おてんばプロレスの女神たち

ちひろ

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おてんばプロレス見参

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 「ああ、いい気分だわ」。
 東北三大名湯のひとつとして知られる、おてんば温泉。木下涼子は、パノラマのような蔵王山麓を一望できる露天風呂からあがると、「さてと」といいながら、大きくせりだした胸をピンクのバスタオルで巻き、ちょっとカールがかった黒髪をドライヤーで乾かし始めた。更衣室の大きな鏡に映っているのは、どこにでもいるような二十歳の乙女。ぽっちゃり顔がちょっと自慢で、右斜め三十度ぐらいから見ると、いまどきのアイドル風に見えなくもない。肩書は学生。ふだんは市内のおてんば女子大学へ通う涼子だが、何を隠そう、慈善事業を目的とした女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスの主宰者兼エース兼広報担当兼雑務全般を担う自称・女子プロレスラーでもある。あくまでも素人が演じているプロレスのため、“ごっこ”がついているのだ。
 桃の節句でもあるこの日。涼子は郊外にある日帰り温泉施設の宴会場に特設リング(安物のマットを何枚か重ねただけの簡素なものである)を設け、旗揚げ以来、初めての自主興行を控えていた。ひと足早く会場入りした涼子は、女王をイメージした正統派レスラーのRKクイーンに変身する前に、自らの緊張をときほぐすべく、温泉でひと汗かいていたのである。RKクイーンというのは、もちろんリングネームで、R=涼子、K=木下のイニシャル。クイーンには、いつか女王の座につきたいという涼子の熱い想いがこめられていた。
 涼子の人生が変わったのは、中学二年生のときだった。女子プロレス界のレジェンドでもある花形結衣の試合を動画サイトで観て以来、女子プロレスの世界に想いを馳せるようになったのである。どちらかというと、それまでは不登校気味で、中学校へ通うのが苦痛でしかなかった涼子。勉強もしたくない。友達とも顔を合わせたくない。先生も親も大嫌い。そんな涼子にポジティブなパワーを吹き込んでくれたのが、女子プロレスラーの結衣だった。
 ああ、なんてかっこいいの。自分でも演じてみたい。そう思った涼子は、高校卒業後、地元のおてんば女子大学へ進むと、プロレス好きのクラスメイトを誘って、女子プロレスごっこ団体・おてんばプロレスを立ちあげた。立ちあげたといっても、未公認のサークルのため、自分たちで勝手に活動を始めたようなものである。プロレス界のスターに憧れていた涼子としては、できれば大学祭あたりで一発、大仕かけの興行にチャレンジするつもりでいたが、思うように会員が集まらず、活動は停滞気味だった。やがてプロレス好きのクラスメイトも「彼氏ができたから」という理由で、あっけなく離脱してしまった。
 んもー、なんなのよ。ひとりとり残された涼子は、毎日のようにキャンパスで団員募集のビラを配ってまわった。「明るく楽しく可憐に、チャリティープロレスで自分を咲かせよう」なんていうキャッチをあしらい、せっせとビラを配り続けたのがよかったのか、冬休み直前になって同学年の船橋浅子が加入してくれた。文学部の涼子に対し、浅子は地域創造学部の学生だった。身長百七十センチはあろうかという恵まれた体格の持ち主で、入団の動機を聞いてみると、「国立大学へ進学した彼氏と別れることになって、むしゃくしゃした気持ちをリングにぶつけたいんです」とかなんとか。まぁ、動機はともかく、実質的な仲間の第一号が入団してくれたのは大歓迎だった。
 浅子としては覆面レスラーに憧れているらしく、「これ、あたしのお手製なんです」といい、入団初日からオリジナルのマスクをかぶってきた。「えっ、お手製だなんて、まさかその格好で通学してきたの?」と涼子が尋ねると、浅子は「えへへ」と笑いながらうなずいた。「マスクをしたまんま、授業に出たら先生に叱られちゃいました」だなんて。どうやら筋金入りのマスクウーマン。
 その浅子というのが、じつは地元では知らない人はいないだろうという日帰り温泉施設・ニューおてんば温泉のひとり娘で、ひな祭り決戦と銘打ったこの日の試合会場を確保できたのは、何を隠そう浅子のおかげだった。浅子のお父さんが日帰り温泉の代表についていて、危険なことさえしなければ、温泉施設内の宴会場を使ってもいいといってくれたのである。しかも嬉しいことに無料で。
 「え、やったー、浅ちゃん。ありがとう」と喜びまくった涼子は、安物のマットレスを重ねただけの四角いジャングルで、おてんばプロレスの旗揚げ戦を開催することになった。団員は涼子と浅子のふたりだけだったが、ありがたいことに温泉施設で働いている若手スタッフらが、遊び半分で手伝ってくれた。
 売上は全額福祉のために寄付しようという、渾身のチャリティーマッチ。涼子らにとっては何もかもが初めての体験で、みんな観にきてくれるんだろうか、ひとりもこなかったらどうしようと心配だったが、無名の団体としては、まずまずの客の入りだった。入場料は大人三百円、中学生以下は無料。大学のキャンパスはもちろん、おてんば市の中心部商店街や駅前でビラを配りまくった甲斐があったのか、二百人ほど収容できる宴会場は、見た感じ六分の入り。お年寄りのグループや親子連れ、カップルなど、世代を超えたお客さんたちが宴会席を埋め尽くしていた。
 よく見ると、涼子の中学時代の悪友たちもいる。みんなで焼き鳥を頬張りながら、のん気なものである。あっ、それに親せきのオジさんやオバさんまで。オジさんは早くもほろ酔い気分と見えて、枝豆のおかわりがどうとかいいながら、オバさんに無理やりお金を払わせている。まるで地域の盆踊りでも観にきているような緊張感のなさは、いいことなのか悪いことなのか。そんなゆるりとした雰囲気を突き破るように、場内アナウンスが鳴り響いた。
 「赤コーナー、開湯千二百年、おてんば温泉の源泉から蘇ったミステリアスマスクウーマン、スーパーアサーコ~!」。
 デビュー戦という晴れの舞台で浅子がコールをされると、宴会場に集まってきた観客(客の三割は酔っぱらい)の間で、ヒューヒューという歓声が沸き起こった。ボランティアでリングアナウンサーを務めているのは、浅子のお父さんである。ありがたいことに日帰り温泉の社長という人脈を活かして、自ら観客を集めてくれたのだ。浅子からの情報によると、地元の温泉協会のお偉いさんもきているというが、最前列で生ビールを飲んでいるオジさん連中がそうなのかもしれない。
 浅子が寅をあしらったマスクを脱ぎ捨てると、その下にはさらにもう一枚、別な寅をイメージしたマスクが隠されていた。マスクにこだわりを持つスーパーアサコならではの独創的な演出に、「おおっ」というどよめきが起こった。なんで寅なのかというと、浅子自身が寅年生まれで、自宅で飼っている猫の名前も寅。プロレスの歴史を振り返ると、レスラーとして大成するには寅のマスクをかぶるしかないと直感したらしい。
 やがて「弱気を助け、地域に愛を届ける、おてんばプロレスのヒロイン、RKクイーン降臨!」という浅子のお父さんのコールに合わせて、明るく軽快な入場テーマ曲がかかると、涼子は「よし」といい、花道ならぬ宴会場の畳の上を歩き始めた。場内からは「RK~」という声援にまじって、「生ビールおかわり」という親父の声が聞こえてきた。ドッという笑い声。花道ならぬ畳の上を歩く涼子のあとを、子どもたちがおもしろがって追いかけてきた。
 涼子は、この日のためにオリジナルのコスチュームを身につけていた。自ら考案したデザインをもとに、ドレスメーカーの専門学校に通う同級生が作ってくれたもので、王様を印象づける紫がベースの装い。大学生になっても、ふだんはスッピン(素顔)でいることが多い涼子だが、この日ばかりは気合いを入れて、派手めのメイクを施していた。目もとをシャープに見せるためのアイシャドー。小顔効果を高めるために、赤や青、黄色のペイントメイクにもトライしてみた。できるだけ右斜め三十度ぐらいで見てみらえるように、顔の向きは、お客さんの反応によって逐一変える気の配りよう。超ローカルの“なんちゃってプロレス”ではあったが、女子プロレス団体のトップに君臨するという夢が叶ったんだわと思うと、涼子は感無量だった。
 涼子の身長は百五十八センチ。体重は秘密。浅子より十センチ以上は小柄だったが、エースとしての貫禄だけは見せつけようと思い、「女子プロレス界のニューヒロイン、RKクイーン~!」というコールに合わせて、右手の人さし指を天井につきあげた。中学校の同級生が、紫色の紙テープを一本だけ投げこんでくれた。なぬ、一本かよ。でも、ま、ありがとう。
 「両選手に花束の贈呈です」と浅子のお父さんがいうと、なぜかどういうわけか、町内会の会長とその奥さんが大出を振りながら、リングならぬマットの上に現れた。きっとこれも浅子のお父さんのプロデュースのたまものと思いながら、それなりに高そうな花束を受けとった涼子は、両の手を合わせて感謝の意を表した。
 カーン。和気あいあいとした雰囲気の中、試合開始を告げるゴングならぬゴングの代用品であるバケツの音が鳴り響いた。バケツを鳴らしたのは、これまた浅子のお父さんである。正確にいうと「カーン」ではなく「バ~ン」か。
 しょっぱなからリング上でにらみ合う涼子と浅子。試合前にひと通りの段どりは決めてあったが、いざリングに立ってみると、緊張で頭の中がまっ白になる。「カモーン」という浅子の挑発に、涼子は腰を低くして、アマレスのような態勢をとった。アマレスなんて経験がないのに、要は気分の問題である。
 手四つの態勢からグラウンドでの攻防。バックのとり合い。と思ったら、いきなり浅子が涼子の右腕をつかみ、腕ひしぎ十字固めを仕かけてきた。といっても、もちろん“ふり”だけ。あくまでも“ごっこ”に徹しながら、浅子が涼子の腕を締めあげると、涼子は「ギャー」と大声をあげ、両足をバタつかせてもがき苦しんだ。会場からは「おーっ」とか「やるじゃん」という驚きの声。
 涼子と浅子は、試合の序盤では、いかにもプロレスという雰囲気だけでも演出しようと、あらかじめ示し合わせてあったのだ。浅子が入団してから、まだ二か月とちょっとしか経っていない中、本物のプロレスの映像をふたりで何十時間観たことか。もちろん「かっこいい」と思った場面は、何度も映像をチェックして、身のこなしや表情を徹底的にまねた。「形から心へ」とはよくいったもので、まずは見た目にこだわりながら、少しずつ技に磨きをかけてきたのである。初めてのリングは、マットレスを三枚も重ねているので、いくらぶん投げられても痛くなかった。ふわふわしすぎて、ちょっと歩きづらいというのはあるが、いずれ慣れることだろう。
 「ギブアップ?」と叫びながら、レフェリーも兼任している浅子のお父さんが、わざとらしいゼスチャーまじりで涼子の顔をのぞき込んできた。「オー、ノー」となぜか和製英語で応えながら、涼子は首を横にふった。日本語でいえばいいのに、なんでまた英語なのか、涼子自身、意味がよくわからなかった。
 その後は空中戦あり、反則攻撃ありと、プロレス(ごっこ)ならではのめまぐるしい展開が続いた。小さなお子さんやお年寄りの観客も多かったので、場外乱闘だけは手控えることにしていた。一応最後は、浅子のパワーファイトによって劣勢に立たされていた涼子が、起死回生のムーンサルトプレス(注:本物のムーンサルトは、コーナーの最上段からバック転をしながら、相手めがけてボディプレスを仕かける超ド派手な大技だったが、おてんばプロレスにはコーナーポストなるものが存在していないため、マットレス上で軽めにバック転をするだけの、いささか地味な技だった)でスリーカウントを奪う設定になっていたが、最後の最後で想定外のハプニングに見舞われた。事前の筋書きにはない事態に涼子はうろたえた。な、何が起きたの!?えー、何。なんなのよ。
 「おい、RKクイーンとスーパーアサコ。そんなお子ちゃまみたいな低レベルな闘いで、おてんば温泉が盛りあがるとでも思ってんのか。冗談じゃねえよ。この街をもっとよくするために、あたしたちは決起した。その名もオバさん軍団だ。あたしたちと闘え!」とがなり立てながら、突然、謎のオバさん軍団が会場に入場してきたのである。会場からは「何あれ!?」とか「すげー」という声。興奮しまくる酔っぱらい。やんややんやの大騒ぎに、泣き出す赤ん坊もいた。
 あれっ、先頭に立ってハンドマイクをがなり立てているのは、浅子のお母さんじゃない?黒いサングラスがレトロというか、まるで昭和を彷彿とさせるようなヒール(悪役)のいで立ち。浅子のお母さんとは、これまで何度かしか会ったことがなかったが、こんなにぶっ飛んだキャラだったっけ!?と涼子は頭を抱えた。浅子のお母さんのほかに、エプロン姿のオバさんや、赤ちゃんの人形を乗せた乳母車を押しているオバさんもいる。
 えっ、なんで。なんでなんでなんで。当の浅子は、何ごともなかったかのように、すまし顔でファイティングポーズをとったりなんかしているが、もしかすると、これって浅子が仕くんだんじゃ。浅子のお父さんが「ノーノ―」と叫びながら、オバさん軍団の乱入を制止しようとしていたが、よく考えてみると、浅子と浅子のお父さんと浅子のお母さんが同じ会場にいるこの状況。
 「え~、すべては浅子のお母さんたちの筋書き通りだったりして」とあきれ返った涼子は、それならそれで「事前にいってよね」と、つい声を荒げてしまった。段どりっていうものがあるでしょ、プロレスには‥‥。エースの自分が知らないというのも変な話。
 ところが、これも演出のひとつと思ったのか、観客らは大喜びだった。客席の一部では「オバさん」コールが沸き起こり、「闘うオバさん」と書かれた画用紙を突きあげている女性(この方もオバさん)の姿も見てとれた。総勢三名の年増軍団(失礼)。この人たちは一体何を企てようとしているのか。見た目的には決して若くなさそうだし、プロレスというよりも、ちんドン屋にしか見えない(ごめんなさい)。
 涼子は不意に襲われためまいと闘いながらも、ワーワーという歓声が交錯する中、メジャー団体のエースを気どりながら、プロレス流のファイティングポーズをとってみせた。単なるマットレスを重ねただけのリングの上で、睨みをきかせる涼子。本物のプロレスであれば、ここでパンチ力のあるマイクパフォーマンスを魅せたいところだが、そこは素人の“ごっこ”団体である。段どりそのものが度外視されている中、いきなり壮絶な殴り合いを始めるわけにもいかず、何をどうすればいいのかもわからないまま、とりあえず涼子が不慣れな手つきでマイクをつかむと、「私たちはいつでもOKです。オバさん軍団が女子大生に勝てるわけがないでしょう。ねぇ、皆さん。オバさん軍団こそ、首を洗って待っていろよ-」といい残し、さっさとリングをあとにした。ていうか、リングから逃げ出したという方が正しい。頭の中がひっちゃかめっちゃかで、何がなんだかよくわからなかった。突然、頭の中でミキサーをかきまわされたような気分。
 控室に戻ると、「ああ、悔しい。これじゃ試合がぶち壊しだわ。せっかくムーンサルトプレス(もどき)の練習をしたのに、みんなに見せられなかったじゃん」と涼子は叫んでいた。温泉施設の若手スタッフが気遣って、「いや、でも、すごいかっこよかったですよ」と声をかけてくれた。
 その後、一触即発の緊張に包まれたマットレスの上では、浅子と浅子のお母さんがマイク口撃を続けていたが、最後は浅子のお父さんが「待った」をかけた。エスカレートしかねないふたりの間にわけ入りながら、会場のオーナー自らが、抗争ならぬ口争にストップをかけたのである。
 「おてんばプロレスの第二章は、女子大生と主婦の対決です。日程は別途お知らせしますので、ぜひ応援をよろしくお願いします!」という浅子のお父さんのアナウンスに、「社長」コールがふって沸いて、おてんばプロレス初めての大会は締めくくられた。今日は女の節句どころか、女の絶句でしかないと涼子は思っていた。まさか浅子のお母さんらが台風の目になるなんて。主役は私、RKクイーンのはずだったのに。
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