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用心棒編

斬られ役、売り込む

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 32-①

 ボゥ・インレの南東の外れにあるカラマク寺院に武光はやって来た。

 カラマク寺院は200年の歴史を持つ由緒ゆいしょある寺院で、地の神《ラグドウン》が祀られている場所でもある。

 しかしながら、そのカラマク寺院は、寺院を根城にしている幻璽党によって、少し離れた所から見ても分かる程に荒らされていた。

 ナジミが見たら悲しむやろな、などと考えつつ、武光は正門に近付いた。
 門番をしているチンピラが五人程いる。男達の内の一人が接近してくる武光に気付いた。

「おうおうおうおう!! 何だテメェは、ここに何しに来やがった!?」

 五人の門番の内、三人がやって来た。残りの二人は遠巻きにニヤニヤと武光を眺めている。凄むチンピラだったが武光は動じない。

「……雇ってもらいたい」
「けっ、帰れ帰れ!! ここはテメェみたいな田舎者の来るような場所じゃねぇんだよ!!」
「頼む、どうしても雇ってもらいたいのだ……タイラーファミリーに」
「ぶっ!?」

 武光の言葉に門番は思わず噴き出した。

「ば、馬鹿野郎!! ここはタイラーファミリーじゃねぇ、幻璽党……ぐわっ!?」
「ああ知っているとも……タイラーファミリーに雇ってもらいたいんでな、悪いが死んでもらう!!」

 詰め寄って来たチンピラ三人の内、真ん中の敵を武光は袈裟懸けさがけで一刀の下に斬り捨て、返す刀で、イットー・リョーダンを左から右に薙ぎ払って、左右に立っていた仲間二人を瞬時に斬り倒した。
 残った二人が慌てて剣を抜いたが、敵は明らかに狼狽ろうばいしていた。

 ……立て直す暇は与えない!!

 残りの二人の内、武光は右の敵に突進し、防御しようとした剣ごと袈裟懸けさがけに斬り捨てた。
 残った一人が剣を突き出して来たが、腰の入っていない攻撃など避けるのは容易い。武光は刺突を半身になってかわしつつ、突き出された刀身の付け根を狙ってイットー・リョーダンを振り下ろし、相手の刀身を根元から切断した。
 剣を斬られた男……タシテ=シタパは腰を抜かしてしまい、その場にへたり込んでしまった。

「あわわ……た、助けて」
「断る、悪く思うなよ」

 頭上から相手の剣が降ってくる……ダメだ、死ぬ!! 死を覚悟したタシテは、目をきつく閉じたが、いつまでたっても敵の一撃は降ってこない。

 タシテが恐る恐る目を開けると、自分の脳天目掛けて振り下ろされた一撃を、どこから現れたのか、仮面を着けた女が剣で受け止めていた。

「そこの貴方っ!!」
「は、ハイ!?」

 仮面の女に声をかけられ、タシテは思わず親に怒られた子供のように返事をしてしまった。

「私……幻璽党に雇ってもらいたいんですけど、この男を撃退したら、上の人に取り継いでもらえるかしら?」

 タシテに断る理由など無かった。

「あ、ああ……分かった!! 取り継ぐ、取り継いでやる!!」
「交渉成立ね……たあっ!!」
「ぐっ!?」

 仮面の女は敵の剣を跳ね上げると、がら空きになった相手のボディに蹴りを入れて、間合いを取った。

「どけ……邪魔をするなら女と言えど容赦はせんぞ」
「そちらこそ、命を粗末にするのは良くないわよ?」
「……仕方あるまい、斬る」
「出来るものならやってみなさい!!」

 タシテの目の前で、闘いが始まった。

 男と仮面の女は、互いに相手の攻撃を紙一重でかわしながら、物凄い速さで攻撃を繰り出している。

 男が突きを繰り出せば、女はそれをひらりと躱して、真っ向斬りで斬り返し、男はその真っ向斬りを受け止めると、すかさず反撃の逆袈裟斬りを繰り出す。そして女はその逆袈裟斬りを躱して……

 タシテは助けを呼ぶのも忘れて、目の前で繰り広げられている闘いに見入ってしまった。
 まるで、『事前に相手の動きが分かっている』とすら思えるほど無駄がなく、美しさすら感じた。
 しばらくすると、騒ぎを聞きつけたのか、バタバタと数人の足音が近付いて来た。

「チッ……潮時しおどきか」

 女と鍔迫つばぜり合いを演じていた男は、飛び下がって間合いを取ると、そのまま走り去った。

 32-②

「……と、まぁこういう訳だ。どうだ、俺を雇わないか?」

 カラマク寺院を後にした武光は、ボゥ・インレの北西の外れにある、ラウダノン伯爵の屋敷を訪れ、タイラーファミリーの首領ドン、シジョウ=タイラーと面会していた。

 シジョウはスキンヘッドを撫でながら、武光から渡されたA4用紙程の大きさの、鏡に映した風景を記録出来る魔法の鏡……《景憶鏡けいおくきょう》に記録された、カラマク寺院での一連の出来事を眺めていた。

「あんた、名前は?」
「俺の名か……?」

 武光は窓の外を見た。窓の外には小さな瓜畑があった。

「瓜畑……瓜畑うりばたけ 二十郎にじゅうろう、まぁもう少しで……三十郎だがな」

 武光は一度言ってみたかった名作時代劇映画の主人公の台詞を、ここぞとばかりに吐いていた。アナザワルド城の時もそうだったが、こういう時は堂々としていた方が存外バレないものなのだ。武光は俳優魂と火事場のクソ度胸をフル稼動させていた。

「フン……良いだろう、子分にして──」
「勘違いするな、俺は『雇え』と言ったんだ」

 武光のふてぶてしい物言いに、シジョウの周りにいた取り巻き達が色めき立ったが、シジョウはそれを手で制した。

「女一人仕留められないような奴が随分ずいぶんと大きく出るじゃねぇか」

 シジョウの取り巻き達から笑いが起きたが、今度は武光が取り巻き達を手で制する番だった。

「どうやらあんたの目は節穴ふしあならしい、あの女は俺が幻璽党に潜り込ませたんだよ。現れたタイミングが絶妙だったろう?」
「その話が本当だという証拠は?」
「やれやれ、疑り深いこった。良いだろう、スペシャルムービーを見せてやる」

 武光は景憶鏡をシジョウから取り上げると、『スペシャルムービー』を再生させて、再び手渡した。

 再生された『スペシャルムービー』には、剣の柄をマイク代わりに持った武光とミトが映し出されていた。


 ~~~~~~~


「はい、どーもー!! 僕達は今、ボゥ・インレの街に来ていまーす!!」
「ボゥ・インレはカラマク寺院や街の周囲にある数々の遺跡など、非常に歴史情緒じょうちょあふれる街なんですが……あれ、人があまりいませんねー?」
「お気付きになりました!? なんと……この街は現在、あのタイラーファミリーと幻璽党が抗争の真っ最中なんですよー!!」
「えー!? 怖~い!!」
「ですが今回、ジャイナさんにはその二大勢力の片割れ、幻璽党に潜入して頂きたいと思いますっ!!」
「えーっ!? 本当ですかー!?」


 ~~~~~~~


 シジョウは唖然あぜんとした……何だコレ。いや……何だコレ。

「どうだ、これでも信じられないと……?」
「……良いだろう、あんたを雇おう。一人殺るごとに3万だ」
「そうかい……さっき俺は、『あんたの目は節穴だ』と言ったが、どうやら俺も人の事は言えんらしい。俺は……幻璽党に鞍替くらがえさせてもらう」
「何だと……!?」
「潜入した仲間によれば、あっちは一人殺るごとに7万も出してくれるそうだ。どうやら幻璽党の大将の方が敵に回すのはヤバいらしい」
「待て……そいつぁ聞き捨てならねぇ!! ならこっちも7万出そうじゃねぇか」
「いいや、それじゃダメだな……一人殺る毎に10万、幹部なら50万、大将を殺ったら……300万だ」

 シジョウは武光の目をジッと見ていたが、不意に笑い声を上げた。

「あんた……良い度胸してるな、気に入ったぜ。その条件……飲ませてもらおうじゃねぇか」
「了解した……稼がせてもらう。ああ、それと……」
「何だ?」
「あの仮面の女は、大事な情報源だ。手下共には絶対に手を出さないよう徹底させて欲しい」
「良いだろう、徹底させる」

 それを聞いた武光は、ニヤリと笑った。少なくともこれでミトはタイラーファミリーからも幻璽党からも狙われる事は無いだろう……武光は部屋を出た。

 武光が部屋を出た後、部屋に残された取り巻き達の一人がシジョウに詰め寄った。

「ボス!! 本当にあんなどこの馬の骨か分からねえような奴に1人あたり10万も出すんですかい!?」
「おい……テメェはいつからこの俺に意見出来る程偉くなったんだ、あぁ!?」

 言うなり、シジョウは上着の内ポケットに潜ませていたナイフで男の手の甲を刺した。刺された男が苦悶の声を上げる

「瓜畑とか言ったか……あの男が持ってくる情報はきっと役に立つ。テメェなんぞよりよっぽどなぁ!!」
「ひぃっ!? す、すみません!!」
「それに、あの男……景憶鏡の映像を見る限り、中々腕が立ちそうだ。せいぜい斬ってもらうとするさ、その後始末すれば良い」

 そんな不穏な会話が交わされている頃、ラウダノン邸を出た武光は、ラウダノン邸から少し離れた草むらで……

「怖っ……何やアレ怖っ!! し、死ぬかと思……オェェェェェェェ!!」

 極度の恐怖と緊張から解放されて、思いっきり嘔吐えずいていた。
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