あの素晴らしい愛をもう一度

仏白目

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「お兄様ありがとうございました、これだけ分かれば充分です」

「そうか、セレスはあの子を引き取る気か?」
 お兄様は少し怪訝な表情を浮かべている

「ええ、養子縁組します、跡取り候補は無理でも家族として迎え入れるつもりです」

「正気か?
ジャレッドの愛人の子だぞ?しかも
父親はジャレッドじゃなかったとか」

「やだわ、お兄様、ジャレッドの子じゃなかったから良かったのですわ クリスティアーノ家も口出し出来ないし
調査の内容じゃ、唯一の母親も放棄してるんだから、返せ!なんて言えないわ
これで、安心して養子縁組できます。」

「問題はそこか?嫌じゃ無いのか?
離婚の原因を作った女の子供だぞ?」

「まあ、そう言えばそうですが、お兄様もキアラに会えば分かりますわ 
あの子は私にとって、仲間なのです!」

「仲間?」

「ええ、庭園にマアサといるでしょうから、行きましょう!」

子供の時のようにセレスに手をひかれて
カイゼルは庭園を歩く

「それにしても、花が凄いな!
セレスがバーグ侯爵家にいる頃の庭と同じだ、庭師のトムがいた頃の庭だ・・・」

「トム爺懐かしいですわ!」

「凄腕の庭師といわれて、他からスカウトされてもバーグ家専属ですのでと、断っていた・・・そうだ・・トムは・」

カイゼルはふと、子供の頃トムが話した事を思い出す  

『坊ちゃま この庭はバーグ侯爵家だからですよ 私の力じゃあない、私は今まで通りに手入れをしているだけ、ここ数年、急に花が咲き乱れるのは 花達が喜んでいるんですよ  愛し子がいて 』

愛し子?

トムが高齢になってバーグ家の庭師を降りてそれから・・
その頃セレスが嫁いで家を出たのが先か、

なんだそうか、ここにはトムはいないのに、この花々の景色は・・

「セレスが愛し子だったのか・・」

「え?なんですか?」

「いや・・」

ピンクの髪の毛の小さな女の子が
花だらけになった庭で何かを捕まえようと
している

「キアラ!こちらへいらっしゃい!」

「あーい」

「君がセレスの仲間かい?
はじめまして、カイゼルだ!
セレスのお兄ちゃんだよ」

「チアラでしゅ!」ペコリと頭をさげる

「ふふっ、かわいいでしょう」

「ああ、可愛いな、セレスの子供の頃を思い出すよ」

私とお兄様が手を繋いでいるのを見て、キアラもお兄様と手を繋ぐ

カイゼルの瞳にもキラキラした者が周りを
浮遊してしるのがわかり 目を見開く

 そうか!愛し子仲間なのか
セレスとキアラを交互にみて、
カイゼルは微笑むと


「ああ、なんて素晴らしい景色だ」

一筋の涙がカイゼルの頬をつたうのだった

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