俺、人型兵器転生。なぜかゴブリンとかエルフがいる未来の崩壊世界を近代兵器で無双する。

ねくろん@アルファ

文字の大きさ
164 / 165

希望の船

しおりを挟む
~数か月後~

「世界会議のお集りの皆様、ポトポト代表のミリアです。この会議が開かれるにいたるまで、多くの戦いがありました、多くの人々が傷つきました」

「戦いのはじまりはなんだったのか?すべては互いの『希望』と『恐怖』から始まりました。我々の希望は他人にとって、『傷つけられるかもしれない』という恐怖でもあったのです」

「しかし、この世界に住む人たちが本当に必要としているものは、ごくごく単純であまりにも当然なものです。自らの自由と、家族の安全です。」

「私たちはこの世界会議の会場がすべての人々にとって、『希望の船』となるように努力を続けなければなりません!!」

 俺はラメリカのブラックハウス跡地で宇宙戦艦を修理しながら、テレビから流れる世界会議の様子を見ていた。

 ポトポトにマグロを送り続けたおかげか、ミリアは世界会議で演説をできるまでになった。うむ、やはりお魚はちゃんと食べるもんだ。

「しかし、ようやくだな!!」

『ええ、宇宙戦艦の修理はほぼ完了しました。いつでも飛べますよ』

「「やったーでしゅ!」」

 俺はコンテナを台にしたキツネさんたち一体一体とハイタッチをしていく。
 ……?なんか増えてね?

「……あれ?ナビさん、キツネさんたちなんか増えてない?」

『今まで気付かなかったんですか?宇宙戦艦の修理はともかく、維持にはとても数が足らなかったので増やしました』

「なんとまぁ」

『あとは最後にやるべきことがありますね』

「……なんかあったっけ?」

『この子、宇宙戦艦の名前をまだ決めていません』

「あっそうだった!……うーむ俺にはネーミングセンスがないからなあ」

『では私がクソダサい名前をランダムに発言します。機人様がご自分で名前を決めないと、この子の名前はそれになります』

「クソッ!!ナビめ!なんて非道なことを!!」

『宇宙戦艦ムサシ』
「王道だ、あまりに王道だが、故にこっぱずかしい」

『宇宙入植艦エイリク』
「赤毛のエイリクか?通好み過ぎて逆にキツいやつだな」

『旗艦ニーベルンゲン』
「ゲルマン神話のネタはこすり過ぎちゃってもう味がしないよね」

「うーむ……あ、そうだ」

 俺はミリアの演説を思い出した。そういえば希望とか何とか言ってたな。

「ナビさん、いろんな言語で『希望』って並べてもらえる?」

『Cis. エルピス、アーシャ、エスポワール、シーワァン、アマル、ナディア……』

「最初のが良いな。シンプルに『エルピス』これでいこう」

『Cis. では艦の個体名は「エルピス」と登録しておきます』

「よし、では早速試運転と行こう!!」

『機人様の感情変数が気持ち悪いくらいに高まってますね』

「ガハハ!当たり前やろが!こんなのでみなぎらん男の子はおらんぞ!!」

 俺は『エルピス』と名付けた宇宙戦艦の中に乗り込む。
 乗り込み口は下艦橋の中にある。
 まずは乗組員であるキツネさんたちを、バケツリレー方式で中に乗り込ませる。

 この船を実際に動かしてくれるのは彼らだからな。
 ん?いまなんかキツネじゃなくてネコを運んだような?

 ……気のせいか?
 手を止めてキツネさんたちに怒られた。急いで続きをやらないと。

★★★

 私は元神聖オーマ帝国宰相にして(中略)そして元正常会会長にして、現宇宙戦艦「エルピス」乗組員のネコマだ。

 ククク……機人のやつ、まんまとだまされていたな。
 こいつの言いだすことは信用できないと思ったが、なかなかにやるではないか。

「侵入に成功したぞ、次はどうする?」

「フフ、もちろん艦のコントロールを奪う。我々は特別な存在なのだ……」

 私ことネコマをこの艦に潜り込ませたのは他でもない、目本のファーザーを名乗るキツネだ。彼はかわいらしくしっぽをふりふりして歩きながら、おごそかに邪悪な計画を語り始めた。

「復讐の味とは甘くてクリーミィで素晴らしいものだ。まずは機関を乗っ取り、機人を孤立させるのだ。奴をある場所へと送り届ける」

「そのある場所とは一体どこだ?」

「フフ……機人の悲鳴が誰にも聞こえない場所だ。そう『宇宙』だ!!」

★★★

 俺はブリッジの一段高い場所にある艦長席に座った。
 目の前の窓からは、暗い格納庫の壁を見える。

 建物一階下くらいの高さの差があるブリッジの下の方では、キツネさんたちがせわしなく動き、「エルピス」発艦のための準備を進めていた。

『艦内全機構異常なし、エネルギー値は正常範囲内です』

『補助エンジン動力接続、パワーオンライン』

 補助エンジンに火が入り、エルピスがまるで目覚めた獣のようにうなりはじめる。

『回転1600温度800』

「融合炉の温度が高すぎる、急がなくていい。少し出力を下げさせろ」

『はいです!』

『メインエンジンの始動シーケンスを開始します。各エンジンの同調開始』

『レーザー点火器を接続しました』

『点火1分前』

『カウントを開始します』

 ああ、転生(?)してよかった。
 他人のものとはいえ、まさか宇宙戦艦の艦長になれるとは、前の人生では想像すらしていなかった。

 とはいえ今回は試運転で、ちょっとラメリカの周りを一周したら終わりだけどね。
 水や食料はたんまり積んであるけど、この「エルピス」をつかってまですることは現状ないし、いまのところノープランだ。

「機人様、これが機人様の修理した宇宙戦艦なのですね」

「……うむ、ん?」

 俺の隣りで体にぴったりとフィットした白いスーツを着て立っていたのはミリアさんだ。なんで?さっきまでテレビに出てたよね?

「……さっきまでテレビに出てなかったか?」

「あれは録画なので、せっかくなので、キツネさんたちにお願いして、潜り込みました。すみません」

「ンー!そうですぞ!せめて動画にしておきませんとな!これはビジネスになりますぞ!!初物と言うのはそれだけで値段が付きますからな!!」

 チャールスまでいんのかい!!

 ってことは……?

「ッス!せっかくなので」
「見にきました!」
「ごめんなさいね、機人様」

 ポトポトの妖怪連中が勢ぞろいしてるし!!

「……いや、良いのだ。いずれ見せたくもあったしな」

(ナビさん?)

(仲間外れは可哀想でしょう?)

(んもー!)

 格納庫の天井が開き、空が露わとなった。
 陽光が降り注ぎ「エルピス」の白い艦影が浮き上がる。

 美しい船だ。人の手でこれが作り出せたとはな。

『エンジン点火』

 グンッっと艦が持ち上がり、シートに押さえつけられるような感覚を感じる。
 エルピスは空を駆け登った。

『エンジン出力安定』

「……よし、このままラメリカの海岸をクルーズするとしよう」

「楽しみです!」


<ビーッ!!><ビーッ!!><ビーッ!!>


 ふっと気が抜けた、まさにその時だった。
 ブリッジに何かの異変を知らせる、耳障りな音が鳴り響いたのだ。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...