悪役令息に転生したのでそのまま悪役令息でいこうと思います

マンゴー山田

文字の大きさ
上 下
48 / 105
王都編

強引だけど受け取って

しおりを挟む
「フリードリヒ殿下! レイジス様! 何かございましたか?!」
「ソルゾか。どうした。そんなに慌てて」

フリードリヒの膝の上に座ったままうさうさバッグの中にあった魔石で属性魔石を作っていた時だった。
肩を上下に揺らして顔色が悪いソルゾ先生と、その後ろにいる三人の魔導士さん達が警戒をするように周りを見ている。ん? どうしたの?

全員がきょとんとしながらソルゾ先生を見れば、誰も怪我をしていないことを確認している。え? え? なになに?

「高魔力を感じたので来てみたんですが…」

そう言ってからソルゾ先生が僕の手にある魔石を見て、ほっと息を吐いた。

「レイジス様が魔石をお作りなられていたんですね」
「あ、もしかしてこれが原因ですか?」

今作っていたのはフリードリヒとノア用の土魔法の魔石。やっぱり王都内で属性武器を作るのはまずいよね、と思い至り魔石でサポートをすることにしたんだ。

…というか高魔力ってなに?

首を傾げながらソルゾ先生を見れば「高魔力ってなんですかってお顔ですね」と苦笑いを浮かべる。あわ。先生まで僕の言いたいこと分っちゃうんですか?!なんて驚いていたら「レイジス様がお顔に出やすいんですよ」とノアが笑う。あ、もしかしてリーシャも僕の顔見て「こんな感じじゃないのかな?」って予測してるのか!

「高魔力とはそのまま、魔力が高まっている状態ですね。ここは王族専用ですから少しでも高い魔力が感知された場合、警備の者が来ることになっています」
「ふむふむ」
「今回は殿下とレイジス様がいらっしゃったので、警備の者が守りを強くし魔力の感知をあげていました。そこでレイジス様の魔石作りの魔力が反応したようですね」
「うん? 僕だけ? リーシャの水と火魔法は?」
「リーシャ君も使ったんですか?」
「うん。ちょっと動転して、レイジス様と殿下をずぶ濡れにしました」

あっけらかんとそう言うリーシャに驚いているのは魔導士の三人。まぁ、普通王子に気が動転していたとはいえずぶ濡れにするなんて考えられないからね。処罰位当然だろうし。
それに加え、王族の膝の上に乗って魔石を作ってる僕にも驚いてた。うん。ごめん。お腹に手が回ってて逃げられないんだ。

「でも魔石作りだけで高魔力を感知できるものなんですか?」
「先程も言いましたが、守りを強くしたのも原因です。ですがレイジス様の魔力は人よりもお強いんですよ」
「そう言えばハーミット先生が、僕の魔石はそのままでも属性が漏れ出すみたいなこと言ってましたよね?」
「はい。ですからレイジス様のお作りになられる魔石は、魔導士が軽く魔法を使っているのと同じなんです」
「はえー」

そうなんだ。だったらなんか悪いことをしちゃったなー…。ちらっと警戒してた魔導士さんを見れば、さっと視線を逸らされた。おふ。ちょっと悲しい。

「ところでなぜ魔石を?」
「えっとですね! もぐっ」

僕が話そうとした口をフリードリヒの手が塞ぐ。また?! もぐぐー!と口をもごもごさせるけどにっこりと笑うだけで説明もないからちょっと怖い。

「レイジスが面白いことを発見したようだからな。明日の朝にでも宮廷魔導士三人を集めておくように言っておく。ソルゾ、お前もだ」

僕に笑うよりもちょっとだけ悪い感じでニヤリと笑うフリードリヒの言葉に、ソルゾ先生の眉が寄った。

「三人…と言うことは第一魔導士団長、副団長。それに第二魔導士団長と言うことですか?」
「ああ。第二魔導士団副団長はお前だから伝えるには十分だろう?」

ほあ?! ソルゾ先生って第二魔導士団副団長さんだったの?!
ふぐっ?!という僕の声ににっこりと笑いながら「そうだぞ」と告げるフリードリヒ。ちょっと! そう言うことは早く言ってよー!

「…分かりました。ですが殿下たちはどうなされるのですか?」
「昼が済んだからこれからレイジスの頼んだものを取りに店に戻る」
「ふりーほりひれんふぁー」

おっと。戻るならほぼほぼ食べつくしちゃったけどおやつをソルゾ先生に渡したい! ご飯も一緒に食べてないから!

「ん? どうした?」
「ぷはっ! おやつをソルゾ先生に渡してもいいですか? 残り物になっちゃってますけど」
「ああ、なるほど。そこにナプキンがあるだろう? それに包んで…」
「それなら私が」

そう言ってくしゃっと丸めて置いてあった包みの中から、アルシュが布ナプキンを三枚取り出すと浄化魔法で綺麗にしてからクッキー、ブラウニー、ドーナツとそれぞれ分けて包んでいく。寮に戻ったらまた一緒にご飯とおやつ食べようね!

「ありがとうございます。アルシュ君、レイジス様」
「ううん。残り物でごめんね」
「いえいえ。侍女さん達のおやつは美味しいですからね」

そう言ってふふーと笑い合えば、魔導士さん達の瞳が丸くなってる。え? そんな驚くこと?

「では我々は先に門へ戻りますね」
「ああ」

では、とフリードリヒと僕に向かって頭を下げると、魔導士さん達も頭を下げて戻っていく。おやつを包んだナプキンを大切そうに持って。
その背中にバイバイをすると「さて」とフリードリヒが僕を見た。ん?どうかしました?

「お弁当箱と魔石を片付けて店に戻ろうか」
「あ、はーい!」

そっか。ソルゾ先生たちが先に戻ったのはうさうさバッグの事があるからか。と言うことはソルゾ先生もうさうさバッグについては何かしら知ってるのかー。
そういえば僕、フリードリヒの膝の上に乗ったままだった。あ、ちょっと恥ずかしいー!
見知らぬ人たちに子供みたいに座ってるところ見られてたんだよね?! ふおおおお…! 今になって恥ずかしさが襲ってくるー!
うぐぐと一通り恥ずかしくなってから気持ちを切り替える。フリードリヒに降ろしてもらってお弁当箱をうさうさバッグに吸い込ませようとしたら、皆が興味津々で覗き込んでくる。あ、分かるー! 絶対に入らない大きさだもんね!
布で包んだお弁当箱を限界まで口を開けたうさうさバッグへと近づけると、すーっと吸い込まれていく。そして半分まで吸い込んだところで「しゅぽん!」と勢いよく吸い込まれていった。それに「うわ! こわ!」と告げたのがリーシャ。「なかなか興味深いですね」とうさうさバッグの口を開いたり閉じたりしてるのがノア。「そうやって入っていたのか…」「不思議ですね」とのんびりしてるのがフリードリヒとアルシュ。
それぞれの反応を楽しんでから、敷物も浄化魔法で綺麗にしてうさうさバッグへと入れる。こっちは普通にはあるんだよね。お弁当箱は影も形もないけど。ホント、不思議なカバンだ。
ぽんぽんとうさうさバッグの頭を撫でてから、フリードリヒと手を繋ぐ。門を出たらノアにバトンタッチ。そういう約束だからね。

門を出るまでのんびりとフリードリヒと手を繋いで歩く。ゆっくり、手を離すのが惜しいからのんびり、と。



「おう! 頼まれてたもの、できてるぞ!」
「ホントですか?!」

わー!早ーい!「アレクトスが飯も食わず作ってたからな」と、がははと笑いながらドロンガさんがカウンターに頼んでおいたものを並べてくれた。
そこにはガラスでできた六角柱が10本と万華鏡が3本。

「わー! アレクトス君すごい!」
「今、飯を食わせに行ってるんでいないけどな」
「そっか…。手にしてみても?」
「ああ」

ちゃり、とチェーンが付けられた透明なガラスでできたそれを手にすると「あれ?」とその違和感に気付いた。
ん? んんー? んん?
首を傾げながら六角柱のガラスをくるくると回しながら感触を確かめる。

「なんか注文と違ったか?」
「いえ…なんていうかこれガラスって言うよりも…クリスタルに近い感じが…?」
「クリスタル? 本当か?」
「はい」
「見ても?」
「? はい。どうぞ?」

ドロンガさんがちょっと焦りながら「では失礼して」と浄化魔法で手を綺麗にして布でそれを手にし、僕と同じようにくるくると回して確かめてる。

「本当だ…。これはガラスよりもクリスタルに近いな」
「あれ? ドロンガさんは気付かなかったんですか?」
「アレクトスに「レジィのものだから触るな」と言われちまって触らせてくれなかったんだ」
「ああ…これは。ほほう?」

顎に手を乗せてにまにまとしてるリーシャに首を傾げてからドロンガさんに「どうしましょう?」と相談してみる。

「どうと言われてもな…。こんなのは初めてなわけだし…」
「レジィ。これは天然の物と遜色ないのか?」
「はい。素人目ですがこれはクリスタルでほぼ間違いないかと」
「店主は?」
「間違いねぇな。これはクリスタルだ。俺が保証してやる」

と、いうことはアレクトス君は土魔法で本物の鉱石を作りだしたのか。すごいなー!
けどこれで魔法から宝石が作り出せることが証明されちゃった訳で。

「ふむ。ならばこれはここだけの話にしてもらいたい」
「? ああ。構わんが…。あんたは?」
「む。失礼した。ノアの友人のセイランと言う」

にっこりと笑ってそう言うフリードリヒにアルシュとノアがちょっと苦笑いしてる。
まぁお忍び、だからね。

「じゃあこのことは王宮に話を付けとくよ。まさか魔法で宝石と変わらない物ができちゃったわけだし」
「ああ。頼んだぜ、リーシャ。報告したらあいつ…アレクトスに監視とかつかないよな?」
「平気じゃない? 何かしら制限はかかると思うけど、レジィ以外は頼んでも作ってくれそうもなさそうだし大丈夫だって。ねぇ? セイラン?」
「レジィ以外、というのが引っかかるが平気だろう」
「そうか…。ならよかった。あいつは腕を磨いて将来装飾店を開いて、教会にいる孤児たちに美味いもんを腹一杯食わせるって言うのが夢なんだよ」

ほわぁ…。アレクトス君ってほんっといい子だなぁ…。よし! 陛下に言って僕の氷の魔石の売り上げの半分を国内の教会へと寄付しよう。そのうち氷の魔石の価値がなくなるから今のうちにたくさん寄付するぞ!
ふんす、と気合を入れていると「レジィの言いたいことがなんとなくわかる」とリーシャに突っ込まれる。それにうんうんと頷くアルシュとノア。良いもん! 悪いことじゃないから!

「あ、そうだ! アクセサリーの方はクリスタルの値段でお願いします」
「いやいや。こっちが勝手にそう作っちまったんだ。ガラスの値段でいいよ」
「だーめーでーすー! アレクトス君にも言いましたけど職人さんにお金を払わないのは失礼なんです!」
「…うさぎの嬢ちゃんは嬉しいこと言ってくれるねぇ。職人、か」
「はい! アレクトス君はもう立派な職人さんですから!」

むふん、と胸を張れば「そうか。なら万華鏡の方は無料タダで構わん。だがクリスタルの方は少々値が張るぞ」とドロンガさんがにやりと笑う。
その笑みに持ってるお小遣いで大丈夫かな?なんてちょっと不安になるけど「構いません!」と言えばお小遣いで十分に買えてほっとした。でも残ったのは半分くらい。

「あ。そうだ」

ドロンガさんが1つ1つ革の袋に丁寧に入れてくれたそれをフリードリヒ、アルシュ、ノア、リーシャにやや強引に手渡す。

「レジィ? これは?」
「街まで付き合ってもらったお礼です!」

えへっと照れ隠しにそう笑えば、全員の目が見開いた。

「お礼…」
「はい! 制服の胸の辺りに付けられるようにしてもらったのでペンダントでも胸飾りでもできるようになってます」

いつも着てる制服もそうだけど、もう一つの制服を着てる皆を見て作りたくなっちゃったんだよね。
騎士科のフリードリヒとアルシュとノアはちょっと邪魔かもしれないけど。リーシャは大丈夫だろうからちょと長めにしてある。
するとフリードリヒが近付いてきてぎゅうと抱き締められた。ほわ?!

「ありがとう。レジィ」
「は、はばばばば!」

まさか抱き締められるとは思ってみなかったからビックリよりも羞恥が勝る。だってすぐ近くにドロンガさんがいるんだもん!

「ノア…とかいったか?」
「はい」
「嬢ちゃんを取られたな」
「いいんですよ。あの二人はそういう仲ですから」
「は?!」
「それに。私はあの子の『兄』ですからね」
「そうか…。寂しくなるな」
「……………。そうですね」

僕がフリードリヒに抱き締められてはわはわしている間に、ノアが少し寂しそうにそうドロンガさんと会話していた事は気付かなかった。



夕方まで少し時間があったけど王宮に戻って部屋に行くと、父様がのんびりとお茶をしていた。
今日のお迎えはフィルノさんと、久々な第一魔導士団副団長エストラさん。王都に来る時以来ですね。
エストラさんが結構苦手な僕は、すすっとフリードリヒの影に隠れると瞳が細められた。うう…やっぱり苦手だぁ…。
たぶん僕が「面白いこと」を発見したから明日呼び出されるんだろうなー。ごめんて。
フリードリヒと一緒に馬車に乗って王宮へ戻る途中、すっとエストラさんが懐から何かを取り出した。なぁに? 緑色の石? ううん。風の…魔石?
掌に乗せられたのは風の魔石。ん? どうしたの?急に?

「…落ちた荷物を集めておりましたらこれが森の中に落ちていました」
「森の中?」
「はい」
「森…あ」

もしかしてそれ、アルシュに属性武器を作ってもらうために僕が作ってセレナの上から落とした魔石? エストラさんが拾ってくれてたの?

「たぶんそれ僕が落としたものです」
「…やはりそうでしたか。レイジス様」
「ふぁい?!」

エストラさんに名前を呼ばれてびくりと肩を震わせ、思わずフリードリヒの服を摘まむ。

「これを、私に譲っていただいてもよろしいでしょうか」
「ふえ?」

風魔法の魔石を? でもエストラさんならもっといいのが作れると思うけど。これ学園で売られてるクズ石だよ?

「クズ石がこれほどまでに力を持つことは無に等しい。ですが、これは今あるどの風の魔石よりも素晴らしいものです」
「は、はぁ…」

なんか褒められる? ちらりとフリードリヒを見れば「よかったな」と唇が動いた。あ、やっぱり褒められてたんだ。

「えと…それでよければどうぞ」
「ありがとうございます。レイジス様」

淡々と言葉を続けた後、頭を下げるエストラさん。なんか…高圧的って言うよりもただ話しベタな人っぽい?
そんなエストラさんに、苦笑いを浮かべているのはフィルノさん。ちょっと重い空気だったけど、王宮に着くとすぐにエストラさんが降りてドアを開けてくれた。
僕はフリードリヒの手を取ってゆっくりと馬車から降りるとエストラさんをちらりと見た。けどにこりともしない仮面のような表情にちょっとだけがっかりしながらフィルノさんとエストラさんとバイバイをしたのだった。
でもエストラさんのことが少しだけ分かってよかった。


「エストラ君と話をしたかい?」
「はい。ちょっと苦手だったんですけどなんていうか…話しベタなだけかなって」
「そうか。レイジスの中でエストラ君の印象が変わったのならいいことだ」
「?」

それってどういうことですか?と問おうとしたけど「さて、おやつが待ってるよ」という父様の言葉に僕は「わーい!」と両手を上げるのだった。


しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!

華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話

鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。 この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。 俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。 我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。 そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました

楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。 ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。 喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。   「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」 契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。 エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。 ⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

処理中です...