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異世界生活編
81.魔法と魔力の考察……?
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ヴァンの2個めの宿題はなかなか手強かった。そもそも俺の今持ってる魔力が少なすぎるのが原因ではあるんだけど、それはすぐどうこうできる問題じゃないからね。小さなことからコツコツとってどっかの師匠が言ってた気がする。だから、先のことは考えないで今は魔力を集めることだけのんびりやっている。
今日もお昼の畑仕事は少ない人数でまったりやってる。寒い季節の野菜とか薬草だけだから全盛期より仕事量が少ないんだよね。幼虫もいないし楽勝楽勝!
「イクミくん、見て見て。2回目のジャガイモ植えちゃったやつも順調よ。駄目にしたくなくて今回はみんなに協力してもらった魔導具でこの畑一枚分だけ冷えすぎないようにしているけど、次からは植え付けの季節とか計画立ててやれば大丈夫そうね」
サディさんがめちゃくちゃ嬉しそうに話す。確かにジャガイモの葉っぱは青々としていて俺が見ても元気そうだとわかる。
「魔導具って……」
「ああ、別に畑用の魔導具ってわけじゃないのよ。家庭用の暖房の魔導具をいくつか借りて配置しているの。普段はこんなことしないんだけど駄目にしたくないじゃない?」
「うええっ?」
俺はまだ魔法がこっちの人にとってどれだけ身近なものかがわかってなかったみたいだ。特別なものって意識が抜けないせいで、畑のために魔力と魔導具を使うっていうのにとても驚いちゃったんだよね。あとから冷静に考えてみたらさ、魔力って自然とか自分の中にあるものではあるけど、エネルギーとして見ればあっちでいう電気みたいなもんなんだよな。つまりビニールはないけどビニールハウスの中を温める電動機みたいなものなんだろう……多分。正確に考えようとしたら違う気もするけど、細かいことはどうでもいいや。
「えっと……いつ植えたんだっけ?」
「ひと月ちょっと前くらいかしら。イクミくんがジャガイモ水飴というのを作ってくれてから結構すぐ植えたでしょう?」
「そっか。もうそんな経つんだね。なんかあの頃バタバタしてたから記憶が怪しいよ」
「早くジャガイモできないかしらねー」
サディさん、さすがにひと月やそこらじゃできないよ。でも本当に楽しみにしているらしく、ジャガイモ水飴もそうだけど料理も沢山作ってみたいんだって。でも村中で使うためにはもっともっと増やさないとだめだねって思う。
それはサディさんも他の人も思っていたみたいで、次の春にむけて畑を拡張するんだって。畑にできそうな土地を今調査しているって話。離れた場所になっちゃうけど土地が必要だからって。本格的すぎて笑っちゃう。
「決まったら土を耕すの手伝うね。畑じゃないところを畑にしていくのは大変そう……」
「そういう大雑把にできることは土魔法でやるから大丈夫よ? 肥料を混ぜ込んだり複雑な作業は人の手でしないと駄目だけど」
「……」
また俺の魔法の認識がおかしい。俺には日常に魔法を使う考え方を自然にできるようになることが必要なんじゃないかな……。なんかそんな気がしてきたよ。たとえ魔法が使えないとしても、こういう時はこういう魔法を使うよねっていうのが身近じゃなさすぎるんだ……当たり前だけど。
◇◇◇
「ルイ! 教えてほしいことがあるんだ」
「俺にわかることならいいぞ」
「生活魔法? のことをもっと知りたいんだよね。ギャップが激しすぎてさ……これから魔法を習うっていうのに全然身近じゃないんだもん」
「そのくらいなら構わない。ヴァンの邪魔にもならないだろう」
それから俺がルイに聞いたのは、初めて会ったときになんとなく聞いた魔法の話をもう少しこっちの生活に絡めてくれた話だ。火・水・風・土それをどんなときにどういう風に使うことが多いのかみたいなね。魔導士レベルじゃなくて一般人の生活魔法は単純だから深く考えないでいいって言われた。確かに最初のほうでも生活魔法は基本的に現象を起こすだけとか言ってたよな。
「浄化? 洗浄? あれって水魔法なんでしょ? 現象起こすだけじゃなさそうだよね」
「あれは確かにちょっと応用だな。でも昔からある魔法で子どもの頃から練習するせいで使えないやつはほとんどいないと思っていい」
「そりゃそうかー。身体綺麗にしたいもんね。じゃあこっちの人って温泉とか入らないの? っていうか温泉あるの?」
日本人として微妙に気になっていたお風呂や温泉について聞いてみる。だって誰からもお風呂の話は聞かないんだもん。お湯に浸かることで血行が良くなったり身体がほぐれて楽になったりするじゃん? 唐突にあの感覚が懐かしく思えてくる。
「湯に身体を浸すというのはあまり聞かないな。イクミの世界では普通なのか?」
「国によるけど、俺の国はスタンダードだよ。ああ、温泉入りたいなぁ……」
それから俺は温泉の良さについて何故かルイに力説していた。魔法の話どこいったよ……。でもルイの聞き出し方が上手いんだもん。つい話しちゃうよね。でもやっぱりあっちの外国人みたいな反応だったな。「え、知らない人に裸見せて同じ湯に?」みたいな感じのこと言ってたもん。あの良さは文化がないとわからないよね、きっと。
あと、温泉の成分の話はちょっと興味持ってたな。サディさん食いつきそうだねって2人で笑いながら。
ちなみに水魔法で浄化をするには小さな小さな水粒子で身体を覆ってその水を細かく振動させるようにして汚れを落として、最後はその出した水粒子を蒸発させるかまとめて捨てるかっていう方法なんだって。俺はそれを聞いて、『超音波洗浄?』とか『マイクロバブル?』とかそんなことを考えてた。
なんか想像したら面白かったよ。ヴァンが言ったように、俺は俺の世界の知識をフル活用していろんな妄想して、それに魔力を当てはめればいいのかもしれない。そのためには魔力のコントロールができるようにならないとだけどさ。
今日もお昼の畑仕事は少ない人数でまったりやってる。寒い季節の野菜とか薬草だけだから全盛期より仕事量が少ないんだよね。幼虫もいないし楽勝楽勝!
「イクミくん、見て見て。2回目のジャガイモ植えちゃったやつも順調よ。駄目にしたくなくて今回はみんなに協力してもらった魔導具でこの畑一枚分だけ冷えすぎないようにしているけど、次からは植え付けの季節とか計画立ててやれば大丈夫そうね」
サディさんがめちゃくちゃ嬉しそうに話す。確かにジャガイモの葉っぱは青々としていて俺が見ても元気そうだとわかる。
「魔導具って……」
「ああ、別に畑用の魔導具ってわけじゃないのよ。家庭用の暖房の魔導具をいくつか借りて配置しているの。普段はこんなことしないんだけど駄目にしたくないじゃない?」
「うええっ?」
俺はまだ魔法がこっちの人にとってどれだけ身近なものかがわかってなかったみたいだ。特別なものって意識が抜けないせいで、畑のために魔力と魔導具を使うっていうのにとても驚いちゃったんだよね。あとから冷静に考えてみたらさ、魔力って自然とか自分の中にあるものではあるけど、エネルギーとして見ればあっちでいう電気みたいなもんなんだよな。つまりビニールはないけどビニールハウスの中を温める電動機みたいなものなんだろう……多分。正確に考えようとしたら違う気もするけど、細かいことはどうでもいいや。
「えっと……いつ植えたんだっけ?」
「ひと月ちょっと前くらいかしら。イクミくんがジャガイモ水飴というのを作ってくれてから結構すぐ植えたでしょう?」
「そっか。もうそんな経つんだね。なんかあの頃バタバタしてたから記憶が怪しいよ」
「早くジャガイモできないかしらねー」
サディさん、さすがにひと月やそこらじゃできないよ。でも本当に楽しみにしているらしく、ジャガイモ水飴もそうだけど料理も沢山作ってみたいんだって。でも村中で使うためにはもっともっと増やさないとだめだねって思う。
それはサディさんも他の人も思っていたみたいで、次の春にむけて畑を拡張するんだって。畑にできそうな土地を今調査しているって話。離れた場所になっちゃうけど土地が必要だからって。本格的すぎて笑っちゃう。
「決まったら土を耕すの手伝うね。畑じゃないところを畑にしていくのは大変そう……」
「そういう大雑把にできることは土魔法でやるから大丈夫よ? 肥料を混ぜ込んだり複雑な作業は人の手でしないと駄目だけど」
「……」
また俺の魔法の認識がおかしい。俺には日常に魔法を使う考え方を自然にできるようになることが必要なんじゃないかな……。なんかそんな気がしてきたよ。たとえ魔法が使えないとしても、こういう時はこういう魔法を使うよねっていうのが身近じゃなさすぎるんだ……当たり前だけど。
◇◇◇
「ルイ! 教えてほしいことがあるんだ」
「俺にわかることならいいぞ」
「生活魔法? のことをもっと知りたいんだよね。ギャップが激しすぎてさ……これから魔法を習うっていうのに全然身近じゃないんだもん」
「そのくらいなら構わない。ヴァンの邪魔にもならないだろう」
それから俺がルイに聞いたのは、初めて会ったときになんとなく聞いた魔法の話をもう少しこっちの生活に絡めてくれた話だ。火・水・風・土それをどんなときにどういう風に使うことが多いのかみたいなね。魔導士レベルじゃなくて一般人の生活魔法は単純だから深く考えないでいいって言われた。確かに最初のほうでも生活魔法は基本的に現象を起こすだけとか言ってたよな。
「浄化? 洗浄? あれって水魔法なんでしょ? 現象起こすだけじゃなさそうだよね」
「あれは確かにちょっと応用だな。でも昔からある魔法で子どもの頃から練習するせいで使えないやつはほとんどいないと思っていい」
「そりゃそうかー。身体綺麗にしたいもんね。じゃあこっちの人って温泉とか入らないの? っていうか温泉あるの?」
日本人として微妙に気になっていたお風呂や温泉について聞いてみる。だって誰からもお風呂の話は聞かないんだもん。お湯に浸かることで血行が良くなったり身体がほぐれて楽になったりするじゃん? 唐突にあの感覚が懐かしく思えてくる。
「湯に身体を浸すというのはあまり聞かないな。イクミの世界では普通なのか?」
「国によるけど、俺の国はスタンダードだよ。ああ、温泉入りたいなぁ……」
それから俺は温泉の良さについて何故かルイに力説していた。魔法の話どこいったよ……。でもルイの聞き出し方が上手いんだもん。つい話しちゃうよね。でもやっぱりあっちの外国人みたいな反応だったな。「え、知らない人に裸見せて同じ湯に?」みたいな感じのこと言ってたもん。あの良さは文化がないとわからないよね、きっと。
あと、温泉の成分の話はちょっと興味持ってたな。サディさん食いつきそうだねって2人で笑いながら。
ちなみに水魔法で浄化をするには小さな小さな水粒子で身体を覆ってその水を細かく振動させるようにして汚れを落として、最後はその出した水粒子を蒸発させるかまとめて捨てるかっていう方法なんだって。俺はそれを聞いて、『超音波洗浄?』とか『マイクロバブル?』とかそんなことを考えてた。
なんか想像したら面白かったよ。ヴァンが言ったように、俺は俺の世界の知識をフル活用していろんな妄想して、それに魔力を当てはめればいいのかもしれない。そのためには魔力のコントロールができるようにならないとだけどさ。
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