【完結】催眠なんてかかるはずないと思っていた時が俺にもありました!

隅枝 輝羽

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4.やっぱ、そうなるよな。なんかわかってた。

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「こんな、とこで……やめ……」
 
 大学構内の狭い通路で俺は壁にもたれてガクガクしていた。
 
 パチンッ
 
 高峰が右の口角をくっと上げて指を鳴らす。完全に油断してた俺は条件反射のごとく催眠状態に落ちていた。
 もう高峰には何度も催眠をかけられていて、俺は高峰の声と合図さえあれば丁寧な誘導がなくてもすぐにかかっちまうようになっていたから。でもさすがにこんな外でかけられるなんて思ってなかった。
 
「だから、前も言っただろ? 催眠は本人が本当に望んでないことまでやらせることはできないって」
「でもっ……ふぁ……」
「こんなとこでイッちゃうの? 恥ずかしいなぁ」
「だか、ら……やめろって……」
 
 パチンッ
 
「あうっ」
 
 カウントダウンは省略されてるのに完全に支配された俺の脳みそは高峰の合図で勝手にイッちまう。チカチカと火花が散ってるみたいだ。
 二人きりでいるときなら身を委ねられるけど、さすがに大学っていう知り合いが多いところは怖い。
 
「高、峰……あとに、しろって」
「そうだね。こんな可愛い状態見せられないよね。このあと家来るだろ?」
「むしろ……放置したら、許さねぇ」
「じゃあ、解除してあげるよ」
 
 完全に高峰のペースで翻弄されてる。どうしようもない。
 でも嫌じゃないんだよなぁ……。俺が心のどこかでこの状況を楽しんでいて高峰に言葉でいろいろされたいって思っちゃってる。
 
 高峰がカウントしてパチンッと指を鳴らすと、俺の敏感な状態は波が引くように収まっていった。ほっと安心した瞬間にいつもつるんでるうちの一人が通りかかる。
 
「あれ? ナオキまだいたんだ?」
「お、おー。そこで高峰に会って……」
「お前ら意外と気が合うんだな。うお、やべ。バイト遅刻する。じゃーな」
 
 解除ギリセーフじゃねぇかって高峰を睨むけど、そんなのどこ吹く風な顔してる。
 
 このところずっと一緒にいるもんだからグループのやつらも高峰に話しかけるようになったけど、コイツ意外と他人のあしらい方が上手い。嫌な気分にさせないようにしつつも中に踏み込ませないっていうか。だから、俺と最初にあんな風に話してくれたことが不思議だ。
 お陰で仲良く? なったんだけどな。
 
「あぶねーだろうが」
「大丈夫だよ。お前、俺の声にしか反応しないし」
 
 悔しい。
 けど言い返せない……未だに俺は販売されてる他の音声じゃ一切催眠かからないんだから。でも、高峰の声じゃなきゃ反応しないことと、反応しちゃってる状態を他人に見られるのはわけが違うだろ?
 
 俺はぶちぶちと文句を言いつつも高峰に着いていく。もう中途半端に焦らされた身体はいつものように連続で脳イキするのを求めてしまっているから拒否なんてできないんだ。
 
 一緒に高峰の家に向かってる途中、新作の相談をしてくる高峰。ちょっと声が弾んでいるのを聞くと、やっぱコイツは根っからの催眠マニアなんだなとか思う。つーか、新作は俺に色々催眠を試して流れを考えたんだそうだ。
 
「ちょっと今までと流れが違うんだよね。誘導も今までやったことないのに挑戦してみたし」
「何、お前、俺でそんな実験してたのかよ」
「自分的には猶木がつらすぎないで気持ちよくなるギリギリのとこを見極めた感じにしてみたんだけどね。でも今まで作ったのと全然雰囲気が違うからどうかなーとかは思ってる。最近はお前をいかに蕩けさせるかが楽しいからそういうイメージでさ。目の前で反応見られるのって楽しいもんだな」
 
 しれっと言うことかよ。
 でも確かに最近の高峰は以前より暗示が優しい気……はする。少しスキンシップは増えたような気もするんだけど、それは俺が触れても怒らないって言っちまったからな。気持ちいいからいいんだけど。
 
 いや、それだけじゃなくて、高峰の俺を見る視線が変化してきてるのを本当はわかってる。でもコイツも言わないし俺も言わないけど。
 いいんだ、俺と高峰はそういうんじゃないとこでガッチリ結びついちゃってるから……って思ってるのは俺だけかもしれんけども。
 
 でもなぁ、そういうこと・・・・・・になったらやっぱ俺が下なんかなぁ……なるかわかんないけど催眠でトロトロにさせられた俺が高峰に何かする想像はつかないよな。そっちは全然知らん世界だけど……まあ、高峰ならいいか? 催眠っつー知らん世界も高峰に教えてもらったようなもんだし、コイツは気持ちくないことはしないでくれそうだし?
 
「おい! おい、猶木」
「え?」
「話聞いてねぇの?」
「聞いてたって。新作だろ? いいんじゃねぇの」
 
 高峰がじとーっとした目で見てきてるけど、なんなんだ? 相変わらずゾクゾクする目をしてるなぁ……って違う違う。
 
「いいならいいけどね」
「え、なんだよ」
 
 右の口角が上がってるのが見えちまって少し焦る。高峰のこの顔は何かを企んでいる顔だ。でも聞いても答えてくれないで「家に着けばわかるだろ」って言うばかりだ。しくじったな……。 
 
 数十分後、俺は別のことを考えて生返事したことを盛大に後悔していた。
 とはいっても、さすがの高峰というか……。
 
「た、か…………み……」
「ヨシヒサの身体に触手がヌルヌルとまとわりついて合図とともに乳首をキュッと締め上げてくる。3、2、1、ゼロ」
 
 パチンッ
 
「ひっ……」
 
 俺は乳首なんて感じないはずだったのに、催眠でチンコと乳首と口をリンクさせられているせいでおかしくなりそうだ。
 わかってる……わかってる……きっと高峰がやってるのは俺の唇に触れたり口の中に指を入れたりしてるだけなんだ……なのに乳首から触手が入ってくるような感じがして、変な気分にビビってしまう。
 
「らめ……ひゃぅ……」
 
 触手が……触手が……俺の身体を這い回ってる。チンコもずりずりとしごかれてる。
 今まではカウントダウンと合図で弾けてただけだったのに……なんでこんなリアルな感覚があるんだよ。催眠ってこんなのもできんの? なんか冷静に考えられている気もするのにバッチリかかっちゃってる俺ってなんなの。
 
「ヨシヒサ、こんなことされて気持ち良くなっちゃって。恥ずかしいね」
「あぅぅ……きもひいぃ」
「ほら、触手の先がお前の中に入ろうと入れそうなところを探してる……」
「ひぃっ! だめ……」
「だめ、じゃないでしょ? 何度も言ってるよね? 望んでないことはかからない」
 
 望んでる? 俺が? 触手に侵入されるのを? そんなわけない……。
 俺はゆっくりと高峰に手を伸ばした。
 
「違う……おれ、おまえ……だから……高、峰だから」
「うっ」
「この、触手……た、かみね、だろ」
「ちょっと黙ろうか。それ以上は煽らないでくれ」
 
 俺の口の中に二本指を入れてきて、強制的に黙らされた。その指の感触すら気持ちいい。
 くちゅりと舌を弄ばれて、溢れた唾液が口の端から流れ落ちていく。その刺激も頭の中では触手の粘液として変換されて変な気分になる。
 
「触手がヨシヒサの大事なとこに入ろうと入り口をこねてくる……」
 
 パチンッ
 
「んあ!」
 
 脚が勝手に開いて腰が上がっちまう。尻がおかしい。これは催眠、なんだ……けど……。
 
「ほん、とにっ! ……だめって!」
 
 たぶん催眠は解けてないんだろうけど、俺は身体を無理矢理起こして高峰に抱きつく。もうまじ無理……てか、望まないことは催眠にかからないって本当なんだな。ちゃんと身体が動く。
 
「催眠でもなんでも、それはだめ……そこは、その、初めては……特別な人にしかあげたくない」
 
 何を乙女なこと言ってんだ俺は。
 つーか、特別な人ってなんだよ。高峰にどう思われた? もうやだ……高峰の前で恥ずかしいことばっかじゃん。
 
「でも実際は誰もそこには触れてないだろ?」
「脳が入ったって認識したら初めての感覚じゃなくなる……それはやだ」
「……恐怖心とか抵抗心をなくしてやろうと思ったのに」
「なんで、だよ……」
「ちっ……俺が触れても嫌がらないように……?」
 
 馬鹿じゃん、コイツ。Sなのにビビりかよ。
 俺のことめっちゃわかってそうなのに催眠のときしか触れてこないし、変だと思ってたんだ。
 いや、こいつ馬鹿正直だし……恋愛感情はないから俺が性欲を発散させてるこのときしか自分もしないとか思ってるのかもな。そのくせ、俺が寝たあととか帰ったあとに一人で抜いてるくせに……。
 
「触手にこじ開けられるくらいなら、高峰がいい」
 
 ポツリとつぶやくと高峰が仰け反った。
 
「ふ……普通、逆……」
「普通なんて知らねぇ」
「催眠、残ってる?」
「たぶん……。解除しなくていいから、このまま気持ちくしてよ」
 
 どうせここに来るときにそういうことになったらって考えたばかりだったんだ。恋愛感情云々は置いといて、高峰が望んでるなら差し出してもいい。妄想の触手に犯されるくらいならそっちのほうが俺はいい。
 
「ヨシヒサ意味わかってんの? アホなの?」
「わかってるからお前に言ってる。イヤなら触手じゃない催眠の続きして終わらせて」
「……ぐ」
 
 高峰は「知らねぇからな」と言いながらベッドに上がってきた。カウントダウンで俺をまた元の敏感な状態に戻すと、今度は手で触れるんじゃなくて唇や舌を這わせてくる。
 
「あぁ……んぐっ! しげき……つよ……い」
「ドロドロになっちゃえよ。3、2、1……」
 
 パチンッ
 
「ひぃっ! ふぁ……うぅ……」
 
 あ……溶ける。高峰に触れられるとこ全、ぶ……とけちゃう……。
 気持ちいいきもちいいきもち……い……。
 
 高峰に与えられる極上の快感に身を委ねていた。ときどき合図をされれば頭の中が弾ける。わけがわからないままうつ伏せにされて、チンコがシーツと擦れて腰が引けてしまった。
 
「ケツ突き出して、エロい……」
「すれる……ん……」
「触れるぞ」
 
 高峰のひんやりした指がソコに触れた。敏感になりすぎててきゅっと縮みこんでしまう……制御できない。
 
「すげヒクヒクしてて誘ってるみたい」
「あ……あ……」
「ずっと保ってきたラインを超えてさせたのはヨシヒサだからな……これは催眠のせいじゃない。催眠を悪者にするのだけはナシだぞ」
 
 俺は首がもげそうなほど頷いて、まだ微妙に悩んでそうな高峰を求めた。頼むから、一人正気でいないでくれよ……いつも俺ばっかおかしくされてる、じゃん。
 
「さ、いみ……は、のぞんで、ない……とは、かか……ない」
「うっ」
 
 よく高峰が言う言葉を言えば小さなうめき声が聞こえた。と思うと、つぷりと後ろに指先が侵入してきた。
 違和感と催眠で高められた快感が混ざり合って背中が反る。なのにすぐ腹筋が痙攣してどうにもならなくてガクガクビクビクと前後に上半身が動くのが止まらない……キツい。
 
「あー、オナホ用のローションでも大丈夫か? たぶんそんな変わらないとは思うんだけど」
「はっ……あ……き、もち……あぅ……」
 
 ぐちゅぐちゅという音が身体の中で反響してるみたいで、尻をいじられてるはずなのに脳みそをかき混ぜられてるみたいだ……。やばい、やばい……。
 
「なぁ、本当に挿れちゃうけど……?」
「きて……て……きて……ふぅうんっ」
 
 なに、これもじらしプレイな、わけ?
 そう思った瞬間、がしっと腰に腕を回されて逃げられないソコにあてがわれると、アレでギッチギチな状態になった。
 
「あ゛あっ!」
「あー無理。どんだけ煽るわけっ?」
 
 出すためにしか使ったことのなかった穴をこじ開けて、硬く脈打つ杭が中を穿つ。催眠のおかげなのか俺が欲しすぎたからなのか引き攣れる感じはあるものの痛くはない……というかむしろ……。
 
「ひ……ぅ……たか、み……ねぇ……」
「ばか、あほ、ふざけんな」
「な……で」
「気持ちいいんだよ! ぼけ! 戻れなくなったらどうしてくれる」
 
 うれし……。そう言ったのは届いたのか届かなかったのか。
 高峰も必死なのか夢中なのか、カウントダウンも指を鳴らすこともしない。なのに身体のあちこちがリンクしてどこを触れられても、いや、触れられなくても反応する。
 
 脳みそは既にイきすぎてて、受けとめきれない快感が溢れていく。
 身体を揺さぶられて、自分の頭の中に反響する水音と自分の声。脳みそがぐちゃぐちゃ音立ててるんじゃないよな? 俺、だいじょぶ?
 
「こ、れ……しょくしゅ、じゃな……いよな?」
「俺の」
「あああ……も、だめだぁ……」
「きついきつい、ちょっ」
 
 高峰にチンコを握られながら穿たれて、意味がわからなくなった。チンコを内側からしごかれてる? 突かれるたびに自分の内側が膨らんでいくみたいだ。
 え、なに、これ……なにが、おこって……?
 
「む……り、でるぅ……ああああっ!」
 
 脳みそもチンコも腹の中も何もかもが弾けた。
 自分っていう水風船がめいいっぱい水を注ぎ込まれすぎてパシャンと破裂して実態を保てなくなったような……味わったことのない感覚で、そのまま真っ白な世界に溶け込んでいった。
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