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ここにきて新キャラ…? ▲
しおりを挟む「度々呼びだして悪いな。スヴェン」
「いえ」
父に呼びだされてから一か月。
再びオレは父から呼びだされている。
今度はクルトはいないが。
それもそのはず。
父から「クルト。今度お前がドアを爪でかきむしったら解雇するからな」と言われて、しゅんと背中を丸めていたからな。
そんなクルトに垂れた耳と尻尾を見てしまい、つい「ビスキュイロールケーキ作って待ってろ」と言えば、ぱあああと破顔する。それを可愛いとか思ってしまったのはオレの最大の間違いだった。
オレからの仕事を完璧にこなすために、クルトが鼻息荒く「お任せください!」と言って駆け出して行ったのを見送ってから父の待つ書斎へと向かった。
「スヴェン」
「はい」
椅子に座って、父と向かい合う。
こうして向かい合うのは実は初めてだ。
なんせオレがまともじゃなかったからな。
じっとオレを見つめてくる父の瞳に、少し身体を仰け反らせる。
死ぬ前でも、こうして父と向かい合って話すことなどなかった。
だから少しだけ怖い。
さっと視線を逸らせば、かちゃりとカップが置かれた音にビクリと肩を跳ねさせた。
「お前が学園で何をしているかは、私の耳にも入っている」
「…………」
だろうな。むしろ入っていない方がおかしいしな。
うむ、と一人頷くと「それでだ」との言葉に意識を父に向ける。おっと。
「お前は“処刑”される、と確信しているのか?」
「もちろんです」
父の言葉に、にこりと微笑みながらそう告げるが、父の瞳は半ば呆れていた。
なんでだ。
「あのバ…じゃなかった。あのバカ王子の恋人とやらに、あれこれしてますから」
「スヴェン、言い直せていないぞ」
「おっと。失礼」
ぱし、と口に手を当てるが、父も同じように思っているのか『バカ王子』については言及しないようだ。
やっぱり周りから見てもそうなんだな。
なんて思っていると、小さなため息が漏れた。
「アレに至っては私からは何も言うまい。…陛下がどうにかするだろうしな」
「へぇ」
陛下。つまりはあのバカの父親か。どうにかするって言ってもどうすんだろうな? 王様になるって大変なんだろ? それに勉強もいろいろあるだろうし…。
いや。待てよ。そういえばクルトが言っていたな。
「父さん」
「なんだ?」
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「ルイス様か?」
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こてんと首を傾げて見せれば、ぴくりと父の眉が跳ねた。
おっと?
「その話をどこから?」
「クルトからです」
「ああ…クルトからか」
ピリッと張り詰めた空気は一瞬。
クルトの名前を出せば、その空気は霧散した。
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あのバカの婚約者に手を出していると思われたのか? だとしたら見当違いもいい所ですよ。父さん。
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「それでだ」
「はい」
「お前は“処刑”されると思っているんだな?」
「はい」
さっきからそう言っているんだけどな。その為にあのクラスメイトを利用したのだが…。
父さんにはそう見えないのか?
「…これだけははっきり言っておく」
「なんですか?」
一度言葉を切って瞳を閉じると、すぐに瞼が開く。
そして、オレをまっすぐ捉えた。
「お前は『あの方』の執着を舐めない方がいい」
「『あの方』?」
誰ですか。その方は。
というかここにきて新キャラ出すのやめてくれませんかね?
「『あの方』は、お前の自殺以上に執着が酷い」
「はい?」
父さん。オレには『あの方』がどなたなのか分からないんですけど?
「父さん」
「なんだ?」
「『あの方』とは?」
思い当たる人なんかいないから素直に聞いてみたんだけど…。
え? なんでそんな苦虫をつぶしたような顔してんのさ。
「とにかく、だ。お前は絶対に“処刑”されない。これだけは覚えておけ」
「……………」
「話はこれだけだ。戻っていい」
「はぁ…」
こほん、とわざとらしい咳払いをして話を切った父さんにオレは眉を寄せる。
結局何の話だったんだ?
訳が分からないまま礼をして、父さんの部屋を出る。
だが。
「処刑されない、というのはないと思うんだけどな」
そんな言葉はふわりと浮いて、落ちていった。
その後「なんですか?! あのビスキュイロールケーキって! 難しすぎますよ!」とぷりぷりしながらも、割れていない完璧なそれを持ってきたクルトの頭をなんとなくわしゃわしゃと撫でた後、おいしくいただいた。
■ ■ ■
「あぁ…っァ…ん…! ッ…う…うっンン…ッ! あぁぁっ!」
「あー…スヴェン様の中、本当に気持ちがいいです、ね!」
「ひいぃ! あ……ぁァ…! あァんッ…! ぅン…っ、あんっ!」
ずん、と奥まで突き上げられ、ぎゅうとシーツを握る。
大人しくしていた褒美とビスキュイロールをうまく作れたご褒美中。
…つまりは腹上死チャレンジ中だ。
既に何度かオレは果てているが、クルトはまだ2回ほどしか果てていない。
本当は遅漏なんじゃないかと心配にもなるが、ボーナスチャレンジが終わると普通に何度も果てるのだ。
まぁ…オレを死なせないようにしているんだろうが。
「スヴェン様の中をもっとじっくりと味わいたいんですけ、ど…!」
「あぎ…ッ!」
腰を掴んでいる手に力がこもり、ずん!と奥まで貫かれれば、呼吸が少しだけ詰まる。
それと同時に、ちかちかと星が見えるのは気のせいではないだろう。奥の奥まで入り込んだクルトのものを襞は押し出そうと吸い付き蠢く。その度にクルトのものを感じ取ってしまい、びくびくと腰や肩が跳ねる。
気持ちがいい、という感覚が頭の中を支配して、まるで犬のように舌を突き出し呼吸を繰り返すだけ。唾液がシーツに落ちるけど、気になんかしていられない。
「あぁ…スヴェン様の中って、なんでこんなに気持ちがいいんでしょうね?」
「あ…やぁ、ァ…ッ!」
ずるりと奥まで入っていたものが引き抜かれたかと思えば、再び奥を貫かれる。
その度に粘りのある水の音と、肌同士がぶつかる音がオレの耳を犯す。最近はクルトの荒い呼吸を聞くだけで、身体が勝手に喜ぶことが悩みだ。
…そんなことは悟らせないようにしてるけど。
「あぁん!」
「スヴェン様。何逃げてるんですか?」
「ひぃ…ッ! 奥、も…やだ…っ!」
腹の中を犯される感覚にはだいぶ慣れたが、やはり奥の奥を犯される感覚は慣れない。
…まぁ、クルトがそこまで突っ込むのはボーナスタイムじゃないからか? というか、今はまだボーナスタイムじゃない…?
あれ?! 計算間違った?!
クルトがなかなかイかないからてっきりそうだと思ってたんだけど?!
やばい。そうだとしたら、これから少し覚悟…。
「っを゙?!」
「ダメですよー。スヴェン様。今は気持ちよくなる時間ですから、ね?」
「んぎゅ…んっ」
顎を掴まれ、キスをされる。首が痛いんだけど、それよりも気持ちがいい方が勝る。
くちゅくちゅと舌を絡ませあい、唇を重ね、口腔内をも犯される。それと同時に腰を穿たれれば、オレの脳は何も考えられ無くなるのは当然で。
「ふん…っ! んぐ…!」
「ふふ。とろんろとんのスヴェン様可愛い。可愛いから中にたくさんあげましょうね」
「ほひぃ…! くぅとのざーめん、ちょうらい…!」
「ふぐっ! スヴェン様可愛すぎる…!」
舌が回らず何とも言えない言葉になったが、クルトはそれで喜んでいるから問題ないだろう。
オレは恥ずかしいとか考えられないほど快楽に酔っているから、今はどうでもいい。
「じゃあ可愛い可愛いスヴェン様の中にたくさん、ざーめん?を注いであげますからね」
「ぅん…! くぅとのざーめん、おれのはらのなかに、いっぱいちょうだい?」
「っぐ…! それ以上煽られると…!」
「ふぎゅぅ?!」
オレの言葉がクルトの何かに触れたようで、がつがつと腰を穿たれる。その度にオレのものからは少量の液が出るだけで、クルトの動きに合わせてぷらぷらと揺れるだけ。
「くぅうと…ぉ!」
「だから! 煽んなって言ってるの!」
はぁはぁと乱れた呼吸と共に吐き出される言葉にくらくらとしながら揺さぶられる。すでに腰から下の感覚は悲しいかな、殆どない。
だからクルトに掴まれている腰だけが支えになっているものだから、クルトにしてみたら力仕事だ。それでも獣のように腰を打ち付けてくるクルトにどこか嬉しささえこみあげてくる。
「いぎゅ…ッ! いぎゅううぅ!」
「イけ」
クルトから発せられた低い雄の声に耳までも犯され、びくびくと身体を震わせる。
ちかちかと星が目の前で輝くと同時に、腹に注がれる熱いものを感じ取る。
「でてぅ…。おれのはらのなかにあついのでてぅ…」
「っあー!もう! そういうことを言わない!」
どこか叱るような言葉でさえ、今のオレには甘美なものに変換されてしまう。
恐らくこれもあのお節介のせいだろう。くそ。
クルトに抱きしめられながら腹に注がれるのも悪くない、なんて思ってしまうのは、きっとオレの頭がバカになっているせいだろう。
「スヴェン様」
「くぅうと…いっぱいでたぁ」
「あああ!もう!だから!可愛いことを!しない!」
たっぷりと注がれた腹を撫でれば、クルトがまたしても叫ぶ。
でもさ。
「もういっかい…すぅ?」
「…したい」
抜こうとしない…いや、むしろ衰えることのないクルトのものをきゅうとわざと締め付けてそう尋ねれば、どこか不貞腐れたような顔でキスをされた。
クルトとの腹上死チャレンジ、そして父との会話を忘れるくらいの普通の毎日をオレは卒業の日まで送る。
――後悔のないように。
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