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キャンプのはずだったのに……
8.サバの炊き込みご飯完成
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火にかけたメスティンの蓋から漏れていた蒸気もほとんどなくなり、いい感じに炊けている予感がする。俺は火から下ろしたメスティンをタオルでくるんで蒸らしておく。ここまできたらお湯を沸かし始めてもいいだろう。シェラカップに残っている水だけでは少し少なかったのでルイの邪魔にならなそうな時に声をかけて水を足してもらう。水の魔法ってすごく便利だな! どこでも水が出せるって羨ましすぎる。
シェラカップでインスタント味噌汁2袋分を溶いて、味噌汁の用意もできたから蒸らしていたメスティンのほうを開ける。サバとショウガのいい匂いだ。半分をメスティンの蓋に取り分けて、本体のほうをルイにお皿代わりに使ってもらおう。ちょっとデカいから合わないけどルイの木の深皿に味噌汁を注ぐ。
「ルイ、できたよ。コレ、口に合うといいんだけど」
「豪華だな。こんな森の中で店の料理みたいなのが食べられるなんて」
「えぇー……、いやいや」
魔物肉なんてのがこっちのメインだったら魚って珍しいのかもしれないって少しドキドキしながら見ていると、ルイはブツブツと何かを呟いて(多分、お祈り?)サバの炊き込みご飯を口にした。咀嚼したあと一瞬目を見開いて、その後ガツガツと掻き込んでいる様子にホッとする。俺も安心して食べ始める。うん、安定の美味しさ。缶詰の偉大さをこういう時に知るよね。
インスタント味噌汁も最近はフリーズドライで美味しいのが沢山出ているけど、俺は実はこういう時は生味噌タイプのインスタントを使っている。小分け味噌みたいな感覚でいろいろな料理にも使えるって感じかな。まあ、今回は本来の味噌汁としての使い方だけど。ご飯を食べて味噌汁を飲んでと、いつもの感覚で食べている俺を見て、ルイも味噌汁を飲む。
「このスープは変わっているな。両方とも初めての味だ。けど美味い」
「口に合って良かったよ。俺の国は食へのこだわりが強くていろんな国の料理が食べられるほうなんだけどさ、この料理は結構伝統的なやつに含まれるかな」
なんて説明しながら食べてるけど、うん、やっぱりルイには足りないよなぁ……。焼き鳥缶とか開けちゃうのもアリかなとか悩んだんだけど、どうやら開けなくても良さそうだ。ルイが言うには、夜中に熟睡するわけにはいかないから腹いっぱいは食べられないってことだった。
それに、もったいないって。異世界の食べ物だから大事にしておけってことらしい。
味噌や醤油が珍しいってことは予想はついてたんだよね。異世界ものだけじゃなくてアジア以外の外国でも醤油はメジャーじゃないもんな。今でこそ外国でも日本食が健康的だとかって流行りだしてるらしいけど。味噌醤油とは言わないから、塩はどのくらい手に入るんだろう。香辛料は高価らしいって話はさっきしてたけどなぁ……。どうか、塩は手に入りやすくあってくれって思ってたら、なんとも言えない微妙な価格だって教えてくれた。安くはない、けど香辛料ほど高くもない、みたいな。良いのか悪いのかわからないな。
「この魚のやつはすごく美味いな。魔物肉とは違ってさっぱりとした脂というか。あと風味がいい。ジベラの香りにも似ているような……」
「ジベラ?」
「薬草の名前だ。独特の香りがある」
ショウガに似た薬草があるのか。高いものでなければほしいななんて考える。代替食品は必要だ。俺はルイにジベラについて詳しく知りたいと伝えるが、こういうのについてもルイはそんなに知らないとのことだった。村で一番の収入源となっている特別な薬草の他に、一般的な薬草ももちろん育てていて、その中にジベラがあるからたまに売りに行くものの中にあるのだという。身体を温めたり消化を良くする薬草だと言っていた。うん、いよいよショウガっぽいぞ。結局、ジベラについては、村についたら見せてもらえることになった。
それと、食事をしながらいつもルイが食べているという干し肉と芋の粉を見せてもらう。芋の粉は、牛乳を加えるとマッシュポテトになる市販のアレに似てる。これも使い方次第で美味しくなるんじゃないかな? まあ、旅の途中で手早く済まそうという時になんだかんだとやってられないだろうけど、村に着いてからも食事でもんのすごーく困るってことはなさそうだ……味的にはね。いや、でも手持ちの調味料がなくなったら日本の味が恋しくなるだろうとも思う。
「ありがとう、イクミ。美味かった」
ルイが食べ終わった俺らの食器類にまとめて魔法を使ってくれて、すっかり洗浄されたような状態になった。
え、ホント、まじで便利すぎないか? って俺がすげーすげー言ってたら、今使った魔法は人体にも使えて身体を清潔にできるらしい。なんて夢のような魔法なんだ。ルイに魔法を使う負担がなければ俺も経験してみたいって言ってみたらかけてくれた。ぶわーっと体表を波が流れていくような不思議な感覚がして本当にさっぱりした。魔法すごい。
まだそんな遅い時間でもないけど、俺の疲労はかなりのものだったみたいで突然ぐったりきた。でもルイに悪いと思って白目むきそうになりながら頑張ってたんだけど、そのルイから無理するなって言われて見事撃沈。テントの中で寝袋に入ったら、その後の記憶はプッツリと途切れていた。気がついたら朝だったよね……。
飛び起きて外を見ると、ルイはかまどの近くであぐらをかいてウトウトしているようだった。だけど、俺がそーっと動いたらすぐ顔をあげて目が合った。
「お、おはよ」
「ちゃんと眠れたか」
「うん。ごめん、爆睡した」
「むしろ、今日はできれば沢山移動したいからちゃんと寝てくれて良かったけどな」
ルイは大丈夫なのか聞いてみたけど、慣れてるからって言う。まあ、大丈夫じゃないって言われたところで俺に何もできないのはわかってるんだけどね。でも気持ちの問題だよ。眠れない状態ってツラいもんなぁ。
シェラカップでインスタント味噌汁2袋分を溶いて、味噌汁の用意もできたから蒸らしていたメスティンのほうを開ける。サバとショウガのいい匂いだ。半分をメスティンの蓋に取り分けて、本体のほうをルイにお皿代わりに使ってもらおう。ちょっとデカいから合わないけどルイの木の深皿に味噌汁を注ぐ。
「ルイ、できたよ。コレ、口に合うといいんだけど」
「豪華だな。こんな森の中で店の料理みたいなのが食べられるなんて」
「えぇー……、いやいや」
魔物肉なんてのがこっちのメインだったら魚って珍しいのかもしれないって少しドキドキしながら見ていると、ルイはブツブツと何かを呟いて(多分、お祈り?)サバの炊き込みご飯を口にした。咀嚼したあと一瞬目を見開いて、その後ガツガツと掻き込んでいる様子にホッとする。俺も安心して食べ始める。うん、安定の美味しさ。缶詰の偉大さをこういう時に知るよね。
インスタント味噌汁も最近はフリーズドライで美味しいのが沢山出ているけど、俺は実はこういう時は生味噌タイプのインスタントを使っている。小分け味噌みたいな感覚でいろいろな料理にも使えるって感じかな。まあ、今回は本来の味噌汁としての使い方だけど。ご飯を食べて味噌汁を飲んでと、いつもの感覚で食べている俺を見て、ルイも味噌汁を飲む。
「このスープは変わっているな。両方とも初めての味だ。けど美味い」
「口に合って良かったよ。俺の国は食へのこだわりが強くていろんな国の料理が食べられるほうなんだけどさ、この料理は結構伝統的なやつに含まれるかな」
なんて説明しながら食べてるけど、うん、やっぱりルイには足りないよなぁ……。焼き鳥缶とか開けちゃうのもアリかなとか悩んだんだけど、どうやら開けなくても良さそうだ。ルイが言うには、夜中に熟睡するわけにはいかないから腹いっぱいは食べられないってことだった。
それに、もったいないって。異世界の食べ物だから大事にしておけってことらしい。
味噌や醤油が珍しいってことは予想はついてたんだよね。異世界ものだけじゃなくてアジア以外の外国でも醤油はメジャーじゃないもんな。今でこそ外国でも日本食が健康的だとかって流行りだしてるらしいけど。味噌醤油とは言わないから、塩はどのくらい手に入るんだろう。香辛料は高価らしいって話はさっきしてたけどなぁ……。どうか、塩は手に入りやすくあってくれって思ってたら、なんとも言えない微妙な価格だって教えてくれた。安くはない、けど香辛料ほど高くもない、みたいな。良いのか悪いのかわからないな。
「この魚のやつはすごく美味いな。魔物肉とは違ってさっぱりとした脂というか。あと風味がいい。ジベラの香りにも似ているような……」
「ジベラ?」
「薬草の名前だ。独特の香りがある」
ショウガに似た薬草があるのか。高いものでなければほしいななんて考える。代替食品は必要だ。俺はルイにジベラについて詳しく知りたいと伝えるが、こういうのについてもルイはそんなに知らないとのことだった。村で一番の収入源となっている特別な薬草の他に、一般的な薬草ももちろん育てていて、その中にジベラがあるからたまに売りに行くものの中にあるのだという。身体を温めたり消化を良くする薬草だと言っていた。うん、いよいよショウガっぽいぞ。結局、ジベラについては、村についたら見せてもらえることになった。
それと、食事をしながらいつもルイが食べているという干し肉と芋の粉を見せてもらう。芋の粉は、牛乳を加えるとマッシュポテトになる市販のアレに似てる。これも使い方次第で美味しくなるんじゃないかな? まあ、旅の途中で手早く済まそうという時になんだかんだとやってられないだろうけど、村に着いてからも食事でもんのすごーく困るってことはなさそうだ……味的にはね。いや、でも手持ちの調味料がなくなったら日本の味が恋しくなるだろうとも思う。
「ありがとう、イクミ。美味かった」
ルイが食べ終わった俺らの食器類にまとめて魔法を使ってくれて、すっかり洗浄されたような状態になった。
え、ホント、まじで便利すぎないか? って俺がすげーすげー言ってたら、今使った魔法は人体にも使えて身体を清潔にできるらしい。なんて夢のような魔法なんだ。ルイに魔法を使う負担がなければ俺も経験してみたいって言ってみたらかけてくれた。ぶわーっと体表を波が流れていくような不思議な感覚がして本当にさっぱりした。魔法すごい。
まだそんな遅い時間でもないけど、俺の疲労はかなりのものだったみたいで突然ぐったりきた。でもルイに悪いと思って白目むきそうになりながら頑張ってたんだけど、そのルイから無理するなって言われて見事撃沈。テントの中で寝袋に入ったら、その後の記憶はプッツリと途切れていた。気がついたら朝だったよね……。
飛び起きて外を見ると、ルイはかまどの近くであぐらをかいてウトウトしているようだった。だけど、俺がそーっと動いたらすぐ顔をあげて目が合った。
「お、おはよ」
「ちゃんと眠れたか」
「うん。ごめん、爆睡した」
「むしろ、今日はできれば沢山移動したいからちゃんと寝てくれて良かったけどな」
ルイは大丈夫なのか聞いてみたけど、慣れてるからって言う。まあ、大丈夫じゃないって言われたところで俺に何もできないのはわかってるんだけどね。でも気持ちの問題だよ。眠れない状態ってツラいもんなぁ。
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