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学園編

見ーらーれーたー!

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「む…?」

息苦しさを感じ意識が浮上した。それと同時に瞼を持ち上げると、ぼんやりとする視界をクリアにするために瞬きを何度か繰り返せば少しだけ意識も視界もクリアになった。

「?」

しかし視界に入るのは闇だけ。それなのに息苦しいとは何事だ。もしかしてこれが噂の金縛りってやつか?!
しかもなんだか身体が動かないぞ?! うおおお! ついに僕も金縛りを体験できたのか!
それにまだ体が熱い…。ということはまだ熱があるのかな?
いや、だが首筋に生温かい風を感じるし…。うん、間違いないな。これは金縛りだ。
まさかこの世界で心霊体験ができるとは…。感慨深い…。
なんて思ってるけど、実は金縛りって睡眠障害のひとつなんだっけか? 睡眠不足にストレス、疲労の蓄積などが原因らしいけど、睡眠不足はないわな。あれだけ寝れば。あれで睡眠不足だったら世界中が睡眠不足だらけだしな。ないない。次はストレスと疲労の蓄積。これっぽい。でもぐっすり夢を見る暇もないくらい寝てるから解消されてる…はずなんだよなー?
となると原因はなんだ? それに首筋にかかる生温かい風は…?
まさか本当に心霊現象だというのか?!

「ふぉ?!」

とか思ってたけど、お腹に触れていたものが動き声を上げてしまった。なんだ?! マジでこえーんだけど?!
すると足の間に挟まれていたものも動いて…股間を擦りあげてくる。

ひえええええん! なに?! 何が起きてるの?!

もうほとんど涙目になりながら視線を左右に動かすけど見えるのは天井だけ。知ってる! このベッド天蓋付きっていうんだろ?!
じゃなくて!

「…っ!」

首筋に感じていた生温かい風を感じなくなったかと思えば代わりに感じたのは柔らかなもの。それがちゅ、ちゅと音を立て触れては離れる。
って音がするならこれ…人間? しかも生きてる?
熱く感じるのも人間に身体が動けない程の力で抱きしめ…羽交い絞めにされてるからか?
なーんだ。幽霊じゃなかったかー。よかったー。
身体が動かないことと生温かい風の正体が判明し、ほっとしたのもつかの間。

「うぇ…?!」

腹に置かれた手が何かを探すようにもぞもぞと動き出し、するすると下へと伸びていく。反対の手にがっちりと肩を掴まれてるうえに、足を動かしたくても動かせば間に挟まれている足に股間を押し付けるような体勢になる。

結果、動けない。

ちゅ、ちゅとまだ首筋から項にキスしてるやつの顔も見えないからただただ恐怖しかない。
だから結局身体は動かないのだ。

僕が何をしたって言うんだよー!

泣きたくなるのをぐっと我慢していると、下へと伸びた手がずりずりとなぜかネグリジェを持ち上げていく。

え? え? なに? なにしてるの?

既にパニックに陥っている僕はここが18禁BLゲーの世界だということをすこぽんと忘れている。
冷静になって考えれば「イベントか?!」ってなるんだけど寝起きな上に身体が動かせず、かつ男の急所に触れている時点で混乱するよね。
だから冷静になればよかったんだよ。うん。深呼吸していったん気持ちを落ちつ…けるかあぁぁぁっ!

「や、なに?!」

うわあああ! 僕の口から乙女のような受けの声が出たぁ!
だって持ち上げていたネグリジェの裾から手が侵入してきたんだからな! 驚くだろ!
侵入した手は、つつ、と指先で腿を撫でた後、掌で内股をねっとりと撫でてくる。

うわぁん! 手つきがえっちいよぉ!

あれだ、痴漢されてる気分になってくる。
というか男でもこれだけ恐怖なんだから身体の小さな女性はもっと怖いだろうな。今度痴漢を見つけたらひねりつぶそう。そうしよう。

「やだ…、やだぁ…っ!」

だが僕から出る声に反応して、内股を撫でていた手がそのままするりと今度は上へと戻っていく。掌で股間をするりと掠め、下腹、腹をなぞり何の膨らみもない胸へとたどり着いた。

「ひぁ…っ?!」

すると指先がそれを掠めるように触れた瞬間、びくんと腰が跳ねた。
え? マジ?
僕の反応が予想外だったのか手も驚き動きを止めた。よし! 今がチャンス!と言わんばかりに身体を左右に動かし抜け出せないかと試みる。

が。

「ひああぁぁっ!」

それを指の間に挟まれて、くにくにと擦られれば思わずぎゅうと足を閉じようとすれば挟まれた足が邪魔をする。その足が悪戯に小さく前後に動くと僕の股間が更に刺激される。

「あっ、あ…っ! やぁ…っ!」

それを弄る指から逃れようとして胸を突き出し抵抗してみるが逆に尻を押し付ける形になった。そしてそれはさらなる悲劇を僕に教えてくれた。

当ってる?!

そう。僕の身体を好き勝手にしている男の物が尻に当たっているのだ。
この時点で頭が真っ白になった。
逃げようと身体を動かせば男を喜ばせてしまうことに気付いてしまったからだ。なら抵抗をしなければいいが、しなければしないでそれを摘ままれくりくりと擦られる。そしてそれに反応してしまう僕の身体を更に楽しむかのように兆しているそれを足でぐりぐりと苛められれば、腰に熱が集まっていく。

「やぅ…っ!」

すると耳朶を甘噛みされ、ちゅとキスを落とされる。そのままちゅ、ちゅと耳の後ろへと唇が落ちまた首筋へと戻っていくが、その首筋にピリリとした痛みが走った。
その痛みが何なのか確認する前に摘ままれたそれを更に押しつぶされながら擦られると、びくびくと膝が跳ねる。そしてお尻に当たっているそれがさらに大きくなったことにはぁ、と熱い息を漏らせば口の中に指がねじ込まれた。

「んぐ…ぅ?!」

口の中を犯すように指が動き周り、舌を見つけるとそれを摘ままれているそこ同様に指で挟まれずるりと引きずり出される。途端にぱたぱたと唾液が枕を濡らしていくがそれどころではない。

「ぐ、ん…っ、ふぅ…っ!」

息苦しさが増し、肩を大きく上下に動かし酸素を確保する。
股間と胸を苛められながらあまつさえ口腔内も犯されている。こんな状況なのに身体は快楽を拾いびくびくと腰が跳ね、足の指がきゅうと丸まる。
ぐりぐりと押し付けられている男のそれも興奮材料になり、ふうふうと呼吸を荒くしていく。
そしてそれで遊んでいた手が離れたかと思えば、すすっと下へと移動し、遂に下着の上からそれをやんわりと揉み始めた。流石に驚き口を閉じれば後ろから「――…っ!」と声が聞こえたが、それ以上に僕は自分のことで精一杯だった。

「んっ、んぅ…っ! あっ、らめ…っ!」

噛んだことを抵抗とみなしたのか、ぬぽんと口から指が抜かれるとそこを揉む力が強く、ぐりぐりと尻にそれを押し当てられる。
ヤバイ、気持ちがいい…!
今、僕の身体を好き勝手しているのが誰か分らないけど、ふうふうと後ろで聞こえてくる乱れた呼吸に混じって僕の名前を呼んでくれている。それに押し付けられていただけの腰が、かくかくと動いている事に気付いて肌が粟立つ。
この男が本能を僕にぶつけてくれている事がなぜか嬉しくて、僕もそれに合わせて「あっ、やぁ、ぁん!」と声を上げれば一層腰を振ってきた。

「も、らめ…でちゃ、でしゃううぅ!」
「吐き出せばいい、レイジス」

耳元で囁かれた言葉にぞくぞくと身体を震わせきゅうと足の指と背中を丸めると、下着の上からぐりっと先端を親指の腹で撫でられた瞬間。

「やああぁぁぁっ!」

びくびくと全身を震わせ下着の中で精を放つ。途端に下着の中に濡れた感触に泣きそうになると、その下着をなぜか腿まで降ろされる。その意図が分からず頭の上にクエッションマークを飛ばしていると、身体をころりと転がされ両肩をベッドへと押し付けられた。その力の強さに瞳を閉じれば、足の間に身体をねじ込まれたことに気付く。
早業!と、この場にふさわしくない感想を心で述べると、ふーふーと呼吸を荒げたパンジー色の瞳が僕を見下ろしていた。

「フリー…ドリヒ…?」
「レイジス」

まるで今から僕を食わんとする瞳にぞわりと肌が粟立つと、噛み付くように唇を奪われる。
それに驚き瞳を大きく見開けば、真っ直ぐ僕を見つめてくるパンジー色から逸らせなくなった。
じゅ、じゅうと唇を吸われ舌で舐められるから、おかげで唾液でべたべたになったが不思議と嫌悪感は抱かない。さっき欲を吐き出したからか少しだけ冷静になれたような気がする。
賢者タイムかぁ…などと呑気に思いながら、唇を貪るフリードリヒになんでこんなことをと問いただそうとしたが、そんなのは愚か者のすることだった。

「んぅ!」

開いた口から舌が侵入し、指で撫でられていた上顎を今度は舌で撫でられる。

ああ、ダメ。そこヤバいって。

さりさりと猫が舐めるようにそこを舐められると、膝がぴくんと跳ねる。その跳ねた足を、肩を押さえていた手が受け取り、ぐぐっと膝を折られ胸へと押し付けられる。
途端に苦しさが増し、動かせるようになった手でばんばんと腕を叩くが効果はなし。
デスヨネー。なんて思いながら、このままだとなんだかヤバそうな匂いがプンプンとしている事に焦りだす。
本能が「おい! やべーぞ! 助けを呼べ!」と叫んでいるけど、口を塞がれてるんで無理なんですよー!
ならば、とカーテンに手を伸ばしても距離がありすぎて届かない。
はい、無理でしたー。

「んぐぅ…んふ…ぁふ」

そんな僕に呆れたのかは知らないけど、散々蹂躪していた舌が引き抜かれた。口の中に溜まった唾液をこくりと飲み、僕を見下ろしてくるフリードリヒを見ればちゅっと触れるだけのキスをされた。

「私から逃げようとするなんて悪い子だね、レイジス」

色気がすごーい! ヤバーイ! こんなん受けなら濡れますわな!
っていうか本当に十代か?! と、脳内の僕が喜んでいるけど、現実の僕はものすごくピンチだったりする。もちろん貞操の。
だって尻に…尻に! フリードリヒのおっきいのが当ってるんだもん!
待って待って! フリードリヒがえっちするのは僕じゃなくて主人公だろ?!
なんで僕に欲情してるの?!

「どうした? もう逃げないのか?」
「あ…ぅあ…」

色気が駄々漏れしすぎてもうどうすればいいのか分りません!
ぽぽぽと頬が熱くなっていくのが分かり「ん?」と意地悪そうに笑うフリードリヒに僕の感情は爆発した。
無理! もう無理! 顔がよすぎて死にそう!

「…て」
「どうした?」
「たしけてー!」

口から出たのは助けの言葉。
ちょっと噛んだのは許してくれ! 混乱しすぎて助けを求める言葉しか出てこなかったんだよー!

「誰かぁー! たしけてぇー!」
「え、ちょ?! レイジス?! 落ち着け、な?!」

うわあああんと泣きながら叫ぶが、カーテンの外に聞こえているか不安だ。けど滅茶苦茶フリードリヒが慌ててるから何かしらアクションはあった模様。

「フリードリヒ様?!」
「レイジス様?! いかがされましたか?!」

焦った声と共に左右のカーテンが持ち上がり、ベッドの中に光が差す。
うお?! 眩し!と瞳を細めればそこには侍女さんと見知らぬ人が固まって僕たちを見ていた。
あ、しまった。
今の僕たちの体勢はまずい。非常にまずい。なんせフリードリヒが僕を組み敷いてるんだから。
あ。僕の下着が足首に引っかかってる。

「なに…を?」
「あ、いや。その…」
「レイジス様! 無事でございますか?!」
「うわーん!」

しどろもどろになりながらフリードリヒが左を、僕は駆けつけてくれた侍女さんに助けを求めるように腕を伸ばして右に。

「いいからどきなさい!」
「あ、ああ! すまない! レイジス!」

吊り上がった瞳でフリードリヒを睨みつける人がそう言うと、慌てて足を下ろし足の間から抜け出す。だがそれがいけなかった。

「あ」

ネグリジェの裾は大きく捲くれ、腹の辺りにまとまっている。
そして足を下ろされていたが下着は足首に引っかかっている。つまりは、僕の下肢は汚れた状態で丸見えなわけで。
それに気付いてくれた侍女さんが慌ててネグリジェの裾で隠してくれたけど、他人に…しかも明るい所で僕のものが晒されたのは確かなわけで。

「うわあああああん! バカー! フリードリヒのバカー! 大嫌いだー!」
「きら…っ?!」

叫びながら侍女さんに抱き付きひんひんと泣けば、躊躇いがちに抱き締められ頭を撫でてくれた。うわーん!
なんかショックを受けてるフリードリヒみたいだったけどそんなこと知らない! 見られるなんて…男の大事なものを見られるなんて…!

「な…なんだ?! さっきの叫び声は?!」
「レイジス様?!」

がちゃりとドアが乱暴に開け放たれた音がした後にピシリと固まる音。それはそうだろう。なんせ今、ベッドの上で侍女さんに抱き付きわんわんと泣いてる僕と呆然としているフリードリヒがいるのだから。
僕を抱きしめて慰めてくれている侍女さんからはものすごい怒りの気配がしてちょっと嬉しい。
そして次々とやってくる侍女さんとフリードリヒの取り巻き…もとい護衛達。
泣いている僕と呆然としているフリードリヒ、そして固まっている人たちを見て、お互いが顔を見合わせ困り果てていた事に僕は気付かなかった。


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