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第1章 (人間とお友達 覚醒編)

パーティーする時は主役よりも主催者の方がドキドキしすぎてる

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 俺は今、自分の基礎能力や技術面を上げる為に直人さんの部屋で修行の日々を送っている。修行内容はまぁー、アレだよな、ひたすら努力して努力するって感じなんだよなぁー。

こう毎日修行ばかりだとチート能力とかあれば良かったのになーって思ってしまう事が何度も頭の中に過ぎるよ。でも、そう思いそうになる度にきっと俺自信まだまだ未熟で弱いから、そういうチート能力とかに頼ってしまいたいんだと思う事にしている……。

あっ、そうだった!
今、俺の修行の面倒を見てくれているのはたっくんと直人さんなんだ!  直人さんは技術面や武器の扱い方は右に出る者はいないけど、人にそれを伝えるのはとても苦手らしい。

まっ、わかってたけどね!

そういう時はたっくんの出番だ!
たっくんは技術面や武器の扱い方は少し苦手だけど、教え伝える面に関してはたっくんの方がとても優れていた。
俺が言うのは可笑しいんだけど、たっくんと直人さんはなかなか良いコンビだと思う。でもあの二人、とても8歳も歳が離れてる風には見えないし、むしろ同い年くらいの息のあった相棒にみえるから不思議だ!

後に直人さんの年齢を教えてもらった時はびっくりした。だってあの体型と顔つきは絶対年上のイメージだったし、というか、直人さんがまだ20歳だったという真実に俺は驚きを隠せなかった。

けど、年齢を感じさせずお互いが認め合ってる関係がなんというか凄い!
たまに、たっくんと直人さんが小さな事で争ってる事もあるけどね……。

俺にもちゃんとお互いを認め合い、尊重し合える関係だったら、もう少しいい先輩になれてたかもしれないな……。
そう思うと前世の後輩君には本当、悪い事したな。自分の都合いい時にしか先輩ズラしない奴なんかに信頼関係なんて築ける訳がない。

もしも、たっくんや直人さんみたいな信頼関係を築いていれば別の未来があったのかもしれな…………。

って、なーんてね!
過ぎた事をクヨクヨしても仕方ないよな。前向きに考えよう、前向きに!

だけど今、一番気がかりな事がある!
ここ最近何だか皆の様子がちょっと変なんだ。俺、何かしちゃったのか……?

「で、ココに来たと……。ボク、一様任務中なんだから迷惑極まりないんだけど」

「どう思うガク?  俺やっぱり何かしちゃったと思う??」

「ボクの話聞いてなかったでしょ」

俺は楽がいる監視室で、ここ最近あった出来事を話していた。ただし、一方的にだけど……。だって、もう頼れるのは楽しかいないんだ!

ここ最近のたっくんと直人さんは、修行が終わっても自主トレに付き合ってくれないし、詩ともまともに会話すらしてないし、それに俺と目も合わせてくれない。響に至っては、もはや俺がみえていないレベルだよ!?

しかも、今日はたっくんに部屋まで追い出されるし、どうしたらいいんだよ……。もしかして、これはいよいよこのチームを出て行けというサインなのか!?  俺まだここに来て1週間も経ってないのに……。

皆、酷すぎる!

「その隅っこで落ち込むのいい加減止めてくれる?  で、何か皆から嫌われるような事したの?」

ガクは迷惑そうながらも俺の事を一様心配してくれていた。5~6歳児に気遣われるのはちょっと気が引けるけど、このままじゃあ俺立ち上がれないよ……。皆から嫌われる原因を早く突き止めないと!

嫌われる様な事、嫌われる様な……はっ、もしかしてあれかも?!

昨日、食料庫で美味しそうなクッキー缶を見つけて、一つだけなら食べてもバレやしないだろうって思って食べたら本当に一つしかなかったのがバレたのか!

いや、それとも皆が任務に出ている隙に皆の部屋に入ったのがバレたのか?!
響の部屋とか入ったのがやっぱり不味かったのか。どうせ響の部屋なんてゴミ屋敷みたいな感じだろうって覗いてみたら、和モダンな落ち着いた部屋を見てイメージと違うって俺会う度に顔に出てたのか?

詩は女の子らしい部屋だったから、そっと閉じたけれども……。

あと、思い当たるのは直人さんの部屋に入った時、いかにも大事にしてそうな武器を壊した事がバレちゃったのかな?
やっぱり、瞬間接着剤がなくてボンドでくっ付けたのがダメだったのか……。

「そんなにいっぱいあるなら、嫌われても仕方ないよね」

やっぱり、そうだったのか……。
ガクに言われた言葉が俺の胸に突き刺さるよ。せっかく仲間にして貰えたのに、俺がダメダメな事しちゃったから嫌われて当然なのかもしれない。
謝っても許して貰えないかもしれないけど、それでダメだったら出て行こう!

俺は楽にお礼を言い、部屋を出ようとしたが止められた。

「いや、確かにああ言ったけど、まだそうと決まった訳じゃないじゃん!
それにさ、そんなに結論を急がなくても……」

何だか楽の様子までおかしくなってきた。俺が愚痴愚痴言ってたから、楽まで様子がおかしくなったに違いない!

「ねぇー、ちょっと待ってよ!  もう一度考え直してみたら……」

止めるな楽!  俺は何が起きても行くって決めたんだ。心の準備は全然出来てないけど、こういう時は早い方が良いに決まってる。

俺はついに扉を開けてしまった。
皆が一斉に俺の方を振り返った気がした。でも、せっかく部屋を出て皆に言おと決心したのに怖くて言葉はおろか顔も上げれないよ。

言わなきゃ、皆に一言……。

「皆、ごめん……」

俺はその一言を皮切りに洗いざらい全てした事を吐いて、そしてもう一度最後に皆に謝った。

「えーっとね、律君!  早口で何言ってるのか分からないんだけど……」

えっ!?
詩が言った言葉に俺は驚き、思わず顔を上げたら大きいなボードにと書いてあり、あの広い部屋が俺を祝福してくる歓迎パーティーに模様替えしてあった。

えっ、何これ……!?

「詩お姉ちゃん、ごめんなさい。
彼奴なかなか面倒臭い奴で、予定より早く出て行っちゃたよ」

「がっくんはよく頑張ったよ。偉い偉い!」

「俺、てっきり皆に嫌われたと思ってたから……」

「僕達が律君を嫌いになる訳ないないよ。ちょっと時間早くなっちゃったけど、律君歓の迎パーティーしようか!
主役の律君は真ん中に座ってくれ」

たっくん、なんて良い人なんだ!
俺は他の皆にも促されて、一番特等席の真ん中の椅子に座った。目の前には、食べきれないほどのご馳走が山ほどあった。こんなダメな俺には勿体無いくらいだった。

「皆、ありがとう……」

俺はまた涙が溢れそうになったが、なんとか堪えて笑顔に変えた。

その日は、一日中皆食べたり飲んだり、笑ったり泣いたりして夜まで続いたのだった。
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