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第1章 (人間とお友達 覚醒編)
ゾンビ1体見つけたら100体は必ず後ろに控えてると思え
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「あの詩さん、ゾンビと出くわした時はどうすれば?」
あれ、返事がない!
横目で詩を見てみると俺のKAGUYAのシステムに色々と手こずってる様子だった。この状況まずいな……。ゴクリっと俺は生唾を飲み込んだ。
静かにゆっくりと時の流れを感じる。
ゆっくり感じのはきっとゾンビの動きがやたら鈍いからそう感じるのかもしれない。
どうする?
「よし、みんなの居る場所は覚えた! ここから逃げるよ律君」
詩もゾンビが迫っているのがわかっていたらしく、俺に目で行き先を合図した。そして、二人で行きよいよく飛び出し入り組んだコンテナの中を突きって進んで行った。
俺は無我夢中で走った。
コンテナが大量に積み重ねられた入り組んだ道は、狭かったり広かったり色々だった。逃げるのに必死で俺は詩がいることをすっかり忘れてしまっていた。
ヤバいと思って慌てて隣りにちゃんと詩がいるか確認したら、なんの事はないちゃんといた。
で、俺たちここまで走って来たけどゾンビを撒けたのか?
後ろがどんな状況になってるのか気になった俺は振り返ってみた。俺の理想とは裏腹にさっきよりどんどんゾンビが集まってしかも増えてる!?
類は友を呼ぶって言うのはこういう事なのか?
「何処にこんなにゾンビがいたんだよ!しかも、えっ! 無駄にむちゃくちゃ足の速いゾンビがいる?!」
「それは、元陸上選手のゾンビだよ!
たまに居るんだよね」
「しかも、襲わず通り過ぎてくとか」
「走る事に命かけてるから変に追いかけちゃ、ダメだからね!」
変わったゾンビもいるもんだと関心しているのもつかの間だった、更にゾンビが数を増やして追いかけてくる。急に不安になった俺は詩に質問してみた。
「ねぇ、本当にこっちの道で大丈夫なんだよね?」
「…………」
詩は何か考え事をしているみたいで返事はなかった。きっと、追いつかれるのも時間の問題だ! ゾンビの体力なんて底なしだろうし、人間の俺らはずっと走り続けるには無理だしキツい。
ちょっと、疲れてきたかも……。
でも、男の俺が先に根を上げる訳にはいかないよな。女の子が見てる目の前で弱い姿を見せるなんてかっこ悪すぎだしね!
だとするとやっぱり、ここは俺がなんとかしなくちゃ! 逃げる以外で何か手はあるか、何か…………。
ダメだ、なーんも思いつかない。だけど、最悪俺がゾンビに襲われようが、食べられようが必ず詩のことは俺が守ってみせる!!
ちょっと今、俺かっこいい事言っちゃったよ! なんか一丁前な主人公みたいなかっこいいセリフだった。
我なが惚れ惚れするかっこよさだ!
自画自賛してるのもつかの間だった、いきなり俺達の目の前に10階建てくらいの大きなビルが現れた。いつの間にこんなに大きなビルがあるところまで走ってきたんだろう? 全然気づかなかった。
道も少し開けた広場みたいな場所に出た瞬間だった、俺は小柄なゾンビとぶつかり尻もちを着いた。
「イテテテテッ」
「律君、大丈夫?」
「なんとかね……。それよりどうする?」
「前見て!」
小柄なゾンビはいきなり俺に噛み付いてきた。
びっくりした! 間一髪のところで俺はなんとか避けた。この小柄なゾンビはさっきののろまなゾンビとは違い少しだけ動きが早かった。
「詩、このゾンビからも逃げた方がいいかな?」
「ちょっと逃げるには厳しいかも! ここで一緒に倒そう。律君手伝ってくれる?」
「もちろん!」
まず、最初はの戦いは俺が挑んだ!
武器のない俺は素手の拳で小柄なゾンビを殴った。びっくりするほど全然効いてないしびくともしない。むしろ俺の手がめちゃくちゃ痛い。
「こんな頑丈なゾンビ、どうしろっていうんだよ! 詩、これは無理ゲーすぎるよ!」
「仕方ないか……。素手は痛いし余り有効じゃないけど、そんな事言ってる場合じゃないよね」
詩は深く息を吐き、小さな鞄からメリケンサックを取り出して手に装着した。そして、勢いよく小柄なゾンビに向かって一発パンチをお見舞した。ふらついて朦朧としているゾンビにさらにキックやパンチの連続攻撃をし叩きのめしていった。
一瞬だった。
何発ものパンチやキックが繰り出されたゾンビの顔は原型を留めていなかった。そんな状態になった相手はもう立ち上がっては来なかった。
「強い、強すぎるよ詩!」
詩は手で軽く汚れを払い、武術の立ち会いが終わった選手の様な風格で倒したゾンビに一礼した。詩の勇姿はまるで歴戦練磨をくぐりぬけた武道の達人そのものだった。
「本当、詩はすごいな!」
「格闘技とか護身術とか他にも色々と少し武術を習っただけだから、あんまりジロジロ見ないで」
少し? あんなにボコボコにして……。
詩のあんな姿を見た俺は、誇らしくもありほんの少しだけ怖くも思えた。
なにせあんな姿見ちゃったらね。
「あっ、そうだ! 忘れないうちに律君のKAGUYA返しておくね。使わせてくれて、ありがとう!」
「どういたしまして!」
「律様、タダ今戻リマシタ」
「おう、おかえり!」
俺はまたKAGUYAが搭載された腕時計を付けた。
つかの間の休息が少しの間訪れた。
そのせいがあるのか、ないのかわからないが俺の判断能力は少し鈍くなってしまっていた。きっと、疲れてたせいもあるのかと思う。
「でもまぁー、危機は一様脱出できたかな?」
脱出できた……?
あれ? なんでこんなこと俺は思ったんだ。あれほどいたゾンビが後ろから追いかけて来なくなったせいだからか…………。
今、後ろを振り返っても俺達の近くに一体もゾンビはいないし追いかけて来るゾンビもいない。
あの沢山いたゾンビ達を本当に撒けたのか?
いや、撒けたんだよ。俺らの完全勝利!
不吉な事考えるのはやめよう。本当に悪い方向になっちゃいそうだから止めよう。
明るく考えてみよう、明るくっ。
そうだよ!ゾンビが追いかけて来ないなんて、ラッキーだし良いことじゃん!!
せっかく良いことを思い付いた筈なのに、全然そう思えないのはなんでだ。
なんなんだよ!
このさっきから消えない違和感の正体は……。
「逃げて!」
「えっ!?」
俺は急に大きな声で叫んだ詩にびっくりした。逃げるって何から逃げるだ?
小柄なゾンビは詩が倒してくれたし、追いかけて来るゾンビは今はいない筈じゃん。
詩は血の気が引いた顔で、カタカタと小さいな肩を震わせていた。そして、目だけで俺に危険が差し迫ってることを訴えた。明らかに詩の様子がおかしい。
後ろ……俺の後ろに何かいるのか……?
勇気を振り絞って俺は後ろを振り返えってみた。振り返った先にいたのは、身の丈5メートルほどの大男ゾンビが血のついた巨大な斧を引きづって俺たちに迫って来た。
その場の空気が一気に張り詰めた。
「こんな奴がいるなんて聞いてないよ」
大男ゾンビは自分の目の前にいる他のゾンビを巨大な斧で蹴散らしながらこっちに真っ直ぐと向かってきている。
その周りにいたゾンビは為す術もなくただ逃げ回っていたり、勝てないとわかっていても果敢に攻撃をした。
けれども、勝利した者は誰一人としていなかった。そして、次々と大男ゾンビのまわりにいたゾンビは倒されていった。
こんな奴にどうやっても、全然勝てる気がしない。
急に足がガクガク震え始めた。
逃げなくちゃ、あいつが来ないどこか安全な場所に詩と一緒に逃げなくちゃ……。
他のゾンビと戦いを終えた大男ゾンビが俺たちとの距離を詰めてきた。
その距離20メートル、10メートル、5メートル来たところで巨大な斧を振り上げた。振り上げた瞬間、砂埃が勢いよく空中に舞い上がった。
大男ゾンビの顔はここからはハッキリ見えないはずなのに、一瞬ニヤリッと不気味な笑みを浮かべた様に見えた。
背筋が凍りついた。
頼む、頼むから俺の足動いてくれ! 心の中で叫んでも叫んでも恐怖で俺の足は微動だに動こうとはしなかった。
「もう、ダメだ!終わった」
俺はもうダメだと思い天を仰いだ……。
空を見上げた時だった。あれ? 何かがこっちに向かって落ちてくる。あの、落ちてくるのモノは一体なんだ?
俺はこんな状況にもかかわらず、目を凝らして見てみた。
人!?
落ちてくる者と地上との距離が近くなるにつれて、だんだん姿がハッキリくっきり見えてきた。あれは、俺と同い年くらいの少年だ!
あの10階建てのビルから落ちて来たんだ。
少年は落ちている最中にも関わらず刀引き抜き、その刀を両手に持ち振りかざした。少年の落下地点にいるのは、あの大男ゾンビだ!
そこにめがけて、落ちてくるスピードを殺さない様に勢いよく大男ゾンビの頭上から叩き切った。
叩き切られた大男ゾンビは、真ん中から真っ二つに別れズドーンっと大きな音をたてて地面に倒れた。
「弱っ!! 図体デカいだけで見掛け倒しかよ」
少年は真っ二つに別れたゾンビの目の前で表情を一切変えずに立っていた。
チラッと刀を見た少年は、ゾンビのこびり付いた液体を振り払い刀を鞘の中に収めた。
「あいつ、俺と同い年くらいなのにスゲーかっこいい!」
ん……?! あの少年なんかブツブツ文句をいいながら俺の方に近づいてくるじゃんか。めちゃくちゃ怖っ!
「大丈夫か!? アァン、って誰だお前?」
「えっ、俺ですか……」
って、この少年は一体何者なんだ?
あれ、返事がない!
横目で詩を見てみると俺のKAGUYAのシステムに色々と手こずってる様子だった。この状況まずいな……。ゴクリっと俺は生唾を飲み込んだ。
静かにゆっくりと時の流れを感じる。
ゆっくり感じのはきっとゾンビの動きがやたら鈍いからそう感じるのかもしれない。
どうする?
「よし、みんなの居る場所は覚えた! ここから逃げるよ律君」
詩もゾンビが迫っているのがわかっていたらしく、俺に目で行き先を合図した。そして、二人で行きよいよく飛び出し入り組んだコンテナの中を突きって進んで行った。
俺は無我夢中で走った。
コンテナが大量に積み重ねられた入り組んだ道は、狭かったり広かったり色々だった。逃げるのに必死で俺は詩がいることをすっかり忘れてしまっていた。
ヤバいと思って慌てて隣りにちゃんと詩がいるか確認したら、なんの事はないちゃんといた。
で、俺たちここまで走って来たけどゾンビを撒けたのか?
後ろがどんな状況になってるのか気になった俺は振り返ってみた。俺の理想とは裏腹にさっきよりどんどんゾンビが集まってしかも増えてる!?
類は友を呼ぶって言うのはこういう事なのか?
「何処にこんなにゾンビがいたんだよ!しかも、えっ! 無駄にむちゃくちゃ足の速いゾンビがいる?!」
「それは、元陸上選手のゾンビだよ!
たまに居るんだよね」
「しかも、襲わず通り過ぎてくとか」
「走る事に命かけてるから変に追いかけちゃ、ダメだからね!」
変わったゾンビもいるもんだと関心しているのもつかの間だった、更にゾンビが数を増やして追いかけてくる。急に不安になった俺は詩に質問してみた。
「ねぇ、本当にこっちの道で大丈夫なんだよね?」
「…………」
詩は何か考え事をしているみたいで返事はなかった。きっと、追いつかれるのも時間の問題だ! ゾンビの体力なんて底なしだろうし、人間の俺らはずっと走り続けるには無理だしキツい。
ちょっと、疲れてきたかも……。
でも、男の俺が先に根を上げる訳にはいかないよな。女の子が見てる目の前で弱い姿を見せるなんてかっこ悪すぎだしね!
だとするとやっぱり、ここは俺がなんとかしなくちゃ! 逃げる以外で何か手はあるか、何か…………。
ダメだ、なーんも思いつかない。だけど、最悪俺がゾンビに襲われようが、食べられようが必ず詩のことは俺が守ってみせる!!
ちょっと今、俺かっこいい事言っちゃったよ! なんか一丁前な主人公みたいなかっこいいセリフだった。
我なが惚れ惚れするかっこよさだ!
自画自賛してるのもつかの間だった、いきなり俺達の目の前に10階建てくらいの大きなビルが現れた。いつの間にこんなに大きなビルがあるところまで走ってきたんだろう? 全然気づかなかった。
道も少し開けた広場みたいな場所に出た瞬間だった、俺は小柄なゾンビとぶつかり尻もちを着いた。
「イテテテテッ」
「律君、大丈夫?」
「なんとかね……。それよりどうする?」
「前見て!」
小柄なゾンビはいきなり俺に噛み付いてきた。
びっくりした! 間一髪のところで俺はなんとか避けた。この小柄なゾンビはさっきののろまなゾンビとは違い少しだけ動きが早かった。
「詩、このゾンビからも逃げた方がいいかな?」
「ちょっと逃げるには厳しいかも! ここで一緒に倒そう。律君手伝ってくれる?」
「もちろん!」
まず、最初はの戦いは俺が挑んだ!
武器のない俺は素手の拳で小柄なゾンビを殴った。びっくりするほど全然効いてないしびくともしない。むしろ俺の手がめちゃくちゃ痛い。
「こんな頑丈なゾンビ、どうしろっていうんだよ! 詩、これは無理ゲーすぎるよ!」
「仕方ないか……。素手は痛いし余り有効じゃないけど、そんな事言ってる場合じゃないよね」
詩は深く息を吐き、小さな鞄からメリケンサックを取り出して手に装着した。そして、勢いよく小柄なゾンビに向かって一発パンチをお見舞した。ふらついて朦朧としているゾンビにさらにキックやパンチの連続攻撃をし叩きのめしていった。
一瞬だった。
何発ものパンチやキックが繰り出されたゾンビの顔は原型を留めていなかった。そんな状態になった相手はもう立ち上がっては来なかった。
「強い、強すぎるよ詩!」
詩は手で軽く汚れを払い、武術の立ち会いが終わった選手の様な風格で倒したゾンビに一礼した。詩の勇姿はまるで歴戦練磨をくぐりぬけた武道の達人そのものだった。
「本当、詩はすごいな!」
「格闘技とか護身術とか他にも色々と少し武術を習っただけだから、あんまりジロジロ見ないで」
少し? あんなにボコボコにして……。
詩のあんな姿を見た俺は、誇らしくもありほんの少しだけ怖くも思えた。
なにせあんな姿見ちゃったらね。
「あっ、そうだ! 忘れないうちに律君のKAGUYA返しておくね。使わせてくれて、ありがとう!」
「どういたしまして!」
「律様、タダ今戻リマシタ」
「おう、おかえり!」
俺はまたKAGUYAが搭載された腕時計を付けた。
つかの間の休息が少しの間訪れた。
そのせいがあるのか、ないのかわからないが俺の判断能力は少し鈍くなってしまっていた。きっと、疲れてたせいもあるのかと思う。
「でもまぁー、危機は一様脱出できたかな?」
脱出できた……?
あれ? なんでこんなこと俺は思ったんだ。あれほどいたゾンビが後ろから追いかけて来なくなったせいだからか…………。
今、後ろを振り返っても俺達の近くに一体もゾンビはいないし追いかけて来るゾンビもいない。
あの沢山いたゾンビ達を本当に撒けたのか?
いや、撒けたんだよ。俺らの完全勝利!
不吉な事考えるのはやめよう。本当に悪い方向になっちゃいそうだから止めよう。
明るく考えてみよう、明るくっ。
そうだよ!ゾンビが追いかけて来ないなんて、ラッキーだし良いことじゃん!!
せっかく良いことを思い付いた筈なのに、全然そう思えないのはなんでだ。
なんなんだよ!
このさっきから消えない違和感の正体は……。
「逃げて!」
「えっ!?」
俺は急に大きな声で叫んだ詩にびっくりした。逃げるって何から逃げるだ?
小柄なゾンビは詩が倒してくれたし、追いかけて来るゾンビは今はいない筈じゃん。
詩は血の気が引いた顔で、カタカタと小さいな肩を震わせていた。そして、目だけで俺に危険が差し迫ってることを訴えた。明らかに詩の様子がおかしい。
後ろ……俺の後ろに何かいるのか……?
勇気を振り絞って俺は後ろを振り返えってみた。振り返った先にいたのは、身の丈5メートルほどの大男ゾンビが血のついた巨大な斧を引きづって俺たちに迫って来た。
その場の空気が一気に張り詰めた。
「こんな奴がいるなんて聞いてないよ」
大男ゾンビは自分の目の前にいる他のゾンビを巨大な斧で蹴散らしながらこっちに真っ直ぐと向かってきている。
その周りにいたゾンビは為す術もなくただ逃げ回っていたり、勝てないとわかっていても果敢に攻撃をした。
けれども、勝利した者は誰一人としていなかった。そして、次々と大男ゾンビのまわりにいたゾンビは倒されていった。
こんな奴にどうやっても、全然勝てる気がしない。
急に足がガクガク震え始めた。
逃げなくちゃ、あいつが来ないどこか安全な場所に詩と一緒に逃げなくちゃ……。
他のゾンビと戦いを終えた大男ゾンビが俺たちとの距離を詰めてきた。
その距離20メートル、10メートル、5メートル来たところで巨大な斧を振り上げた。振り上げた瞬間、砂埃が勢いよく空中に舞い上がった。
大男ゾンビの顔はここからはハッキリ見えないはずなのに、一瞬ニヤリッと不気味な笑みを浮かべた様に見えた。
背筋が凍りついた。
頼む、頼むから俺の足動いてくれ! 心の中で叫んでも叫んでも恐怖で俺の足は微動だに動こうとはしなかった。
「もう、ダメだ!終わった」
俺はもうダメだと思い天を仰いだ……。
空を見上げた時だった。あれ? 何かがこっちに向かって落ちてくる。あの、落ちてくるのモノは一体なんだ?
俺はこんな状況にもかかわらず、目を凝らして見てみた。
人!?
落ちてくる者と地上との距離が近くなるにつれて、だんだん姿がハッキリくっきり見えてきた。あれは、俺と同い年くらいの少年だ!
あの10階建てのビルから落ちて来たんだ。
少年は落ちている最中にも関わらず刀引き抜き、その刀を両手に持ち振りかざした。少年の落下地点にいるのは、あの大男ゾンビだ!
そこにめがけて、落ちてくるスピードを殺さない様に勢いよく大男ゾンビの頭上から叩き切った。
叩き切られた大男ゾンビは、真ん中から真っ二つに別れズドーンっと大きな音をたてて地面に倒れた。
「弱っ!! 図体デカいだけで見掛け倒しかよ」
少年は真っ二つに別れたゾンビの目の前で表情を一切変えずに立っていた。
チラッと刀を見た少年は、ゾンビのこびり付いた液体を振り払い刀を鞘の中に収めた。
「あいつ、俺と同い年くらいなのにスゲーかっこいい!」
ん……?! あの少年なんかブツブツ文句をいいながら俺の方に近づいてくるじゃんか。めちゃくちゃ怖っ!
「大丈夫か!? アァン、って誰だお前?」
「えっ、俺ですか……」
って、この少年は一体何者なんだ?
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