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イザベラの妹
どういう事かしら?【セーラside】
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「どういう事かしら、エニスさん?」
クワナリス侯爵家(ああ、侯爵で間違いないわよ、昇格したから)のエニスさんにあてがわれた下宿部屋で寛ぐエニスさんに、ミリアリリー女学園の寮から呼ばれた私は質問した。
「何が?」
「どうして騎士団長のクワナリス侯爵家じゃなくて、魔法兵団長のバスラ公爵家で【五星眼】が発見されたのかしら? 少し違うんじゃない?」
私がそうエニスさんに問うと、
「正直に答えたら、セーラさんが傷付くから嘘でいいわよね? アテニナの家族に気に入られたくてプレゼントしただけよ」
エニスさんが嘘臭い笑顔で答えた。
「今の理由だと前置きが無くても嘘だと分かるわよ、エニスさん」
私は呆れながら、
「本当はどうしてなの? 私が傷付いてもいいから本当の事を教えて」
「いいの?」
「ええ」
と私が同意すると、
「アナタの小父さまの事、もう私、信用出来ない」
エニスさんが真顔で言った。
「それは・・・カウービー・ルーンサードの件で?」
「これまでの総てよ。狐熊の希少種討伐で番の事実の隠蔽。ルビア様への貸し出しによるヴァルゼート半島での戦闘。騎士団とヴァンパイアの真祖との裏取引。この屋敷で出された食事3回の毒混入。王家から下された災害級の魔物の素材売却金の横領。【邪竜属性】のホルーテさんの育成による【美女神】の発見遅延の画策。コリーユさんの毒服用で明るみになった他の友人達への嫌がらせの黙認。ルーンサード家の暗殺部隊が私を襲った際の手心要請。小さいのも挙げたらキリがないわ。アナタの小父さまは完全にミリアリリー王国の腫瘍だわ。切除しないと」
エニスさんにここまで言わせるなんて。
何をやってるのよ、お父様っ!
ってか、知らない情報ばかりなんだけど。
騎士団とヴァンパイアの裏取引は何となく、ミリアリリー王国の上層部が取引してるかも、と薄々は勘付いてたけど。
エニスさんのお金の横領とかエニスさんの親衛隊の嫌がらせの黙認とかあり得ないから。
「ま、待って。エニスさん、切除って・・・」
「わかってるわ、セーラさん。下宿してる恩義もあるから、そんな事はしないわ」
「本当よね?」
「ええ、私を狙った暗殺部隊を使っての巻き添えもないから安心して」
エニスさんはそう明言したけど、信用出来ないのよねぇ~。エニスさんって結構ヤラカシ系だから。
「どうやったらお父様はエニスさんからの信頼を取り戻せるのかしら?」
「そうね。それにはまずは娘のセーラさんが私の信頼を取り戻さないとダメかもね」
エニスさんが私を見て言い、
「――カウービー・ルーンサードの平民牢の嘘の件よね?」
「ええ、こっちはコリーユさんがやられてるのよ? どうしてセーラさんは私に伝えなかったのか、少し引っ掛かるわ。もしかしてセーラさんってコリーユさんの事が嫌いなの? 私とコリーユさんの仲を嫉妬として?」
「どうしてそういう発想になるのよ? 全然違うわよ」
そもそも・・・
エニスさん、アナタ、冬休みに私に何をしたのか忘れてるんじゃないでしょうね?
全身エステを50回以上して触っちゃイケナイ箇所まで触りまくってる癖に。
コリーユさんごときに負ける訳ないじゃないの。
そう釈明したかったけど、言うのは癪なので黙ってよ。
「なら、どうして?」
「コリーユさんのフロディーテ男爵家の能力は【真珠採取】とどうでもいい能力だけど、ルーンサード侯爵家は【伴侶補正】と希少で、ミリアリリー王国として考えたら・・・」
「なるほど。それで溺れる犬を助けようとした訳ね」
エニスさんが考えるように言ったけど、私はその言葉に引っ掛かって、
「どういう意味?」
「あれ? 言ってなかったっけ、セーラさんには?」
「ナニを?」
「セーラさんも見てたでしょ? 今の陛下が【美女神】を寝室で抱いてたの? 【美女神】の身体に溺れた男の末路は悲惨で、もう普通の女の身体では満足出来ないのよ。つまり、カウーナ様と昨日即位した陛下の結婚は絶望的。その上、暗殺部隊もいないし。ルーンサード侯爵家はおしまいって事で、それをどうにか助けようとしてるアナタの小父さまは滑稽よねって話よ」
はあぁ? 何よ、それ? 初耳だけど。
「えっと、本当なの?」
「1年後には分かる事よ、否応なくね」
私がエニスさんに、
「どうやったらエニスさんの信用を私は取り戻せるのかしら?」
「イザベラの故郷に出向きたいわ。飛竜でパパァ~ッと」
エニスさんがそう言って、私は内心で嫌な予感しかしなかったけど、
「何しに行くの?」
「イザベラとナルシーンの故郷見物よ。他にも何かあるかもしれないから」
「・・・・・・お父様に確認してみるわ」
「ええ。お願いね」
って話の流れになってしまい・・・・・・
執務室でお父様に確認すると、溜息混じりで、
「ああ、分かった。飛竜の使用を許可しよう。但しーー分かってるな?」
「何もさせませんよ」
そう答えながらも私はお父様を見て、
「それよりもエニスさんのお金を勝手に使ってるんですか?」
「いや、まあ、予算が下りたら、ちゃんと返そうかと」
「・・・信じられない」
私は呆れ顔でお父様を見る破目になった。
クワナリス侯爵家(ああ、侯爵で間違いないわよ、昇格したから)のエニスさんにあてがわれた下宿部屋で寛ぐエニスさんに、ミリアリリー女学園の寮から呼ばれた私は質問した。
「何が?」
「どうして騎士団長のクワナリス侯爵家じゃなくて、魔法兵団長のバスラ公爵家で【五星眼】が発見されたのかしら? 少し違うんじゃない?」
私がそうエニスさんに問うと、
「正直に答えたら、セーラさんが傷付くから嘘でいいわよね? アテニナの家族に気に入られたくてプレゼントしただけよ」
エニスさんが嘘臭い笑顔で答えた。
「今の理由だと前置きが無くても嘘だと分かるわよ、エニスさん」
私は呆れながら、
「本当はどうしてなの? 私が傷付いてもいいから本当の事を教えて」
「いいの?」
「ええ」
と私が同意すると、
「アナタの小父さまの事、もう私、信用出来ない」
エニスさんが真顔で言った。
「それは・・・カウービー・ルーンサードの件で?」
「これまでの総てよ。狐熊の希少種討伐で番の事実の隠蔽。ルビア様への貸し出しによるヴァルゼート半島での戦闘。騎士団とヴァンパイアの真祖との裏取引。この屋敷で出された食事3回の毒混入。王家から下された災害級の魔物の素材売却金の横領。【邪竜属性】のホルーテさんの育成による【美女神】の発見遅延の画策。コリーユさんの毒服用で明るみになった他の友人達への嫌がらせの黙認。ルーンサード家の暗殺部隊が私を襲った際の手心要請。小さいのも挙げたらキリがないわ。アナタの小父さまは完全にミリアリリー王国の腫瘍だわ。切除しないと」
エニスさんにここまで言わせるなんて。
何をやってるのよ、お父様っ!
ってか、知らない情報ばかりなんだけど。
騎士団とヴァンパイアの裏取引は何となく、ミリアリリー王国の上層部が取引してるかも、と薄々は勘付いてたけど。
エニスさんのお金の横領とかエニスさんの親衛隊の嫌がらせの黙認とかあり得ないから。
「ま、待って。エニスさん、切除って・・・」
「わかってるわ、セーラさん。下宿してる恩義もあるから、そんな事はしないわ」
「本当よね?」
「ええ、私を狙った暗殺部隊を使っての巻き添えもないから安心して」
エニスさんはそう明言したけど、信用出来ないのよねぇ~。エニスさんって結構ヤラカシ系だから。
「どうやったらお父様はエニスさんからの信頼を取り戻せるのかしら?」
「そうね。それにはまずは娘のセーラさんが私の信頼を取り戻さないとダメかもね」
エニスさんが私を見て言い、
「――カウービー・ルーンサードの平民牢の嘘の件よね?」
「ええ、こっちはコリーユさんがやられてるのよ? どうしてセーラさんは私に伝えなかったのか、少し引っ掛かるわ。もしかしてセーラさんってコリーユさんの事が嫌いなの? 私とコリーユさんの仲を嫉妬として?」
「どうしてそういう発想になるのよ? 全然違うわよ」
そもそも・・・
エニスさん、アナタ、冬休みに私に何をしたのか忘れてるんじゃないでしょうね?
全身エステを50回以上して触っちゃイケナイ箇所まで触りまくってる癖に。
コリーユさんごときに負ける訳ないじゃないの。
そう釈明したかったけど、言うのは癪なので黙ってよ。
「なら、どうして?」
「コリーユさんのフロディーテ男爵家の能力は【真珠採取】とどうでもいい能力だけど、ルーンサード侯爵家は【伴侶補正】と希少で、ミリアリリー王国として考えたら・・・」
「なるほど。それで溺れる犬を助けようとした訳ね」
エニスさんが考えるように言ったけど、私はその言葉に引っ掛かって、
「どういう意味?」
「あれ? 言ってなかったっけ、セーラさんには?」
「ナニを?」
「セーラさんも見てたでしょ? 今の陛下が【美女神】を寝室で抱いてたの? 【美女神】の身体に溺れた男の末路は悲惨で、もう普通の女の身体では満足出来ないのよ。つまり、カウーナ様と昨日即位した陛下の結婚は絶望的。その上、暗殺部隊もいないし。ルーンサード侯爵家はおしまいって事で、それをどうにか助けようとしてるアナタの小父さまは滑稽よねって話よ」
はあぁ? 何よ、それ? 初耳だけど。
「えっと、本当なの?」
「1年後には分かる事よ、否応なくね」
私がエニスさんに、
「どうやったらエニスさんの信用を私は取り戻せるのかしら?」
「イザベラの故郷に出向きたいわ。飛竜でパパァ~ッと」
エニスさんがそう言って、私は内心で嫌な予感しかしなかったけど、
「何しに行くの?」
「イザベラとナルシーンの故郷見物よ。他にも何かあるかもしれないから」
「・・・・・・お父様に確認してみるわ」
「ええ。お願いね」
って話の流れになってしまい・・・・・・
執務室でお父様に確認すると、溜息混じりで、
「ああ、分かった。飛竜の使用を許可しよう。但しーー分かってるな?」
「何もさせませんよ」
そう答えながらも私はお父様を見て、
「それよりもエニスさんのお金を勝手に使ってるんですか?」
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「・・・信じられない」
私は呆れ顔でお父様を見る破目になった。
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