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隣には、いつも

二十五

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眩い光が目を細めさせ、水の弾けたような音が笑九の目を見開かせた。
教室内を照らす程度の光と、静寂が訪れ、外側の窓の下でらつきが倒れているのを発見した。
「らつき!」
駆け寄って揺らしてみるが反応はない。既に二限目が始まっている時刻だ。
らつきは気付かなかったのか、宙は死んだ、という言葉を繰り返すほどに、その響きは徐々に他人のものから、らつき本人のものへと変わっていった。幽霊が本当に出たのだと思ってしまっていた笑九はその断片に引っ張られたように我に返った。
姿が見えない、らつきだけの声。悲しくてやりきれない、本当にどこか傷を負ってしまったかのような痛々しい声。
らつき。名前を呼んだが、宙は死んだ、と繰り返す。もしかしたら聞こえていないのかもしれない、と思い立つのに時間はかからなかった。
見えないかもしれないが文字を紡いだ。声は笑九のものだが、文字はチョークを媒介するという考えは正解だった。
嘘だ。そんな声がはっきりと聞こえた。
必死になって、黒板に文字を紡ぐ。緑色の黒板の奥では宙とのチャットの記憶。温かで切なくて、ただ楽しかったチャット……。
今、彼の言葉をなぞっている。不思議な高揚感の後、光の中でらつきが現れたのだ。
らつきが何者なのか、とかよりも倒れて目を覚まさないことの方が重大で、抱えようにも意外に重く、運べそうになかった。
どうしよう、どうしたらいいのだろう……。半泣きになってらつきの顔を見つめると、扉の開く音がした。
振り向くとそこにはさとりが顔を覗かせていて、笑九を見つけるや否や、勢いよく開いて威風堂々に立ってみせた。よく見れば息が荒い。
「ゆ、幽霊に怯えていたわけじゃないからな」
意気込んで何を言うのかと思いきや、こっちは何も言っていない。しかしそんなことはどうでもよかった。
「どうしてここにっ?」
「らつきの気配がしてここへ来たんだ」
さとりは屈んで、眠ったらつきの頬を軽く叩いた。
「寝ているだけだな、安心しろ。妖力を使い過ぎたんだろ」
「妖力? ということは、らつきも……」
さとりは頷き「ただ」と言い足す。
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