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第2章 司のあわただしい二週間
第11話 お月見と迷惑メール
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▽
満足行くまでもふっていつの間にか眠っていたらしい。目覚めたときにはアルフリートさんは居らず、現金な体は空腹を訴える。
チェストの上には手紙と袋の他に保温機能付きの皿にいれられた白身魚の煮つけと水差しが置いてあった。夕食の時間はとっくに過ぎている。
汚したタオルは綺麗になってるし、泣き疲れてそのまま寝ちゃった時の顔の引き攣れも無く、お世話させてしまったみたいで心苦しい。
袋を開けると案の定高額硬貨が入れられている。手紙は白い封筒で裏にトトさんの名前が書いてあり、神殿の文様の封蝋がしてある。心の中でお礼を言い収納しておく。
煮つけは病人食らしく味付けが薄かったが、根菜も柔らかく滋味を感じさせ十分おいしい。
食べ終わったので洗浄機能付き魔道具を収納から取り出す。新書サイズの飾り気のない金属板に赤く魔術式が刻んである。手をかざして魔力供給し起動。陣が光ったらそこに皿を収納。
これは食器用の魔道具で、分解・洗浄・殺菌・分解できなかったものは焼却&圧縮してくれる所謂家庭用魔道具。取り出した時には綺麗になってる必需品。
間違って野菜とか食品を入れたら一瞬でゴミくずになるので注意。
衣服の自動装着機能付き魔道具も、清潔を維持するための魔術式がいくつも組み込んであり、収納するたび一定の綺麗さが確保されるようになっている。こっちは戦闘でも多用するのでネックレス型。
日常的で煩雑な魔術は魔道具が担う物だった。生きている以上魔道具に収納し皿や衣服の様に洗う訳にもいかず、やっぱり身繕いは生活魔術などで地道にやるしかない。
大体の属性で回復や浄化の魔法術はあるが、安全性や確実性は神性魔法が頭抜けている。思うに回復じゃなくて復帰なんだろう。蘇生も生きている状態の情報を呼び出し構築していると考えられている。
神性魔法以外での回復は症状によっての相性が絡んできて慣れが必要。
浄化に関しては、特定の物質を分解する魔術式や物質を作る事はできたから、そこは自由度が高かった。プレイヤーの大半が使っていた万能軟膏という代物は大体の汚れは分解・殺菌してくれる上治癒も促進する素晴らしい薬品だった。
一瞬で人体も安全で完璧に綺麗になる浄化に関する魔法はあった。そう魔法だ。そんな事に魂の力を消費したくないです。魂の力はイメージを実現してくれる。奇跡も魔法も存在する。その代価として死んだとしても、望みが叶った事に変わりはない。そんな危険物が今の僕の存在を形作っている。
▽
コロナは思念通話で話しかけたが今日はいっぱい飛んで遊んだから寝ると言っておやすみ中。
せっかくできた時間だ。お風呂に入ってゆっくりしよう。
ラクリマにお湯を張ってもらう。僕でも水は出せるがラクリマの水の方が回復効果が高い。詳しい理由は不明。
水を出す魔術も大体誰でも使えるけど、湯船いっぱいの適温のお湯となると一般人は出来ない人もいるから、補助としての魔道具がある。
魔術は万能ではなく、魔術で出した水はまずおいしくない。錆びた味だったり、緑くさかったり。生活用水としては問題ないんだけど。飲みたいクオリティの物を出せる人は重宝されていた。
その点ラクリマの水は完璧だ。美味しいし回復力が高い。ダンジョンでも水に困らないし、錬金で必須の精製水も出してくれる。多少性格に難があってもそれを補って余りある便利さ。
要求された事で僕が叶えられることなら、大体応じている。
毒薬を作っても何故か薬効が上がるので不思議だ。
きっとラクリマの趣味が関係しているのかもと昔から思っている。
人をからかうのが好きでも決してテンションが高かったり、うるさかったりはしない。
基本的に落ち着いて大人しい。じっとしている事も苦にならないようだし、一人になりたいときは放っておいてくれる。僕にとっては一緒にいても苦にならない相手。
お風呂に一緒に入って湯船に浮いている水球をつんつんとつつく。ぷるるん。
綺麗な水に漬かっている時はラクリマは大人しい。両手でつかんでもにゅもにゅと遊ぶ。怒られる時もあるが今日は何も言われなかった。
風呂上りリビングでまったりしながら潜在魔力値向上ポーションと、ついでにエリクサー入りグラニータも取り出す。
エリクサーは万能薬だけれど流石に不老不死の効果はない。というか魔力と身体操作による成長抑制もあるし、転生すればいやでも一からのスタートだから不老のありがたみは薄い。
不死も魂核があれば蘇生はできるのである意味元々不死だ。
グラニータはエリクサーを材料に氷菓に加工したもの。もちろんオレンジジュースがベースなので薄まってはいる。もったいない? まだたくさん入ってるし、問題ありません。
ポーションをぐいっと飲む。口内を侵食し頭まで痺れさせる苦味。
能力値をあげる薬は味覚の暴力。体力系はものすごくすっぱい。筋力系は激甘。魔術耐久力系は油。知力系をコロナに上げた方がいい気がするが、あの激烈香辛料を飲んではくれないだろう。魔力系が苦味であることが救い。
それだけまずくても効果は雀の涙なので人気がないのも頷ける。グラニータを口に含む。酸味と冷たさが苦味を押しやり、オレンジの風味と甘みが立ち上る。エリクサーのほのかな薬臭さが風味を後押し。
味覚を楽しんでいたら綺麗な月が見えたので、もっとよく見ようと思い窓から屋根へ。青い波打つ西洋瓦はよく見るとまだらで触るとざらっとしている。
しゃくしゃくと氷菓を啄みながら月を見上げる。左からかけてゆく月。来た時の満月も美しかったけれど欠け行く姿もまた美しい。
白い明かりがぼんやりと照らす先には大きな柱に囲まれた泉。今日も柱に光りが群れている。
夜は好きだ。全てを白日の下に晒す光は不安を煽る。ささやかな明かりがあればそれでいい。
「歌え」
ラクリマの歌えというのは魔力を乗せて歌って魔力を寄越せという事である。グラニータ食べ終わったらね?
ぼんやり月を眺めて歌を歌う、声に乗った魔力はマナを揺らし、ゆるやかに満ちる。この世界では誰も知らないであろう鎮魂歌。流れて消える煌めきの名を冠した歌。
ラクリマはリアルの歌で、特に静かな曲が好みらしかった。
そこまで上手くは無い。今生は声変わりは来なかったなぁ。ラクリマに聞こえてればそれでいいので声量は少なく、どこまでも響く声とかでも無い。
キーを外さないように丁寧に歌っていたら精神音が届く。落ちて砕けて解ける雪の音。アルフリートさんだ。
『司、起きていたか』
『はい、眠れそうもなくて』
『話したいことがある。開けてくれないか?』
『え、部屋の前ですか?』
『部屋にいないのか?』
『あー・・部屋の上の屋根にいるんですよね。窓から見た月が綺麗だったのでお月見です』
『まあ、神殿内なら問題ない。入るぞ』
アルフリートさんも窓から出たようだ。ふわりと浮遊して僕の隣に座る。さすがにこの時間は軽装か。
歌を途中でやめたせいでラクリマはかなり不機嫌そうに不穏な魔力をまき散らしている。
『ラクリマ、ごめんね』
スルーされた。悲しい。
「司、私と長官に外せない用件が入ってしまった。申し訳ないが午前中は神殿内で大人しくしていてほしい」
「大丈夫ですよ。明日はレイムさんに聞きそびれた事を聞きに行こうと思っていたので」
「午後はギルドでいいか?」
「はい、案内をお願いします。
アルフリートさん、迷惑おかけして申し訳ありません。トトさんは何て?」
「謝罪を受ける覚えは無い。司、私は迷惑に思っていないし、お前を嫌ったりもしていない。・・・長官は私は何も間違っていないとだけ」
アルフリートさんはそう言って嘆息した。トトさんは大体何でもお見通しなんだろうな。
ああやって泣いてストレスを処理するのは習い性だ。一回は良くても、ラクリマへ魔力供給とストレス発散を兼ねて毎月コンスタントに続けていることを知れば呆れるだろう。どうにかして隠そう。
「おい、そこな小童(こわっぱ)」
ずいっと、水球が僕とアルフリートさんの間に入り込む。
「司の涙は契約により私のものだ。横取りは認められない」
さっきから不機嫌だと思ったけどそれも理由ですか。
「本当か、司?」
「嘘ではないですけど、誇張です。僕がいいって言った分だけです」
ラクリマの向こうのアルフリートさんが鼻で笑っている。うちの精霊がごめんなさい。慰めるついでに涙を舐めただけで涙目的じゃないよ? 釘差す意味ないよ?
半透明の水球は全長60㎝くらいのユニコーンに形を変え、僕の膝の上に収まった。ぷるぷる。無意識に手が吸い寄せられ、顎の下に手を添えて撫でながら背中も撫でて感触を楽しむ。
仔ユニコーンがアルフリートさんをせせら笑う。一瞬火花が見えた気がしたけど、なんで対立ムードなのか。
「ラクリマー、僕は誰彼かまわず涙を見せたりしないよ? 今回のは本当に予想外でびっくりしちゃっただけだから。アルフリートさん、ごめんなさい。今度から迷惑かけないようにしますから」
「迷惑と思っていないと何度言えば・・・、私は同じことがあったら自分のやりたいようにするだけだ。お前がどうしたいかは関係ない」
やりたいことを止める権利は僕に無い。ならば回避策を取るしかないのだろう。曖昧に笑って誤魔化した。ラクリマはさっきから所有権アピールなのか膝の上でくつろいでいる。鼻で笑う姿はかわいさ半減だ。そんなに涙は美味しい物なのか。
OTLとよく似た、でも違う月が僕たちを照らす。それならば僕もよく似た違う僕なのかと、月を仰ぐ。
違うとしても同じだとしても、探すしかない。意識を飛ばしていた事に気が付いたのか、ラクリマが角で突っつく。
夜も遅い、僕はいいとしてアルフリートさんは朝から仕事だろう。ラクリマを膝から降ろそうと思ったら不機嫌そうにされ、機嫌を損ねたくないので持ち上げてだっこ。
夜も遅いですしといって部屋に戻る。窓からの出入りはお行儀が悪くて、堅そうなアルフリートさんと一緒にそんなことをやっているのがおかしくて、くすくす笑ってしまった。
「どうした?」
怪訝な顔で尋ねてきたので、僕はアルフリートさんとこんな事をしてるのが可笑しくて、と窓を閉めながら言った。
「確かに長官には言えんな」
「これくらいならばれないでしょ? トトさんには内緒にしておいてくださいね」
「ああ、黙っておけば分かるまい。秘密にしておこう」
二人で静かに笑いあって、アルフリートさんを見送った。
▽
寝室でラクリマを抱きしめながら情報収集しようと思ったらラクリマが消えた。
何を考えているか分からないが、それが精霊なので仕方がない。
イランイランの香りが落ち着く。ぼんやりとベッドに横たわり状況を整理する。
自分から動かない方がいい状況というものは存在し、今がそうだと思う。
こういう時は考えても仕方がないことは置いておいて、気になっていたことを確認しよう。
銀時計とタブレットのリンクを確認。無事に使える。タブレットは創造神様の配慮か認証タグと同じ様にネットワークに接続できるようになっていた。これでどこかにアンカー設置出来れば緊急時に転移出来て安心なんだけど。
地図は更新できるのでこれなら迷子にならないで済む。タブレットに一本化しないのは懐中時計へのロマンゆえです。
タグの画面に時刻表示があるとはいえ、針で刻まれる暦と時間は数字で表せない魅力がある。
認証タグを起動させ画面を開く。
さて、この世界で初めてするネットサーフィンだと心が躍ったが、メインの画面でちかちかと点滅する光が有った。
リンクを開く。手紙が一通。差出人は文字化け。ゴミ箱に投げ捨てたい。
もしかしたら、トトさんかもしれないと思い仕方なく開封。
☆職業神×××より神託を下す☆
ねぇねぇ、見てくれた? すごいでしょ? 褒めてくれていいんだよ♡
あなたが可能性を掴み未来を描くお手伝いをしちゃうぞ☆
オラクルが大好きなそこのあなた!
あなたの好きを力に! 一緒に職業の危機を救おう!
協力しますか?
▶はい いいえ
何だこれ。怪しすぎる勧誘メール。時間を見ると昼前で転職窓口に居た頃か。はいもいいえもどっちも選ばないよ。怪しいリンクは踏んじゃいけません。
よし見なかった事にしよう。明日レイムさんに見せて対応を決めよう。どちらにせよ後回し。地理情報をタブレットに落としながら画面を見ると、銀時計以外のリンクがあることに事に気が付いた。まさかと思ったらまさかだった。タグに繋がってる。いや、タグに繋がったからネットワークに繋がったのか?
タグへの魔力供給を停止。タブレットのネットワーク接続を確認。次にタブレットのみ落とすと銀時計とタグが繋がっている。どうなってるのか訳が分からない。
とりあえず使えるという事だけが確認できただけ良しとしよう。
トトさんが言っていた議会は、多分ここの都市国家連合か街の議会だろうと当たりを付け調べる。ここは多少違うが日本の様な議会制民主主義らしかった。
情報収集中に昨日の騒ぎの記事を見つけた。見つけた記事は事務的な感じだった。ザーカさんとコロナの写真が載っていて、防衛隊からの続報が待たれると締められていた。
記事の関連から飛んでいくうちに市民の投稿らしきページを見つけた。・・・僕の姿もばっちり写ってるのがあった。削除依頼はどこからすればいいか不明。
コロナが腹を晒した姿のシーンが特に多く、全体的に面白おかしく騒がれていた。雰囲気から察するに襲撃は珍しいことではないのか? それと僕が神殿に居ることは確定されていた。
ともかく、しばらくは外行く時は変装しよう。そう誓って違うページに移動した。
満足行くまでもふっていつの間にか眠っていたらしい。目覚めたときにはアルフリートさんは居らず、現金な体は空腹を訴える。
チェストの上には手紙と袋の他に保温機能付きの皿にいれられた白身魚の煮つけと水差しが置いてあった。夕食の時間はとっくに過ぎている。
汚したタオルは綺麗になってるし、泣き疲れてそのまま寝ちゃった時の顔の引き攣れも無く、お世話させてしまったみたいで心苦しい。
袋を開けると案の定高額硬貨が入れられている。手紙は白い封筒で裏にトトさんの名前が書いてあり、神殿の文様の封蝋がしてある。心の中でお礼を言い収納しておく。
煮つけは病人食らしく味付けが薄かったが、根菜も柔らかく滋味を感じさせ十分おいしい。
食べ終わったので洗浄機能付き魔道具を収納から取り出す。新書サイズの飾り気のない金属板に赤く魔術式が刻んである。手をかざして魔力供給し起動。陣が光ったらそこに皿を収納。
これは食器用の魔道具で、分解・洗浄・殺菌・分解できなかったものは焼却&圧縮してくれる所謂家庭用魔道具。取り出した時には綺麗になってる必需品。
間違って野菜とか食品を入れたら一瞬でゴミくずになるので注意。
衣服の自動装着機能付き魔道具も、清潔を維持するための魔術式がいくつも組み込んであり、収納するたび一定の綺麗さが確保されるようになっている。こっちは戦闘でも多用するのでネックレス型。
日常的で煩雑な魔術は魔道具が担う物だった。生きている以上魔道具に収納し皿や衣服の様に洗う訳にもいかず、やっぱり身繕いは生活魔術などで地道にやるしかない。
大体の属性で回復や浄化の魔法術はあるが、安全性や確実性は神性魔法が頭抜けている。思うに回復じゃなくて復帰なんだろう。蘇生も生きている状態の情報を呼び出し構築していると考えられている。
神性魔法以外での回復は症状によっての相性が絡んできて慣れが必要。
浄化に関しては、特定の物質を分解する魔術式や物質を作る事はできたから、そこは自由度が高かった。プレイヤーの大半が使っていた万能軟膏という代物は大体の汚れは分解・殺菌してくれる上治癒も促進する素晴らしい薬品だった。
一瞬で人体も安全で完璧に綺麗になる浄化に関する魔法はあった。そう魔法だ。そんな事に魂の力を消費したくないです。魂の力はイメージを実現してくれる。奇跡も魔法も存在する。その代価として死んだとしても、望みが叶った事に変わりはない。そんな危険物が今の僕の存在を形作っている。
▽
コロナは思念通話で話しかけたが今日はいっぱい飛んで遊んだから寝ると言っておやすみ中。
せっかくできた時間だ。お風呂に入ってゆっくりしよう。
ラクリマにお湯を張ってもらう。僕でも水は出せるがラクリマの水の方が回復効果が高い。詳しい理由は不明。
水を出す魔術も大体誰でも使えるけど、湯船いっぱいの適温のお湯となると一般人は出来ない人もいるから、補助としての魔道具がある。
魔術は万能ではなく、魔術で出した水はまずおいしくない。錆びた味だったり、緑くさかったり。生活用水としては問題ないんだけど。飲みたいクオリティの物を出せる人は重宝されていた。
その点ラクリマの水は完璧だ。美味しいし回復力が高い。ダンジョンでも水に困らないし、錬金で必須の精製水も出してくれる。多少性格に難があってもそれを補って余りある便利さ。
要求された事で僕が叶えられることなら、大体応じている。
毒薬を作っても何故か薬効が上がるので不思議だ。
きっとラクリマの趣味が関係しているのかもと昔から思っている。
人をからかうのが好きでも決してテンションが高かったり、うるさかったりはしない。
基本的に落ち着いて大人しい。じっとしている事も苦にならないようだし、一人になりたいときは放っておいてくれる。僕にとっては一緒にいても苦にならない相手。
お風呂に一緒に入って湯船に浮いている水球をつんつんとつつく。ぷるるん。
綺麗な水に漬かっている時はラクリマは大人しい。両手でつかんでもにゅもにゅと遊ぶ。怒られる時もあるが今日は何も言われなかった。
風呂上りリビングでまったりしながら潜在魔力値向上ポーションと、ついでにエリクサー入りグラニータも取り出す。
エリクサーは万能薬だけれど流石に不老不死の効果はない。というか魔力と身体操作による成長抑制もあるし、転生すればいやでも一からのスタートだから不老のありがたみは薄い。
不死も魂核があれば蘇生はできるのである意味元々不死だ。
グラニータはエリクサーを材料に氷菓に加工したもの。もちろんオレンジジュースがベースなので薄まってはいる。もったいない? まだたくさん入ってるし、問題ありません。
ポーションをぐいっと飲む。口内を侵食し頭まで痺れさせる苦味。
能力値をあげる薬は味覚の暴力。体力系はものすごくすっぱい。筋力系は激甘。魔術耐久力系は油。知力系をコロナに上げた方がいい気がするが、あの激烈香辛料を飲んではくれないだろう。魔力系が苦味であることが救い。
それだけまずくても効果は雀の涙なので人気がないのも頷ける。グラニータを口に含む。酸味と冷たさが苦味を押しやり、オレンジの風味と甘みが立ち上る。エリクサーのほのかな薬臭さが風味を後押し。
味覚を楽しんでいたら綺麗な月が見えたので、もっとよく見ようと思い窓から屋根へ。青い波打つ西洋瓦はよく見るとまだらで触るとざらっとしている。
しゃくしゃくと氷菓を啄みながら月を見上げる。左からかけてゆく月。来た時の満月も美しかったけれど欠け行く姿もまた美しい。
白い明かりがぼんやりと照らす先には大きな柱に囲まれた泉。今日も柱に光りが群れている。
夜は好きだ。全てを白日の下に晒す光は不安を煽る。ささやかな明かりがあればそれでいい。
「歌え」
ラクリマの歌えというのは魔力を乗せて歌って魔力を寄越せという事である。グラニータ食べ終わったらね?
ぼんやり月を眺めて歌を歌う、声に乗った魔力はマナを揺らし、ゆるやかに満ちる。この世界では誰も知らないであろう鎮魂歌。流れて消える煌めきの名を冠した歌。
ラクリマはリアルの歌で、特に静かな曲が好みらしかった。
そこまで上手くは無い。今生は声変わりは来なかったなぁ。ラクリマに聞こえてればそれでいいので声量は少なく、どこまでも響く声とかでも無い。
キーを外さないように丁寧に歌っていたら精神音が届く。落ちて砕けて解ける雪の音。アルフリートさんだ。
『司、起きていたか』
『はい、眠れそうもなくて』
『話したいことがある。開けてくれないか?』
『え、部屋の前ですか?』
『部屋にいないのか?』
『あー・・部屋の上の屋根にいるんですよね。窓から見た月が綺麗だったのでお月見です』
『まあ、神殿内なら問題ない。入るぞ』
アルフリートさんも窓から出たようだ。ふわりと浮遊して僕の隣に座る。さすがにこの時間は軽装か。
歌を途中でやめたせいでラクリマはかなり不機嫌そうに不穏な魔力をまき散らしている。
『ラクリマ、ごめんね』
スルーされた。悲しい。
「司、私と長官に外せない用件が入ってしまった。申し訳ないが午前中は神殿内で大人しくしていてほしい」
「大丈夫ですよ。明日はレイムさんに聞きそびれた事を聞きに行こうと思っていたので」
「午後はギルドでいいか?」
「はい、案内をお願いします。
アルフリートさん、迷惑おかけして申し訳ありません。トトさんは何て?」
「謝罪を受ける覚えは無い。司、私は迷惑に思っていないし、お前を嫌ったりもしていない。・・・長官は私は何も間違っていないとだけ」
アルフリートさんはそう言って嘆息した。トトさんは大体何でもお見通しなんだろうな。
ああやって泣いてストレスを処理するのは習い性だ。一回は良くても、ラクリマへ魔力供給とストレス発散を兼ねて毎月コンスタントに続けていることを知れば呆れるだろう。どうにかして隠そう。
「おい、そこな小童(こわっぱ)」
ずいっと、水球が僕とアルフリートさんの間に入り込む。
「司の涙は契約により私のものだ。横取りは認められない」
さっきから不機嫌だと思ったけどそれも理由ですか。
「本当か、司?」
「嘘ではないですけど、誇張です。僕がいいって言った分だけです」
ラクリマの向こうのアルフリートさんが鼻で笑っている。うちの精霊がごめんなさい。慰めるついでに涙を舐めただけで涙目的じゃないよ? 釘差す意味ないよ?
半透明の水球は全長60㎝くらいのユニコーンに形を変え、僕の膝の上に収まった。ぷるぷる。無意識に手が吸い寄せられ、顎の下に手を添えて撫でながら背中も撫でて感触を楽しむ。
仔ユニコーンがアルフリートさんをせせら笑う。一瞬火花が見えた気がしたけど、なんで対立ムードなのか。
「ラクリマー、僕は誰彼かまわず涙を見せたりしないよ? 今回のは本当に予想外でびっくりしちゃっただけだから。アルフリートさん、ごめんなさい。今度から迷惑かけないようにしますから」
「迷惑と思っていないと何度言えば・・・、私は同じことがあったら自分のやりたいようにするだけだ。お前がどうしたいかは関係ない」
やりたいことを止める権利は僕に無い。ならば回避策を取るしかないのだろう。曖昧に笑って誤魔化した。ラクリマはさっきから所有権アピールなのか膝の上でくつろいでいる。鼻で笑う姿はかわいさ半減だ。そんなに涙は美味しい物なのか。
OTLとよく似た、でも違う月が僕たちを照らす。それならば僕もよく似た違う僕なのかと、月を仰ぐ。
違うとしても同じだとしても、探すしかない。意識を飛ばしていた事に気が付いたのか、ラクリマが角で突っつく。
夜も遅い、僕はいいとしてアルフリートさんは朝から仕事だろう。ラクリマを膝から降ろそうと思ったら不機嫌そうにされ、機嫌を損ねたくないので持ち上げてだっこ。
夜も遅いですしといって部屋に戻る。窓からの出入りはお行儀が悪くて、堅そうなアルフリートさんと一緒にそんなことをやっているのがおかしくて、くすくす笑ってしまった。
「どうした?」
怪訝な顔で尋ねてきたので、僕はアルフリートさんとこんな事をしてるのが可笑しくて、と窓を閉めながら言った。
「確かに長官には言えんな」
「これくらいならばれないでしょ? トトさんには内緒にしておいてくださいね」
「ああ、黙っておけば分かるまい。秘密にしておこう」
二人で静かに笑いあって、アルフリートさんを見送った。
▽
寝室でラクリマを抱きしめながら情報収集しようと思ったらラクリマが消えた。
何を考えているか分からないが、それが精霊なので仕方がない。
イランイランの香りが落ち着く。ぼんやりとベッドに横たわり状況を整理する。
自分から動かない方がいい状況というものは存在し、今がそうだと思う。
こういう時は考えても仕方がないことは置いておいて、気になっていたことを確認しよう。
銀時計とタブレットのリンクを確認。無事に使える。タブレットは創造神様の配慮か認証タグと同じ様にネットワークに接続できるようになっていた。これでどこかにアンカー設置出来れば緊急時に転移出来て安心なんだけど。
地図は更新できるのでこれなら迷子にならないで済む。タブレットに一本化しないのは懐中時計へのロマンゆえです。
タグの画面に時刻表示があるとはいえ、針で刻まれる暦と時間は数字で表せない魅力がある。
認証タグを起動させ画面を開く。
さて、この世界で初めてするネットサーフィンだと心が躍ったが、メインの画面でちかちかと点滅する光が有った。
リンクを開く。手紙が一通。差出人は文字化け。ゴミ箱に投げ捨てたい。
もしかしたら、トトさんかもしれないと思い仕方なく開封。
☆職業神×××より神託を下す☆
ねぇねぇ、見てくれた? すごいでしょ? 褒めてくれていいんだよ♡
あなたが可能性を掴み未来を描くお手伝いをしちゃうぞ☆
オラクルが大好きなそこのあなた!
あなたの好きを力に! 一緒に職業の危機を救おう!
協力しますか?
▶はい いいえ
何だこれ。怪しすぎる勧誘メール。時間を見ると昼前で転職窓口に居た頃か。はいもいいえもどっちも選ばないよ。怪しいリンクは踏んじゃいけません。
よし見なかった事にしよう。明日レイムさんに見せて対応を決めよう。どちらにせよ後回し。地理情報をタブレットに落としながら画面を見ると、銀時計以外のリンクがあることに事に気が付いた。まさかと思ったらまさかだった。タグに繋がってる。いや、タグに繋がったからネットワークに繋がったのか?
タグへの魔力供給を停止。タブレットのネットワーク接続を確認。次にタブレットのみ落とすと銀時計とタグが繋がっている。どうなってるのか訳が分からない。
とりあえず使えるという事だけが確認できただけ良しとしよう。
トトさんが言っていた議会は、多分ここの都市国家連合か街の議会だろうと当たりを付け調べる。ここは多少違うが日本の様な議会制民主主義らしかった。
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ともかく、しばらくは外行く時は変装しよう。そう誓って違うページに移動した。
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