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五 因果の糸
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「病院へ行ってたのか」
事務所に戻ると椚が姿を見せた。
コートをハンガーにかけ、いつもの白衣に袖を通しながら鹿妻は笑顔で迎える。
「やあ、椚。いらっしゃい」
椚は戸を閉めて、他にだれもいないことを確認してから話し始めた。
「間宵も一緒だったのか」
「そうだよ。途中で緊急の呼びだしがあって別れた。最近は大分減ったみたいだけどね」
「それはちょうどよかった」
鹿妻はそれには答えず、笑顔をむける。
「長い話かな? 俺もちょうど喉が乾いていたところだ。椚はブラックだったよね。座って待ってて」
コーヒー豆と水をセットし、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。
ガラガラとコーヒー豆を挽く音が室内に響き、香りが広がった。
鹿妻は椚に背を向けたまま、無言だった。
顔を合わせれば軽口を叩くこの男が珍しく言葉を選んでいることに椚は気づいていた。
それならば、椚がなにについて話そうとしているのか察しがついているのだろう。
「お待たせ」
コーヒーカップをふたつ、テーブルに置き、鹿妻は椚の横の椅子を引く。
鹿妻は対象の斜めに座る癖がついていた。
この白い円形のテーブルではそこが斜めになる位置だ。
鹿妻はゆっくりとコーヒーカップに口をつける。
椚が微動だにせずコーヒーの表面をじっと見ていることに気づき、思わず笑みを漏らす。
「そういえば椚は猫舌だったね。フーフーでもして冷ませばいいのに」
椚は厳つい顔を顰めて、言った。
「大人の男がやるとみっともないだろ」
「ははっ。まあ、椚がやると意外かもしれないね。部下は驚くと思う。でも、威厳は薄れるかもしれないけど、親しみは持ってもらえると思うよ。まあ、ここには俺たちしかいないんだし、遠慮する間柄でもないでしょ」
「……それもそうだったな」
そう言うと、椚は身体の向きを鹿妻の方に向けた。
「間宵が不調だ。おまえなら理由を把握しているんじゃないか」
鹿妻はふうと息をつく。
きたか、と思った。
「不調って?」
「被疑者は変わらず挙げている。だが銃を使った報告がある。無論、それを使うことになんら問題はない。そのために携帯させている。だが、間宵が銃を使うということは――」
「慧ちゃんのプライドの問題で考えられないってことか」
「ああ。そうだ」
椚は真っ直ぐに鹿妻を見据えていた。
余計な誤魔化しは不審を生むだけで逆効果だろうと鹿妻は観念する。
「ミセリコルディアには、まだわかっていないことがたくさんある。だからいまから話すことには持論が含まれているよ」
「構わない。わたしはミセリコルディアの専門家として、ひいては鑑定官としての鹿妻を信用している」
「それはありがたいね。給料もアップしてもらえるとさらに嬉しいんだけど」
「不足か?」
「冗談だよ」
椚が眉を寄せたのを見て、鹿妻は笑みをこぼす。
「ミセリコルディアを服用したことのある、特に子どもたちは、ミセリコルディアを長らく服用していない状態でも、ある条件下でアイテールを顕現させてしまう。慧ちゃんもリリーちゃんもルウくんもそうだったよね?」
「そうだ。しかも彼らはそれを自在に操れた。だからスカウトした」
リリーとルウは隔離施設の牢屋のような薄暗い病室で、慧は鹿妻を介して、椚は顔を合わせたのだった。
彼らは決して幸福とは言えない状態だった。
「もちろんアイテールをある一定時間顕現させ操るにはミセリコルディアの力が必要だ。だから一定量を彼らに処方し、違法薬物取締官として働いてもらっている。ところで、彼らが長時間ミセリコルディアを摂取していなくてもアイテールを顕現させるのはどんな状態のときだ?」
椚がため息混じりに言った。
「クイズは好きじゃない。試されている気がする」
「少しくらい付き合ってくれてもいいじゃない。相変わらずノリが悪いなあ」
「悪かったな」
「ふふっ、まあいいけど……。彼らがね、アイテールを顕現させるのは、強い興奮や怒りを感じているときだ。つまりね、彼らの脳波がβ波やγ波のときなんだ」
「β波やγ波……?」
「脳波には五つあって精神状態を表すとされているんだけど、一番描く波が緩やかなδ波は熟睡中などの無意識状態を表し、次に穏やかなθ波は浅い眠りや瞑想中になりやすい。一番耳にすることの多いα波はリラックスできている状態を表しているんだ。β波やγ波はそれとは対極にある状態だ。つまりストレス状態で感情が昂ぶっている状態ということ。γ波がしめす波は特に激しく興奮の度合いが高い。
どうやらアイテールが顕現しやすいのはこのγ波のときのようなんだ。慧ちゃんは四人のなかでも描く脳波が大きくて、特に犯人を追い詰めるときは激しい波を描いていた」
「それが最近違うと?」
「椚は慧ちゃんの経歴をどこまで知ってる?」
「生まれてから違法薬物取締官になるまでのことは洗いざらい調べてある。あの事件のこともだ」
「そうだよね……。じゃあ、先日死んだ犯人ダッドとの関係性も知ってるんだよね」
「無論だ」
「なら話すけど、慧ちゃんはダッドに復讐することを目的に生きてきたと言ってもいい。でも、ダッドはすでに殺されてしまっていた。目的は失われた。けれど、慧ちゃんは少女を――まるで自分の分身のように同じ状況に陥っていた少女を救ったんだ。それは慧ちゃん自分を間接的に救ったようなものだった」
椚は顎に触れながら、呟いた。
「つまり、間宵の目的は果たされなかったが、意図せず心的外傷を克服した、と?」
「慧ちゃん自身、決してそのことを意識して行ったわけではない。だから本人も気づいていないと思う。だけど、慧ちゃんの脳波はあれから安定している。α波をしめすことが多くなり、犯人と対峙したからといって、極端な波数をいきなり描くことはなくなった。γ波になることがほとんどなくなったんだ」
「それが間宵がアイテールを操れなくなった理由か」
「持論だけどね」
椚はやっとコーヒーに口をつける。
少しぬるくなった苦い液体が舌を適度に刺激する。
「間宵は以前のように戦えるか?」
鹿妻にしては珍しく眉を顰めた険しい表情で椚を見つめた。
「それは、慧ちゃんを辞めさせることを考えてるってこと?」
ふん、と椚が鼻を鳴らす。
「まさか。間宵の夢幻に対する憎しみは本物だ。それだけでこの職に就く理由は十分だ。配置換えだよ。戦えないのに現場にだすのは危険だろう」
「……なんだ」
背もたれに体を預けて、拍子抜けしたように鹿妻が呟く。
「だけど、そうなったら、慧ちゃんはきっと傷つくね。いまの仕事にプライドを持って臨んでいたから、自ら辞めるって言いだしかねないかも」
「それでも私は構わないが、おまえが嫌ならどうにかして説得すればいい。鹿妻の言うことなら間宵も聞くだろう。そうだ。どうせなら、鹿妻の助手にしようか」
眼鏡の下で鹿妻が困った笑みを浮かべる。
この上司は見ていないようで、意外と見ている。
「その判断はもう少し待ってくれないかな。いまは過渡期だ。落ち着いたら、また元通り戦えるようになるかもしれないし」
「ひと月が限界だ。十和がいれば最悪の事態は避けられるだろうと思っているが、戦えないとわかっている人間を現場に立たせるなど、上司としては逸脱した判断だ。これでもかなり譲歩している」
「うん。ありがとう」
「しかし、因果なものだよ」
「え?」
ぐいとコーヒーを一気に呷って、椚は立ち上がった。
「アイテールが出現しなくなり、平穏な生活を送ることはむしろ喜ばしいことだろう。だがこんな世界に足を踏み入れたばかりに、間宵は素直に喜んでもいられない」
「けど、こんな世界に足を踏み入れなければ、あの事件と向き合うことはできなかったと思うよ」
「だから、因果だ」
「ああ。なるほどね」
椚はため息をついて、鹿妻を見下ろす。
白衣を着て髪にパーマをあてたこの優男は、締まりのない穏やかな表情で椚を見上げている。
出会った頃は、鹿妻も十和も思い詰め、張りつめた糸のようだったことを思い出す。
「ごちそうさま。参考になった」
事務所に戻ると椚が姿を見せた。
コートをハンガーにかけ、いつもの白衣に袖を通しながら鹿妻は笑顔で迎える。
「やあ、椚。いらっしゃい」
椚は戸を閉めて、他にだれもいないことを確認してから話し始めた。
「間宵も一緒だったのか」
「そうだよ。途中で緊急の呼びだしがあって別れた。最近は大分減ったみたいだけどね」
「それはちょうどよかった」
鹿妻はそれには答えず、笑顔をむける。
「長い話かな? 俺もちょうど喉が乾いていたところだ。椚はブラックだったよね。座って待ってて」
コーヒー豆と水をセットし、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。
ガラガラとコーヒー豆を挽く音が室内に響き、香りが広がった。
鹿妻は椚に背を向けたまま、無言だった。
顔を合わせれば軽口を叩くこの男が珍しく言葉を選んでいることに椚は気づいていた。
それならば、椚がなにについて話そうとしているのか察しがついているのだろう。
「お待たせ」
コーヒーカップをふたつ、テーブルに置き、鹿妻は椚の横の椅子を引く。
鹿妻は対象の斜めに座る癖がついていた。
この白い円形のテーブルではそこが斜めになる位置だ。
鹿妻はゆっくりとコーヒーカップに口をつける。
椚が微動だにせずコーヒーの表面をじっと見ていることに気づき、思わず笑みを漏らす。
「そういえば椚は猫舌だったね。フーフーでもして冷ませばいいのに」
椚は厳つい顔を顰めて、言った。
「大人の男がやるとみっともないだろ」
「ははっ。まあ、椚がやると意外かもしれないね。部下は驚くと思う。でも、威厳は薄れるかもしれないけど、親しみは持ってもらえると思うよ。まあ、ここには俺たちしかいないんだし、遠慮する間柄でもないでしょ」
「……それもそうだったな」
そう言うと、椚は身体の向きを鹿妻の方に向けた。
「間宵が不調だ。おまえなら理由を把握しているんじゃないか」
鹿妻はふうと息をつく。
きたか、と思った。
「不調って?」
「被疑者は変わらず挙げている。だが銃を使った報告がある。無論、それを使うことになんら問題はない。そのために携帯させている。だが、間宵が銃を使うということは――」
「慧ちゃんのプライドの問題で考えられないってことか」
「ああ。そうだ」
椚は真っ直ぐに鹿妻を見据えていた。
余計な誤魔化しは不審を生むだけで逆効果だろうと鹿妻は観念する。
「ミセリコルディアには、まだわかっていないことがたくさんある。だからいまから話すことには持論が含まれているよ」
「構わない。わたしはミセリコルディアの専門家として、ひいては鑑定官としての鹿妻を信用している」
「それはありがたいね。給料もアップしてもらえるとさらに嬉しいんだけど」
「不足か?」
「冗談だよ」
椚が眉を寄せたのを見て、鹿妻は笑みをこぼす。
「ミセリコルディアを服用したことのある、特に子どもたちは、ミセリコルディアを長らく服用していない状態でも、ある条件下でアイテールを顕現させてしまう。慧ちゃんもリリーちゃんもルウくんもそうだったよね?」
「そうだ。しかも彼らはそれを自在に操れた。だからスカウトした」
リリーとルウは隔離施設の牢屋のような薄暗い病室で、慧は鹿妻を介して、椚は顔を合わせたのだった。
彼らは決して幸福とは言えない状態だった。
「もちろんアイテールをある一定時間顕現させ操るにはミセリコルディアの力が必要だ。だから一定量を彼らに処方し、違法薬物取締官として働いてもらっている。ところで、彼らが長時間ミセリコルディアを摂取していなくてもアイテールを顕現させるのはどんな状態のときだ?」
椚がため息混じりに言った。
「クイズは好きじゃない。試されている気がする」
「少しくらい付き合ってくれてもいいじゃない。相変わらずノリが悪いなあ」
「悪かったな」
「ふふっ、まあいいけど……。彼らがね、アイテールを顕現させるのは、強い興奮や怒りを感じているときだ。つまりね、彼らの脳波がβ波やγ波のときなんだ」
「β波やγ波……?」
「脳波には五つあって精神状態を表すとされているんだけど、一番描く波が緩やかなδ波は熟睡中などの無意識状態を表し、次に穏やかなθ波は浅い眠りや瞑想中になりやすい。一番耳にすることの多いα波はリラックスできている状態を表しているんだ。β波やγ波はそれとは対極にある状態だ。つまりストレス状態で感情が昂ぶっている状態ということ。γ波がしめす波は特に激しく興奮の度合いが高い。
どうやらアイテールが顕現しやすいのはこのγ波のときのようなんだ。慧ちゃんは四人のなかでも描く脳波が大きくて、特に犯人を追い詰めるときは激しい波を描いていた」
「それが最近違うと?」
「椚は慧ちゃんの経歴をどこまで知ってる?」
「生まれてから違法薬物取締官になるまでのことは洗いざらい調べてある。あの事件のこともだ」
「そうだよね……。じゃあ、先日死んだ犯人ダッドとの関係性も知ってるんだよね」
「無論だ」
「なら話すけど、慧ちゃんはダッドに復讐することを目的に生きてきたと言ってもいい。でも、ダッドはすでに殺されてしまっていた。目的は失われた。けれど、慧ちゃんは少女を――まるで自分の分身のように同じ状況に陥っていた少女を救ったんだ。それは慧ちゃん自分を間接的に救ったようなものだった」
椚は顎に触れながら、呟いた。
「つまり、間宵の目的は果たされなかったが、意図せず心的外傷を克服した、と?」
「慧ちゃん自身、決してそのことを意識して行ったわけではない。だから本人も気づいていないと思う。だけど、慧ちゃんの脳波はあれから安定している。α波をしめすことが多くなり、犯人と対峙したからといって、極端な波数をいきなり描くことはなくなった。γ波になることがほとんどなくなったんだ」
「それが間宵がアイテールを操れなくなった理由か」
「持論だけどね」
椚はやっとコーヒーに口をつける。
少しぬるくなった苦い液体が舌を適度に刺激する。
「間宵は以前のように戦えるか?」
鹿妻にしては珍しく眉を顰めた険しい表情で椚を見つめた。
「それは、慧ちゃんを辞めさせることを考えてるってこと?」
ふん、と椚が鼻を鳴らす。
「まさか。間宵の夢幻に対する憎しみは本物だ。それだけでこの職に就く理由は十分だ。配置換えだよ。戦えないのに現場にだすのは危険だろう」
「……なんだ」
背もたれに体を預けて、拍子抜けしたように鹿妻が呟く。
「だけど、そうなったら、慧ちゃんはきっと傷つくね。いまの仕事にプライドを持って臨んでいたから、自ら辞めるって言いだしかねないかも」
「それでも私は構わないが、おまえが嫌ならどうにかして説得すればいい。鹿妻の言うことなら間宵も聞くだろう。そうだ。どうせなら、鹿妻の助手にしようか」
眼鏡の下で鹿妻が困った笑みを浮かべる。
この上司は見ていないようで、意外と見ている。
「その判断はもう少し待ってくれないかな。いまは過渡期だ。落ち着いたら、また元通り戦えるようになるかもしれないし」
「ひと月が限界だ。十和がいれば最悪の事態は避けられるだろうと思っているが、戦えないとわかっている人間を現場に立たせるなど、上司としては逸脱した判断だ。これでもかなり譲歩している」
「うん。ありがとう」
「しかし、因果なものだよ」
「え?」
ぐいとコーヒーを一気に呷って、椚は立ち上がった。
「アイテールが出現しなくなり、平穏な生活を送ることはむしろ喜ばしいことだろう。だがこんな世界に足を踏み入れたばかりに、間宵は素直に喜んでもいられない」
「けど、こんな世界に足を踏み入れなければ、あの事件と向き合うことはできなかったと思うよ」
「だから、因果だ」
「ああ。なるほどね」
椚はため息をついて、鹿妻を見下ろす。
白衣を着て髪にパーマをあてたこの優男は、締まりのない穏やかな表情で椚を見上げている。
出会った頃は、鹿妻も十和も思い詰め、張りつめた糸のようだったことを思い出す。
「ごちそうさま。参考になった」
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