転生したらゾンビゲームでしかも主人公じゃないと言われ、でも覚醒したら何故かゾンビに好かれました?!

心星 晴博

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第1章 (人間とお友達 覚醒編)

仲間と一緒に夢を語り明かす夜

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 こんな楽しいパーティーはいつぶりだろうか?  仲間と食べご馳走はやっぱり格別に美味しよな。あんなにテーブルに並んでいたご馳走がみるみる減っていき、空っぽのお皿やグラスが段々目立ってきた。

こんなに楽しいと眠るのが凄く勿体無いと思ってしまう。頼む、俺の睡魔よまだ来ないでくれ!

それにしても、たっくんも直人さんもお酒が入っているせいか、いつもより騒がしいのなんの!  こんなに楽しい夜なのに俺はジュースだけしか飲めないのはちょっと悲しいな……。

俺もたっくん達と一緒に混ざってワイワイしたい!  だって、転生前は38歳の立派な大人だったし、お酒は飲める口なんだけど、やっぱりこの身体は一様未成年だから止めておこうかな……。

それにしても、俺には勿体なくらいの最高な仲間達だよ。俺を仲間に入れてくれたし、パーティも開いてくれたしね!
仲間と過ごす大切な時や思いが俺の心を満たしていくのを今ここに感じる。
俺はどうやったらこの仲間達に恩返し出来るんだろか?    

今はもらってばかりだけど、いつか必ず俺もこの仲間達の為に何かをしてあげたいな……。

不意に何処からともなく、熱い視線を向けられている事を俺は感じた。視線の先に目を向けると響がいて、皆の顔を一人一人じっくりと見ながら感傷に浸ってる様子だった。

「そういえば、昔はオレや詩、たっくんに直人以外にも沢山の仲間がいて毎日お祭り騒ぎだったな……」

「私はいつだって仲間との思い出は心の中に今も在るよ。今は6人だけになっちゃったけどね」

「あぁ……」

詩に言われ小さく頷いく響だった。
俺は昔のメンバーは知らないけど、きっといい人ばっかりなんだと二人の表情から窺い知れた。

そんな二人の様子を知らずに悪酔いしたたっくんが話に割り込んできた。

「僕には大切な奥さんと小さな可愛らしい娘が一人いたんだ!」

えっ!?
皆はびっくりして顔を見合わせていた。あの響でさえ驚きたっくんの話に興味津々だった。俺もその一人だけどね!
たっくんは皆に昔話を聞かせる様に話し始めた。

「僕は奥さんとまだ小さい娘と一緒にパン屋さんのお店を構えていたんだ!
あの人気の都市、首都アルブスでお店を持てるようなんて夢の様だった。
首都アルブスといえば、この島で一番大きな都市で人口が多くて、街中には歩かなくていいようにエスカレーターがあったんだよ。あと、空飛ぶ車もあったし、街中にモノレールが走ってた。
あんな大きな都市なのにも関わらず、僕の作るパンは評判が良くてね、とても幸せな時間だったよ」

いいなぁー、俺もたっくんが作ったパン食べてみたかった!
他の皆も俺と同じ様な気持ちだった。

「もしも、世界がまた平和を取り戻す事が出来き生き残れたら、皆に僕の作ったパンを食べに皆に来て欲しいな」

皆は口を揃えて絶対に行くよと言い、俺達はたっくんと約束を交わした。

「コホン……」

あの直人さんが急に咳払いをし、珍しく自分の事について語り出した。
急に語りたくなったのは、直人さんも酔っていたから違いない。普段なら絶対にありえないもんな!

「俺には婚約者がいた。婚約者といっても親同士が勝手に決めたんだけどな。
俺には建築家になるという夢があったから何度も断ったのだが、どんどん話が進んでしまった……」

はい、これまた驚きの展開きた!
直人さんには婚約者がいて、しかしも建築家になる夢まで持っていたなんて絶対に想像出来ない。驚きありすぎてもはやどこからツッコミを入ればいいんだ。

というかなんで、夢を語る流れになってるんだよ!  皆がどこからツッコミを入ればいいんだと悩んでる最中に詩だけは、逃さないと言わんばかりに質問し始めた。

「親同士が勝手に決めるなんて、今どき珍しいよね。それで、その婚約者さんはどんな感じだったの?」

「うっ…………。親同士が決めたとは言ったが、その人はとても綺麗な人だった。俺には勿体無いくらいの人だった」

直人さんも詩から質問されるとは思ってもみなくて、最初は言葉に詰まったが酔いに任せて思ってる事を全部喋った。
喋った後の直人さんの顔は更に赤くなっていた。酔っててもやっぱり直人さんは恥ずかしかったんだと俺は察した。

皆の話を聞いていたら、響も同じ様に夢を語りたたくなって来たのか、だんだんソワソワしてきた。皆はどうぞとばかりに響に促した。それを感じ取ったかどうかはわからないが響は自分の夢について語りだした。

「俺の夢は野菜や果物を育てる、農家をやりたいんだ!」

ズコー!!
いや、イメージとあまりにも違いすぎるだろ。ほら、そこはあれだよ!

「響はプロのゲーマーとかじゃないの?」

「律、お前何言ってんだ?
バカだろ……現実をよく見ろ、現実を!」

響にバカ呼ばわりされる日が来ようとは、何だか悲しくなってきた。俺達二人の会話を笑いながら見ていた詩が、笑いをなんとか抑えて自分の夢について話し始めた。

「私はね、この島には沢山の綺麗なお花があるからお花屋になりたいと思ってるんだ!…………出来れば一緒だけど」

「詩なら出来るよ」

俺は詩に向かって自信たっぷりに言った。ん?  でも、一緒にって誰の事だったんだ?  そこに、悪酔いしたたっくんが話に割り込んできた。

「詩は、本当は響と一緒にお花屋さんも農業もやりたいと思ってるんだよね」

ガシャ……?!
詩の持っていたコップがいきなり割れ、中身が少し零れてきた。

「あれ?  可笑しいな、このコップ凄い脆くなっているのはなんでだろうね、たっくん?」

たっくんの顔から血の気が引いていた。
悪酔いしたたっくんはつい余計な一言をどうやら言ってしまったらしい。
たっくんに言われる前から薄々詩の気持ちには気付いたけれども……。俺は今日まであえて気付かな振りをしてたんだ!
だって、詩の気持ちに気づいてしまうのが怖かったんだよ……。

でも、どうやら俺の恋は今ココで儚く散った様です!

もうだんだんと朝も近くなって来て、なんか微妙な空気が流れ始めたのでパーティーはここでお開きになった。

皆それぞれ自分の部屋に帰っていた。
俺も自分の部屋に入り、布団を被って寝ようと思ったがすぐには眠れなかった。

「律様 残念デシタネ」

KAGUYAカーちゃんと話すのなんか久々な気がする!  けど、いつから俺が詩の事を好きだったってわかったんだよ」

「最初カラ気付イテイマシタヨ!
色々ト調べ物ヲスル為二潜ッテイタノデ、ナカナカ浮上出来マセンデシタ。」

KAGUYAも俺の気持ちに気付いていたのか。そう思うと何だか急に恥ずかしくなってきた!

色々とKAGUYAカーちゃんにまだ話したい事や聞こうと思った事が沢山あったんだけど……。急にさっきまで来なかった睡魔が襲ってきた。

「律様、恋モ夢モ見ツカルト良イデスネ」

「うん、そうだな……。でも、次へのステップアップ早すぎだだからもう少しだけこの気持ちを取って置くよ……」

 時刻は夕方過ぎくらいになっていた。
いきなり大きな声で俺は目を覚ました。何事かと思い、慌てて部屋を出たら皆が集まっていた。

「どうしたの?」

俺は下を向き俯いている皆に声を掛けてみた。たっくんだけ俺の呼びかけに気づいて話してくれた。

「実は大変ショッキングな事が起こってしまった」

ショッキングなこと?!
昨日の今日で一体何が起こったって言うだ。俺は思わずゴクリっと生唾を飲んでしまった。

「昨日の歓迎パーティーで食料が全部底をついてしまった。色々な誤解があったらしく、昨日誤って全てあった食料を使ってしまったんだ。どうやら、昨日の歓迎パーティーが最後の晩餐に変わってしまった」

最後の晩餐とか不吉すぎる!
俺の歓迎パーティーなのにそんなのってないよ……。

「こうなったらあの場所に行くしかねぇ!」

「響あの場所ってもしかして……」

皆があの場所と口々に言うが、あの場所って一体どこだよ!  皆に聞こうと思ったのにわからない俺だけを残して、皆はどこかへ行く支度をし始めてしまった。

こうして俺達の食料を求めて3000里の旅が開幕したのである……。
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