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異世界生活編
116.ドマノンさんは料理に興味津々
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ん? 2泊目の野営地は……もしかして?
「あ、わかった? 大体位置は同じだよ」
「マジか……雰囲気違うのに! あんなに歩いたのに!」
「一応、ぐるっと大回りで歩いてはいるからな」
変な感じはするのに、少し離れたところの雪の溶けた部分が違和感ありすぎて聞いてみたら昨日泊まって朝出発した地点とほぼ一緒だった。全く同じではなくてずらしてはいるみたいなんだけどね。でもそれを聞いても微妙に信じられない気分。
「これ、雪があるから違和感あったけど、そうじゃなかったら絶対わかんないよ……木の見た目とかも違って見えるもん」
「まあ、幻覚の一種だな」
村の隠し方がえげつない。よく俺連れてきてもらえたよな……あ、子どもと思われてたからだった。それはそれで悔しい。
「イクミイクミ、今日はイクミがリーダーで野営地を整えようか」
「ええー、俺は魔法とか使えないよ」
「指示を出せってことだろ」
「なるほど、そういうことか」
突然襲われないように視界を確保できるところで、でも休憩できるところを作れるような……。キョロキョロと辺りを見回して、昨日休んだような地形に近いところを指差した。
「あの辺とかどうかな? 良ければヴァンに整えてもらいたい」
「任されたー!」
「ルイとドマノンさんは野営のセットを出してほしいな。昨日より革を引っ掛ける枝が良くないかもしれないけどどうしよう」
「じゃあ自分が切り出して支柱を作ったる」
ドマノンさんは少し離れたところのしっかりした枝をナタみたいな不思議な刃物で切っていた。ルイは毛皮を敷いたり結界石を毛皮のある範囲のひと回り外側に設置したりしてくれている。
「ねえねえ、本当にそこで大丈夫だった? もっと良さそうなところとかさ……」
「別に決まりなんてないんだよ。よっぽど危険なところなら止めるけどそうじゃなきゃいいんだ」
「そう、なの……?」
「背後が崖とかならより安全だが、そうじゃないところならある程度見渡せるならいい」
「そうだぞ。魔力でだいたいわかるし気にすんな」
あ、そっか。俺が魔力察知できないからってどうもその考えが抜けちゃうな。魔力で察知できても戦うにはちゃんと視認しなきゃいけないからある程度の場所が必要ってことか。そのくらいなら俺に任せても大丈夫だね。
ドマノンさんが持ってきた太めのしっかりした枝は、俺の目の前で「どりゃっ!」っと地面に刺されて皮の片方を掛ける支柱になった……。
「豪快……」
「普通だろ」
「あ……まあ、テントを張ってペグを打ち込んだと思えば、うーん」
俺が唸っている間に、かまどはヴァンが昨日と同じように作ってくれた。昨日俺が言ったからか、いいところにちゃんと空気を取り入れる隙間があいているのがすごい。
俺がこっちに持ってきちゃったキャンプセットにはロケットストーブが入ってるけど、アパートにはもっとちゃんとした焚き火台があって、それは組み立てるといい感じに薪が焚べられるし空気も入りやすいんだよね。焚き火台は本当にそれ専用に作られてるから当たり前だけどさ、ヴァンが俺の言ったことだけで似たように上手く土魔法を操っちゃうのはホントすごいよね。
「ところでさぁ、あそこに見える果実は本物? 柑橘っぽく見えるやつ」
「本物だよー」
「食べられる?」
「酸っぱすぎるやつだぞ?」
あ、味を知ってるってことは食べられるんだ。いいね、頂こう。俺がいそいそと採りにいくとルイがついてきてくれる。無言だけどいつものことで安心感だよね。
「たくさんいるのか?」
「実の部分がどのくらいあるのかによるんだけど……」
そう俺が言えば、ルイが1個ナイフで切ってくれた。白いフカフカが多めで種が大きめで実はそんなに多くない。
「んー、とりあえず6つくらい採っておこうかな」
このくらいあれば汁を使うには十分かなって思う。
ヴァンとドマノンさんのところに戻ると、そんなので何するつもりだと言わんばかりの顔をしてる。でも酸っぱいのが好きなヴァンは目がキラキラしてるな。
「ルイはそんな顔してないでよ。そのまま食べさせたりしないからさ。少しでも美味しい料理を食べてほしいだけだよ」
「いや……本当にそれはかなり酸味がきつい……」
「そういうのはね、火を入れたら酸味が飛ぶし脂と混じるとまろやかになるんだから」
俺がそう説明すればルイも「まあ、イクミが作るんだしな」と言ってくれた。俺が作る料理への信頼感すごい。
「イクミ君がソレを使うとこ見ててもいいか? 手伝うから」
ドマノンさんが興味を持ったのか楽しそうに果実を見つめてる。もちろん俺はオッケーだよ。食材をただ焼くだけだった人が興味を持ってくれるのは嬉しいしね。
手間をかければ美味しくなるってわかっていつつも自分じゃやらないのがルイとヴァン。ルイは美味しいものは好きだけど自分でやっても上手くいかないからって諦めてるタイプで、ヴァンは絶対にやったら上手いはずなのに本気で面倒くさいと思ってるタイプ。
「じゃあ、ドマノンさん! ミュードの肉を準備しよう」
「よっしゃ!」
普通の鶏肉と違って魔物の肉はデカいから1人分──というにはみんな大喰らいだけど──に切り分ける。皮は適度に残して、カリッとした食感も楽しみたいよね。
「野営料理用に串焼きメインで作るけど、これが村の中なら俺はこう作るっていうのもやってみていい?」
「お、是非」「頼む」「お願い!」
え、ちょ。ドマノンさんに言ったはずが離れたところからルイとヴァンまで返事してきたんだけど。
カロイモはルイにアドバイスしたみたいに、包んで焼くとこうなるよってのを教えたいと思ったから、濡らした余分な皮でカロイモを包んで焚き火の中に放り込む。さすがに生のデカい葉っぱはこの時期ないからね。
串焼きじゃないほうの肉を焼くのに鍋を使いたいんだよね。本当はあのパエリア鍋みたいなのを持ってきてれば良かったんだけど、さすがにないからしょうがないんで鍋で代用しようと思うんだ。
ドマノンさんは俺が何をしても「へぇ!」と見てきて面白い。めっちゃ興味持ってるじゃん。
「あ、わかった? 大体位置は同じだよ」
「マジか……雰囲気違うのに! あんなに歩いたのに!」
「一応、ぐるっと大回りで歩いてはいるからな」
変な感じはするのに、少し離れたところの雪の溶けた部分が違和感ありすぎて聞いてみたら昨日泊まって朝出発した地点とほぼ一緒だった。全く同じではなくてずらしてはいるみたいなんだけどね。でもそれを聞いても微妙に信じられない気分。
「これ、雪があるから違和感あったけど、そうじゃなかったら絶対わかんないよ……木の見た目とかも違って見えるもん」
「まあ、幻覚の一種だな」
村の隠し方がえげつない。よく俺連れてきてもらえたよな……あ、子どもと思われてたからだった。それはそれで悔しい。
「イクミイクミ、今日はイクミがリーダーで野営地を整えようか」
「ええー、俺は魔法とか使えないよ」
「指示を出せってことだろ」
「なるほど、そういうことか」
突然襲われないように視界を確保できるところで、でも休憩できるところを作れるような……。キョロキョロと辺りを見回して、昨日休んだような地形に近いところを指差した。
「あの辺とかどうかな? 良ければヴァンに整えてもらいたい」
「任されたー!」
「ルイとドマノンさんは野営のセットを出してほしいな。昨日より革を引っ掛ける枝が良くないかもしれないけどどうしよう」
「じゃあ自分が切り出して支柱を作ったる」
ドマノンさんは少し離れたところのしっかりした枝をナタみたいな不思議な刃物で切っていた。ルイは毛皮を敷いたり結界石を毛皮のある範囲のひと回り外側に設置したりしてくれている。
「ねえねえ、本当にそこで大丈夫だった? もっと良さそうなところとかさ……」
「別に決まりなんてないんだよ。よっぽど危険なところなら止めるけどそうじゃなきゃいいんだ」
「そう、なの……?」
「背後が崖とかならより安全だが、そうじゃないところならある程度見渡せるならいい」
「そうだぞ。魔力でだいたいわかるし気にすんな」
あ、そっか。俺が魔力察知できないからってどうもその考えが抜けちゃうな。魔力で察知できても戦うにはちゃんと視認しなきゃいけないからある程度の場所が必要ってことか。そのくらいなら俺に任せても大丈夫だね。
ドマノンさんが持ってきた太めのしっかりした枝は、俺の目の前で「どりゃっ!」っと地面に刺されて皮の片方を掛ける支柱になった……。
「豪快……」
「普通だろ」
「あ……まあ、テントを張ってペグを打ち込んだと思えば、うーん」
俺が唸っている間に、かまどはヴァンが昨日と同じように作ってくれた。昨日俺が言ったからか、いいところにちゃんと空気を取り入れる隙間があいているのがすごい。
俺がこっちに持ってきちゃったキャンプセットにはロケットストーブが入ってるけど、アパートにはもっとちゃんとした焚き火台があって、それは組み立てるといい感じに薪が焚べられるし空気も入りやすいんだよね。焚き火台は本当にそれ専用に作られてるから当たり前だけどさ、ヴァンが俺の言ったことだけで似たように上手く土魔法を操っちゃうのはホントすごいよね。
「ところでさぁ、あそこに見える果実は本物? 柑橘っぽく見えるやつ」
「本物だよー」
「食べられる?」
「酸っぱすぎるやつだぞ?」
あ、味を知ってるってことは食べられるんだ。いいね、頂こう。俺がいそいそと採りにいくとルイがついてきてくれる。無言だけどいつものことで安心感だよね。
「たくさんいるのか?」
「実の部分がどのくらいあるのかによるんだけど……」
そう俺が言えば、ルイが1個ナイフで切ってくれた。白いフカフカが多めで種が大きめで実はそんなに多くない。
「んー、とりあえず6つくらい採っておこうかな」
このくらいあれば汁を使うには十分かなって思う。
ヴァンとドマノンさんのところに戻ると、そんなので何するつもりだと言わんばかりの顔をしてる。でも酸っぱいのが好きなヴァンは目がキラキラしてるな。
「ルイはそんな顔してないでよ。そのまま食べさせたりしないからさ。少しでも美味しい料理を食べてほしいだけだよ」
「いや……本当にそれはかなり酸味がきつい……」
「そういうのはね、火を入れたら酸味が飛ぶし脂と混じるとまろやかになるんだから」
俺がそう説明すればルイも「まあ、イクミが作るんだしな」と言ってくれた。俺が作る料理への信頼感すごい。
「イクミ君がソレを使うとこ見ててもいいか? 手伝うから」
ドマノンさんが興味を持ったのか楽しそうに果実を見つめてる。もちろん俺はオッケーだよ。食材をただ焼くだけだった人が興味を持ってくれるのは嬉しいしね。
手間をかければ美味しくなるってわかっていつつも自分じゃやらないのがルイとヴァン。ルイは美味しいものは好きだけど自分でやっても上手くいかないからって諦めてるタイプで、ヴァンは絶対にやったら上手いはずなのに本気で面倒くさいと思ってるタイプ。
「じゃあ、ドマノンさん! ミュードの肉を準備しよう」
「よっしゃ!」
普通の鶏肉と違って魔物の肉はデカいから1人分──というにはみんな大喰らいだけど──に切り分ける。皮は適度に残して、カリッとした食感も楽しみたいよね。
「野営料理用に串焼きメインで作るけど、これが村の中なら俺はこう作るっていうのもやってみていい?」
「お、是非」「頼む」「お願い!」
え、ちょ。ドマノンさんに言ったはずが離れたところからルイとヴァンまで返事してきたんだけど。
カロイモはルイにアドバイスしたみたいに、包んで焼くとこうなるよってのを教えたいと思ったから、濡らした余分な皮でカロイモを包んで焚き火の中に放り込む。さすがに生のデカい葉っぱはこの時期ないからね。
串焼きじゃないほうの肉を焼くのに鍋を使いたいんだよね。本当はあのパエリア鍋みたいなのを持ってきてれば良かったんだけど、さすがにないからしょうがないんで鍋で代用しようと思うんだ。
ドマノンさんは俺が何をしても「へぇ!」と見てきて面白い。めっちゃ興味持ってるじゃん。
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