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術士編
妖姫、復活を遂げる
しおりを挟む60-①
少女とはいえ、流石に魔族である。人間であれば、地面に叩きつけられてバラバラになっている所だが、ヨミは地面に叩きつけられたものの、何とか生きていた。
ヨミはゆらりと起き上がると、五体の感覚を確かめるように手足を振ったり、軽く跳躍してみた。両手の自由を奪っていた手枷も落下の衝撃でバラバラになっている。
「大丈夫だ……痛いけど……ちゃんと動く……何かが……来る!?」
暗闇の中から何かが近付いて来る気配を感じたヨミは、急いで近くの岩陰に身を隠した。
現れたのは、ヨミの三倍はあろうかという体躯を持った、巨大な蟷螂だった。死神の鎌ですら玩具に思えるような凶悪な鎌を振り上げ、周囲の様子を探っている。
ヨミは、母から密かに渡された短剣を握り締め、ジッと息を潜めた。翼を失う前ならともかく、魔力を失った今の自分には到底勝てる相手ではない。
しばらくすると、今度はブブブ……という羽音と共に、蟷螂に勝るとも劣らない巨大な蜂が現れ、蟷螂に襲いかかった。
蟷螂はその研ぎ澄まされた鎌で蜂を捕らえようとし、蜂はその鋭い毒針を蟷螂に突き立てようとする。
二匹の死闘はいつ果てるともなく続いたが、とうとう蜂の毒針が蟷螂を捉えた。蜂の毒が全身に回った蟷螂は次第に動きが鈍くなり、ついに倒れた。
蜂が弱った蟷螂の首に喰らい付き頭を噛み千切る。死闘を制した蜂は、獲物を喰らおうとしたが、次の瞬間、突如として吹きかけられた糸によって、自由を奪われてしまった。
新たに現れた巨大な蜘蛛が口から糸を吐き掛け、蜂を捕獲したのだ、蜘蛛は、糸に巻かれてもがく蜂を引きずって、闇の中へと消えてしまった。
「これが、蠱毒の穴……」
少しでも気を抜いたら一瞬で魔蟲共の餌になってしまう。ヨミは改めて自分の放り込まれた場所の恐ろしさを知った。
これから自分はこの地獄のような場所で生き抜かねばならない。まずは……腹ごしらえだ。
ヨミは残された蟷螂の死骸に近付き、足の一本を短剣で斬り落とすと素早く元の岩陰に身を隠した。
甲殻を切り開き、中の肉に恐る恐るかぶりつく。
「うぇ……まっず……」
妖禽族の姫である自分が、こんな残飯を漁る野良猫のような真似をしなければならないとは……思わず涙が出てきた。
しかし、何としても生き延びて、私はあいつらに復讐しなければならない。
母から授かった短剣を握り締め、ヨミは無理矢理肉を飲み込んだ。
60-②
……蠱毒の穴に落とされてから、一週間が経った。
ヨミは岩陰に隠れて、先程仕留めた自分と同じくらいの大きさの蠍を喰らいながら、母から受け取った短剣……《吸命剣・妖月》を見つめていた。
「お母様……」
《妖月》……世界に数本しかないと言われる、生命力を吸う魔剣、《吸命剣》の内の一振りである。
妖月は相手を斬る度に、相手の生命のエネルギーとも呼べる力を吸い取り、持ち主に力を与えてくれる。
母は言っている。『この魔剣の力で力を取り戻し、再び地上に舞い戻れ』と。
この一週間、ヨミは巨大な魔蟲から身を隠しつつ、比較的小さな若い魔蟲を喰らい続けて、徐々に力を増していた。
最初は、人間の子供程の大きさの魔蟲を仕留めるのにも命がけだった。肉を食いちぎられそうになったり、毒を打ち込まれそうになったのも一度や二度ではない。しかし今では自分と同じ位の大きさの魔蟲を相手にしても何とか仕留められるまでになっていた。
「さてと……そろそろ来るかな?」
ヨミは、背中が疼くのを感じた。そして次の瞬間、ヨミは激痛に襲われた。
「くっ……あっ……ふーっ……ふーっ……」
ヨミは、四つん這いになりながら、歯を食い縛って痛みに耐えた。迂闊に大声を出したりしたら敵を呼び寄せてしまう。こんな無防備な状態で大型の魔蟲に襲われたりしたら、間違い無く自分の生命は無い。
吸命剣・妖月は斬った相手の生命の力を吸収し、持ち主に力を与える。但し……それと同時に、注ぎ込まれる生命の力の大きさに応じた苦痛を持ち主に与えるのだ。
「はぁっ……はぁっ……やっぱりこの大きさともなると、生命力も半端ないなー。でも……まだ足りない。あいつらに絶望を与えるにはもっともっと生命を喰らわなきゃ……」
……更に三週間が経過した。
「ふぅ……もうお腹一杯だよー、地上に戻ったら痩せなきゃなー」
無防備に寝転ぶヨミの下には、夥しい数の魔蟲の死骸と、蟷螂・蜂・蜘蛛・蠍など、それぞれの種の王とも呼ぶべき、超大型魔蟲の死骸が転がっていた。
「さてと……戻りますか!!」
ヨミはニヤリと笑うと、上を見上げた。落ちて来た穴が小さく光っている。
60-③
その日、リトノスは上を下への大騒ぎとなった。蟲葬刑に処されたはずのヨミが、蠱毒の穴から生きて戻って来たのだ。
平民から重鎮まで、誰もが驚いたが、ただ一人……女王オードリヤだけはヨミ帰還の報告を目を細めて聞き、ヨミを自分の部屋に連れて来るように命じた。
オードリヤが自分の部屋でヨミを待っていると、部屋の扉を叩く音がした。
「……誰か?」
「ヨミにございます、女王陛下のお召しにより参上致しました」
「……お入りなさい」
「はい」
扉が開き、娘の姿を見た瞬間、オードリヤは女王ではいられなくなった。
「ああ……ヨミ。よくぞ無事で……!!」
「ただいま戻りました……お母様」
二人はヒシと抱き合い、再会を喜んだ。
「ヨミ……あなたならばきっと戻ってこられると信じていましたよ」
「お母様が授けてくれた吸命剣のおかげです」
「さぁ、これであなたは妖禽族の姫に戻る準備が出来ました。蠱毒の穴から戻って来られたあなたを力無き者として扱う者はいないでしょう。何だったら異議を唱える者を何人か見せしめに殺しても……あら、いけない。ヨミ、今すぐお風呂に入って身体を綺麗にしてきなさい!! 時間が無いわ!!」
「えっと……何の?」
「決まってるじゃない、あなたが戻って来た事を民にお披露目するのよ!! もう城の前にみんな集まるように命じちゃったし、この日の為にあなたに似合いそうなとーーーっても可愛いドレスも仕立てさせてあるのよ」
「さ、流石女王……行動が早い」
「ふふん、あなたの母親ですからね、さぁ善は急げよ!!」
正に『カラスの行水』であった……ヨミは追い立てられるように入浴させられ、着替えさせられ、あれよあれよと言う間に、城のバルコニーに立たされた。
バルコニーにはヨミとオードリヤの他に妖禽族の重鎮達と妹のセリンが立っている。
オードリヤは足元の群衆に向かって言った。
「皆の者!! 本日、蟲葬刑に処された我が娘ヨミが、蠱毒の穴より生還しました。皆も知っての通り、今まで蠱毒の穴に落とされて生還した者はいません。不幸にも我が娘は翼を失いましたが、それでも尚、蠱毒の穴から生還出来る程の力があるのです!! これからもヨミを妖禽族の姫として扱い、敬うように!!」
オードリヤは高らかに言ったが、足元の群衆からの反応は鈍い。集まった者達は皆、戸惑っているようだ。
その内、誰かが『翼を無くした者を主と仰ぐ事は出来ない!!』という声を上げた。その声に、そうだそうだと同調する声が拡がってゆく。反感の声がピークに達したその時だった。
「ええーい、鎮まれーい!!」
今まで沈黙を守っていたヨミがバルコニーの手すりの上に飛び乗り、声を上げた。
「ふふん、誰に翼が無いって? 貴方達の目は節穴ですかっ!!」
群衆達から『いや、無いじゃん』というツッコミとブーイングが飛ぶ。
「まーまー、皆さん落ち着いて。確かに私は不覚にも翼を奪われ、魔力を失いました……だがしかーし!! 私は魔蟲達との死闘の中で徐々に魔力を取り戻し、完全復活……いや、更なる進化を遂げて戻って来たのですよ!! そう……蠱毒の穴で孤独に戦いながら……なんちゃって!!」
あまりのしょーもなさにザワついていた群衆達は鎮まり返った。
「えー、コホン。それでは……皆様に私にご注目っ!! ……聞いて怯えろッッッ!! 見て竦めッッッ!! このヨミ様の復活をッッッ!! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…………ふんっっっ!!」
“ズボォッ!!”
ヨミの背中から黒い物体が生えた。
だがヨミの背中から生えてきたそれは、翼ではなく、四対八本の蜘蛛の脚だった。
更に言えば、生えてきたのは背中の蜘蛛の脚だけではない、両手の甲からは蜂の毒針、両手首のやや下辺りからは蟷螂の鎌、そして尻からは蠍の尻尾が生えていた。
娘の変貌ぶりに、女王オードリヤは驚いた。娘は、敵の生命力だけでなく、能力までも吸収してしまったというのか……我が娘ながら、何という稀有な才能か……
「あ……あっれぇー? ちょーっと魔蟲成分を摂り過ぎちゃったかなー…………なんて」
感心するオードリヤをよそに、ヨミは冷や汗をダラダラかきながら、チラリと足元の群衆に目を向けた。群衆達はヨミに視線を向けたまま一言も発しない。
(ま……まずい、物を投げられる前にとっとと引っ込んだ方が……)
ヨミがコソコソとバルコニーの手すりから下りようとしたその時だった。
「な……なんて美しいお姿なんだ!!」
「……へっ?」
群衆の一人が上げた声にヨミは戸惑った。
「とても禍々しいわ……素敵!!」
「あの鋭い毒針……私、刺されてみたいかも」
「まさに全身凶器……ああ、見れば見る程美しい!!」
賞賛の声が拡がってゆく。予想外の反応に困ったヨミは、近くにいたセリンに視線を向けた。
「せ、セリン……どうしよう、コレ……あの……セリン?」
「……お姉様ッッッ!!」
「ハイ!! ゴメンナサイぶたないで!!」
「……カッコ良い、めちゃくちゃカッコ良いですよ!?」
「ハイ!?」
「ちょっと私……翼捥いで蠱毒の穴に落ちてきますっ!!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!?」
「ああんっ」
ヨミは蠍の尻尾をセリンの胴体に巻きつけて動きを封じた。
「おお……セリン様の身体をあんなに軽々と持ち上げて!!」
「良いなー、私もあの尻尾にギュッて締め上げられたいなー」
鳴り止まない賞賛の声を浴びながら、ヨミは足元の群衆達に恐る恐る問うた。
「えーっと、皆さん? あの……コレ、翼じゃありませんけど良いんですか……?」
ヨミの問いかけに群衆達は大歓声で応えた。
群衆達の大歓声を受けて、ヨミは邪悪な笑みを浮かべた。
待っていろ……唐観武光とイノシシ女……今こそ復讐の時だ!!
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