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異世界生活編
131.ドマノンさんに料理の基礎を教えよう!
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今日はドマノンさんの予定に合わせた料理教室の日。
実は意外にも俺以外のみんながものすごくやる気満々だ。
不思議に思ってたら、「男性にも料理が流行って、女性じゃ思いつかないレシピを考えてほしい」だとか「最低限の料理もしない男性に、大変さもわかってほしい」だとかの、あっちでも聞くような私怨込みの意見もあった……。
「料理は薬の実験と同じ。正しい手順でやればちゃんと結果が得られる。でも実験よりは曖昧さが許される……面白いよね。ついでに美味しいし」
「そ、そう……ついで……?」
ラキさんはちょっと他の人と捉え方が違うな。まあ、言ってることは俺も概ね同意だ……俺は自分好みの美味しいもの食べたいっていうほうが大きいけどさ。
ドマノンさんはどうだろな……俺の料理してるところを楽しそうに見てたし、料理をやりたがったのは少しの手間で美味しくなるんだなって実感したからだろうし、俺に近いかなとは思う。
とはいえ、みんなが揃っているのに当のドマノンさんが来ない……。
え、大丈夫? って思ったところでドアがノックされた。サディさんが見に行って、ドマノンさんとキッチンに戻ってくる。
「ドマノンさん! いらっしゃい」
「す、すんません……夜番終わって仮眠したら少し寝過ごしたみたい……で」
「「お疲れ様、いつもありがとう」」
みんなニコニコだ。自警団って大切だから、当たり前だけど誰も責めないよね。
「あ、えっと、顔と名前は知っててもあまり話したことねぇ、ない、人もいると思うんで……ので、よろしくお願いします。ドマノンです」
ぶふっ!
ドマノンさんが硬い。めっちゃ面白い。ガッチガチじゃん。最初のころの俺じゃん……泣ける。
「ドマノンさん、普通でいいと思うよ? みんな何も言わない」
「楽にしないと続かないよ」
ドマノンさんは周りをキョロキョロ見回したあと、頭をかきながら「すんません」と照れ笑いしてた。
とりあえず、みんなで手を洗ったりエプロンをして準備をする。エプロンを初めてするドマノンさんが、みんなにお世話されてて面白すぎる。
「じゃあ、まずは基本の切り方からやって、下処理とかその辺も覚えられるといいかなって思います!」
サディさんが用意してくれた野菜とか肉とかを何種類か使って、切り方を見せてからドマノンさんにもやってもらう。
やっぱり細かいことはわかってなかったから、奥様たちに囲まれて必死になってた。
力加減はいまだにちょっとおかしいから、最初まな板がちょっとえぐれたんだけど、それにラキさんがツボっちゃってそれ見て俺も釣られちゃって大変だよ!
でも一生懸命だからみんなも微笑ましく思ってるみたい。
興味を持ったことには知識欲がかなりあるみたいで、どうしてこうするのかとか、なんでこれがいいのかっていう質問も出てくるから、きっとドマノンさんは頭がいい人なんだなって。
「イクミくんが言うとおり筋が良さそうね」
「でしょ。ただやらされるっていうより、ちゃんと理由を知りたがるところもいいよね。そういうのがわかってると応用できるもん」
最初は緊張してたドマノンさんも、今は奥様たちやラキさんに指導されつつ、切った食材で楽しそうに簡単な料理を作ってた。
「イクミ君! 自分が作ったやつ食べてみてくれ。ただ焼いただけじゃないぞ」
「見てたからわかってますって。それにドマノンさんは柑橘ソースのミュードステーキと、それのアレンジだって作れたじゃん」
「なにそれっ!?」
俺に皿を渡すとまた奥様たちに囲まれるドマノンさんは、演習のときの料理のことを身振り手振りと大げさな表情で説明していた。初日だってのにすっかり溶け込んでて笑う。
ミュード肉はさすがにもうないけど、似たようなものが作れないかって聞かれたから、鳥系使ってバターなんかでコクを足すのはどうかなって提案してみた。
俺は料理教室の前は、なるべく朝にミルクを時間停止箱に入れておいて、いつ乳製品が必要になってもいいようにしてる。だからドマノンさんにバターを作るのも勧めてみた。シャカシャカ振るのなんてお茶の子サイサイってやつだろ?
それで俺がたまに口を出しつつ、あの柑橘はほとんどないから今ある柑橘を数種類混ぜて使ってもらった。こういう応用もやりながら覚えてほしいよね。ドマノンさんてセンスは悪くないから『ダークマター』は作り出さなそうだしさ。
「こうやって上から圧をかけて、皮を全面カリッと……」
「そうそう! ちゃんと覚えてますねぇ」
「あれは衝撃的で……なぁ。ところでさっき作ったバターとやらはまだ使わないのか?」
「焦げやすいからね。風味とかコク出しで終盤に使うつもりだよ」
サディさんは本物を食べたことがあるから、アレンジ版との食べ比べになるよな。あまり変なものは作りたくないって感じ。
「ここで、柑橘の果汁を入れ……ていいよな?」
「いいですよ。少し全体に絡んできたらバターを加えて」
「全部?」
「いや、それは多いって……こんくらいかな。で、溶けたら混ぜながら皮目にもかけて」
ドマノンさんはよくわからないって顔をしてたから、匙ですくってはかけるってのを繰り返して見せた。
「あ、じゃあ、ドマノンさんは皮を千切りしましょうか。覚えてます?」
「覚えては……いる。でもアレ難しいよな」
苦いフカフカ部分を削り取るのが難しいとボヤくドマノンさんに、奥様方が応援の声をかけて、めっちゃ頑張ってた。
最後の盛り付けはもちろんドマノンさんにやらせる。俺が手を出したのはバターを入れたあとの少しだけだもん。
「で、できた!」
「「「わー!」」」
みんな大喜び。今日は教えるつもりで来てて、最後の俺のデモンストレーションしか食べるものないかもって思ってたんだろうな。
「あ、全部絞っちゃったから味変のがないな……イクミ君、どうしたら」
「別になくてもいいんじゃない?」
「でもアレがあると得した気分になるだろ」
「いいわよ、倉庫から持ってきてあげるわ。あの酸っぱーいのじゃないけどね」
サディさん優しいな。最近は教室用に用意した食材しか使わなかったのに。ドマノンさんの出鼻をくじかないためかもしれないなって思って、ちょっと口元緩んじゃう。
新鮮な柑橘も串切りにして添えて、みんなの前に胸を張ってどうぞと出すドマノンさんが可愛くてしょうがないよ……。
でも初めて食べる奥様方にも好評で、サディさんから素材を変えたことによる味の違いとか、いろいろ評価もらって照れ笑いしてるし、もうドマノンさんは料理沼から抜けられないだろ。
「自分はこれしかイクミ君に教わってないんで……でもこれで料理に興味出たんすよ。今日来てみて、やっぱ面白いかもって」
「いいね、ドマノンくんも仲間だよ」
「一緒に美味しいもの作ろう。イクミさんが張り切ってたんだから」
「そういえば! 自分、デモンストレーションってやつ楽しみにしてきたんだった。イクミ君いつやるんだ?」
今からやるつもりだよって思ってサディさんを見ると、サディさんもニコッと笑って「準備しなきゃね」とキッチンを出ていった。
実は意外にも俺以外のみんながものすごくやる気満々だ。
不思議に思ってたら、「男性にも料理が流行って、女性じゃ思いつかないレシピを考えてほしい」だとか「最低限の料理もしない男性に、大変さもわかってほしい」だとかの、あっちでも聞くような私怨込みの意見もあった……。
「料理は薬の実験と同じ。正しい手順でやればちゃんと結果が得られる。でも実験よりは曖昧さが許される……面白いよね。ついでに美味しいし」
「そ、そう……ついで……?」
ラキさんはちょっと他の人と捉え方が違うな。まあ、言ってることは俺も概ね同意だ……俺は自分好みの美味しいもの食べたいっていうほうが大きいけどさ。
ドマノンさんはどうだろな……俺の料理してるところを楽しそうに見てたし、料理をやりたがったのは少しの手間で美味しくなるんだなって実感したからだろうし、俺に近いかなとは思う。
とはいえ、みんなが揃っているのに当のドマノンさんが来ない……。
え、大丈夫? って思ったところでドアがノックされた。サディさんが見に行って、ドマノンさんとキッチンに戻ってくる。
「ドマノンさん! いらっしゃい」
「す、すんません……夜番終わって仮眠したら少し寝過ごしたみたい……で」
「「お疲れ様、いつもありがとう」」
みんなニコニコだ。自警団って大切だから、当たり前だけど誰も責めないよね。
「あ、えっと、顔と名前は知っててもあまり話したことねぇ、ない、人もいると思うんで……ので、よろしくお願いします。ドマノンです」
ぶふっ!
ドマノンさんが硬い。めっちゃ面白い。ガッチガチじゃん。最初のころの俺じゃん……泣ける。
「ドマノンさん、普通でいいと思うよ? みんな何も言わない」
「楽にしないと続かないよ」
ドマノンさんは周りをキョロキョロ見回したあと、頭をかきながら「すんません」と照れ笑いしてた。
とりあえず、みんなで手を洗ったりエプロンをして準備をする。エプロンを初めてするドマノンさんが、みんなにお世話されてて面白すぎる。
「じゃあ、まずは基本の切り方からやって、下処理とかその辺も覚えられるといいかなって思います!」
サディさんが用意してくれた野菜とか肉とかを何種類か使って、切り方を見せてからドマノンさんにもやってもらう。
やっぱり細かいことはわかってなかったから、奥様たちに囲まれて必死になってた。
力加減はいまだにちょっとおかしいから、最初まな板がちょっとえぐれたんだけど、それにラキさんがツボっちゃってそれ見て俺も釣られちゃって大変だよ!
でも一生懸命だからみんなも微笑ましく思ってるみたい。
興味を持ったことには知識欲がかなりあるみたいで、どうしてこうするのかとか、なんでこれがいいのかっていう質問も出てくるから、きっとドマノンさんは頭がいい人なんだなって。
「イクミくんが言うとおり筋が良さそうね」
「でしょ。ただやらされるっていうより、ちゃんと理由を知りたがるところもいいよね。そういうのがわかってると応用できるもん」
最初は緊張してたドマノンさんも、今は奥様たちやラキさんに指導されつつ、切った食材で楽しそうに簡単な料理を作ってた。
「イクミ君! 自分が作ったやつ食べてみてくれ。ただ焼いただけじゃないぞ」
「見てたからわかってますって。それにドマノンさんは柑橘ソースのミュードステーキと、それのアレンジだって作れたじゃん」
「なにそれっ!?」
俺に皿を渡すとまた奥様たちに囲まれるドマノンさんは、演習のときの料理のことを身振り手振りと大げさな表情で説明していた。初日だってのにすっかり溶け込んでて笑う。
ミュード肉はさすがにもうないけど、似たようなものが作れないかって聞かれたから、鳥系使ってバターなんかでコクを足すのはどうかなって提案してみた。
俺は料理教室の前は、なるべく朝にミルクを時間停止箱に入れておいて、いつ乳製品が必要になってもいいようにしてる。だからドマノンさんにバターを作るのも勧めてみた。シャカシャカ振るのなんてお茶の子サイサイってやつだろ?
それで俺がたまに口を出しつつ、あの柑橘はほとんどないから今ある柑橘を数種類混ぜて使ってもらった。こういう応用もやりながら覚えてほしいよね。ドマノンさんてセンスは悪くないから『ダークマター』は作り出さなそうだしさ。
「こうやって上から圧をかけて、皮を全面カリッと……」
「そうそう! ちゃんと覚えてますねぇ」
「あれは衝撃的で……なぁ。ところでさっき作ったバターとやらはまだ使わないのか?」
「焦げやすいからね。風味とかコク出しで終盤に使うつもりだよ」
サディさんは本物を食べたことがあるから、アレンジ版との食べ比べになるよな。あまり変なものは作りたくないって感じ。
「ここで、柑橘の果汁を入れ……ていいよな?」
「いいですよ。少し全体に絡んできたらバターを加えて」
「全部?」
「いや、それは多いって……こんくらいかな。で、溶けたら混ぜながら皮目にもかけて」
ドマノンさんはよくわからないって顔をしてたから、匙ですくってはかけるってのを繰り返して見せた。
「あ、じゃあ、ドマノンさんは皮を千切りしましょうか。覚えてます?」
「覚えては……いる。でもアレ難しいよな」
苦いフカフカ部分を削り取るのが難しいとボヤくドマノンさんに、奥様方が応援の声をかけて、めっちゃ頑張ってた。
最後の盛り付けはもちろんドマノンさんにやらせる。俺が手を出したのはバターを入れたあとの少しだけだもん。
「で、できた!」
「「「わー!」」」
みんな大喜び。今日は教えるつもりで来てて、最後の俺のデモンストレーションしか食べるものないかもって思ってたんだろうな。
「あ、全部絞っちゃったから味変のがないな……イクミ君、どうしたら」
「別になくてもいいんじゃない?」
「でもアレがあると得した気分になるだろ」
「いいわよ、倉庫から持ってきてあげるわ。あの酸っぱーいのじゃないけどね」
サディさん優しいな。最近は教室用に用意した食材しか使わなかったのに。ドマノンさんの出鼻をくじかないためかもしれないなって思って、ちょっと口元緩んじゃう。
新鮮な柑橘も串切りにして添えて、みんなの前に胸を張ってどうぞと出すドマノンさんが可愛くてしょうがないよ……。
でも初めて食べる奥様方にも好評で、サディさんから素材を変えたことによる味の違いとか、いろいろ評価もらって照れ笑いしてるし、もうドマノンさんは料理沼から抜けられないだろ。
「自分はこれしかイクミ君に教わってないんで……でもこれで料理に興味出たんすよ。今日来てみて、やっぱ面白いかもって」
「いいね、ドマノンくんも仲間だよ」
「一緒に美味しいもの作ろう。イクミさんが張り切ってたんだから」
「そういえば! 自分、デモンストレーションってやつ楽しみにしてきたんだった。イクミ君いつやるんだ?」
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