【完結】触手との生活のススメ -産卵して家族を増やそう。触手とほのぼの生活記録-

隅枝 輝羽

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マカル視点

16.いたよ……俺の子

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 およそ二週間、ハルロスはイかされ続けながら抱卵し、いよいよ産卵が始まった。

 三回目の産卵で少しは慣れてきたのか、涙を流しつつ吐精しつつでゆっくりとひとつずつ産み落としていく。聞いた話だと、初回は上手くできなくて限界まで堪えてしまったせいで、一気に五つ産んで気を失ったんだとか。

 それにしても……ハルロスのアヌスがゆっくりと拡がり、内側から白い卵が顔を覗かせてくる様子はエロすぎる。真円に近いからか、一番太いところを超えればちゅぽんと落ちてきて、それをミミが器用に受け止めていた。

「ハルロス、あと二つだ。頑張れ」
「はぁん……まか、るぅ」

 全てを産み落とすとハルロスが俺に腕を伸ばしてきて、俺はきつく抱きしめたあといっぱい撫でながら褒めてやった。俺のペニスが勃っているのを見てはにかんではいたけどな。あれだけエロいもん見せられたら勃つに決まってるだろ……。

「この中に、俺の子が混じってる……?」
「たぶん……」

 うとうととしながら答えるハルロスが可愛くて、頬にキスしてベッドに連れていった。そして振り返ったらすでに二体孵化しているんだが。早い……というか、ハルロスが頑張って腹の中で温めていたからなんだよな。

 うーん、次の交合のときは追加で卵を封印しておくのもいいかな。薬を売りに行ったときにいろいろ仕入れるのも考えるか……ツテはあるし。

「ミミ、お前は大丈夫か? 俺のアレなんか吸っちまって……」

 ミミは俺に触手を伸ばして、目の前でぴこぴこと振った。問題なさそうで安心した。まったく……ハルロスとどんな取り引きをしたんだか。ミミは孵化してない卵三個を触手の根本に嵌めて持ち歩いていて、すでに母性が芽生えているっぽい。

「まあ……ミミも頑張ったもんな。お疲れ様。チビたちに水飲ませるんだっけ?」

 俺の子かもしれないし……と、そっとチビに手を伸ばすとさわさわと震えたあと、細い触手で俺の指をつんつんと触れてきた。そのあと手のひらに乗ってきたのはさすがに可愛いと思っちまったな。

「あ、でもこの子はハルロスの子っぽいな……勘だけど」

 俺とミミとチビたちで湧き水のところに行って、水を飲ませているとまた卵が孵る。三個目四個目と続き、最後に孵ったチビを見たときすぐわかった。

「お前が俺の子か……」

 変な気分だ。ハルロスも最初こんな気分だったんだろうか。俺が考えたからか、どうやらチビにもわかったみたいで、俺に擦り寄ってきた。

「でも産んでくれたのはハルロスっていう俺の伴侶なんだ。俺なんかよりよっぽど純粋で可愛い男だ。あとで会えるぞ」

 チビがぴょんと跳ねて、どことなく嬉しそうな感じに見える。コイツだけは俺の腕をよじ登って頭の上に乗ってきた。物怖じしないやつだなぁ……。
 滑りそうで注意するよう言えば、上手く触手を髪に絡めてつかまっているようだ。

 頭に乗せたままハルロスの元に行って、起きるまで眺めていた。

「産卵するたびにキレイになってないか……?」
「ん……」

 俺がつい口に出してしまったからハルロスを起こしてしまったようだ。ゆっくり寝かせてやろうと思っていたのに……。

「まかるぅ、のど乾いた……」
「待ってろ。ミミ、ここにいてな」

 ミミがぴこぴことさせて、四体のチビも真似している。俺の子だけは頭から降りようとしないから落ちないように言って、湧き水を汲んでからハルロスの元に戻る。

 ハルロスはすでに起き上がってベッドに腰を掛けていて、俺を待っていた。

「ほら、湧き水」
「ありがとう……冷たくておいし。ミミも、ありがとね」
「身体は? つらくないか?」
「大丈夫……。ていうか、その……すごく、気になるんだけど……」

 ハルロスの視線の先は、俺の頭の上。そりゃそうだろう。
 話しかけられたチビは頭から飛び降りると、ハルロスの膝ですりすりとしている。コイツ……欲望に忠実だな。他の子はおとなしいのに……俺のせいなのか?

「マカルの子……だね」
「すまない」
「なんで謝るの? 可愛いよ。もちろん俺の子も可愛いけど」

 三回も産卵して、数年触手たちと暮らしているからかハルロスはすっかり親の顔だ。そういう俺も、触手たちはみんな可愛いと思ってるけどな。

 それにしても、俺の子だけ本当に性格が違っていて苦笑してしまう。ハルロスの子たちは控えめで、照れ屋な感じなのになぁ。俺の子がハルロスから離れなくなってしまったので、しょうがないから俺が夕飯の用意なんかをしにいった。

 外にいた他の触手たちが、キッチンの窓から覗いている。

「お前たちも、ずっとおとなしく待っててくれてありがとな。ん? くれるのか?」

 二体が俺に蜜玉を差し出してくる。コイツらはピピとリュリュ。俺に懐いていて、俺が許したら絶対卵を産ませようとしてくるだろうけど……それだけは無理だ。ごめんな。

 最初の頃は蜜玉を無理やり口に突っ込まれたもんだけど、一緒に暮らしだしてからは薬に使えるように手に落としてくれるようになった。抱卵しているわけじゃない俺になんてくれなくてもいいだろうに、ほんと優しいんだよな。

「これ使って、ハルロスの好きな果物茶でも出すか。……ん? もちろん俺も飲むって。せっかくくれたんだから当たり前だろ?」

 そう伝えれば触手たちは満足そうにぴこぴこと揺らしながら離れていく。どことなく、二人の女子がきゃっきゃしているようにも見えて、笑ってしまった。
 
 微笑ましく見られるほどすっかり慣れてしまったけど、最初は俺も悲鳴を上げて怯えてたんだよなぁ。やはり、婿をとるのも一苦労かもしれないが……やるしかないだろう。

 まずは薬製造の従業員として魔力契約で信頼できる男を雇ってから、触手と相性良さそうなやつで、快楽に弱いとか好奇心旺盛なやつをあてがうとかならいけるんじゃないか?

 問題は、触手のことを外部に漏らすわけにいかないから、魔力契約を外部委託はできないことだ。つまり、俺たちで魔力契約については学ばないといけないわけだが、それくらいは努力しないとな。

 婿もとれて薬製造も規模を広げられるなかなかいい作戦だと思う。

「ハルロス、果物茶持ってきた。あと軽食」
「わぁ! ありがとう!」
「相談したいことがあってさ……」

 俺はさっき考えた従業員アンド婿作戦をハルロスに伝えた。ハルロスは最初は驚いていたけど、徐々に笑顔になって、嬉しそうに同意してくれたんだよな……尊い。

 とりあえず、ハルロスや触手たちが安全に暮らせる環境を整えてやらないと。このハルロスの研究所もできれば増築して、不審者が入れないようにもしたいしな。

 俺がそんなことを真剣に考えたのが、いつの間にか触手たちに伝わっていたようで、気付いたら研究所を中心に一定距離で防壁作りを開始していた。これまたすごいのが、今まで知らなかった粘液なのか、積まれた石を固定している成分が頑丈なのなんのって。
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