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第4章(最高の仲間と迎える終焉編)

ゾンビの次はどうやらガイコツらしいです!

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「イテテ……」

 ところでここは一体どこなんだ?  霧が濃くてあんまりよく周りが見えないけど俺、何故か今ベンチの上に座ってるみたいなんだよな。俺いつの間にベンチなんて座ったんだろう?  

 それに、壁には剥がれかかっているバスの時刻表みたいのがあるってという事は……ここはバスの停留所なのか?  でも、どうして俺はバスの停留所なんかにいるんだろう?  確か俺はあの時、アリアを助けようとしたんだ。そしたら、全員穴の中に落ちたんだったよな。

 そんで今は何故だかよくわからないけど、バス停留所にいると……。だけど、落ちた穴の場所がこんなになってたなんてびっくりだよ。きっと皆も俺と同じようにびっくりして腰を抜かしてるんだろうな。

「ねぇー、落ちた場所がこんなヘンテコな場所でびっくりしたよな」

「…………。」

 あれ?  おかしいぞ、誰一人返事が返ってこない……。皆、普段なら直ぐに返事が返ってくるのにどうしたんだろう?

 ちょっと辺り一帯の霧が濃くて誰がいるのかわからないけど、確かに俺の横に誰かいる筈なのに返事してくれないなんて凹んじゃうよ。それとも皆、この濃い霧に乗じて俺に何かドッキリ的な企画を企んでるのか?

 そう言う事なら、その手には乗るかよ!

「オイオイ悠音君!  何の冗談かは知らないけど、俺をドッキリにかけるなんて100年早いぞと………」

 あれ?  俺、今悠音の肩に触ったはずなんだけど感触がその人間でもなくゾンビでもなく何か骨ぽっかたんだけど……。まさかな、悠音に限ってそんな事ある筈がないよな!  うん、彼奴にこんな手の込んだ仕掛けが出来るとは到底思えないよ。

 そうだよ!  俺の考え過ぎなんだ……考え過ぎなのか…………?  でも、俺の手にはまだ骨ぽっい感覚が残ってるしな。

 よし!  もう一回触って見ればわかるはずだ。どれどれ……顔はやっぱり角張ってるな。それに目の奥に淡く光りが揺らめいてて、全てを吸い込むような黒い瞳をしている。悠音はそんな目をしていたか?  いいや、してないよな。

 という事はコイツは悠音じゃなくて、
今俺の目の前にいるのは本物の骸骨じゃんかよ?!

「イヤァァァ!!」

 俺がちょっと気を失っている間に一体何が起こったっていうんだ!  それに、みんなは何処に行っちゃたんだよ。こんな見ず知らずの骸骨と二人っきりなんてそんなの俺嫌だよ。

 いや、ちょっと待って俺!  まだ、諦めるには早すぎないか?!

 俺にはここぞという時に頼りになる強い味方のKAGUYAカーちゃんがいるじゃないか。だから、気をしっかり持つんだ俺。大丈夫!

「ねぇーKAGUYA、この状況ってどうなってるんだよ?  俺には何が何だかさっぱりだよ」

「…………。」

 えっ?  反応が何も無い!
 もしかして、KAGUYAもいないのかよ!?  そんなのってあんまりだよ……。俺一人でこの状況どうしろっていうんだよ。早くも、もう挫けそうなんだけど。

プップー!

「ん?!」

 いきなり何処からともなく俺の前に一台のバスが現れて止まった。てか、バスと俺の間がほんの数センチだよ。もうちょっと進んで来たら、俺バスに轢き殺されてたよな……。危うくまた、何処ぞの異世界に転生するところだったよ。危ない危ない……。

「全く運転手は誰なんだよ!  俺が誠意を持って安全運転とは何たるかを教えてあげなくちゃ!」

 って、運転手も骸骨なのかよ?!
 しかも、ちょっと待ってよ!  俺の誠意を聴くことなく走り去っていくとかいい度胸じゃないか。でも、停留所で待っていた骸骨を乗せていった優しさに免じてまぁー許してやるか。

「ねぇー、何してるの?」

「うわぁ!  びっくりした」

 何だ?!  いきなりこの子供が俺の目の前に現れた。バスの次は子供かよ。けど、この子雨なんて降ってないのに雨合羽を着てるなんておかしな奴だよな。

 それに、何だろ……。この子とは前にも何処かで出会ったような気がするのは何故だろう?  あれは、どこだったかな……。

「雨ならほら、降ってるよ」

「えっ!?  ……冷たい」

 俺の頬に雨の雫が落ちてきた。
 雨合羽を着た子供の言う通り雨が降ってきた。濃い霧はなくなり雨に変わったのだ。さっきは濃い霧が立ち込めていて何も見えなかっけど、今ならはっきりわかる。霧が晴れ、雨降る先に一つの街が現れた。

「ねぇ、君は一体……。って、もういないし」

 今はわかんない事だらけだし、皆もいなくなってKAGUYAとも繋がらない。独りきりで不安でちょっと怖いけど、あの街に行ってみれば何かわかるんだろうか? 

 独りでここでウジウジ悩んでても仕方ないし、行ってみる価値はあるよな!

「行こう!」


 街に行ってみるとやっぱりどこを見渡しても骸骨の人ばっかりで、普通の人間もゾンビもいない。ここに住んでいる人達は見た目は骸骨だけど、皆生きてる人間とさほど変わりのない暮らしをしている。

 だって、会社に行く骸骨や近所を散歩する骸骨、それに洗濯物を干す骸骨に庭の手入れする骸骨がいるんだよ。見た目さえ気にしなければ、普通の人間と何も変わりないんだ。

 何か変な感じがするな……。

 でも、この街に流れている時間はとても穏やかで心が安らいでいくのを感じるし、何処か懐かしさも感じる。不思議とゾンビだらけのあの日常が嘘に思えてくるよ。

「あれ?  俺、ここに何しに来たんだったけ……。何かしなくちゃいけない事があった筈なのに、おかしい全然思い出せない」

 俺は何を忘れてしまったんだ? 
 大切な事なのにそれが思い出せない。俺の頭の中は今空っぽで、何かを思い出そうとする度に頭が痛くなってくる。

「ハァ……頭が割れそうに痛い」

 俺はあまりの痛さにうずくまっていると雨合羽を来た子供が近寄ってきた。

「思い出せなくなるのも当然だよ。君は彼岸と此岸を越えた場所に辿り着いたんだから」

「彼岸と此岸を越えた場所?」

「そう、この街は彼岸にも此岸にもどちらにも属さない世界。ようこそ、忘れられた街へ」

「忘れられた街……?
 そうだ!  今、思い出した。俺は皆でその街にある研究施設に行こうとする時に穴に落ちたんだ。俺、さっきまでちゃんと覚えてた筈なのになんで忘れちゃったんだ?」

「簡単だよ!  この世界は記憶も思いも留める事は出来ない世界だからだよ」

「じゃあ、俺また忘れちゃうのか?」

「君も忘れるだろうけど、この街に囚われてる君の仲間とやらも無くせば永遠に失ってしまうよ。失ったモノは返ってはこないし、この世界からも出る事は出来ず、ずっと死ぬまで囚われ続けてしまうかもね」

 そんなの絶対に嫌だ!
 俺にとって皆は大切な友であり家族なんだ。皆と過ごした思い出や紡いだ絆は忘れたくないし、忘れちゃダメなんだよ。

「忘れない為にはどうすればいいんだ……」

「君はどうしたいの?」

「俺は…………大切な人達を守りたい。そんで、皆を助け出してここから出たい」

「心からそれを望むかい?」

「あぁ、勿論だ!」

「そうなんだね……フフッ!」

 人が真剣に答えてるのに、なんでこの雨合羽を着た子供はさっきからニヤニヤ笑ってるんだよ。早くしなくちゃ俺もいつまで記憶を保てるかわからないのに!

「君の望みを僕が叶えてあげよう。
ただし、君の友達に対する絆が本物かどうか僕に見せてよ。その絆が本物だった時、全てを君に返そう。どうする?」

「わかったよ。やって野郎じゃないか!」

「そうこなくちゃね」

 俺が皆を必ず助けに行くから、少しの間だけ待っててくれよな!
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