36 / 105
王都編
いざ!王都へ!
しおりを挟む
準備が終わりそろそろ出発、と言う所で侍女さん達が僕のところに集まってきた。わお! どうしたの?
「レイジス様、こちらを」
そういって渡してくれたのはうさぎの顔のぬいぐるみショルダーバッグ。結構な大きさだ!
それを受け取って顔に当ててみると僕の顔がすっぽり隠れちゃう。すごーい! というかどうしたの? これ?
「これは?」
「昨夜完成いたしまして…」
「完成ってことは…作ったの?! すごーい!」
裁縫とか僕はさっぱりだから物が作れるってだけですごいのに、こんな大きな…しかもバッグ! すごいとしか言いようがない。
あまりの嬉しさに、きゃあとバッグを抱き締めもふもふとしてると「これはまた…可愛いものを貰ったね」と父様の声がした。その声に顔を上げると「えと、作ってもらいましたです!」と自分のことのように言えば「そうかそうか。よかったな」と頭を撫でてくれる。
父様のおっきな手で撫でられるの嬉しいなー。
「レイジスのためにありがとう」
「い、いえ! いつもおいしい物を食べさせていただいておりますので」
父様の人たらし笑顔に侍女さん達の頬がぼぼぼっと赤くなる。うふふ。
すると「失礼いたします!」と言って集まってくれてた全員がばびょっとものすごい勢いで散っていく。転ばないでねー!
「レイジス、それをよく見せてもらってもいいかい?」
「? はい!どうぞ!」
侍女さん達がいなくなって僕と父様だけになると、父様が貰ったぬいぐるみバッグを指さす。あ、父様もぬいぐるみ好きなんですか?
そんな事を思いながら父様にカバンを渡すと「ふむ」と言いながらむにむにもみもみ。おおー。父様もその布の気持ちよさが分かりますか?!
「これはなかなか…」
「良い手触りでしょう?! 僕、大好きなんです!」
ふんすー!と力説すれば「ああ!分かる! 分かるぞレイジス!」と父様も全力で頷いてくれる。わー! やっぱり気持ちいいですよね! わーい!父様も分ってくれたー!
やほーい!と両手を上げて喜べば「よし、父様がかけてやるからな!」と言って、それを肩にかけてくれた。おうふ?! 意外と重いな?!
さっき貰った時もちょっと重いなとは思ったけどなにが入ってるんだろう? これ。
「可愛い! 可愛いぞレイジス!」
「ホントですか!」
「ああ!フードも被ったらもっと可愛い!」
「じゃあ被りますね!」
ワンダホ―!と両手を叩いて誉めてくれる父様に言われるように制服のフードを被れば、てろりと耳が垂れさがりロップイヤーのようになる。
「どうですか?」
「可愛い! レイジス可愛いぞー!」
「わーい! 父様ー!」
「レイジスー!」
きゃっきゃとじゃれ合いながらまたしてもくるくると回る。わーい!
「楽しそうだな。レイジス」
「フリードリヒ殿下!」
さっきくるくるしすぎてふらふらになったからか、数回まわってすぐに地面に降ろされる。
そしてフリードリヒに侍女さん達にもらったバッグを両手で見せれば「それはどうしたんだい?」と首を傾げた。
「さっき侍女さん達にもらったんです!」
「そうかそうか。また可愛らしいものを貰ったね」
「はい!」
フリードリヒにも頭を撫でられ、んふふーとしていると「フリードリヒ殿下」とアルシュが小走りでやってきた。お? アルシュだ!
「そろそろ出発ですのでお戻りを」
「ああ、分かった」
「じゃあ父様と少しのお別れですね」
「そうだな。だが王都につけばミュルスも待ってるからな」
「はい!」
最後に父様に頭を撫でられてからバイバイをする。父様とフリードリヒの後ろにいたフィルノさんとエストラさんたちは馬車で、僕たちは飛竜便で。
でも便って言うくらいだから荷物とかを運ぶところに乗るのかな? なんて思いながら飛竜がいるという所まで少し歩く。
さすがに校庭に降りることは許可できなかったらしいから近くの川辺にいるんだって。それってもしかしなくてもアンギーユさんがいるあの川だよね?
先生たちも王族の紋がついた馬車の後ろについて王都まで行くみたいだからいるのは僕とフリードリヒ、アルシュにノア、リーシャのいつもの5人。でもフリードリヒと僕を最重要として扱うらしい。
まぁ一国の王子と世界にそんなにいない治癒魔法の使い手ということだからね。川まで一緒に歩いてる兵士さんもピリピリしてる。
「そう言えば、レイジス様」
「なに?」
「そのバッグどうしたんですか?」
「ん? これ?」
歩くたびにうさうさと主張してくるうさぎのぬいぐるみショルダーバッグ。父様に言われてフードを被ったままだけど「むしろそのままで」とノアに言われちゃったからフードを被ったまま。
「侍女さん達に貰ったの! 昨夜完成したんだって!」
「可愛いですね」
「うん! だから王都に行ったら侍女さん達にお土産買わないと!」
「おや、それはいい考えですね」
会話をしながら歩けば川まで直ぐ。早いねー。初めてきた時は僕の体調を考えてのんびりゆっくりだったからね。今は体調も安定して夜にお医者さんを呼ぶ、なんてことはあんまりなくなった。
謎頭痛は完全になくなったわけじゃないけど、今のところはないからほっとしてる。それに今度頭痛があったら学園長先生に報告しなきゃだからね。
「レイジス、着いたぞ。あれが飛竜だ」
「ほわー!」
川にたどり着くと、オレンジ色っぽい子が三頭いた。ほわー!ほわー! カッコイイー!
ふんふんと興奮してる僕をアルシュがくすりと笑うけど、僕だって男の子だからね! 可愛いものも好きだけどカッコいいのも好きなんだよ!
「レイジス様大興奮ですねー」
「まぁ飛竜はロマンだから」
リーシャの言葉にうんうんと全力で頷けば「ほら、これに乗るぞ」とフリードリヒが言う。
乗る? 乗るの?!
「これに乗るんですか?!」
「ああ。もちろん背中に、だぞ」
「わー!」
すごーい! 飛竜の背中に乗れるの?!
というか竜の背中にのるなんて向こうじゃ考えられなかったからね! うわー!うわー!
知らずにぴょんぴょんと跳ねてたらしくて「レイジス様、落ち着いてください」とそっと両肩に手を乗せられ止められた。
ほあ?! アルシュごめん。
「興奮しすぎて落ちないでくださいよ?」
「それは分らない!」
「せめて「落ちないよ!」って言ってほしかったですね」
リーシャの言葉にきりっとそう言えば、ノアが笑いながら突っ込んでくる。無理だよー! こんな…こんな竜を見たら興奮するなって言う方が無理じゃない!?
でもさ。この飛竜、竜とはちょっと違う気がするんだよ。いや、飛竜ってだけで興奮するんだけど。
こう…竜らしい竜じゃなくてなんていうか…そう、プテラノドン。嘴みたいにお口がびょっと伸びてて結構目がつぶらで可愛い。
あれだ。恐竜。
でも恐竜でも動いてる姿なんか見たことないじゃん? 僕はもうそれだけで大興奮だよ!
「お待ちしておりました。フリードリヒ殿下」
「ああ。頼む」
「お任せください」
ギャーッ、ギャーッって鳴いてる声はおっきい。それでも世話をしてる人たちには素直に従ってる。すごーい。
「こちらがレイジスだ」
「あ、レイジス・ユアソーンです。よろしくお願いします」
「本日こちらの飛竜を飛ばしますグルキテス、と申します」
そう言ってにっこりと笑うグルキテスさん。おお、フィルノさんとエストラさんとは大違いだ! めちゃくちゃいい人っぽい。
ほんわーとした空気に僕もほんわーとしてると「あ、そうだ」とグルキテスさんがフリードリヒを見た。おお?
「警備の都合で本日はフリードリヒ殿下はレイジス様とは違う飛竜にお乗りください」
「なんだと?! レイジスと一緒ではないのか?!」
「はい。本日はトライアングルで飛びますので」
「トライアングル…三角形?」
首を傾げながらそう言えば「はい」とグルキテスさんが頷いた。
「飛竜は偵察、後ろの馬車が本命だと思わせる為にトライアングルで飛行します」
「となると先頭が一番安全か」
「はい。ですから先頭にフリードリヒ殿下をお乗せして、右と左で分かれます」
「ふむ」
「それに万が一があれば…」
「私だけでも、ということか」
「…はい」
まぁそうなるよね。治癒魔法が使える人はまだ世界にいるんだから優先順位は当然フリードリヒよりも低いのは当たり前。代わりがいるからね。でもフリードリヒの代わりはいないから最優先だよね。
「僕は飛竜に乗れるならどこでも!」
「レイジス…!」
フリードリヒのどこか悲しそうな声に首を傾げると「レイジス様ですねぇ」とノアが言う。おん? どういうこと?
「でもそれだと飛竜の数足りなくない?」
一人一人乗るの? そうなると数が足りないよ?
「飛竜にはお二人ずつ乗っていただきます。警備の関係でもう一頭はお一人だけで乗られることになりますが」
「なら私が一人で乗りましょう」
「ノアずるーい!」
「おや? リーシャの質問に「落ちない」と言われませんでしたからね。心配ですので私が一人で乗りますね」
「う、ぐぐぐぐ…!」
残念ですねーと心にもないことを言うノアに何も言い返せずむぐぐと唸る僕。なんであの時嘘でも「落ちないよ?!」って言わなかったんだよー! 僕のバカー!
「隊長。準備できました」
「分かった。こっちはシンリック。もう一人はモドロンと申します」
「えと…僕はシンリックさんの飛竜に乗るんですか?」
「そうなりますね。ノア殿はモドロンの飛竜に乗ることになります」
「分かりました」
さくさくと決まるけど、僕は誰かと一緒に乗るんだよね? ノアは一人で乗るしフリードリヒとも一緒に乗らない。となるとリーシャかアルシュかー。どっちでもいいけどね!
「では私がレイジス様と一緒に」
「アルシュだ!」
「はい。アルシュですよ」
にこにことしながら胸に手を当てるアルシュに「よろしくね!」と言えば「よろしくお願いします」と返ってきた。じゃあフリードリヒはリーシャと一緒かー。
「では時間もありますのでそれぞれの飛竜にお乗りください」
「はーい!」
元気よく手をあげて返事をすればグルキテスさんにくすくすと笑われてしまった。けどいいもん! 飛竜に乗れるんだから!
「レイジス」
「ふぁい?」
わくわくとしながら歩き出す所をフリードリヒに呼び止められた。なに?
「わっ!」
するとぎゅうと抱き締められた。ん? どうしたの?
「呪いだよ」
「?」
「無事にたどり着くように」
「あ、じゃあ僕からもおまじないです!」
飛竜に乗る前にハグをして無事を祈る。これがこの世界では普通なのかもしれない。だから僕もフリードリヒをぎゅうと抱き締め返すと、身体が離れた。それからフードを少しずらされて額にキスをされる。はわぁ?!
「王都でまた会おう」
「は、はい!」
するっと頬を撫でられると今度こそ離れていくフリードリヒ。はわわ。びっくりした。
ばくばくとうるさい胸を押さえて背中を見送る。あ、これたぶん僕顔真っ赤だ。
「レイジス様?」
「わっひょい?!」
うわ!わっしょい!みたいな言葉が出た。別の意味でばくばくとする胸を押さえて振り向けば、アルシュが立っていた。びびびびびっくりした。
「私たちも飛竜に乗りましょうか」
「あ、うん」
ってあれ? 違う意味のどきどき?
さっきビックリしたからどきどきはしたね。うん。うっかり口から心臓が出そうなほど驚いた。
でも…。でもさっきフリードリヒが頬を撫でた時に見たあの瞳。あれにドキッとしたのはなんなんだろう?
こくこくと頭を左右に動かしてドキドキの意味を探してた僕だけど、アルシュの「レイジス様」という呼びかけに「はーい!」と返事をするとよく分らない感情を放り投げた。
■■■
「足元、お気を付けください」
「レイジス様、手を」
「ん…しょっと」
シンリックさんとアルシュに助けられながら、うんせうんせと飛竜に乗りこむ。おおー。たかーい!
そりゃそうか。伏せてても3mくらいの高さだからね。ひいひいと言いながら登って息切れ。おおう…まだまだ体力はないなぁ…。
「ベルトでお二人の身体を繋いでください。飛び立ち、飛行が安定するまで身体を倒していてくださいね」
「はーい」
シンリックさんの言う通りにベルトでアルシュと身体を繋いでおく。たぶんこれ吹き飛ばされないように、だよね。飛竜がどれだけのスピードが出るか分んないけど滅茶苦茶早そう…。大丈夫かな?
「それと飛行が安定するまでしゃべらないでください。舌を噛みますからね」
「はーい!」
「良いお返事で私も嬉しいです。それではよろしくお願いします」
「お願いします」
かちゃっとシンリックさんがゴーグルをして、何かしら合図を送ってる。ふわー!ドキドキするー!
「それでは出発しますので、お口は閉じててくださいね?」
シンリックさんの言葉にこくりと頷くと、ぶわりとまずはグルテキスさんが操る飛竜が飛びあがると、ゆっくりと翼を上下に動かし浮き上がっていく。
それをほわーと見ていると「失礼します」とアルシュが耳元で囁く。「え?」と思う前にお腹に腕を回され後ろから抱き付かれる体勢に瞳を瞬かせる。
途端、バサリという大きな音がして翼がゆっくりと上下に動きだす。そしてふわりと宙に浮く感覚。翼の動きと連動し上下に揺れながらゆっくりと上昇する。
そして――。
ばさり、と大きな一羽ばたきをしたかと思えば、ぶわりと上へと舞い上がる。
その時、飛竜の身体が垂直に近い体勢を取ったから、ずるっとお尻が下がる。でも背中から抱き締めてくれるアルシュの胸に背中が当りそれ以上下がることはない。けどこれアルシュ滅茶苦茶大変なんじゃ?!
なんて考えてると、フードが風で外れそうになり慌てて両手で押さえると「良い判断です」とアルシュに褒められた。わーい!
じゃなくて。
しばらくそのまま垂直に飛んだかと思えば、雲を突き抜ける。ほわ?!
思わず瞳を閉じ身体を固くすると、アルシュの腕が強くなった。あ、なんか出そう! アルシュ!アルシュ!なんか出そう! でもフードが外れちゃう!
そんな訳が分からない時間を数十秒体験すると、途端に身体が安定した。ほへ?
「レイジス様、目を開けても大丈夫ですよ」
「んえー…」
お腹に回された腕から力が抜けてほっとした所を狙ってかシンリックさんがそう言う。ぎゅうとフードが脱げないようにしていた手を離し、ゆっくりと瞼を持ち上げればそこにはどこまでも続く青。
下には白い雲があって、飛竜の影を映している。
ふわー!すごーい!
太陽の光が眩しいけど、フードで少しの影があるからそこまで眩しくない。
「どうですか? レイジス様」
「すごーい!」
飛行機でもこういう景色は見えるけど当然窓から。だから遮るものが何もない広い広い空を見るのは初めてだ。
ふわぁ、としか言えない僕にシンリックさんが「良い景色でしょう?」と振り向く。風が少し冷たいけどそれが今、空にいるってことを教えてくれる。
「すごい! すごーい!」
「ふはっ。レイジス様って良い反応してくれますからね。ここまで連れてきてよかったです」
「ありがとうございます! シンリックさん!」
シンリックさんにお礼を言えば「では降下しましょうか」と告げられる。あれ? ってことはこれを見せてくれる為だけにあれだけ上昇したの?
そういえばグルキテスさんとモドロンさんの飛竜の姿が見えないのはそのためかー。
「飛竜を怖がらずにいてくれたお礼です」
「?」
シンリックさんの言葉に首を傾げれば、顔が前を向く。
「飛竜と言っても元は魔物―ワイバーンですからね。怖がる奴の方が圧倒的に多いんですよ」
あ、やっぱりこの飛竜、ワイバーンなんだ。
魔物図鑑読んでるときにプテラノドンに似てるなーとしか思わなかったし、竜自体に乗れるってだけでテンション爆上がりだったからね。
でもワイバーンって群れで行動するんじゃなかったっけ?
「こいつらは怪我をして群れから追い出されたやつらなんです。それをグルテキスとモドロンと私が治療したんです」
「ほわー、すごいですねー!」
「それから騎士団に拾ってもらって飛竜隊としてますがやはり怖がる人ばかりで…」
「こいつらは他のやつらとは違うんですけど、やっぱり『魔物』ですからね」と寂しそうに笑うシンリックさん。
そんなシンリックさんを慰めるように「キューイ」と鳴く飛竜。うん、良い信頼関係だ。
「ですから飛竜を見てはしゃぐレイジス様に何かしてあげられないかと思いまして」
「こちらこそありがとうございます! 空の上なんてめったに来られませんから!」
「そう言っていただけると嬉しいです」
ふはっと笑うシンリックさんに、僕もにこにことする。そっかー。この子怪我してたのかー。でもいい人に拾ってもらえてよかったね。
フードを押さえていた右手を離して「よしよし」と背中を撫でる。
「さて、本当に降下しないといけませんね」
「あ、はーい!」
シンリックさんの言葉に返事をすると、飛竜がゆっくりと雲へと沈み直ぐ抜けた。ほわぁ。抜けるときは早い!
降下した所で待っていたのはグルテキスさんとモドロンさん。ばっさばっさとその場でホバリングしてたのかな?
お待たせしましたー。
「お帰り。シンリック」
「ただいま。喜んでいただいたよ」
「そうか。なら王都に向けていくぞ」
三人の息もぴったりで、グルテキスさんが手綱を引くと飛竜が真っ直ぐ飛ぶ。少し距離を置いてシンリックさんとモドロンさんが手綱を引き真っ直ぐ飛び始める。
このまま何事もなく王都へと行けるよね、なんてフラグをたてた僕がバカだった。
「うさぎ耳フードを被った奴を乗せているワイバーンを狙え!」
そんな掛け声と共に四頭のワイバーンに乗った野盗と思しき男たちが急に現れ、ワイバーンの口から火の弾が僕たちに向かって放たれた。
「レイジス様、こちらを」
そういって渡してくれたのはうさぎの顔のぬいぐるみショルダーバッグ。結構な大きさだ!
それを受け取って顔に当ててみると僕の顔がすっぽり隠れちゃう。すごーい! というかどうしたの? これ?
「これは?」
「昨夜完成いたしまして…」
「完成ってことは…作ったの?! すごーい!」
裁縫とか僕はさっぱりだから物が作れるってだけですごいのに、こんな大きな…しかもバッグ! すごいとしか言いようがない。
あまりの嬉しさに、きゃあとバッグを抱き締めもふもふとしてると「これはまた…可愛いものを貰ったね」と父様の声がした。その声に顔を上げると「えと、作ってもらいましたです!」と自分のことのように言えば「そうかそうか。よかったな」と頭を撫でてくれる。
父様のおっきな手で撫でられるの嬉しいなー。
「レイジスのためにありがとう」
「い、いえ! いつもおいしい物を食べさせていただいておりますので」
父様の人たらし笑顔に侍女さん達の頬がぼぼぼっと赤くなる。うふふ。
すると「失礼いたします!」と言って集まってくれてた全員がばびょっとものすごい勢いで散っていく。転ばないでねー!
「レイジス、それをよく見せてもらってもいいかい?」
「? はい!どうぞ!」
侍女さん達がいなくなって僕と父様だけになると、父様が貰ったぬいぐるみバッグを指さす。あ、父様もぬいぐるみ好きなんですか?
そんな事を思いながら父様にカバンを渡すと「ふむ」と言いながらむにむにもみもみ。おおー。父様もその布の気持ちよさが分かりますか?!
「これはなかなか…」
「良い手触りでしょう?! 僕、大好きなんです!」
ふんすー!と力説すれば「ああ!分かる! 分かるぞレイジス!」と父様も全力で頷いてくれる。わー! やっぱり気持ちいいですよね! わーい!父様も分ってくれたー!
やほーい!と両手を上げて喜べば「よし、父様がかけてやるからな!」と言って、それを肩にかけてくれた。おうふ?! 意外と重いな?!
さっき貰った時もちょっと重いなとは思ったけどなにが入ってるんだろう? これ。
「可愛い! 可愛いぞレイジス!」
「ホントですか!」
「ああ!フードも被ったらもっと可愛い!」
「じゃあ被りますね!」
ワンダホ―!と両手を叩いて誉めてくれる父様に言われるように制服のフードを被れば、てろりと耳が垂れさがりロップイヤーのようになる。
「どうですか?」
「可愛い! レイジス可愛いぞー!」
「わーい! 父様ー!」
「レイジスー!」
きゃっきゃとじゃれ合いながらまたしてもくるくると回る。わーい!
「楽しそうだな。レイジス」
「フリードリヒ殿下!」
さっきくるくるしすぎてふらふらになったからか、数回まわってすぐに地面に降ろされる。
そしてフリードリヒに侍女さん達にもらったバッグを両手で見せれば「それはどうしたんだい?」と首を傾げた。
「さっき侍女さん達にもらったんです!」
「そうかそうか。また可愛らしいものを貰ったね」
「はい!」
フリードリヒにも頭を撫でられ、んふふーとしていると「フリードリヒ殿下」とアルシュが小走りでやってきた。お? アルシュだ!
「そろそろ出発ですのでお戻りを」
「ああ、分かった」
「じゃあ父様と少しのお別れですね」
「そうだな。だが王都につけばミュルスも待ってるからな」
「はい!」
最後に父様に頭を撫でられてからバイバイをする。父様とフリードリヒの後ろにいたフィルノさんとエストラさんたちは馬車で、僕たちは飛竜便で。
でも便って言うくらいだから荷物とかを運ぶところに乗るのかな? なんて思いながら飛竜がいるという所まで少し歩く。
さすがに校庭に降りることは許可できなかったらしいから近くの川辺にいるんだって。それってもしかしなくてもアンギーユさんがいるあの川だよね?
先生たちも王族の紋がついた馬車の後ろについて王都まで行くみたいだからいるのは僕とフリードリヒ、アルシュにノア、リーシャのいつもの5人。でもフリードリヒと僕を最重要として扱うらしい。
まぁ一国の王子と世界にそんなにいない治癒魔法の使い手ということだからね。川まで一緒に歩いてる兵士さんもピリピリしてる。
「そう言えば、レイジス様」
「なに?」
「そのバッグどうしたんですか?」
「ん? これ?」
歩くたびにうさうさと主張してくるうさぎのぬいぐるみショルダーバッグ。父様に言われてフードを被ったままだけど「むしろそのままで」とノアに言われちゃったからフードを被ったまま。
「侍女さん達に貰ったの! 昨夜完成したんだって!」
「可愛いですね」
「うん! だから王都に行ったら侍女さん達にお土産買わないと!」
「おや、それはいい考えですね」
会話をしながら歩けば川まで直ぐ。早いねー。初めてきた時は僕の体調を考えてのんびりゆっくりだったからね。今は体調も安定して夜にお医者さんを呼ぶ、なんてことはあんまりなくなった。
謎頭痛は完全になくなったわけじゃないけど、今のところはないからほっとしてる。それに今度頭痛があったら学園長先生に報告しなきゃだからね。
「レイジス、着いたぞ。あれが飛竜だ」
「ほわー!」
川にたどり着くと、オレンジ色っぽい子が三頭いた。ほわー!ほわー! カッコイイー!
ふんふんと興奮してる僕をアルシュがくすりと笑うけど、僕だって男の子だからね! 可愛いものも好きだけどカッコいいのも好きなんだよ!
「レイジス様大興奮ですねー」
「まぁ飛竜はロマンだから」
リーシャの言葉にうんうんと全力で頷けば「ほら、これに乗るぞ」とフリードリヒが言う。
乗る? 乗るの?!
「これに乗るんですか?!」
「ああ。もちろん背中に、だぞ」
「わー!」
すごーい! 飛竜の背中に乗れるの?!
というか竜の背中にのるなんて向こうじゃ考えられなかったからね! うわー!うわー!
知らずにぴょんぴょんと跳ねてたらしくて「レイジス様、落ち着いてください」とそっと両肩に手を乗せられ止められた。
ほあ?! アルシュごめん。
「興奮しすぎて落ちないでくださいよ?」
「それは分らない!」
「せめて「落ちないよ!」って言ってほしかったですね」
リーシャの言葉にきりっとそう言えば、ノアが笑いながら突っ込んでくる。無理だよー! こんな…こんな竜を見たら興奮するなって言う方が無理じゃない!?
でもさ。この飛竜、竜とはちょっと違う気がするんだよ。いや、飛竜ってだけで興奮するんだけど。
こう…竜らしい竜じゃなくてなんていうか…そう、プテラノドン。嘴みたいにお口がびょっと伸びてて結構目がつぶらで可愛い。
あれだ。恐竜。
でも恐竜でも動いてる姿なんか見たことないじゃん? 僕はもうそれだけで大興奮だよ!
「お待ちしておりました。フリードリヒ殿下」
「ああ。頼む」
「お任せください」
ギャーッ、ギャーッって鳴いてる声はおっきい。それでも世話をしてる人たちには素直に従ってる。すごーい。
「こちらがレイジスだ」
「あ、レイジス・ユアソーンです。よろしくお願いします」
「本日こちらの飛竜を飛ばしますグルキテス、と申します」
そう言ってにっこりと笑うグルキテスさん。おお、フィルノさんとエストラさんとは大違いだ! めちゃくちゃいい人っぽい。
ほんわーとした空気に僕もほんわーとしてると「あ、そうだ」とグルキテスさんがフリードリヒを見た。おお?
「警備の都合で本日はフリードリヒ殿下はレイジス様とは違う飛竜にお乗りください」
「なんだと?! レイジスと一緒ではないのか?!」
「はい。本日はトライアングルで飛びますので」
「トライアングル…三角形?」
首を傾げながらそう言えば「はい」とグルキテスさんが頷いた。
「飛竜は偵察、後ろの馬車が本命だと思わせる為にトライアングルで飛行します」
「となると先頭が一番安全か」
「はい。ですから先頭にフリードリヒ殿下をお乗せして、右と左で分かれます」
「ふむ」
「それに万が一があれば…」
「私だけでも、ということか」
「…はい」
まぁそうなるよね。治癒魔法が使える人はまだ世界にいるんだから優先順位は当然フリードリヒよりも低いのは当たり前。代わりがいるからね。でもフリードリヒの代わりはいないから最優先だよね。
「僕は飛竜に乗れるならどこでも!」
「レイジス…!」
フリードリヒのどこか悲しそうな声に首を傾げると「レイジス様ですねぇ」とノアが言う。おん? どういうこと?
「でもそれだと飛竜の数足りなくない?」
一人一人乗るの? そうなると数が足りないよ?
「飛竜にはお二人ずつ乗っていただきます。警備の関係でもう一頭はお一人だけで乗られることになりますが」
「なら私が一人で乗りましょう」
「ノアずるーい!」
「おや? リーシャの質問に「落ちない」と言われませんでしたからね。心配ですので私が一人で乗りますね」
「う、ぐぐぐぐ…!」
残念ですねーと心にもないことを言うノアに何も言い返せずむぐぐと唸る僕。なんであの時嘘でも「落ちないよ?!」って言わなかったんだよー! 僕のバカー!
「隊長。準備できました」
「分かった。こっちはシンリック。もう一人はモドロンと申します」
「えと…僕はシンリックさんの飛竜に乗るんですか?」
「そうなりますね。ノア殿はモドロンの飛竜に乗ることになります」
「分かりました」
さくさくと決まるけど、僕は誰かと一緒に乗るんだよね? ノアは一人で乗るしフリードリヒとも一緒に乗らない。となるとリーシャかアルシュかー。どっちでもいいけどね!
「では私がレイジス様と一緒に」
「アルシュだ!」
「はい。アルシュですよ」
にこにことしながら胸に手を当てるアルシュに「よろしくね!」と言えば「よろしくお願いします」と返ってきた。じゃあフリードリヒはリーシャと一緒かー。
「では時間もありますのでそれぞれの飛竜にお乗りください」
「はーい!」
元気よく手をあげて返事をすればグルキテスさんにくすくすと笑われてしまった。けどいいもん! 飛竜に乗れるんだから!
「レイジス」
「ふぁい?」
わくわくとしながら歩き出す所をフリードリヒに呼び止められた。なに?
「わっ!」
するとぎゅうと抱き締められた。ん? どうしたの?
「呪いだよ」
「?」
「無事にたどり着くように」
「あ、じゃあ僕からもおまじないです!」
飛竜に乗る前にハグをして無事を祈る。これがこの世界では普通なのかもしれない。だから僕もフリードリヒをぎゅうと抱き締め返すと、身体が離れた。それからフードを少しずらされて額にキスをされる。はわぁ?!
「王都でまた会おう」
「は、はい!」
するっと頬を撫でられると今度こそ離れていくフリードリヒ。はわわ。びっくりした。
ばくばくとうるさい胸を押さえて背中を見送る。あ、これたぶん僕顔真っ赤だ。
「レイジス様?」
「わっひょい?!」
うわ!わっしょい!みたいな言葉が出た。別の意味でばくばくとする胸を押さえて振り向けば、アルシュが立っていた。びびびびびっくりした。
「私たちも飛竜に乗りましょうか」
「あ、うん」
ってあれ? 違う意味のどきどき?
さっきビックリしたからどきどきはしたね。うん。うっかり口から心臓が出そうなほど驚いた。
でも…。でもさっきフリードリヒが頬を撫でた時に見たあの瞳。あれにドキッとしたのはなんなんだろう?
こくこくと頭を左右に動かしてドキドキの意味を探してた僕だけど、アルシュの「レイジス様」という呼びかけに「はーい!」と返事をするとよく分らない感情を放り投げた。
■■■
「足元、お気を付けください」
「レイジス様、手を」
「ん…しょっと」
シンリックさんとアルシュに助けられながら、うんせうんせと飛竜に乗りこむ。おおー。たかーい!
そりゃそうか。伏せてても3mくらいの高さだからね。ひいひいと言いながら登って息切れ。おおう…まだまだ体力はないなぁ…。
「ベルトでお二人の身体を繋いでください。飛び立ち、飛行が安定するまで身体を倒していてくださいね」
「はーい」
シンリックさんの言う通りにベルトでアルシュと身体を繋いでおく。たぶんこれ吹き飛ばされないように、だよね。飛竜がどれだけのスピードが出るか分んないけど滅茶苦茶早そう…。大丈夫かな?
「それと飛行が安定するまでしゃべらないでください。舌を噛みますからね」
「はーい!」
「良いお返事で私も嬉しいです。それではよろしくお願いします」
「お願いします」
かちゃっとシンリックさんがゴーグルをして、何かしら合図を送ってる。ふわー!ドキドキするー!
「それでは出発しますので、お口は閉じててくださいね?」
シンリックさんの言葉にこくりと頷くと、ぶわりとまずはグルテキスさんが操る飛竜が飛びあがると、ゆっくりと翼を上下に動かし浮き上がっていく。
それをほわーと見ていると「失礼します」とアルシュが耳元で囁く。「え?」と思う前にお腹に腕を回され後ろから抱き付かれる体勢に瞳を瞬かせる。
途端、バサリという大きな音がして翼がゆっくりと上下に動きだす。そしてふわりと宙に浮く感覚。翼の動きと連動し上下に揺れながらゆっくりと上昇する。
そして――。
ばさり、と大きな一羽ばたきをしたかと思えば、ぶわりと上へと舞い上がる。
その時、飛竜の身体が垂直に近い体勢を取ったから、ずるっとお尻が下がる。でも背中から抱き締めてくれるアルシュの胸に背中が当りそれ以上下がることはない。けどこれアルシュ滅茶苦茶大変なんじゃ?!
なんて考えてると、フードが風で外れそうになり慌てて両手で押さえると「良い判断です」とアルシュに褒められた。わーい!
じゃなくて。
しばらくそのまま垂直に飛んだかと思えば、雲を突き抜ける。ほわ?!
思わず瞳を閉じ身体を固くすると、アルシュの腕が強くなった。あ、なんか出そう! アルシュ!アルシュ!なんか出そう! でもフードが外れちゃう!
そんな訳が分からない時間を数十秒体験すると、途端に身体が安定した。ほへ?
「レイジス様、目を開けても大丈夫ですよ」
「んえー…」
お腹に回された腕から力が抜けてほっとした所を狙ってかシンリックさんがそう言う。ぎゅうとフードが脱げないようにしていた手を離し、ゆっくりと瞼を持ち上げればそこにはどこまでも続く青。
下には白い雲があって、飛竜の影を映している。
ふわー!すごーい!
太陽の光が眩しいけど、フードで少しの影があるからそこまで眩しくない。
「どうですか? レイジス様」
「すごーい!」
飛行機でもこういう景色は見えるけど当然窓から。だから遮るものが何もない広い広い空を見るのは初めてだ。
ふわぁ、としか言えない僕にシンリックさんが「良い景色でしょう?」と振り向く。風が少し冷たいけどそれが今、空にいるってことを教えてくれる。
「すごい! すごーい!」
「ふはっ。レイジス様って良い反応してくれますからね。ここまで連れてきてよかったです」
「ありがとうございます! シンリックさん!」
シンリックさんにお礼を言えば「では降下しましょうか」と告げられる。あれ? ってことはこれを見せてくれる為だけにあれだけ上昇したの?
そういえばグルキテスさんとモドロンさんの飛竜の姿が見えないのはそのためかー。
「飛竜を怖がらずにいてくれたお礼です」
「?」
シンリックさんの言葉に首を傾げれば、顔が前を向く。
「飛竜と言っても元は魔物―ワイバーンですからね。怖がる奴の方が圧倒的に多いんですよ」
あ、やっぱりこの飛竜、ワイバーンなんだ。
魔物図鑑読んでるときにプテラノドンに似てるなーとしか思わなかったし、竜自体に乗れるってだけでテンション爆上がりだったからね。
でもワイバーンって群れで行動するんじゃなかったっけ?
「こいつらは怪我をして群れから追い出されたやつらなんです。それをグルテキスとモドロンと私が治療したんです」
「ほわー、すごいですねー!」
「それから騎士団に拾ってもらって飛竜隊としてますがやはり怖がる人ばかりで…」
「こいつらは他のやつらとは違うんですけど、やっぱり『魔物』ですからね」と寂しそうに笑うシンリックさん。
そんなシンリックさんを慰めるように「キューイ」と鳴く飛竜。うん、良い信頼関係だ。
「ですから飛竜を見てはしゃぐレイジス様に何かしてあげられないかと思いまして」
「こちらこそありがとうございます! 空の上なんてめったに来られませんから!」
「そう言っていただけると嬉しいです」
ふはっと笑うシンリックさんに、僕もにこにことする。そっかー。この子怪我してたのかー。でもいい人に拾ってもらえてよかったね。
フードを押さえていた右手を離して「よしよし」と背中を撫でる。
「さて、本当に降下しないといけませんね」
「あ、はーい!」
シンリックさんの言葉に返事をすると、飛竜がゆっくりと雲へと沈み直ぐ抜けた。ほわぁ。抜けるときは早い!
降下した所で待っていたのはグルテキスさんとモドロンさん。ばっさばっさとその場でホバリングしてたのかな?
お待たせしましたー。
「お帰り。シンリック」
「ただいま。喜んでいただいたよ」
「そうか。なら王都に向けていくぞ」
三人の息もぴったりで、グルテキスさんが手綱を引くと飛竜が真っ直ぐ飛ぶ。少し距離を置いてシンリックさんとモドロンさんが手綱を引き真っ直ぐ飛び始める。
このまま何事もなく王都へと行けるよね、なんてフラグをたてた僕がバカだった。
「うさぎ耳フードを被った奴を乗せているワイバーンを狙え!」
そんな掛け声と共に四頭のワイバーンに乗った野盗と思しき男たちが急に現れ、ワイバーンの口から火の弾が僕たちに向かって放たれた。
193
お気に入りに追加
3,429
あなたにおすすめの小説
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中

誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!
華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

転生したら同性の婚約者に毛嫌いされていた俺の話
鳴海
BL
前世を思い出した俺には、驚くことに同性の婚約者がいた。
この世界では同性同士での恋愛や結婚は普通に認められていて、なんと出産だってできるという。
俺は婚約者に毛嫌いされているけれど、それは前世を思い出す前の俺の性格が最悪だったからだ。
我儘で傲慢な俺は、学園でも嫌われ者。
そんな主人公が前世を思い出したことで自分の行動を反省し、行動を改め、友達を作り、婚約者とも仲直りして愛されて幸せになるまでの話。
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる