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面倒な奴に見つかった
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「こんにちは。スヴェン様」
「…本当にいた」
誰も近付かないテーブルに女子生徒が一人座って、本を読んでいた。
オレに気が付くと、にこりと微笑み本を閉じる。
周りがざわざわとざわつきながら、遠くから俺たちを見ている。
どうせ野次馬なのだから放置でも構わないか。
「お待たせしましたか?」
「いえ。少しだけ、ですわ」
「…すみません」
女性を待たせていたことに頭を下げると「お気になさらないで」ところころと笑う。
立ったまま、というのもあれだからクルトに椅子を引いてもらい、座ればすぐに口輪と拘束の紐を解いてもらう。
それにまたもや、ざわりとしたが気にしない。
ふは、と息を吐いてから彼女を見れば、隣の席に本を置く。
そのタイミングで給仕がオレとヴェルディアナ嬢の食事を運んできた。
なんだ? やけにサービスがいいな。
ちらりと給仕を見ても、彼らは表情一つ変えず食事を置いてから一礼をして戻っていく。
「いただきましょうか」
「…あの。少しいいでしょうか」
「あら? なんでしょう?」
こてん、と首を傾げる少し幼い仕草を見せるヴェルディアナ嬢に眉を寄せる。
「私の食事風景を知っておられるなら、やめておいた方がいいと思いますが」
「あら。それは昨日も言いましたでしょう? 事情は分かっている、と」
にっこりと微笑む彼女に肩を竦めると、クルトに視線を向ければ動き出す。
だが、その時だった。
ざわりとまたもや騒がしくなるが、それはオレ達にではなくどうやら食堂の入口のようだ。
しかし、そんなざわめきを無視して食事を開始するヴェルディアナ嬢に、オレは「へぇ」と瞳を細めた。
「スヴェン様」
「分かっている」
こそりとクルトが話しかけてきたのは、ざわつかせた人物たちがこちらに向かって来ているからだろう。
やれやれ、これだと食事ができないな。
なんせナイフもフォークもクルトに手渡されているのだから。
そして、コツと靴音がオレの後ろで止まった。
「何だ、浮気か? ヴェルディアナ?」
面倒くさいやつが来たな。
舌打ちを何とか止めることに成功したが、代わりにクルトが小さく舌打ちをしている。
おいやめろ。
だが、こいつに名前を呼ばれたヴェルディアナ嬢は、静かにナイフとフォークを動かしては優雅に口に運んでいる。
そして。
「浮気、ですか?」
「ああ。婚約者がいるというのに、男と2人きりで食事とは」
「あらあら。それは失礼いたしました。アルトゥル様」
にこりと微笑むヴェルディアナ嬢と、この国の第一王子であるアルトゥル。
何故知っているのかというと、これだけは覚えておけ、と父から言われたから覚えているだけだ。
どうやらこの2人の仲は良くないようだけど。
完全に政略結婚だもんな…。親に決められたらどうすることもできない。
しかし、去年まではこの2人の仲はそこまで悪くなかったようだが、学年が上がった今年、一気に悪化した。
原因は学園中に噂になっているから、知らない者はいない。
オレも知っているくらいだからな。
というか、聞きたくないものほど聞こえてしまうわけで。
「チッ。可愛げのない」
「ありがとうございます」
おお。やるな。ヴェルディアナ嬢。
彼女の反撃にクルトもにっこり。オレも早くこいつにどこかへ行ってもらいたくて口を開いた。
「婚約者が他の男と食事で浮気なら、アルトゥル様。あなたは浮気を我々に見せつけているようなものですよ?」
「なんだと! おい!お前! 顔を見せろ!」
面倒でわざと怒らせるようにそう告げれば、アルトゥルがオレの肩を掴んで振り向かせる。
それに反応したのはクルト。だがそれを視線で止めておく。
「お前は…!」
「こんにちは。アルトゥル殿下」
オレの顔を見て、途端に不機嫌な表情を浮かべるアルトゥル。
「スヴェン・メルネス」
「はい。スヴェン・メルネスです。殿下」
あえてにこりと笑えば、掴まれていた肩を勢いよく離された。
そのせいで少し左腕がテーブルに当たり、かしゃんと食器同士が当たる音が響く。
「貴様なぞに用はない」
「おや。そうですか。奇遇ですね。私も殿下には用はありませんから」
「貴様…っ!」
「なんでしょう? 処刑でもされるおつもりですか? むしろしてくださった方が私は嬉しいですけどね」
にこにこと微笑みながらそう告げると、気味の悪いものを見るような視線でオレを見つめてくる。
おやおや。
将来、王となろう者が感情をあからさまにしてはいけないと習わなかったのだろうか。
するとそんなオレ達のじゃれ合い中の間に声が挟まる。
「アルトゥル様ぁ。シャルロッタ、お腹すきましたぁ」
「…そうだな。こんな奴らと話しをしている時間がもったいなかったな。行こうか。シャルロッタ」
「はぁい」
そう言って、シャルロッタの肩を抱いて背を向けるアルトゥルの後ろを3人がついていく。
もちろんオレを睨んでから。
そして彼らが食堂の奥へと姿を消すと、再びざわめきが少しずつ大きくなる。
だが、そのざわめきはオレ達のことではなく、先ほどのアルトゥルと桃色の髪のことだろう。
「スヴェン様、お怪我は?」
「ない」
「失礼します」
そう言って膝をつき、オレの左腕を捲り怪我がないか確認するクルトに肩を竦める。
「少し赤くなっていますね」
「放っておけば治る」
「いけません」
オレの言葉を否定すると、右手を赤くなったところにかざす。
すると、温かな光が集まり赤くなったところを治していく。
はぁ。こんなところで無駄打ちするんじゃない。
「はい、スヴェン様。治りましたよ」
「お前な…貴重な治癒魔法をほいほい使うんじゃない」
「ダメですよ!スヴェン様の玉膚に傷がつくなんて考えられません!」
「……………」
ふん、と鼻息を荒くしてそう告げるクルトに、はぁと大きくため息を吐くと「悪かった」と言っておく。
それに瞳を丸くするクルトに「ほら、食わせろ」と告げれば、はっとして慌てて捲っていた制服を戻ると立ち上がる。
「手を洗ってきます!」
クルトのその言葉に、ざわめきが大きくなる。
問題児を一人置いていくのか、という視線をひしひしと感じて、ため息を吐く。
今は目の前にヴェルディアナ嬢がいるのを忘れてないか? こいつら。
だが、口輪も拘束もないオレに恐怖を感じるのは確かだろう。
ならば。
「面倒だ。ほら、手を出せ」
「いいいいいいいけませんスヴェン様!」
「何がだ」
「こんな人が多い場所で手を握るだなんて…!せめて授業が始まったあとでなら…!」
頓珍漢なことを言いながら頬を染めるクルトの頭にチョップをかます。
「そうじゃない。ほら。浄化魔法かけてやるから」
「いいんですか?」
「…緊急だ。使わせろ」
「…分かりました。緊急。クルト・エーゲルの名において魔法の許可をします」
そう言うと額に手を近付ける。
すると小さな魔法陣が額から現れ、それが消えるとクルトの手を両手を握る。
「浄化」
久しぶりに使う魔法だが、何とかなるはずだ。
目の前が少し明るくなると、それは直ぐに消える。
そしてそのままクルトの手が再び額に触れた。
「封」
「んっ!」
きぃんと嫌な音が聞こえ、思わず声を出してしまったが大丈夫だろうか。
すると、オレの瞳を見たクルトの眉が寄った。
「少しだけ出てますね」
「少しだけなら問題ないだろう」
ぱちぱちと何度か瞬きをすると、クルトの眉も元に戻る。
はぁ、面倒だな。
「スヴェン様。大丈夫ですか?」
「ああ、申し訳ない。ヴェルディアナ嬢。お食事の最中だというのに」
そう言えば彼女は食事をしてたな、と思いだし頭を下げる。
クルトが何も言わないのだからあれは消えたのだろう。
「いえ。私のことならお構いなく」
「…ありがとうございます」
「ですが…他の皆様が…」
そう言ってちらりと周りを見れば、ごった返していた食堂から人が消えていた。
道理で静かだと思った。
まぁ、口輪を付けていないし魔法も使ったからな。
仕方ない。
「静かになりましたね」
「…そうですね」
くすくすと笑うヴェルディアナ嬢は、本当にいい性格をしている。
こうでもなければあの王子の婚約者など勤まらないだろう。
そんなことを考えながら、オレは食事を開始した。
あれから生徒が食堂に戻ってくることはなく、だだっ広い食堂に2人きり(給仕や料理人はいたが)で食事を済ませ食後の紅茶を楽しんでいた時だった。
クルトは食事中。
オレの食事が終わったからな。ちゃんと口輪と拘束具を付けているぞ。
「スヴェン様とクルト様の出会いを聞いてもよろしいですか?」
「出会い、ですか?」
「ええ。ダメ、でしたか?」
「いえ。構いませんが、その…」
そこまで言うと、口ごもる。
クルトとの出会いはちょっと、な。
「食事の後だとあれな感じですが…」
「まぁ」
もにょっと言葉を濁せば、ヴェルディアナ嬢が口を手で隠す。
「気持ちのいい話ではありませんが、それでもよろしければ」
「ぜひ、お願いします」
いいんかい。
そんなツッコミを心の中ですると、ちらりとクルトを見る。
するとストロベリー・レッドがオレを見ていて。
「分かりました。ですが本当に気持ちのいい話ではありませんからね」
「分かりましたわ」
にこりと微笑むヴェルディアナ嬢は引く様子はないようだ。それに小さく息を吐くと、オレはこいつとの出会いを話し始めた。
「スヴェン・メルネス…メルネスって悪役令嬢、ソニア・メルネスと同じ苗字だよね? どういうこと?」
「…本当にいた」
誰も近付かないテーブルに女子生徒が一人座って、本を読んでいた。
オレに気が付くと、にこりと微笑み本を閉じる。
周りがざわざわとざわつきながら、遠くから俺たちを見ている。
どうせ野次馬なのだから放置でも構わないか。
「お待たせしましたか?」
「いえ。少しだけ、ですわ」
「…すみません」
女性を待たせていたことに頭を下げると「お気になさらないで」ところころと笑う。
立ったまま、というのもあれだからクルトに椅子を引いてもらい、座ればすぐに口輪と拘束の紐を解いてもらう。
それにまたもや、ざわりとしたが気にしない。
ふは、と息を吐いてから彼女を見れば、隣の席に本を置く。
そのタイミングで給仕がオレとヴェルディアナ嬢の食事を運んできた。
なんだ? やけにサービスがいいな。
ちらりと給仕を見ても、彼らは表情一つ変えず食事を置いてから一礼をして戻っていく。
「いただきましょうか」
「…あの。少しいいでしょうか」
「あら? なんでしょう?」
こてん、と首を傾げる少し幼い仕草を見せるヴェルディアナ嬢に眉を寄せる。
「私の食事風景を知っておられるなら、やめておいた方がいいと思いますが」
「あら。それは昨日も言いましたでしょう? 事情は分かっている、と」
にっこりと微笑む彼女に肩を竦めると、クルトに視線を向ければ動き出す。
だが、その時だった。
ざわりとまたもや騒がしくなるが、それはオレ達にではなくどうやら食堂の入口のようだ。
しかし、そんなざわめきを無視して食事を開始するヴェルディアナ嬢に、オレは「へぇ」と瞳を細めた。
「スヴェン様」
「分かっている」
こそりとクルトが話しかけてきたのは、ざわつかせた人物たちがこちらに向かって来ているからだろう。
やれやれ、これだと食事ができないな。
なんせナイフもフォークもクルトに手渡されているのだから。
そして、コツと靴音がオレの後ろで止まった。
「何だ、浮気か? ヴェルディアナ?」
面倒くさいやつが来たな。
舌打ちを何とか止めることに成功したが、代わりにクルトが小さく舌打ちをしている。
おいやめろ。
だが、こいつに名前を呼ばれたヴェルディアナ嬢は、静かにナイフとフォークを動かしては優雅に口に運んでいる。
そして。
「浮気、ですか?」
「ああ。婚約者がいるというのに、男と2人きりで食事とは」
「あらあら。それは失礼いたしました。アルトゥル様」
にこりと微笑むヴェルディアナ嬢と、この国の第一王子であるアルトゥル。
何故知っているのかというと、これだけは覚えておけ、と父から言われたから覚えているだけだ。
どうやらこの2人の仲は良くないようだけど。
完全に政略結婚だもんな…。親に決められたらどうすることもできない。
しかし、去年まではこの2人の仲はそこまで悪くなかったようだが、学年が上がった今年、一気に悪化した。
原因は学園中に噂になっているから、知らない者はいない。
オレも知っているくらいだからな。
というか、聞きたくないものほど聞こえてしまうわけで。
「チッ。可愛げのない」
「ありがとうございます」
おお。やるな。ヴェルディアナ嬢。
彼女の反撃にクルトもにっこり。オレも早くこいつにどこかへ行ってもらいたくて口を開いた。
「婚約者が他の男と食事で浮気なら、アルトゥル様。あなたは浮気を我々に見せつけているようなものですよ?」
「なんだと! おい!お前! 顔を見せろ!」
面倒でわざと怒らせるようにそう告げれば、アルトゥルがオレの肩を掴んで振り向かせる。
それに反応したのはクルト。だがそれを視線で止めておく。
「お前は…!」
「こんにちは。アルトゥル殿下」
オレの顔を見て、途端に不機嫌な表情を浮かべるアルトゥル。
「スヴェン・メルネス」
「はい。スヴェン・メルネスです。殿下」
あえてにこりと笑えば、掴まれていた肩を勢いよく離された。
そのせいで少し左腕がテーブルに当たり、かしゃんと食器同士が当たる音が響く。
「貴様なぞに用はない」
「おや。そうですか。奇遇ですね。私も殿下には用はありませんから」
「貴様…っ!」
「なんでしょう? 処刑でもされるおつもりですか? むしろしてくださった方が私は嬉しいですけどね」
にこにこと微笑みながらそう告げると、気味の悪いものを見るような視線でオレを見つめてくる。
おやおや。
将来、王となろう者が感情をあからさまにしてはいけないと習わなかったのだろうか。
するとそんなオレ達のじゃれ合い中の間に声が挟まる。
「アルトゥル様ぁ。シャルロッタ、お腹すきましたぁ」
「…そうだな。こんな奴らと話しをしている時間がもったいなかったな。行こうか。シャルロッタ」
「はぁい」
そう言って、シャルロッタの肩を抱いて背を向けるアルトゥルの後ろを3人がついていく。
もちろんオレを睨んでから。
そして彼らが食堂の奥へと姿を消すと、再びざわめきが少しずつ大きくなる。
だが、そのざわめきはオレ達のことではなく、先ほどのアルトゥルと桃色の髪のことだろう。
「スヴェン様、お怪我は?」
「ない」
「失礼します」
そう言って膝をつき、オレの左腕を捲り怪我がないか確認するクルトに肩を竦める。
「少し赤くなっていますね」
「放っておけば治る」
「いけません」
オレの言葉を否定すると、右手を赤くなったところにかざす。
すると、温かな光が集まり赤くなったところを治していく。
はぁ。こんなところで無駄打ちするんじゃない。
「はい、スヴェン様。治りましたよ」
「お前な…貴重な治癒魔法をほいほい使うんじゃない」
「ダメですよ!スヴェン様の玉膚に傷がつくなんて考えられません!」
「……………」
ふん、と鼻息を荒くしてそう告げるクルトに、はぁと大きくため息を吐くと「悪かった」と言っておく。
それに瞳を丸くするクルトに「ほら、食わせろ」と告げれば、はっとして慌てて捲っていた制服を戻ると立ち上がる。
「手を洗ってきます!」
クルトのその言葉に、ざわめきが大きくなる。
問題児を一人置いていくのか、という視線をひしひしと感じて、ため息を吐く。
今は目の前にヴェルディアナ嬢がいるのを忘れてないか? こいつら。
だが、口輪も拘束もないオレに恐怖を感じるのは確かだろう。
ならば。
「面倒だ。ほら、手を出せ」
「いいいいいいいけませんスヴェン様!」
「何がだ」
「こんな人が多い場所で手を握るだなんて…!せめて授業が始まったあとでなら…!」
頓珍漢なことを言いながら頬を染めるクルトの頭にチョップをかます。
「そうじゃない。ほら。浄化魔法かけてやるから」
「いいんですか?」
「…緊急だ。使わせろ」
「…分かりました。緊急。クルト・エーゲルの名において魔法の許可をします」
そう言うと額に手を近付ける。
すると小さな魔法陣が額から現れ、それが消えるとクルトの手を両手を握る。
「浄化」
久しぶりに使う魔法だが、何とかなるはずだ。
目の前が少し明るくなると、それは直ぐに消える。
そしてそのままクルトの手が再び額に触れた。
「封」
「んっ!」
きぃんと嫌な音が聞こえ、思わず声を出してしまったが大丈夫だろうか。
すると、オレの瞳を見たクルトの眉が寄った。
「少しだけ出てますね」
「少しだけなら問題ないだろう」
ぱちぱちと何度か瞬きをすると、クルトの眉も元に戻る。
はぁ、面倒だな。
「スヴェン様。大丈夫ですか?」
「ああ、申し訳ない。ヴェルディアナ嬢。お食事の最中だというのに」
そう言えば彼女は食事をしてたな、と思いだし頭を下げる。
クルトが何も言わないのだからあれは消えたのだろう。
「いえ。私のことならお構いなく」
「…ありがとうございます」
「ですが…他の皆様が…」
そう言ってちらりと周りを見れば、ごった返していた食堂から人が消えていた。
道理で静かだと思った。
まぁ、口輪を付けていないし魔法も使ったからな。
仕方ない。
「静かになりましたね」
「…そうですね」
くすくすと笑うヴェルディアナ嬢は、本当にいい性格をしている。
こうでもなければあの王子の婚約者など勤まらないだろう。
そんなことを考えながら、オレは食事を開始した。
あれから生徒が食堂に戻ってくることはなく、だだっ広い食堂に2人きり(給仕や料理人はいたが)で食事を済ませ食後の紅茶を楽しんでいた時だった。
クルトは食事中。
オレの食事が終わったからな。ちゃんと口輪と拘束具を付けているぞ。
「スヴェン様とクルト様の出会いを聞いてもよろしいですか?」
「出会い、ですか?」
「ええ。ダメ、でしたか?」
「いえ。構いませんが、その…」
そこまで言うと、口ごもる。
クルトとの出会いはちょっと、な。
「食事の後だとあれな感じですが…」
「まぁ」
もにょっと言葉を濁せば、ヴェルディアナ嬢が口を手で隠す。
「気持ちのいい話ではありませんが、それでもよろしければ」
「ぜひ、お願いします」
いいんかい。
そんなツッコミを心の中ですると、ちらりとクルトを見る。
するとストロベリー・レッドがオレを見ていて。
「分かりました。ですが本当に気持ちのいい話ではありませんからね」
「分かりましたわ」
にこりと微笑むヴェルディアナ嬢は引く様子はないようだ。それに小さく息を吐くと、オレはこいつとの出会いを話し始めた。
「スヴェン・メルネス…メルネスって悪役令嬢、ソニア・メルネスと同じ苗字だよね? どういうこと?」
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