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王都編

三原色

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「また何を頼んだのですか?」
「ん?」

「俺は用事を思い出したから戻る」というハーミット先生と別れて、僕のお腹の怪獣を鎮めるためにリーシャに案内されながらお店に向かってるんだけど、たぶん…いや、絶対味薄いよね…。
と、言うわけで!
実は料理長さんからお弁当を預かっていたりする。侍女さん達がまたもや大きなお弁当箱を二つ持って来てうさうさバッグの中に吸い込ませてた。
ええー…。大きいものってそんな風に入るのー?
こう…すーっ、しゅぽん!みたいな感じ。
しゅぽん!の勢いがすごくてちょっと怖かった。でもうさうさバッグに手を突っ込んでごそごそしちゃうんだよなぁ…。
ワイバーンに襲われたときにもうさうさバッグにお弁当箱をしまったけど、その時は必死だったからじっくり見なかったんだよね。
だから改めて見るとすごかった。
うんうん、と一人頷いていると「レジィ。考え事しながら歩くと危ないよ」とノアが引っ張ってくれた。

「ありがとうございます! ノア兄様!」
「考え事もいいけど歩くときはちゃんと歩こうか」
「はーい! すみませんでした!」

人が往来する大きな通り。そこにはいろんな人が行き交っていてとっても楽しい。
でも僕たちと同じような年齢の子がお店とかで働いているのを見るとつい心の中で「がんばれ!」って応援しちゃう。
僕もバイト三昧は大変だったけど楽しかったからなー。

「で? ドロンガとアレクトスに何頼んだの?」
「んー? んふふ」

そう。ご飯を食べてくるねとお店を出ようとしたとき、僕はみんなを先に出してドロンガさんとアレクトス君にちょっとお願いをした。
それはガラスで作ってアクセサリーにしたかったから、僕のイメージしたものを土魔法で作って見本としてお店に置いてきた。それと万華鏡。ソルゾ先生にもあげたいから注文してきたんだ!
僕たちが作った万華鏡はまとめてうさうさバッグに入ってる。ホントこれなんなんだろうね? うさうさ財布もそうなんだけどさ。
侍女さんたちはいったいこの布をどこで仕入れてきたんだろう?
残ってたらみんなのお財布作れないかなぁ?

「あ、そうだ! 料理長さんからお弁当もらってたんだ!」
「…そういうことは早く言ってよね」
「ごめんごめん。天気がいいから外で食べたい! ついでに魔法をぶっぱしても怒られない場所がいい!」
「ぶっぱ?」
「はい! ぶっ放すって意味です!」
「お口が悪いレジィはむにむにの刑に処しましょうか」
「わはー!」

そういって突然頬をむにむにと揉まれる。
それにきゃぁ!と笑えば「ノア! ずるいぞ!」とフリードリヒが振り向く。そしてノアと同じように頬をむにむにとされて、きゃあきゃあと笑えば「ちょっと!お腹のカイジュウを大人しくさせる方が先!」とリーシャに怒られた。
「ふぁーい」とフリードリヒに頬をむにむにされたまま言えば「…お弁当全部食べちゃいますからね」というリーシャの言葉に「しょれはほまるー!」と叫ぶのだった。


■■■


「お腹いっぱい…」
「これすごいですね…食べても食べてもまだ食べられる」

うさうさバッグの中に入っていた敷物を敷いて皆で座ってお弁当を食べた後。まったりしながらお茶を飲んでる。
大通りからちょっと外れたところに綺麗に整備された公園があった。時間が時間だからか誰もいない。でも門の前には警備してる人がいてちょっと物々しい。
でも中は芝生があって木々が青々としてて…。木漏れ日も綺麗でふわぁと知らず声が出た。
どうやらここ、王族専用の庭園らしい。だから誰もいないのは当たり前。でも花とかすごい綺麗で咲き誇る花々を見ながらお弁当を広げる。
今日のお弁当は料理長さん力作の焼肉ライスバーガー! 焼きおにぎりからヒントを得て作ったみたいなんだけど、これ普通に売ってるからね?!
侍女さん達もちょっと興奮してたのはそのせいかー。焼き肉ライスバーガーはもちろんすっごいおいしかった! 皆の食べる勢いも凄くてあっという間になくなっちゃった!
もう一つのお弁当箱はなんだろう?と開けてみたらそこにはおやつがぎっしりと詰まってた。
クッキーにドーナツ。それにブラウニーが入ってて、僕歓喜。

ほわーい! 甘いのだー!

いそいそとお弁当箱をセットするとみんながそれぞれ手を伸ばす。甘いもの大好きな僕とリーシャは当然のようにブラウニーへと手が伸び、甘いものが得意じゃないフリードリヒ、アルシュ、ノアはクッキーへと手が伸びるのかと思ったらドーナツへと手が伸びた。
あ、意外と皆ドーナツ気に入ってくれたんだね! よかったー! そのうちポンでリングなあのドーナツ作りたいなー!
もちもちうまうまのあのドーナツ食べたらどうなっちゃうんだろうね?
むふむふと笑いながらアーモンドクッキーをリスみたいに頬張っていると「レイジスの頬がパンパンだね」とフリードリヒに頬をっ突かれる。ふぁ?! やめてくださいよー! 出ちゃいますからー!

それとクッキーと言えば作りたいものがあるんだけどねー。
その名もアイスボックスクッキー。
そう、氷の魔石がないと作れないもの。冷蔵庫的なものとかがあればいいんだろうけどねー。僕の部屋に置いてきたのは冷凍庫的な何かだし…。しかもあれ、闇魔法が強すぎて滅茶苦茶危ないんだよね。
あれをもうちょっと改良して1人用冷蔵庫みたいなの作りたいなー。

「どうかしたのかい?」
「ふえ?」

つんつんと僕の頬を突っついていたフリードリヒが心配そうに顔を覗き込む。ほわぁ?! ビックリした?!
思わず、身体を後ろへと倒すと「大丈夫ですか?」とノアに肩を掴まれた。

「ありがと。ノア」
「いえ」

にっこりと笑うノアに僕もにっこりと笑えば「レイジス」と呼ばれたかと思えばむにゅん、と両手で頬をやんわりと摘ままれ、むににっと伸ばされた。
ほぁ?!

「レイジスの頬は柔らかいからあれだけ膨らむのか」
「ひょっと! ふりーほりひれんふぁー!」

やめてよー!と頬を引っ張られたまま文句を言えば「ああ。ごめん、ごめん」と笑いながら離してくれた。もー! なんですかー!
特に痛くもないけれど何となく頬を擦れば、パンジー色の瞳が優しく僕を見つめている事に気付いてぼわっと顔に熱が集まった。
それをどうやら体調を崩したと勘違いしたフリードリヒが額に手を乗せる。
ほばぁ?!

「熱でもでたか?」
「ほわっ?! ほ、ほーっ?! ほあああ?! ほわー?!」

どこぞのネタのような言葉が口から出るとリーシャが吹き出す。
プチパニックに陥っている僕を他所にそのまま前髪を上げると額をこつりと合わせられた。
目の前には綺麗なフリードリヒの顔。

「ほあーっ!」

顔がいい。整った顔が目の前にあるとそれはもう凶器だ。
しかもなぜか手を握られてるから逃げだそうにも逃げ出せない。
やばい。鼻血でそう。

「フリードリヒ殿下! そろそろレイジス様をお離しください!」
「レイジス?!」

アルシュとフリードリヒの焦った声が重なったかと思えば、頭がくらりとする。
いつもの頭痛じゃないけどなんか頭に血が上った…逆上せたような感覚に陥る。あ、マズイ。
ぷしゅうと頭から煙が出始めた瞬間――。

ざばー!と頭から水が降ってきた。

ほあ?!

当然近くにいたフリードリヒも頭から水を被ってびしょ濡れ。僕も何が起きたのか分らず、ぱちぱちと瞳を瞬かす。

「頭…! 頭、冷えました?!」

どうやら動転してるらしいリーシャが咄嗟に水魔法を使ったみたい。ずぶ濡れの僕とフリードリヒを見てから、火魔法で服と髪と乾かしてくれる。
そういえばおやつは?!とノアを見れば、その手には大きなお弁当箱が乗せられていて、ほっと息を吐く。

「頭! レイジス様、頭! 頭、大丈夫ですか?!」
「なんかそのいい方だと僕の頭がおかしいみたいじゃない…」

リーシャのおかげで逆上せそうになった頭はすっかりと冷えた。ありがたいけどもう少しやり方が…。でもなんか泣きそうなのはなんでだろう?

「リーシャ」
「大丈夫ですよね?!」
「ん。大丈夫だから。ね?」

両手を伸ばして「おいで」と言えばすぐに抱き付いてきた。ううーん…。これは相当あの時のことが効いてるんだなぁ…。
ぎゅうぎゅうと抱き締めてくるリーシャに「大丈夫だよ」と言いながら頭を撫でる。
メトル君と初めて会った時、急にあの頭痛が襲ってきて倒れちゃったんだよね。リーシャは自分のせいだと思っているらしいけど、あの頭痛はよく分んないタイミングで来るから気にしなくてもいい、って言っても納得はしてもらえなかった。
それに謁見の時、あの頭痛に気付けなかったこともあって過敏になってるんだろうなー。

ごめんね。リーシャ。

「落ち着いた?」
「はい…」
「あは。髪がくしゃくしゃだ」
「レイジス様のせいでしょ」
「ふはっ、そうだね」

いつもの調子に戻ったリーシャの髪を手櫛で直して、二人で「ふはっ」と笑うと脇の下から手が伸びてきてそのままがっちりと胸の前で抱き締められる。
ひょっ?!
そしてずるると後ろに引っ張られると膝の上に乗せられ、最後にぱすんと肩に頭が乗った。
胸にあった手はそのままお腹に移動してホールドされ、逃げられない。

「どうしたんですかー? フリードリヒ殿下?」
「私も構え」
「わんちゃんですか」
「犬でいい」

そう言いながらぐりぐりと肩に顔を押し当てるフリードリヒの頭を撫でれば「なんか今日は皆甘えたがりだなー」と思いながら甘えてくる大型犬の頭を撫でる。

「というか殿下がわんちゃんになっちゃダメだよね?」
「レイジス様がうまくリードを引いてくれれば安心ですね」
「ノア?!」

それでいいの?!

よいせ、と避難させてたおやつを置き何事もない様に浄化魔法を使って手を綺麗にするとクッキーへと手を伸ばす。

「そう言えばレイジスは魔法をぶっぱしてもいい所と言っていたが…?」
「フリードリヒ殿下…。そう言う言葉はあまりお使いにならないでください」
「硬いことを言うな。アルシュ」
「…レイジス様にはお言葉を直させていただかないといけませんね」

流れ弾が僕にあたって「ふぎゅ」と身を縮めれば「今後改めていただければいいですからね」とノアに言われた。
はい。すみません。

「レイジス。私に構えと言っただろう」
「わっ!」

ちょっとノアに視線を移しただけじゃんかー!
「構え、構え」とさらにぐりぐりと頭を僕の頬に押し付けてくるフリードリヒは本当に大型犬になっちゃったみたいだ。
ならば、と「よーし、よしよし」と髪をわしゃわしゃとかき混ぜれば「ふはっ」とフリードリヒが笑う。僕に甘えてたリーシャもおやつを食べながら肩を竦めてるし、ノアもにこにことしている。
後でアルシュにもわしゃわしゃしておこう。
むふ。と一人笑えば「アルシュにもするつもりだろう」と不貞腐れたような声に「何で分かったんですか?!」と白状すれば「…本当にするつもりだったのか」とぶすっとした表情で僕を見るフリードリヒ。
それに「レイジス様ちょろすぎ」と言われ、そこでようやくカマをかけられたと理解した。
うううう…。もうちょっと考えようよ。僕…。
しょん、としながらもよしよしとフリードリヒの頭を撫でていると「それで」と肩から顎を離し膝の上に乗ってる僕を見た。おん?

「魔法の練習でもするのかい?」
「あ! そうだ!リーシャ! 浄化魔法! 浄化魔法! 教えてくれるって言ったでしょ?」
「…言いましたっけ?」
「言ったよ!」

むしゃぁとブラウニーを食べながらそっと視線を逸らすリーシャだったけど、教えてくれるって言ったもんね!
ぷくーと頬を膨らませれば、またもやフリードリヒに指で突っつかれ途端に空気がぷしゅーと抜けていく。

「膨らませるのは食事の時だけにしなさい。可愛いが」
「………はーい」

言いながら唇を尖らせると「可愛いけどダメ」と言われてしまう。むー。
あ。そういえばアルシュとかノアは浄化魔法使えてたよね?

「ねぇねぇアルシュとノアは浄化魔法、使えるけど誰に教わったの?」
「私は母からでしたね。というか浄化魔法は子供の頃に教えられます」
「え?」
「一番初めに習う魔法ですから」
「そうなの?!」

それなのに使えない僕…。確かに子供の頃はベッドから動けないでいたからなぁ…。魔法の練習どころじゃないよね。

なら、仕方ないか!

ぱほーんと開き直ると「教えてくれるんだよね? ね?」とリーシャに詰めよれば「分かった! 分かりましたから!」ってたじたじしてた。それにアルシュもノアもちょっと視線を逸らしたのはなんでだろう?

しょわっと浄化魔法で指の油を綺麗にしたリーシャがなんかぶつぶつ言いってる…。ど、どうしたの? そんなに難しい? でも子供が一番初めに習うんだよね?
ちらっとフリードリヒを見れば「どうしたんだい?」とにこりと微笑まれる。うぐっ! 顔がいい!

「えーっとちょっと待ってくださいね」
「あ、うん。リーシャのタイミングでいいよ?」

なぜかうーんうーんと唸り始めたリーシャに本当に大丈夫なのかと見ていると「頑張れ、リーシャ」となぜかアルシュが応援してる。
ええー…。

「よ、よし! たぶん大丈夫」

しばらく唸ってからリーシャが僕を見てから「えっとですね」と自分の手を見た。えっと…。僕も手を見ればいいのかな?

「こう…なんと言うか…手が綺麗になる感じで…しゅわっと…」
「手が綺麗になる感覚でしゅわっと」

リーシャに言われた通りに自分の手に浄化魔法をかければなぜかぺかーと光り輝く僕の手。あれー? これ光魔法だよね? 浄化魔法じゃない。

「リーシャぁ…できないよー?」
「あああああ! 分かんない! 無意識に使ってるから分んない!」

ぐあああ!と叫びながら頭を抱えちゃったリーシャにアルシュを見れば「まぁ…そうなるよな」とどこか遠い目をしている。ええ?! どういうこと?!

「つまり無意識に使いすぎて、どうやっていたのかが分からないんだ」
「あー…。つまり僕が無意識に魔法を出しちゃったのと一緒ってことですか?」
「そうなるね。だから教えようと思ってもどう表現したらいいか分からないんだ」
「ああー」

なるほど。確かに光魔法ができちゃった時もリーシャに教えてって言われてよく分んなくてざっくりと教えた時の感覚かー。そりゃ頭抱えるよ…。

「えーっと…なんかごめん」
「レイジス様の場合、浄化魔法の先に上位互換の光魔法がきちゃいますからね…」
「あー…」

そっかー。なら浄化魔法を今更教わっても無理なのかー…。残念だ。
しょんと肩を落として「ありがと。リーシャ」ってお礼を言えば「うぐっ」と逆に落ち込むリーシャ。
君は悪くないよ。たぶん光魔法を先に使っちゃった僕が悪いんだ。

「でも、浄化魔法ってどこまで綺麗にできるの?」
「一般的には汚れを落とすだけですね」
「となると光魔法は毒や雑菌なんかの悪いものを綺麗にしちゃうってことでいいの?」
「その認識で大丈夫ですね」
「ふむ」

そっか。なら光魔法のほうが便利…というか万能なのか。
でもなんでそこまで万能なんだろう?

きゅいん、と『神の目』を発動させて僕の手を見れば、赤・青・緑・黄・白・黒・藍・紫・橙色のもやが見える。

ん? 橙?

「んんんんんんん?!」
「どうしたんだい?」
「なんか橙色が追加されてるんですけどなんでしょう? これ?」
「橙?」

橙色なんかなかったよね?
え? みんなは?
じっとアルシュとリーシャ、ノアを見ればノアにもうっすらと橙色が揺らめている。あれ? アルシュとリーシャをもう一度見て見ても同じ。

「ノアだけ橙色がぼんやりと見える」
「え?! なんでノアだけ?!」
「ノアとアルシュがいて、リーシャがいなくて新しい魔法を浴びた時なんかあったっけ?」
「アレクトス」

あ!そうだよ! アレクトス君が土魔法とスキルの金を使ったんだっけ?
でもなんでアルシュには橙色がついてな…。あ。

「アルシュってもしかして土魔法もごっ」

お? 僕の口を塞いだのはフリードリヒ。お?お? どうしたの?

「レイジス。それは他人からは見えないものだ。逆を言えばそれがウイークポイントになってしまう。意味が分かるね?」

フリードリヒの真剣な顔と硬い声色にこくこくと頷けば、覆っていた手が離れた。ふはー! びっくりした。

「すまない、レイジス。でも私が言いたいことが分かるね?」
「はい。すみません。アルシュもごめんね」
「いえ」

そっか。このもやってそれぞれが持ってる属性の色なのか! だから色が薄かったり見えなかった場合は適正なし。つまりは持っていなかったり弱かったりする。本来ならそれは自分だけしか分らないから問題はない。
けど、イレギュラーなこの『神の目』は他人の属性が丸わかりになっちゃうのか。ああー…僕のバカー…。

そうだよね。普通は他人の持ってる属性なんか分んないんだもんね。

「うう…ごめんなさい」
「レイジスはちゃんと言えば分かってくれる。だからもうしないね?」
「はい」
「よし。レイジスはいい子だね」

そういって頭を撫でてくるフリードリヒ。うふふとはなれないのは悪いことをしちゃったから。
アルシュごめんね。

「アルシュ、ごめんなさい」
「分かっていただけたのなら大丈夫ですよ。それにお役に立てたようでなによりです」
「アルシュー!」

聖人か! 横にいるアルシュに抱き付けば「大丈夫ですよ」と背中を撫でてくれる。うううー! ごめんねー!
背中を撫でてくれたお礼に頭を撫でれば照れたように笑う。笑うと可愛いんだよね。

「それがないと橙色が見えないことが分かった。それでいいね?」
「はい」

フリードリヒにざっくりと纏めてもらう。ありがとう! とても助かりました!
となると光魔法とかも何か条件があって使えるんだよね? なんだろう?
フリードリヒは風魔法を持ってないんだよね? となると赤と青と黄色。

あれ?

バッとアルシュを見れば赤と青と緑とちょっと濃い紫が揺らめいている。
赤と青と緑?

「…もしかして光の三原色?」
「え?」
「そうか! 条件は三原色だ!」
「三原色?」

光の三原色。
赤と青と緑。
そして仮に闇の三原色と付けておくそれは、赤と青と黄色。

そうだよ! 火と水と風があれば条件はそろってるんだ! となるとなんでアルシュは光魔法が使えないんだろう?
さらにじっとアルシュを見れば、青色が若干赤と緑に比べて薄い。緑色はものすごく濃いからたぶん属性武器を作ったからだろう。ついでにリーシャを見ればリーシャも青が他に比べて若干薄い。
もしかして…。

「アルシュ、リーシャ。水の属性武器作って」
「は?」
「い、今ここでですか?」
「うん」
「ノアは土魔法で」
「私もですか?」
「うん。フリードリヒ殿下は水と土を使えばあるいは…!」

どういうことだい?と首を傾げるフリードリヒと戸惑うアルシュ、リーシャ、ノアを他所に僕の脳みそは高速に動き、ある可能性を弾き出していた。

もしかしたらフリードリヒも光魔法が使えるようになるかもしれない!


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