泣きたいくらい幸せよ

仏白目

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チェルシー.ハサウェイ

眉間の皺は通常運転ですか?

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 アインリヒ.シュバルツ国王は現在20歳
 2年前に王座に着いたはず、18歳で国王になり国を前王よりも繁栄させていると噂には聞いている、

 そんな裕福な国が何を求めて田舎のアーリング王国と繋がりを持とうとしたのか?
 宝石や魔石の取れる鉱山はあるがそれ以上のものがシュバルツにはありそうだし、

 ただ国王同士が友達同士だったとか?
 まあ、私は婚約者では無いので口出しは一切しない、そのうち私も何処に嫁がされる身としては、なるべく穏やかに過ごしていたいと、思っている

 なので お姉様の婚約者様が怖いお顔でこちらを睨んでいて、、縮み上がったチェルシーは、リディアお姉様の我儘も嫁いでしまえばこれが最後と呑気に着いてきてしまったことを後悔している真っ最中である

「で、君の姉上は体調はどうなんだ?」

 そんな怖い顔で聞かれても気分は取り調べを受けている容疑者の気分だ

「あ、あの・・」

「なんだ!?」

「私、何かしましたか?」

「⁈  ・・どういう事だ!」

「いえ・・・シュバルツ国王様が怒っているようなので・・・」

「・・・・・」「ぷっ!」

 国王が口を開けて、何かいいだけにしていると、後ろに控えていた執事が何故かふきだした

「失礼しました、私はアインリヒ国王の執事でジムニー と申します
 チェルシー王女様ご安心下さい、通常運行でございます」

「え?眉間の皺も通常運行ですか?」

 ジムニーさんは掛けているメガネを指でくいっと上げて、

「はい、眉間の皺も通常運行でございます」

「まあ! それは失礼しました!私ったら決めつけてしまって申し訳ありませんでした」

「ごほん!・・う、うむ 気にしないでくれ」

「ありがとうございます、 心の広いシュバルツ国王に感謝いたします

 姉のリディアの体調のことでしたね、
 心配は無いとお医者様には診断をしてもらいました、暖かい所で休めば大丈夫だそうです、姉はシュバルツ国王様に会えるのを楽しみにしておりましたので、今は少し落ち込んでおりますわ」

 落ち込むことなどリディアお姉様の辞書には存在しないが、チェルシーは姉のフォローはしておく事にした

「ああ、体調を優先してほしい 慣れない長旅の疲れもあるだろう、無理はしないように伝えてくれ」


「ありがたき、お言葉をありがとうございます その様に姉に伝えておきます」


「そなたは・・・チェルシー王女は体調は大丈夫なのか?」


「はい、それが不思議な事で 道中シュバルツ王国に入った所で雪が降り始めたのですが、この王城に着く頃には辺り一面白く積もる程の雪で、そして王城の中に入ると雪などかけらもなくて


 姉と一緒の馬車に乗っていた侍女の2人だけが寒さに凍えていて、他の者達はそういえば雪が降っているのに、さほど寒さを感じていなかったと言うのです
 姉の状態をみて、寒さを感じていない私達の方がおかしいのでは?と思うのですが・・・」


「ああ、王城には雪は積もらないようになっているんだ」

「その様なことができるのですね?」

「光の王国と言われるのは、精霊の加護のおかげでね、その精霊に歓迎されていないと、この国に入ると体調を崩すんだ、この国から出れば元通りに良くなるらしいが」

「精霊の・・それは、まさかリディアお姉様の事ですか?」

「ああ、そのリディア王女の身に起きた事はまさに当てはまる、精霊が警告しているのだよ」

「そんな・・・」

「わざわざ来てくれて申し訳ないが、早々に帰られた方がいい この国に居れば体調は悪いままだろう」


「・・・・・」


 返す言葉も無くなってしまい、その後は、夕食を一緒にと誘って貰い 部屋を退出した


 頭に浮かんでいたのは、『精霊の加護』と『精霊の悪戯』・・・精霊って物語の中だけじゃなく本当にいるの?




 それからは、湯浴みをして身支度をして、夕食の時間まで、ゆっくり過ごすことにした。



 夕食の席では シュバルツ国王は初めてあった時よりも少し柔らかい表情をしていた様に見える 顔立ちの整ったハンサムな方なのに怖い雰囲気は残念です




 夕食はとても豪華で美味しかった、きっとリディアお姉様を迎える為に用意されていた物なのだろう

 お姉様残念でしたね 代わりに私が頂きましたよ


 明日には体調が戻るといいのだけれど、シュバルツ国王の言う様に精霊に歓迎されていないのならば、嫁ぐことは無理になってしまうわ  




 翌朝、リディアお姉様の様子を伺いに部屋を訪ねると、昨日体調を崩していた侍女はすっかり調子が戻った様で元気な顔で応対した


「リディアお姉様の様子はどう?」


「はい、一晩お休みになられたら良くなった様子です」

「まあ、それは良かったわ」

「チェルシーなの?入って来て!」

 リディアお姉様は鏡の前に座って身支度を始めたところらしい

「リディアお姉様お体の調子は大丈夫ですか?」

「ええ、すっかりいいわ 繊細な私は長旅の疲れの上にあの寒さでしょ?体調を崩して当然よね それに引き換えあなたは図太いじゃない?側姫の娘の分際で私の嫁ぎ先まで着いてくるなんて、ねぇ?」

「それは、お姉様が連れて行くと言うから・・・」

「だとしてもよ?そこは断るのが当然じゃない? 私より先に私の婚約者に会うなんて、厚かましいわ!食事も一緒にしたそうじゃない? もう、貴女は先に帰りなさい目障りだわ!」


「・・・わかりました、この後支度をして帰ります」


 腹が立ったが、これでこの姉ともさよなら出来ると思えば清々するわ



 私の侍女と護衛2人を連れて帰る事になった


 一週間もあればアーリング王国には帰れる
 往路はリディアお姉様が寄り道をして倍以上の時間がかかったからだ


 昨日の今日で侍女と護衛にはもうしわけ無いけど、そうと決まればさっさと帰ろう!



 侍女頭のカミラから執事のジムニーさんを呼んでもらい,
「リディアお姉様は往路のお供に着いてきて欲しかったようです、姉も体調も落ち着きましたので大丈夫と申しておりました。なので私は帰国しますね
 国王様にもありがとうございましたとお伝え下さい。」

「そうですか・・・それは残念です 
 護衛にアーリング王国の国境までは遅らせますのでお気をつけてお帰りください 」


「まぁ、ありがとうございます お言葉に甘えさせて貰います」



 その後、侍女のケイティと5人の屈強そうな護衛と私の護衛2人を連れてアーリング国へと帰路についた


 天候にも恵まれそれはそれは順調な道のりでアーリング王国へと帰国することができた



「お帰りなさいチェルシー!」

「ただいま帰りましたわ、お母様」

「疲れたでしょう?ゆっくり休んで」

「ええ、お父様に報告をしたらゆっくりさせていただきます」


 お母様がサロンにお茶と私の好きなケーキを用意してくれて、お父様と3人で話す場を設けてくれた

「チェルシーよく帰ってきた大義であったな」

「はい、お姉様の機嫌を損ねてしまった様で思っていたより早く帰ってこれました、

 私の護衛も2人はいたのですが、シュバルツ王国側が我が国の国境まで送ってくれて、見るからに屈強な護衛を5人付けてくれて心強かったです」

「それは、ありがたい!お礼の手紙をこの後直ぐに書くとしよう!
 して、リディアの機嫌を損ねたとは何があった? まあ、リディアが我儘なのは百も承知だが 」


「それがシュバルツ国に入る前にその隣りの国を色々と観光しながら進んだので
 たどり着いたのは国を出てから2週間以上たっていました、シュバルツ国の今の気候は暖かいと聞いていたのに,シュバルツに入ってから直ぐに雪が降ってきたのです

 そして王城に着く頃には雪がつもるほどで、リディアお姉様と同じ馬車に乗っていた侍女は凍えてしまって、体調を崩してしまいました、おかしな事に私や、その他の者たちはあまり寒くも感じていなくて・・

 それでリディアお姉様はお医者様に診てもらって、暖かくして寝ていれば治るとおしゃられて 
 体調は翌日の朝にはお元気でした そこで、前日お姉様が具合が悪いので、私にシュバルツ国王が挨拶をしてくれたのです
 夕食もご一緒にと、呼んでくださったのが
 お姉様は気に入らなかったようです
 それで・・・」

「あぁ、リディアは何と」

「帰れと言われました」

「その前にも何か言っただろう?」

「ええ、まあ・・・私より先に婚約者に会うなんて厚かましい目障りだと」

「それと?」

「えっと、側姫の娘の分際で私の嫁ぎ先まで着いてくるなんて ・・くらいです」

「ああ、やっぱりそれか・・・
 もう今後リディアとは関係しなくていい、大体リディアが連れて行くと言っておいて何を言ってるんだ 」

「・・・はい、それでシュバルツ国王とお会いした時に精霊の存在を聞いたのですが、お父様はシュバルツ王国の精霊の話しは知っていましたか?」

「ああ、前国王から光の精霊のことは聞いているよ 精霊に国が守られていると、
 まあ、その精霊がアーリング王国との縁を望んでいると、リディアとの婚約が決まったわけだが・・
 今のシュバルツ国王は結婚には乗り気では無いようだがらリディアを焚き付けたのに・・・やっぱりリディアではダメだそうだよ 先程、手紙が届いた」

「まさか、リディアお姉様の体調がまた悪くなったのですか?」

「ああ、チェルシーが帰って直ぐに倒れたらしい、精霊に歓迎されていないからだと、説明してもそんな事は信じないと居続けているそうだよ、日に日に憔悴していってるようだ・・・」

「じゃあ、精霊は本当なんですね・・」

お父様は頷くと話を続ける

「それで、チェルシー こうなって見ると、きっと最初からお前の事だったのだろう 
先にリディアが生まれていたから、前シュバルツ国王からの話しがきた時、正妃がリディアがシュバルツの王妃になると喜んでな、順番からいってそうなのだろうと私も思っていたが、こうなったからには、この国の為に シュバルツ国に嫁いでくれないか?」








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