ずっと、君を探してた。

さひこ

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こんなプロローグ。

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「おはよ~。勝利~。」
まだ眠そうに優月は俺に朝の挨拶をする。
「はよ。優月。」
挨拶を返すと優月は俺の肩に頭を置いてまだ寝ようとしてくる。
こいつ、寝意地はってるからなあ。
そんなこんなで俺たちは通っている高校へと行くため、電車のある駅へと向かった。

俺、真野勝利とこいつ、御影優月はいわゆる家が隣の幼馴染で、頭の出来も似たようなもんなので、とんとんと一緒の高校まで上がってきたいわゆる腐れ縁で…親友だ。
こいつは普段こんなぼへらっとした奴だが、すごくいい奴で、正義感あふれ、万人に優しい。そんな優月を俺は好きだし(あくまで親友としてだぞ?)憧れていた。
…だからだろうか。今日俺は最大限のへまをする。
今はそんなことに気づかずにいつもの通り、駅の改札を抜け、ホームへと出た。

「今日は帰って宿題終わったら何しようか?」
優月がようやく俺の肩から頭を上げ、いつものようににへらと笑いかけてくる。
「まだ学校も始まってねーぞ。わかってるって。ゲームの続き、やりたいんだろ?今日はあんま遅くまで居座んなよ。」
「え~!勝利のケチ~!」
優月は今俺が買ったゲームソフト、『創生大戦』というゲームにハマっている。なんでも主人公がチートも何も持ってない普通の少年で、地道にレベル上げしてレベルアップできるとこがいいらしい。
ま・俺も先行情報でそんな主人公に自分を重ねてそのゲームにハマってはいるんだが。
そう、俺は普通オブ普通だ。背も中肉中背。顔は平凡。身体能力がいいというわけでもなく(優月は身体能力だけは結構いい)頭も平々凡々。学校だって県内で中間くらいのところに通い、その中で平均くらいの成績をキープしている。
絵にかいたような平凡オブ平凡。それが俺だ。



だから、

そんな俺が

あんなことをするべきじゃなかった。




「ぎゃはははは!」
「お前マジでバカでー。」
「なんだよ。お前だってー…。」
すぐ近くで男子高校生がふざけ合っている。俺らと同じ学校のやつらだ。
駅のホームの電車が入るとこ近くの黄色の点字ブロックギリギリだっていうのに、体をぶつけあいながら。もうすぐ電車が来る時間だって言うのに。

プルルルル。と音が鳴り、アナウンスが電車が来ることを告げた。それなのに、それなのにそいつらはバカ騒ぎをやめようとはしない。
「ちょっと!電車来てるよ。危ないだろ?!」
優月がそいつらに注意をした。
ああ、優月。やっぱりお前は優しくて格好いいな。俺は見てるだけだったのに。
「あ?何だよ、白けんな。」
「あ~!俺、こいつ知ってる!『いい子ちゃん優月君だろ?』先生に評判の!こんなとこでも点数稼ぎですかー?」
奴らが優月を敵視しだした。
まずい。俺も優月に加勢しなくちゃ…。
そんな時だった。

ドンッ!と音がし、そちらの方を思わず見る。
「わあああ…。」
すると、スーツを着たおじさんがホームへとよろけて行くのが分かった。
「やべっ!!」
あの男子高校生たちがまた腕をぶん回して、それが運悪くおじさんに当たったのだろう。

俺はとっさにおじさんの腕をつかんで、…勢いがついてぐるりと回った。

「勝利!!!!!」

ホームに電車が来るのが見え、自分の身体がホーム外へ投げ出されていたのも見えた。そして俺を呼ぶ優月の声。


もう駄目だ。
俺の人生こんなとこで終わるのかよ。

そんなことしかとっさに思い浮かばない。
こういう時って走馬灯とか見えるもんじゃなかったっけ?
頭の中にバーッと記憶が駆け巡るやつ。
どこまで平凡なんだよ、俺の頭…。

そんなどうでもいいことを考えていると、目の前に優月の顔が見えた。
優月はなんと、俺の腕をつかみ自分までホーム外まで出てしまったのだ。

「俺がめいっぱい押したら勝利だけは助かるかも…。」

お前、こんな時までいい奴かよ。
でも、そんな優月の行動もむなしく、俺の意識はそこで途切れた。
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