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王都編
ブローチと万華鏡 後
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「レジィ」
「はい?」
後ろにくっついていたフリードリヒがこそっと僕を呼ぶ。
んん? どうしました?
「マンゲキョウとはどういったものなんだい?」
「ええと…万華鏡は覗いた先にある模様を見て楽しむものです」
「ああ。だから『見た方が早い』と言ったのか」
「はい。それに模様は無限に出来るので、その模様が見られるのはその時しかないんです」
「なるほど。それは夢中になれるな」
まだ覗いている店主にほんわかとしてると「リーシャ、そろそろ現実に戻してやれ」とフリードリヒが告げる。
ううーん…確かに。一応僕たち客なわけだし。
「そうだね。ちょっと!ドロンガ! いつまで客を放っておくつもり?!」
そういって背中を容赦なく叩くリーシャに、不意打ちをくらってびっくぅとその肩が大きく跳ねた。
「うわ…っ、と、とと?!」
リーシャに叩かれて持っていた万華鏡を落としそうになるけど、なんとかドロンガさんは落とさずにその逞しい胸に万華鏡は抱かれた。それに僕も安堵の息を吐く。
「リーシャ! 何するんだ!」
「あのね! お客さん放っておいて何やってんの?!」
「あ」
そこでようやく僕たちとアレクトス君がいることを思い出したらしいドロンガさん。
えへーと手を振れば「んんっ」と咳払いをしてカウンターへと何事もなかったように戻る。
「…悪かった」
「いえ。楽しんでいただけたのならよかったです」
うふふーと笑いながら言えばドロンガさんが照れたように苦笑いを浮かべる。うんうん。
「しかしそれ程夢中になれるものならば一度覗いてみたいものだな」
「なら作ります? 万華鏡」
「ふむ。作れるのか?」
「作れますよー」
「…作れるの?」
困惑気味に聞いてくるリーシャに「うん」と朗らかに答えれば、ドロンガさんが万華鏡をポロリと落とす。うわあああ!ドロンガさん! 落ちましたよー!
瞬間「カシャン」という乾いた音が店内に響く。
「っああああああああああああ!」
「うわあああああああ!」
そして同時に響くドロンガさんと僕の悲鳴。
「どこだ?! どこが壊れた?!」
「鏡! ガラスー!」
あわわわわわわと二人で慌てふためいていると、ドロンガさんが落ちた万華鏡を拾い上げる。しかしそこには外のガラスが割れて中身が出て床に零れているビーズたち。
ほわああああああああ!
「ひ…ひろ…拾わなきゃ!」
「お、おう!」
おばばばと動転しながらも、ドロンガさんが慌ててビーズを拾い集めると僕はそこに風魔法で汚れを落とす。そんな僕たちをとても冷静な目で見つめるフリードリヒたち。
なんでそんなに冷静なんですか?!
「そこまで慌てなくても作れるんだろう?」
「「あ」」
フリードリヒの言葉でようやく僕たちも冷静になる。
そうだよ! 万華鏡作れるんだよ!
「そ、そうだったな! うさぎの子よ!」
「は、はい! だいじょぶだと思います!」
ふんふんと鼻息を荒くしてドロンガさんに何度も頷けば「壊れた場所はどこですか?」と聞きながら歩こうとして動けないことに気付く。
あ、フリードリヒに捕まったままだった。
「兄様、兄様。セイラン兄様」
「どうしたんだい? レジィ?」
「歩けないので離してもらってもいいですか?」
ぱすぱすと腕を軽く叩いてそう言えば「ふむ。仕方ない」と渋々離れてくれた。おや? 聞き分けがいいぞ?
もっとごねるかと思った。でもこんな時は大概アルシュが見てるんだよねーとちらりと横目で見れば、にっこりと微笑んでいた。
あ、これ怖いやつだ。
見なかったことにしよう。
フリードリヒに離れてもらったら今度はノアが後ろから付いてきてくれた。
アルシュも結構万華鏡に興味津々だったからフリードリヒとアルシュ、リーシャ、それにアレクトス君を呼んでみんなで壊れた万華鏡を覗きこむ。
「あー…中の鏡もいっちゃってますね…」
「蓋のガラスはまぁ見ての通りだしなぁ…」
殆ど壊れてしまっていることにしょん、とドロンガさんと一緒に肩を下げる。そういえば中身のビーズとかは大丈夫だったのかな?
「ドロンガさん。中身は大丈夫でした?」
「ああ。うさぎの嬢ちゃんが風魔法で綺麗にしてくれたからな」
ほら、と大きな掌に乗せられた小さなガラスのビーズらしきものを見せてくれた。あ、よかったー! 傷とかついてなさそう!
「ガラスはなんとかなるし鏡もまぁ…なんとかなるが…」
「あ、それらがあれば十分です! 後は…紙の筒とかあれば…」
「紙の筒? なにそれ?」
アレクトス君が首を傾げて僕に聞いてくる。ふわー。可愛いー。
じゃなくて。
「えっとね…例えば布を巻いてた芯とかだね」
「あ、なんか見たことある。板とか筒状のやつだよね?」
「そうそう! リーシャよく知ってるね!」
他は貴族だからちんぷんかんぷんって顔してるけど。
「ばあちゃん家に転がってたからさ」
「ばあちゃん?」
「そ。あの手芸店、僕のばあちゃん家なんだ」
「ほわー!」
じゃあ、あのおばあちゃん店主さん、リーシャのおばあちゃんだったのか!
意外な事実!
「じゃ、ばあちゃん家行ってもらってくる」
「あ、待って待って! あのお店行くならいい感じの布も一緒に買ってきて!」
「またそうやってざっくりとした注文を…」
「レジィの頭の中身見るの疲れるんだからね」と言われ「リーシャってやっぱり僕の頭の中身見えてるの?!」と言えば「そんな訳ないでしょ」と返ってきた。
あれ? もしかして遊ばれてる?
「でも布ね。じゃあちょっとひとっ走りしてくる」
「誰かと一緒に行った方がよくない?」
いくらリーシャでも一人は危ないよ?
「ああ、へーきへーき。寧ろ一人の方が…」
「それもあるけど一人で荷物持ってこれなくない?」
「………………」
そう。リーシャは僕の次に背が低い。そして筋力もない。
なんせ非力な魔法科だからね!
すんっとしてしまったリーシャにドロンガさんが「ならうちのを連れていけ。ポリーさんのところだろ?」と慌てて告げる。
おばあちゃん店主さんはポリーさんと言うのかー。
「師匠。俺は?」
「あ! アレクトス君にちょっと協力してもらいことがあるんだけどいいかな?」
「協力?」
「えと…ガラスで作ってもらいたいものがあるんだ」
それは万華鏡には欠かせないガラス。すりガラス。
割れちゃったそれは紛れもないすりガラス。というかこの世界よく分んないよね。日本のものがあるけど使い方が分からないとか。
現代の日本人が作ったゲームだからかな?
「じゃあ行ってくるね」
「気を付けてね!」
「レジィじゃあるまいし大丈夫だよ」
なんかひっかかる言い方だけどまぁいいや。
気を付けてねーとそこにいる全員でリーシャを見送ると「それで?」とアレクトス君が僕を見る。
「えと…ね」
言葉で表現し辛いなー! このパーツ!
ええい! なら魔法で形作ってしまえばいいじょない!と言うことで氷魔法…はまずいか。なら土魔法で、とパーツを作る。
「すげぇ…」
「うん? アレクトス君もこれくらいできるよー?」
そのパーツを見たアレクトス君だけど僕よりも全然うまく作れると思うんだ。
「このパーツを一枚はすりガラス…えっと割れたガラスみたいのと鏡を作ってほしいんだ」
割れたガラス、と言ったところでドロンガさんが「これだな」とアレクトス君にそれを手渡す。ああ、危ないからね! 気を付けてね!
「初めて見るガラスだけどできそう…かな?」
「ホント?!」
「おお! 流石だな!」
「ちょっと待ってて」
そう言ってアレクトス君が両手で見えない何かを持つ。あ、これ僕が魔法で形にする時と同じだ。
するとゆっくりと黄色い光が集まり形ができあがっていく。僕が魔法で作りだしたそれとほぼ同じような形になった瞬間、オレンジ色の光が弾けた。
それに思わず顔を背ければ、大きな手が僕の目元を覆っていてくれていた。
「眩しいー…」
「何だったんだ…今のは…」
ドロンガさんの声に僕もゆっくりと瞼を開けば、またもや目の前がちかちかしている。あー…また発動してるよー…。
なんで勝手に発動しちゃうんだい?君はー。ダメダメ、と心の中で言いながら『神の目』から元に戻せば「大丈夫でしたか?」とノアが聞いてくれる。
あ、じゃあこの手はノアのか!
「大丈夫だよー」
「手を離しますよ?」
「はーい」
ノアの言葉通りゆっくりと手が離れていくと光が差し込む。おおおおー。眩しいー。
「すげぇ…ホントにできた…」
独り言のように呟くのはアレクトス君。おお。視界が戻ってきた。お帰り。
けどその呟きからして思ったものができたんだろうなー。
「アレクトス…お前…!」
「師匠…レジィのを見てマネしたらできちゃました…」
ふるふると小さく震えているアレクトス君をドロンガさんがぽかんと見ていたけど、カウンターから出てきてアレクトス君の前に立つ。あわわ! 怒られない?! 大丈夫?!
「すごいじゃないか! よくやった!」
心配する僕を他所に、ドロンガさんがアレクトス君を抱きしめる。
そしてそのまま頭をわしわしと撫でまわしているからハンティング帽がくしゃくしゃになってる。
「お前はやっぱりすごいな!」
「師匠…」
まるで自分のことのように褒めるドロンガさんに、アレクトス君が泣きそうになってる。あ、もしかして前の工房は褒められなかったのかな? それはそうか。騙してみんなの作品を勝手に売ってた人なんだもん。
よかったねぇ…と僕まで泣きそうになる。そんな僕の肩をそっと抱いてくれたのはいつの間にか側に来ていたフリードリヒだった。
「レジィ! これでいい?!」
ドロンガさんからするりと抜け出して見て見て!と興奮で頬を赤くしてるアレクトス君の持っているガラスを見てうんうん、と頷く。
「すごいよ! アレクトス君!」
「レジィのおかげだよ!」
「でも作ったのはアレクトス君だよ?」
「レジィがお手本見せてくれなかったらできなかった!」
そう言って抱き付いてくるアレクトス君。くあー!可愛いー!
そんなアレクトス君の頭をよくできました、と撫でれば「レジィ」とどこか不機嫌なフリードリヒ。けどそれ以上言わないのはアルシュがニコニコしてるからだろうなー。後でフリードリヒの頭を撫でさせてもらおう。
「ね、ね。そのままブローチ用のガラスを作ってもらってもいい?」
「いいよ! レジィは特別だからな!」
ぱっと顔を上げて満面の笑みを浮かべるアレクトス君。かーわーいーいー!
「師匠、いいですか?」
「練習にもなるだろうしな。構わん! やれ!」
「ありがとうございます!」
そう言って作りたてのすりガラスをカウンターに置くと、アレクトス君がまた見えない何かを持つ。
そして僕が頼んだブローチの数よりもたくさん作ってくれたことに感謝をすると、ドロンガさんがすぐにブローチにしてくれた。代金を支払おうとしたけど止められちゃった。でも「それはそれ、これはこれ。職人さんにお金を払うのは当然です」と言えば渋々受け取ってくれた。
それからアレクトス君にお金を渡すと「いらねぇよ!」と言われたけど「でもこれでたくさん勉強してほしいな」って言えば、またしても泣きそうになる。え? え?
「こいつ、孤児院育ちでな」
「ああ…」
と言うことは孤児院のお金になっちゃうのかな? だとしたら寄付って形の方がいいのかな? なんて思っていたらドロンガさんが「あれは間違いなく対価だからあいつの物ですよ」と言ってくれた。
それにほっとしながら万華鏡用の鏡ともう一つのガラスをアレクトス君に作ってもらっていると「ただいま戻りましたー」とリーシャがハーミット先生を連れて戻ってきた。
あれ?! ハーミット先生?!
「いやー、偶然ばったりとばあちゃん家の前で会ったので手伝ってもらいました」
「…おう」
「はえー、そうなんですかー」
すごい偶然だなーと感心していたら目ざとくリーシャが「何か魔法使いました?」って聞いてくる。リーシャって嗅覚がすごいよね。
「うん。アレクトス君にブローチ用のガラスを作ってもらったんだ」
そう言って作ってもらったブローチをリーシャに見せると「すごい…」と瞳を丸くした。
え? そんなにすごいの?
「これ土魔法でもトップクラスのできです」
「ほへー…アレクトス君すっごいね!」
「だ、だからレジィのおかげだ!」
「…また人をたぶらかしてる」
「人聞きの悪いこと言わないで!」
むしゃー!とリーシャに噛み付けばハーミット先生から荷物を受け取ったドロンガさんが「材料もそろったしそろそろマンゲキョウを作ろうか」と告げる。
それにはーい!と言えば「マンゲキョウ?」とハーミット先生が首を傾げる。あ、そっか。ハーミット先生は知らないんだっけ?
「くるくる回すと綺麗な物が見えるものですよ」
「ほーん。面白そうだし俺も見ていこう」
「じゃあじゃあ一緒に作りましょう!」
ハーミット先生も誘ってみんなで万華鏡作り。
ガラスパーツは完全に土魔法をマスターしたっぽいアレクトス君がガンガン作ってくれる。それを見たリーシャも唸るくらいだから相当な腕前だね!
「この紙筒を20cm位に切って、この布を…」
リーシャに頼んだいい感じの布も本当にいい感じで僕にっこり。
それぞれ布を選んで切って貼って。両面テープなんて便利なものはないからグルーガンみたいなやつで紙筒をおしゃれにして、アレクトス君に頼んで真ん中だけ見えるようにしたガラスをはめて三角形にしたガラスを入れて反対の方にもガラスをはめる。
それからビーズとかいれるんだけど、そのことをすっかりと忘れてた僕。どうしよう、としょんもりとしているとアレクトス君が色んなガラスを作ってわざわざ砕いてくれた。そんな気遣いのできるアレクトス君に抱き付いて「ありがとー!」と言えば顔を真っ赤にして「レジィが困ってたから」って小さい声で言われて思わず抱き付けば「っく…うらやましい!」とフリードリヒが悔しそうにつぶやいた。
フリードリヒは後でぎゅってするからね!
それぞれ砕かれたガラスを思い思いの色を入れてすりガラスをはめて完成!
皆自分だけの万華鏡を作りだして大満足!
「よし! できたね!じゃあ、覗いてみよう!」
僕のその声でみんなが作った万華鏡を覗く。
赤、青、白、黄色などなどの色が模様を変えて楽しませてくれる。
久しぶりに見たけどやっぱり面白いなぁ。
万華鏡をくるくると回しているとふと、うさぎとユニコーンらしき影が映りこんだ。時に太陽がうさぎを照らして、時に月がユニコーンを照らす。
あれあれ?
僕、こんなガラス入れたっけ?
よく分んないけど可愛いからいいや!
存分に万華鏡を堪能してからドロンガさんが「これを売り出してもいいかい?」となぜか僕に聞く。それに首を傾げれば「ある意味これは秘密みたいなもんだろう?」と言われるけどあっちの世界じゃ小学生でも知ってるものだからね。秘密でも何でもないんだよね。
それに「好きにしてください」と言えばドロンガさんとハーミット先生の口があんぐりと開いた。それにリーシャも瞳を丸くしてアルシュもノアも信じられないという顔をしている。
え?え? なになに?
「レイジ…じゃなかったレジィ本気で言ってるの?!」
「え? うん」
リーシャが僕の腕を掴んでがくがくと揺さぶってくる。うぷ。あんまり揺らさないでほしいなー。
「こんな技術をぽんと人に渡すんですか?!」
「別に僕は万華鏡で儲けようとか思ってないし。そもそもドロンガさんがもともと持ってたものだし、アレクトス君がいないとできないんだよ? あ、そうなるとアルシュにはその権利があるのかも?」
そう言ってアルシュを見れば「わ…俺もレジィと同じでそちらに全て任せる」と告げる。
「だから万華鏡はドロンガさんとアレクトス君がどうしたいのか決めていいよ? あ、でも布だけはおばあちゃん店主さんの所から仕入れてくれれば僕は構わないかな!」
うんうん。とってもいい考えだ、と頷けばドロンガさんとアレクトス君がぽかんとしてる。
「あ、もしかして貴族だから独り占めー!とか思ってた?」
「普通はそう思いますよ」
「そうなの?」
「そうですね」
ハーミット先生とノアに言われて首を傾げれば「レジィって貴族だったのか…」というアレクトス君の呟きにハッとする。
あ、いや。別にだますとかじゃなくてとわたわたとしてると「レジィは貴族っぽくないからね」とチクリとリーシャに言われてしまった。ごめんー!
「まぁ…リーシャの知り合いだからそうだとは思っていたが…。でも本当にいいんですか?」
「いいよー。さっきも言ったけどこれはアレクトス君がいないと作れないからね。じゃんじゃん作って皆を楽しませてあげて!」
えへーと笑えば「ありがとうございます」とドロンガさんに頭を下げられちゃった。それを見てアレクトス君も頭を下げる。
ううーん…、僕こういうの苦手だぁ。僕が頭を下げてた側だからかもしれないけど。
「レジィ。そろそろ戻ろうか」
「あ、もうそんな時間ですか?」
「というよりご飯の時間だな」
「ご飯!」
万華鏡とブローチ作りに夢中になってすっかりとご飯を忘れてた! なんてことだ!
ご飯と聞いた途端僕のお腹が「ぐうぎゅるるるるる」と盛大に鳴く。
空気読んで…!僕のお腹…!
恥ずかしー!と顔を両手で隠せばドロンガさんが「がっはっはっは!」と笑う。
「うさぎの子は儲け話よりも食い気か!」
「あああああ! 恥ずかしいー!」
「師匠! 女の子に何てこと言うんですか!」
アレクトス君の言葉にぶばっとハーミット先生が吹き出す。酷い! いや、酷くはないけどなんか気分的に酷い!
「レジィ! 俺はよく食べる女の子は可愛いと思うんだ!」
「ふむ。確かに良く食べる子は見ていて気持ちがいいからな」
「なんだ! 兄ちゃん分かってるじゃん!」
「お前もな」
なんかよく分んないけどフリードリヒとアレクトス君の間に友情が生まれ、ハーミット先生はツボに入ったらしくお腹を押さえて肩を激しく上下に揺らしている。
アルシュとノアは肩を竦め、リーシャはぐーぐーと鳴く僕のお腹の怪獣に「今日は激しいね」なんて話しかけてるし…!
万華鏡は2人に任せたからね!
僕はもう知らないんだから!
そんな万華鏡。
後に王都中の貴族がこぞって買いに来ることになるなど今の僕は知る由もなかった。
「はい?」
後ろにくっついていたフリードリヒがこそっと僕を呼ぶ。
んん? どうしました?
「マンゲキョウとはどういったものなんだい?」
「ええと…万華鏡は覗いた先にある模様を見て楽しむものです」
「ああ。だから『見た方が早い』と言ったのか」
「はい。それに模様は無限に出来るので、その模様が見られるのはその時しかないんです」
「なるほど。それは夢中になれるな」
まだ覗いている店主にほんわかとしてると「リーシャ、そろそろ現実に戻してやれ」とフリードリヒが告げる。
ううーん…確かに。一応僕たち客なわけだし。
「そうだね。ちょっと!ドロンガ! いつまで客を放っておくつもり?!」
そういって背中を容赦なく叩くリーシャに、不意打ちをくらってびっくぅとその肩が大きく跳ねた。
「うわ…っ、と、とと?!」
リーシャに叩かれて持っていた万華鏡を落としそうになるけど、なんとかドロンガさんは落とさずにその逞しい胸に万華鏡は抱かれた。それに僕も安堵の息を吐く。
「リーシャ! 何するんだ!」
「あのね! お客さん放っておいて何やってんの?!」
「あ」
そこでようやく僕たちとアレクトス君がいることを思い出したらしいドロンガさん。
えへーと手を振れば「んんっ」と咳払いをしてカウンターへと何事もなかったように戻る。
「…悪かった」
「いえ。楽しんでいただけたのならよかったです」
うふふーと笑いながら言えばドロンガさんが照れたように苦笑いを浮かべる。うんうん。
「しかしそれ程夢中になれるものならば一度覗いてみたいものだな」
「なら作ります? 万華鏡」
「ふむ。作れるのか?」
「作れますよー」
「…作れるの?」
困惑気味に聞いてくるリーシャに「うん」と朗らかに答えれば、ドロンガさんが万華鏡をポロリと落とす。うわあああ!ドロンガさん! 落ちましたよー!
瞬間「カシャン」という乾いた音が店内に響く。
「っああああああああああああ!」
「うわあああああああ!」
そして同時に響くドロンガさんと僕の悲鳴。
「どこだ?! どこが壊れた?!」
「鏡! ガラスー!」
あわわわわわわと二人で慌てふためいていると、ドロンガさんが落ちた万華鏡を拾い上げる。しかしそこには外のガラスが割れて中身が出て床に零れているビーズたち。
ほわああああああああ!
「ひ…ひろ…拾わなきゃ!」
「お、おう!」
おばばばと動転しながらも、ドロンガさんが慌ててビーズを拾い集めると僕はそこに風魔法で汚れを落とす。そんな僕たちをとても冷静な目で見つめるフリードリヒたち。
なんでそんなに冷静なんですか?!
「そこまで慌てなくても作れるんだろう?」
「「あ」」
フリードリヒの言葉でようやく僕たちも冷静になる。
そうだよ! 万華鏡作れるんだよ!
「そ、そうだったな! うさぎの子よ!」
「は、はい! だいじょぶだと思います!」
ふんふんと鼻息を荒くしてドロンガさんに何度も頷けば「壊れた場所はどこですか?」と聞きながら歩こうとして動けないことに気付く。
あ、フリードリヒに捕まったままだった。
「兄様、兄様。セイラン兄様」
「どうしたんだい? レジィ?」
「歩けないので離してもらってもいいですか?」
ぱすぱすと腕を軽く叩いてそう言えば「ふむ。仕方ない」と渋々離れてくれた。おや? 聞き分けがいいぞ?
もっとごねるかと思った。でもこんな時は大概アルシュが見てるんだよねーとちらりと横目で見れば、にっこりと微笑んでいた。
あ、これ怖いやつだ。
見なかったことにしよう。
フリードリヒに離れてもらったら今度はノアが後ろから付いてきてくれた。
アルシュも結構万華鏡に興味津々だったからフリードリヒとアルシュ、リーシャ、それにアレクトス君を呼んでみんなで壊れた万華鏡を覗きこむ。
「あー…中の鏡もいっちゃってますね…」
「蓋のガラスはまぁ見ての通りだしなぁ…」
殆ど壊れてしまっていることにしょん、とドロンガさんと一緒に肩を下げる。そういえば中身のビーズとかは大丈夫だったのかな?
「ドロンガさん。中身は大丈夫でした?」
「ああ。うさぎの嬢ちゃんが風魔法で綺麗にしてくれたからな」
ほら、と大きな掌に乗せられた小さなガラスのビーズらしきものを見せてくれた。あ、よかったー! 傷とかついてなさそう!
「ガラスはなんとかなるし鏡もまぁ…なんとかなるが…」
「あ、それらがあれば十分です! 後は…紙の筒とかあれば…」
「紙の筒? なにそれ?」
アレクトス君が首を傾げて僕に聞いてくる。ふわー。可愛いー。
じゃなくて。
「えっとね…例えば布を巻いてた芯とかだね」
「あ、なんか見たことある。板とか筒状のやつだよね?」
「そうそう! リーシャよく知ってるね!」
他は貴族だからちんぷんかんぷんって顔してるけど。
「ばあちゃん家に転がってたからさ」
「ばあちゃん?」
「そ。あの手芸店、僕のばあちゃん家なんだ」
「ほわー!」
じゃあ、あのおばあちゃん店主さん、リーシャのおばあちゃんだったのか!
意外な事実!
「じゃ、ばあちゃん家行ってもらってくる」
「あ、待って待って! あのお店行くならいい感じの布も一緒に買ってきて!」
「またそうやってざっくりとした注文を…」
「レジィの頭の中身見るの疲れるんだからね」と言われ「リーシャってやっぱり僕の頭の中身見えてるの?!」と言えば「そんな訳ないでしょ」と返ってきた。
あれ? もしかして遊ばれてる?
「でも布ね。じゃあちょっとひとっ走りしてくる」
「誰かと一緒に行った方がよくない?」
いくらリーシャでも一人は危ないよ?
「ああ、へーきへーき。寧ろ一人の方が…」
「それもあるけど一人で荷物持ってこれなくない?」
「………………」
そう。リーシャは僕の次に背が低い。そして筋力もない。
なんせ非力な魔法科だからね!
すんっとしてしまったリーシャにドロンガさんが「ならうちのを連れていけ。ポリーさんのところだろ?」と慌てて告げる。
おばあちゃん店主さんはポリーさんと言うのかー。
「師匠。俺は?」
「あ! アレクトス君にちょっと協力してもらいことがあるんだけどいいかな?」
「協力?」
「えと…ガラスで作ってもらいたいものがあるんだ」
それは万華鏡には欠かせないガラス。すりガラス。
割れちゃったそれは紛れもないすりガラス。というかこの世界よく分んないよね。日本のものがあるけど使い方が分からないとか。
現代の日本人が作ったゲームだからかな?
「じゃあ行ってくるね」
「気を付けてね!」
「レジィじゃあるまいし大丈夫だよ」
なんかひっかかる言い方だけどまぁいいや。
気を付けてねーとそこにいる全員でリーシャを見送ると「それで?」とアレクトス君が僕を見る。
「えと…ね」
言葉で表現し辛いなー! このパーツ!
ええい! なら魔法で形作ってしまえばいいじょない!と言うことで氷魔法…はまずいか。なら土魔法で、とパーツを作る。
「すげぇ…」
「うん? アレクトス君もこれくらいできるよー?」
そのパーツを見たアレクトス君だけど僕よりも全然うまく作れると思うんだ。
「このパーツを一枚はすりガラス…えっと割れたガラスみたいのと鏡を作ってほしいんだ」
割れたガラス、と言ったところでドロンガさんが「これだな」とアレクトス君にそれを手渡す。ああ、危ないからね! 気を付けてね!
「初めて見るガラスだけどできそう…かな?」
「ホント?!」
「おお! 流石だな!」
「ちょっと待ってて」
そう言ってアレクトス君が両手で見えない何かを持つ。あ、これ僕が魔法で形にする時と同じだ。
するとゆっくりと黄色い光が集まり形ができあがっていく。僕が魔法で作りだしたそれとほぼ同じような形になった瞬間、オレンジ色の光が弾けた。
それに思わず顔を背ければ、大きな手が僕の目元を覆っていてくれていた。
「眩しいー…」
「何だったんだ…今のは…」
ドロンガさんの声に僕もゆっくりと瞼を開けば、またもや目の前がちかちかしている。あー…また発動してるよー…。
なんで勝手に発動しちゃうんだい?君はー。ダメダメ、と心の中で言いながら『神の目』から元に戻せば「大丈夫でしたか?」とノアが聞いてくれる。
あ、じゃあこの手はノアのか!
「大丈夫だよー」
「手を離しますよ?」
「はーい」
ノアの言葉通りゆっくりと手が離れていくと光が差し込む。おおおおー。眩しいー。
「すげぇ…ホントにできた…」
独り言のように呟くのはアレクトス君。おお。視界が戻ってきた。お帰り。
けどその呟きからして思ったものができたんだろうなー。
「アレクトス…お前…!」
「師匠…レジィのを見てマネしたらできちゃました…」
ふるふると小さく震えているアレクトス君をドロンガさんがぽかんと見ていたけど、カウンターから出てきてアレクトス君の前に立つ。あわわ! 怒られない?! 大丈夫?!
「すごいじゃないか! よくやった!」
心配する僕を他所に、ドロンガさんがアレクトス君を抱きしめる。
そしてそのまま頭をわしわしと撫でまわしているからハンティング帽がくしゃくしゃになってる。
「お前はやっぱりすごいな!」
「師匠…」
まるで自分のことのように褒めるドロンガさんに、アレクトス君が泣きそうになってる。あ、もしかして前の工房は褒められなかったのかな? それはそうか。騙してみんなの作品を勝手に売ってた人なんだもん。
よかったねぇ…と僕まで泣きそうになる。そんな僕の肩をそっと抱いてくれたのはいつの間にか側に来ていたフリードリヒだった。
「レジィ! これでいい?!」
ドロンガさんからするりと抜け出して見て見て!と興奮で頬を赤くしてるアレクトス君の持っているガラスを見てうんうん、と頷く。
「すごいよ! アレクトス君!」
「レジィのおかげだよ!」
「でも作ったのはアレクトス君だよ?」
「レジィがお手本見せてくれなかったらできなかった!」
そう言って抱き付いてくるアレクトス君。くあー!可愛いー!
そんなアレクトス君の頭をよくできました、と撫でれば「レジィ」とどこか不機嫌なフリードリヒ。けどそれ以上言わないのはアルシュがニコニコしてるからだろうなー。後でフリードリヒの頭を撫でさせてもらおう。
「ね、ね。そのままブローチ用のガラスを作ってもらってもいい?」
「いいよ! レジィは特別だからな!」
ぱっと顔を上げて満面の笑みを浮かべるアレクトス君。かーわーいーいー!
「師匠、いいですか?」
「練習にもなるだろうしな。構わん! やれ!」
「ありがとうございます!」
そう言って作りたてのすりガラスをカウンターに置くと、アレクトス君がまた見えない何かを持つ。
そして僕が頼んだブローチの数よりもたくさん作ってくれたことに感謝をすると、ドロンガさんがすぐにブローチにしてくれた。代金を支払おうとしたけど止められちゃった。でも「それはそれ、これはこれ。職人さんにお金を払うのは当然です」と言えば渋々受け取ってくれた。
それからアレクトス君にお金を渡すと「いらねぇよ!」と言われたけど「でもこれでたくさん勉強してほしいな」って言えば、またしても泣きそうになる。え? え?
「こいつ、孤児院育ちでな」
「ああ…」
と言うことは孤児院のお金になっちゃうのかな? だとしたら寄付って形の方がいいのかな? なんて思っていたらドロンガさんが「あれは間違いなく対価だからあいつの物ですよ」と言ってくれた。
それにほっとしながら万華鏡用の鏡ともう一つのガラスをアレクトス君に作ってもらっていると「ただいま戻りましたー」とリーシャがハーミット先生を連れて戻ってきた。
あれ?! ハーミット先生?!
「いやー、偶然ばったりとばあちゃん家の前で会ったので手伝ってもらいました」
「…おう」
「はえー、そうなんですかー」
すごい偶然だなーと感心していたら目ざとくリーシャが「何か魔法使いました?」って聞いてくる。リーシャって嗅覚がすごいよね。
「うん。アレクトス君にブローチ用のガラスを作ってもらったんだ」
そう言って作ってもらったブローチをリーシャに見せると「すごい…」と瞳を丸くした。
え? そんなにすごいの?
「これ土魔法でもトップクラスのできです」
「ほへー…アレクトス君すっごいね!」
「だ、だからレジィのおかげだ!」
「…また人をたぶらかしてる」
「人聞きの悪いこと言わないで!」
むしゃー!とリーシャに噛み付けばハーミット先生から荷物を受け取ったドロンガさんが「材料もそろったしそろそろマンゲキョウを作ろうか」と告げる。
それにはーい!と言えば「マンゲキョウ?」とハーミット先生が首を傾げる。あ、そっか。ハーミット先生は知らないんだっけ?
「くるくる回すと綺麗な物が見えるものですよ」
「ほーん。面白そうだし俺も見ていこう」
「じゃあじゃあ一緒に作りましょう!」
ハーミット先生も誘ってみんなで万華鏡作り。
ガラスパーツは完全に土魔法をマスターしたっぽいアレクトス君がガンガン作ってくれる。それを見たリーシャも唸るくらいだから相当な腕前だね!
「この紙筒を20cm位に切って、この布を…」
リーシャに頼んだいい感じの布も本当にいい感じで僕にっこり。
それぞれ布を選んで切って貼って。両面テープなんて便利なものはないからグルーガンみたいなやつで紙筒をおしゃれにして、アレクトス君に頼んで真ん中だけ見えるようにしたガラスをはめて三角形にしたガラスを入れて反対の方にもガラスをはめる。
それからビーズとかいれるんだけど、そのことをすっかりと忘れてた僕。どうしよう、としょんもりとしているとアレクトス君が色んなガラスを作ってわざわざ砕いてくれた。そんな気遣いのできるアレクトス君に抱き付いて「ありがとー!」と言えば顔を真っ赤にして「レジィが困ってたから」って小さい声で言われて思わず抱き付けば「っく…うらやましい!」とフリードリヒが悔しそうにつぶやいた。
フリードリヒは後でぎゅってするからね!
それぞれ砕かれたガラスを思い思いの色を入れてすりガラスをはめて完成!
皆自分だけの万華鏡を作りだして大満足!
「よし! できたね!じゃあ、覗いてみよう!」
僕のその声でみんなが作った万華鏡を覗く。
赤、青、白、黄色などなどの色が模様を変えて楽しませてくれる。
久しぶりに見たけどやっぱり面白いなぁ。
万華鏡をくるくると回しているとふと、うさぎとユニコーンらしき影が映りこんだ。時に太陽がうさぎを照らして、時に月がユニコーンを照らす。
あれあれ?
僕、こんなガラス入れたっけ?
よく分んないけど可愛いからいいや!
存分に万華鏡を堪能してからドロンガさんが「これを売り出してもいいかい?」となぜか僕に聞く。それに首を傾げれば「ある意味これは秘密みたいなもんだろう?」と言われるけどあっちの世界じゃ小学生でも知ってるものだからね。秘密でも何でもないんだよね。
それに「好きにしてください」と言えばドロンガさんとハーミット先生の口があんぐりと開いた。それにリーシャも瞳を丸くしてアルシュもノアも信じられないという顔をしている。
え?え? なになに?
「レイジ…じゃなかったレジィ本気で言ってるの?!」
「え? うん」
リーシャが僕の腕を掴んでがくがくと揺さぶってくる。うぷ。あんまり揺らさないでほしいなー。
「こんな技術をぽんと人に渡すんですか?!」
「別に僕は万華鏡で儲けようとか思ってないし。そもそもドロンガさんがもともと持ってたものだし、アレクトス君がいないとできないんだよ? あ、そうなるとアルシュにはその権利があるのかも?」
そう言ってアルシュを見れば「わ…俺もレジィと同じでそちらに全て任せる」と告げる。
「だから万華鏡はドロンガさんとアレクトス君がどうしたいのか決めていいよ? あ、でも布だけはおばあちゃん店主さんの所から仕入れてくれれば僕は構わないかな!」
うんうん。とってもいい考えだ、と頷けばドロンガさんとアレクトス君がぽかんとしてる。
「あ、もしかして貴族だから独り占めー!とか思ってた?」
「普通はそう思いますよ」
「そうなの?」
「そうですね」
ハーミット先生とノアに言われて首を傾げれば「レジィって貴族だったのか…」というアレクトス君の呟きにハッとする。
あ、いや。別にだますとかじゃなくてとわたわたとしてると「レジィは貴族っぽくないからね」とチクリとリーシャに言われてしまった。ごめんー!
「まぁ…リーシャの知り合いだからそうだとは思っていたが…。でも本当にいいんですか?」
「いいよー。さっきも言ったけどこれはアレクトス君がいないと作れないからね。じゃんじゃん作って皆を楽しませてあげて!」
えへーと笑えば「ありがとうございます」とドロンガさんに頭を下げられちゃった。それを見てアレクトス君も頭を下げる。
ううーん…、僕こういうの苦手だぁ。僕が頭を下げてた側だからかもしれないけど。
「レジィ。そろそろ戻ろうか」
「あ、もうそんな時間ですか?」
「というよりご飯の時間だな」
「ご飯!」
万華鏡とブローチ作りに夢中になってすっかりとご飯を忘れてた! なんてことだ!
ご飯と聞いた途端僕のお腹が「ぐうぎゅるるるるる」と盛大に鳴く。
空気読んで…!僕のお腹…!
恥ずかしー!と顔を両手で隠せばドロンガさんが「がっはっはっは!」と笑う。
「うさぎの子は儲け話よりも食い気か!」
「あああああ! 恥ずかしいー!」
「師匠! 女の子に何てこと言うんですか!」
アレクトス君の言葉にぶばっとハーミット先生が吹き出す。酷い! いや、酷くはないけどなんか気分的に酷い!
「レジィ! 俺はよく食べる女の子は可愛いと思うんだ!」
「ふむ。確かに良く食べる子は見ていて気持ちがいいからな」
「なんだ! 兄ちゃん分かってるじゃん!」
「お前もな」
なんかよく分んないけどフリードリヒとアレクトス君の間に友情が生まれ、ハーミット先生はツボに入ったらしくお腹を押さえて肩を激しく上下に揺らしている。
アルシュとノアは肩を竦め、リーシャはぐーぐーと鳴く僕のお腹の怪獣に「今日は激しいね」なんて話しかけてるし…!
万華鏡は2人に任せたからね!
僕はもう知らないんだから!
そんな万華鏡。
後に王都中の貴族がこぞって買いに来ることになるなど今の僕は知る由もなかった。
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