた。え?

「ノア?!」
「おや? アルシュの魔力に反応してますね」
「そっか。アルシュの魔力と混ざっちゃったからか! ならノアもいけるかも!」
「ではクリスタルを握って魔力を込めればいいんですよね?」
「うん!」

ほあー…。まさかノアまで反応するとは思わなかった。
なんて思ってたら先に作ってた二人の手には、紫色のパリパリと音を立てる弓が握られている。ハーミット先生もすごいなぁ。

「ほう? 属性武器はこんな感覚なのか」
「そうですね。でも魔力の消費が少なく感じますね」
「そうなのか?」
「はい。前はもっと吸われる感覚でしたが」
「だとしたらレイジス様のクリスタルのせいかもしれませんね」
「ノア」

ノアも二回目だからかさくっと作ってる。ほわぁ。すごいなぁ。
じゃなくて。

「矢はそれぞれ違う形だから離れてねー!」
「了解」

ハーミット先生を真ん中にアルシュとノアが左右に分かれ、魔力で作った矢を番う。

「なに…あれ…」

そう呟いたのはリーシャ。あ、そっか。初めて見るんだっけ?
矢を番えたアルシュはやっぱりアーチ形で並び、ハーミット先生は頭の上に上下二段。ノアは左右に二列ずつ。

えげつないな。

これが一斉に放たれるんだもん。直撃しなくても周辺のお魚さんはしびびと痺れちゃうね。ごめんよ。
そんなことを思っている間にもクラーケンが暴れまわり白い波をたてている。んー…でもなんか動きがおかしいんだよね。
でもこっちから仕掛けてみればなにか分かるかも。それこそこっちに向かってきてくれれば陸上で戦えるし、近距離なら僕の雷魔法で攻撃も可能だし。
準備ができた所で、アルシュ、ノア、ハーミット先生が頷く。
そして。

「撃て!」

フリードリヒのその言葉で弦限界まで引かれた矢がクラーケンに向かって放たれる。バリバリ!と耳をつんざく音と共に放たれた矢は弧を描きクラーケンの元へ。
ほへー…。すごぉい…。ほぼ全部がクラーケンに当るとびびび!とクラーケンが痺れる。だけどそれも一瞬で注意がこっちに向いたかと思えば…。

「あれ? 消えた?」

その巨体が一瞬で消えた。
でも僕は知っている。きっと泳いでこちらに向かってきている事に。

「アルシュ! ノア! ハーミット先生! 矢を番って!」
「え?」

僕の言葉に驚く三人だけどクラーケンが姿を現す方が先だった。

「でっか!」
「間に合えー!」

ざばぁ!と波打ち際まで来たクラーケンが足を持ち上げ三人の目の前に現れると僕は雷魔法を打ち込む。ちょっと痺れるかもだけどごめんね!
耐性がある僕とアルシュは恐らくノーダメージ。でもハーミット先生とノアはそうはいかない。
意識が僕に向けばいい。死角から雷を撃たれたことによって三人から気がそれた。よし! それを見た三人がすぐに矢を番うとクラーケンへと打ち込む。全弾が撃ち込まれたがクラーケンはびくともしない。
すると足が僕の身体に巻き付き、ぐん!と持ち上げられた。

うええええええ?!

「レイジス!」
「ほわぁ?!」

そのまま砂浜に打ちつけられるのかと覚悟して目をぎゅっと瞑るけど、にゅにゅーっと足がゆっくりと動き、ある位置でピタリと止まった。
はへ?

「レイジスを離せ!」
「待て! レイジスが盾にされたら怪我をするのはレイジスだ!」
「…っく!」

ハーミット先生とフリードリヒの言葉でまだ打ちつけられていないことにそっと目を開ければ、クラーケンが何やら僕をじっと見つめている。ほへ? どうしたの?

「レイジス! 大丈夫か?!」
「はい!大丈夫です! でも…?」

クラーケンの瞳の中に何やら言いたそうな色を見つけると「何か知らせたいの?」という僕の質問にこくりと頷く。
あれ? 言葉が通じてる?

“タスケテクレ”
「ほへ?」
“アイツ、タスケテクレ”

クラーケンの言葉が直接頭に流れてぱちりと瞬いてから首を傾げる。

「“アイツ”を助ければいいの?」
“アア”

というかあいつって誰ぞ?とクラーケンに聞いたところで、今までクラーケンがいた場所からざばぁん!と水柱が立つ。
ひええええ! 今度は何?!

“アイツ、ボウソウシテル。タスケテクレ”
「暴走?」

クラーケンの言葉を聞いて水柱の方を見れば、水が落ちていきその中にいたらしい“アイツ”が姿を現す。

「ちょ…ちょっと待って…。あれって…!」

キラキラと七色に光る鎧をも思わせる鱗を纏い、口からは炎が漏れている。そして赤い瞳をぎらつかせ、じぃっと僕らを見つめる竜のようなその生物。

「レヴィアタン…!」

フリードリヒのその呟きに全員が息を飲んだ音が聞こえた。


しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!

華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。 ⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

処理中です...