転生したらゾンビゲームでしかも主人公じゃないと言われ、でも覚醒したら何故かゾンビに好かれました?!

心星 晴博

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第1章 (人間とお友達 覚醒編)

ヒーローとして必要じゃなくても……

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 どうも、今日からこの物語の主人公じゃ無くなりましたリツです!

 どうやら俺はゾンビゲームに転生して、僅か数分で残念な事に生きる目標を見失いました。どうせ俺はモブ以下で何にも役に立たなくて、前世でも現世でもダメダメな人間ですよ。そんな事、自分自身が一番わかってますとも。自分で言ったらなんか余計に悲しくなってきちゃった……。

「ワタシノ完璧ナデータベース二寄マスト、オ名前ハリツ様、首都アルブスデ生マレ、平社員ノゴ両親ト姉ト四人暮ラシ、年齢ハ15歳デ何処ニデモイル普通ノ少年デス。
ナオ、ゴ両親ト姉ハ3人共ゾンビ二襲ワレ既二他界シテイマス」

「これ以上俺の傷口に塩を塗らないでくれ……」

 とわ言ったものの、首都アルブスって何処だよ! 全然まったくわからない。これが噂に聞くゲームの設定ってヤツなのか……。でも、知らないと変な奴だと思われるからここは適当な事を言って誤魔化そう!

「首都アルブスでしょ、知ってる知ってる。あの星空が綺麗に見えて、ここから先はコンビニがありませんって田舎な感じの街でしょ!」

「イイエ、全然違イマス。
 首都アルブスハ電子で管理されたハイテクナ街デス。コンビニハ全て無人化サレテオリ、都市二住厶住人ハ全テ個人情報ガIDデ管理サレテイマス。
ット言ッテモゾンビ二襲ワレル前ノハ」

 ぐぅー、ぎゅるるるぅーーーー!

「敵襲デスカ?」

「いや、俺のお腹の音です」

 恥かしいからこっち見ないで!
 そういえば俺、こっちに来てから何も食べてなかったけ。通りで変なお腹の音が鳴るわけだ。だけど、俺にはかーちゃんが作ってくれた特製のカレーがあるじゃないか。これは天のめぐみだ、ありがとうございます。

「では早速、頂きます!」

「ソノカレーハ、食ベテモ大丈夫ナンデスカ?」

「バカヤロー、かーちゃんが作ってくれた物を残すなんて天変地異が起こるぞ!」

「ソレハ知リマセンデシタ。早速、データベース二入レテオキマス」

 俺はかーちゃんが丹精込めて作ってくれたカレーを一滴も残さず、全て平らげて完食した!  もうお腹いっぱいで、幸せだよ。

  かーちゃんありがとう!

さてと、とっておきの俺のかーちゃん事情をKAGUYAかぐやに教えたし、お腹もいっぱいになった事だし、それではもう一度……前向きにもう一回不貞腐れよう!

「律様、ソコデ寝テルトゾンビ二襲ワレマスヨ」

 ハッ!  そうだった、俺とした事がついお腹いっぱいになったら、すっかりゾンビの存在を忘れてた!  そうだよ、俺はゾンビゲームに転生してたんだった!

「えーっと……俺はこの世界で何をしたらいいんだ?」

 全くもってノープランだよ!  って、事は俺、今物凄く窮地に立たされているんじゃないだろうか?!  だって俺はこの物語の主人公じゃないらしいし、今さっき生きる希望を見失ったばかりの人間にどうしろっていうんだよ。

「俺にとってこの世界はなんだ?  何処にも希望なんて、ないじゃんかよ……」

 俺は今柄にもなく空を見ながら、じーっと座って考え事をしてたら、KAGUYAが俺にとんでもない事を提案してきた。

「希望ガ無イナラ見ツケレバ良イノデハ?」

「そうか、見つければいいのか!  流石は俺の相棒だなってなるかぁーー!  だって前世では、仕事は出来なくて頼りにならないし、友達も作れないし、家族関係も良好じなくておまけに恋人も出来ない奴に希望を持つなんて、そんなの無理に決まってる」

「ソレナラ、全部出来ナイ事ヲ反対二シテミタラ如何デスカ?」

「出来ない事を反対にするだって?!
そんな無茶苦茶な事言うなよ」

 でも、待てよ!  確かに彼奴が言ってる事は一理あるかもしれないけど……でも、そんな事って馬鹿げてる。馬鹿げてるんだけど、何だかちょっと面白そうじゃないか。せっかく、もう一度生まれ変わるチャンスを貰えたんだから、試しにその反対な事にチャレンジしてみても良いんじゃないか俺!  っと、するとそうなるとどうなるんだ?

 えーっと……まず、仕事が出来ないを反対にすると、仕事が出来てしかも誰からも頼りになる信頼の厚い俺。そんでもって、友達がいないから友達もいっぱい作れる良い奴な俺で、家族関係を良好で恋人も出来る俺!

 めちゃくちゃいい感じじゃんかよ!
 出来ない事全部反対にして出来る自分をイメージしただけなのに、不思議と気持ちが明るくなって前向きになれる。気持ちが明るくなると何だか、何でも出来そうに思えてきた。

「なぁー、KAGUYAカグヤだったたけ?  こんな俺でも変われると思うか?」

「人ハ変ワリタイト思ッタ時二変ワレルト、私ノ古イデータベース二残ッテオリマシタ」

「お前結構良い奴だな。ありがとうKAGUYA!」

 KAGUYAのお陰で希望が見えてきた気がする。俺はこの物語の主人公にはなれなかったけど、新しい希望は簡単に見つける事が出来たよ。

「よーし、いっちょ頑張ってみますか俺!」

 俺は立ち上がり、天に向かってガッツポーズを決めたんだけど……ん? 

 あれ、なんか俺のお腹の調子が変だぞ??  せっかく、これから前を向いて歩いて行くって時にお腹の調子が悪くなってくるなんて最悪だ……。

 アッ、イタイッ!!
 本格的にヤバくなってきた。俺のお腹がヤバすぎて死ぬほど痛いんですけど、なんなんだこれ?

 あっ、ダメだ!
 痛すぎてだんだん意識が遠のいてきそうだし、体も重たくて立ってるのもしんどいぞ。

 これって……いや、まさか……まさかカレーじゃないよね!?
 だってほらよく言うじゃん、カレーは二日目が一番おいしいって!いつも母親かーちゃんが作ってくれるカレーは、二日間じっくり煮込んだ特製のカレーだけども。

 そんな訳ない、そんな訳ある筈がないけど……。

 あれ、可笑しいな?
 さっきから冷や汗が止まらない。暑い訳じゃないのに止まらない。お願いだから止まってくれ!  今、こんな回りにコンテナなしかない場所で倒れてゾンビに襲われでもしたら確実に俺死ぬじゃんかよ……。

 絶対絶命のピンチだよ?!  
 いや、ちょっと待って俺まだここに来てカレーしか食って無いのに、そんな事ってありますか……

…………

…………

…………

…………バタッ!


 俺の意識はここで一旦途切れてしまった。後にこの出来事をカレー珍事件と俺は名付けるのであった。
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