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第2章 司のあわただしい二週間
第42話 異世界コミュニケーション(体当たり)
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「遭いたくないです。ちょっと寂しくて人恋しかっただけなので他意はありませんでした」
腕にホールドされて背が反って裸の胸に圧し掛かられると、微妙に居心地が悪い。
「お前がどう思っていようが、恋人に跨って服を脱いですり寄った挙句、人の体をいじくればそれは誘っていると同義だ」
お風呂場の続き、回避失敗しました。
さっきの本で男性同士と、男性と両性編ではアナルセックスの記載がしっかりとあった。初心者教本だからか、後に玩具を使うパターンは無かった。洗浄いらずな便利なナイトグッズの存在はOTLと同じだが、この世界の人間は性にオープンすぎる。
白目になるほど直接的だったが内容はシンプルで真面目だった。
相手を思いやってゆっくりと。受け入れる方が慣れてないなら最初から激しくやっても痛いだけだし、無理にイかせようとしなくていい。道具の使い方とかマナーとか知識はあった方がいいけど、緊張しないでお互いに触れ合う事の延長くらいに思いましょうってのが良く伝わってくる内容だった。
よくある質問や体験談が巻末にあり、リアルと同じだなーと思った所も多かった。どちらがリードすべきか分かりませんという質問に対して、ベッドでイチャイチャ触りあってれば分かりますといった回答だったのはクスっと笑ってしまった。
何故こんなことをつらつらと考えているかというと、絶賛僕が今じっとりゆっくりされているところだからだ!!
「ひっ、も、やめましょうよぉ」
「ん? 痛いのか?」
「ふぁっ、んん、あっ、あぁ・・! さっきからずっとしてるじゃないですかぁっ!」
下半身だけ剥かれそこにぶちまけられた温感ローション。食べても大丈夫、衛生的にも問題ないってそんな解説されても安心できない。じゅぷ、ぐちゅと二本の指が膣の中をもどかしいほどゆっくり抜き差しし、もう片手がぬるぬると滑りを借りて棒も腹部もまとめて擦る。
こんな感じでもうどれくらい経ったのか。イかせようとする動きじゃないのに段々と息が上がってきて体温が籠る。
足が時折跳ねる。ぬかるみにゆっくり沈められていくみたいな刺激は初めてで、どう対処していいか分からない。
ずろろ・・・と指の腹が肉壁を擦り、行き止まりのをからかうみたいに触って遊ぶ。痛いなら止めてって言えるけど、痛みは無い。ただそこを触られるとお腹の奥に響いた感じがして反射的に締めてしまって、自分の中をかき回す指を余計に意識してしまうから辛い。
「あ、そこ、やぁ・・・っ」
「何故だ?」
「アルフリートさんのばかっ! やだぁ、あ、あぁっ・・・!」
「そろそろいいか」
ぐちゅりともう聞きたくない品のない音を立てて指がようやく抜けていく。イってもいないのにお風呂場の時みたいにぐっ
たりとした疲労感。辛うじて下半身を隠すように横向きになり汗ばんだシーツの海に身を委ねる。
明かりが点きっぱなしだった事に今更に気づくが、はっ、はぁっと息を整えるので精一杯だ。
ベッドの上に座ってアルフリートさんがねこじゃらし? を触っていた。
全体がピンクと白の縞模様で、細い柄の先、イボの付いた小さな卵形の球体はふにふにした柔らかい材質の様で、指で押すままに形が変わっていた。とてもファンシー。
「安心しろ。新品だ」
先の球体にローションが垂らされる。
ぐいっと先ほどの足を開いた姿に逆戻りって、まさか。
「ああぁぅっ!」
「指より柔らかいだろう?」
スライムの感触に似た小さな球体がずぶんっと奥まで一気に押し込まれる。
ピンクと白色の猫じゃらしは見たことない形だったけど大人の玩具でした・・・。
「ひうぅっ!!」
指よりも小さくて、柔らかくても異物だ。慣れる間もなくその球体がうねうねと動き出す。余り固くはないイボも、こうして奥に食い込まれ、そこで暴れまわられるとあっという間にさっきと似た状況に陥る。いや、アルフリートさんが自由になった分状況は悪化している。
「これやだっ」
「おっと」
抜こうとした手をぱしりと片手で防がれ、横に回られたらくるりとひっくり返される。腰を持ち上げずいっと寄せられてってこの体勢!!
「ばかぁっ! みるなぁ!!」
丸見えじゃないかバカ!
奥でうにうにとイボでひっかくみたいに這う塊は不規則に蠢き、怖気に似た感覚を形容しがたい感覚を齎す。
「仕方ない・・・」
朝みたいに明かりが絞られる。いや、そういう意味ではなく。
「お前が痛がることはしたくない」
そんな言葉と共に、後ろから回った手がこんな状況でも勃ったままの男性器を緩急を付けて扱く。亀頭をぬるぬると撫られると一気に射精感が高まる。
玩具が僕と絡まってぐぷんっと卑猥な音を響かせる。撓った柄で擦る場所を変えながら抜き差しされると、無意識に引き留めるみたいにびくびくと中が引き攣る。抵抗してるのに、柔らかな玩具は容赦なくじゅくじゅくに熟れた肉壁に押し入って、締め付けを潜って勝手に出ていく。
「ぁ、僕のなか、かきまわさないでぇっ! あぐっ、ひんっ、あ、ぁ、あああぁぁ・・・っ!」
「私は動かしていないぞ。お前が自分で味わっているのだろう?」
ずっと少しずつ指の先までたまっていた痺れがもう少しで決壊する寸前には、上半身はベッドに崩れ自分で腰を振ってアルフリートさんの手の中に擦りつけていた。その言葉にびくりと体が止まる。玩具は彼言う通りに動かされてなくて、僕が自分でみっともなくそれを・・・。
「やだぁっ!! みるな!」
「イキたいんだろう? みっともなく自分で腰を振ってイクところを見せろ」
「む、りぃ、はっ・・・むりだからぁ・・・っ」
気づいてしまったら羞恥心と快楽に溺れたい本能の板挟みだ。この体勢だと顔が窺えない、息が苦しくて熱い、満たされた感じがしない。
「あ、あぁぁぁっ・・・!! ひぃっっ!」
「そうか、まだ終わりたくないんだな」
玩具の動きがさっきほどまでの緩やかさが嘘の様に複雑なものに変わった。
そろそろと蠢いていたと思えば、ぼこりと大きな動きで愛液とローションでどろどろになった膣から腹の裡を押し上られる。イキたい、無理、恥ずかしい。ぐるぐる回って身動きが取れなくて、ちっぽけな玩具が生み出す快楽に雁字搦めにされて沈んでいく。
「あぐっ、ん、んっ・・はぁッ、ああっ! あぁ・・っ」
思考もどろどろと零れ落ちて、溶けたバターってこんな風なんだろうか。
その隙を突いて濡れた熱い指が一本、後孔にずぶりと入ってくる。溶けた液体に指を突っ込んでも抵抗なんかありはしない。
その指が僕がさっき自分でいきそうになってた時のリズムで抽挿を繰り返す。
それだけに止まらず指ごと手で僕の腰を押し、もう片手でまた勃起した性器をいじられ、自分で動けとせっつかれる。
最後の理性で抵抗すると、ぐちゅぐちゅまた指が勝手に抜き差ししながら快楽を前と後ろと刻んで捻じ込んでいく。
もうどこが気持ちいいかなんかわからない。どこまでも落ちていくような悲鳴を上げて、どぷりと精を吐き出した。
ベッドに倒れ込んだらアルフリートさんの胸にもたれ掛かる形で起こされる。
素知らぬ顔をしたファンシーカラーの猫じゃらしもどきがぐちゅりと抜かれると、中から粘液が伝ってシーツを汚した。
何処か満たされなくて、お前はこの先の熱も大きさも知ってるだろう、気をやって終わりじゃないだろうと、その光景に言われた気がした。ずっと弄られていた場所が今も重く疼いて、背中と首筋がゾクゾクするのは見ない振りをした。
▽
綺麗なタオルで顔も体も拭われる。なんか今日は色々ありすぎた。
アルフリートさんも気持ちよくすべきだと思うのだけれど、今までで一番の眠気が襲ってきている。
確かに身体感覚操作で性欲も我慢出来るが、我慢しすぎは体に良くない。
「この前は悪かった。押さえたつもりだったが痛くなかったか」
「この、前って」
どれだ?
「・・・この前、お前が本当に嫌がっていると思わずにしてしまっただろう。本当に痛かったり辛かったりしなかったのか? 品の無い言葉で罵って、別れると言われてしまったら私はどうして良いが分からない。お前に苦痛を与えるつもりはないんだ」
「ん・・・僕もひどいことしましたよね、ごめんなさい」
アルフリートさんはする気でいたのに、コロナ達に交際を明らかにしたその数分後に逃げられ、条件に同意したのに何故逃げるのか考え込んだのだろうか。
そして朝に僕が自分からちょっかいを掛けたと。整理すると酷いな僕。
痛くは無かった筈だ。ガンガン突かれると言うより揺さぶられるという感じで、言葉でいろいろ言われた気もするが、今になって思えば大分手加減されていたのだろう。
にしても、本当に僕のことばっかりじゃないのか。自分は一回もいってないのに。
「ねぇ、もふらせてくれませんか?」
ぽふんと鳥になる。毛皮、ぬくぬくの毛皮プリーズ。
「痛くは無かったです。全部、嫌じゃ、無かったですよ。僕のこと欲しがって感情的になってるんだって。今度は僕が手とか、口とかでしますから」
前脚の隙間に体を捩じ込み、ふわもっふの胸毛に体を擦り寄せる。
許せないことされたらこのふわ毛を嘴で毟って巣材にして、そのクッションに埋もれて一人で寝てやろう。
もふもふ効果は偉大だ。そういえば許す許さないとか考えたこと無かった。
「つぶさないでくださいね」
そしてまっくらすっとん、ログアウト用の回廊に行ける事も無く、只の夢の中に落っこちていった。
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