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新王即位
姉と話す【ルビアside】
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戴冠式が終わると、王宮でも昼間っからお酒が振る舞われた。
まあ、私は飲まないんだけどね。
酔うと脱衣癖があるって判明してるので。
「ルビカルが国王様ねぇ~。少し早いと思うけど」
そう評したのはルビーナお姉様だった。
金髪の巻き毛の25歳(何せ、42歳で死んだお母様が17歳で産んでるから)で、1児の母親だった。
ルビーナお姉様が産んだ子供は公子だった上に、ちゃんと眼にチコルピア公室の魔眼を引き継いでたから、何の問題も起こらなければ、その子供が、次の公王となる。
【上に立つ者】の能力はルビーナお姉様は継承しておらず、その子供も継承してないはずだけど、もし魔眼と両方引き継いでたら結構大変な事になるかもね。
「ってか、ルビア。アナタが20歳で宰相になるの?」
「はい、陛下を支える為に」
「大丈夫なの?」
「もちろんですわ」
「でも、随分と性急ね。お父様も最愛のお母様が突然死んだ所為か、抜け殻のようだし。お父様、どこかお身体が悪いなんて事はないわよね?」
ミリアリリー王室の醜聞を一切知らないルビーナお姉様に、
「お母様が死んで気落ちしてるだけですわ」
私は笑顔で答えた。
他国に嫁いだ実の姉に嘘をつかなければならないなんて。
王族ってのは大変よね。
と私が苦笑してると、ムカつくリヒテル(呼び捨てで十分よっ!)がやってきた。
金髪で、左の碧眼に金色の五芒星の模様の魔眼ーー【五星眼】を持ってる。
【五星眼】は有名な魔眼で、【聖域】が展開出来た。その【聖域】の中では味方は魔法を使えるのに敵認定の相手は魔法が使えないとか、味方は補正を受けるとかやりたい放題だ。
属性も【聖】だし、魔眼というよりかは【聖眼】ね。
「姉妹水入らずのところお邪魔するよ」
「あら、挨拶回りは済んだの、陛下?」
ルビーナお姉様の問いに、リヒテルが、
「いや、まだだが明日からの宰相殿にも御挨拶をと思ってね。そう言えば、何やら公妃に手紙を送ってきたと聞いたが?」
ぬけぬけと、コイツ。
「あら、そうなの?」
「野暮用ですからルビーナお姉様が気にする必要はありませんわ」
「そうなの? なら、いいけど」
「時に、エニスってミリアリリー女学園の学生に会えたりはしないだろうか?」
コイツ、言うに事欠いて。
「ルビーナお姉様の前で側妃漁りですか?」
「違う違う。凄腕と聞いて興味が湧いただけで・・・・・」
「凄腕ねぇ~」
私がそうとぼけるとルビーナお姉様が、
「ルビア、誰なの、その人?」
「ミリアリリー女学園の冬の乙女祭の優勝者ですよ」
と私が伝えると、次の瞬間、ルビーナお姉様は笑顔のままリヒテルの足の甲をヒールで踏みながら、
「それは大層美人なんでしょうね?」
「ええ、ルビーナお姉様に匹敵するくらい。胸はお姉様が負けてるかしら?」
「まあ、そうなの。オホホホ」
笑ったままルビーナお姉様がヒールでグリグリとリヒテルの足の甲を踏み、
「・・・そろそろ許してくれないかな」
遂にはリヒテルがルビーナお姉様に泣きを入れる中、私は溜飲を下げながら談笑した。
戴冠式があった日の夜は、高位貴族相手の晩餐会で、それを終えて、ようやく客を帰らせて、本日の疲れを取るべくゆっくりとお風呂に入ってたのだけど・・・
ターベラの後任の親衛隊長のアキラトーネが、
「姫様、離宮のカウービーが毒で死んだと報告がありました」
「カウーナお義姉様の妹の? 離宮で生涯隔離との裏取引で決着した? 本当に死んだのね? 離宮脱出の工作とかじゃなくて?」
「はい。そして、その情報を掴んだと思われるルーンサード侯爵家のカウーナ様を乗せた狼車が、王宮からルーンサード侯爵家に向かわず、先程、騎士団長の屋敷に入ったと報告が」
と言われて、湯に浸かっていた私は、
「拙いっ! エニスには『カウービーは貴族籍を抜かれて平民牢に入れた』って言ってあるからカウービーの死とは無関係なのにっ!」
湯から立ち上がってそう叫んだのだった。
まあ、私は飲まないんだけどね。
酔うと脱衣癖があるって判明してるので。
「ルビカルが国王様ねぇ~。少し早いと思うけど」
そう評したのはルビーナお姉様だった。
金髪の巻き毛の25歳(何せ、42歳で死んだお母様が17歳で産んでるから)で、1児の母親だった。
ルビーナお姉様が産んだ子供は公子だった上に、ちゃんと眼にチコルピア公室の魔眼を引き継いでたから、何の問題も起こらなければ、その子供が、次の公王となる。
【上に立つ者】の能力はルビーナお姉様は継承しておらず、その子供も継承してないはずだけど、もし魔眼と両方引き継いでたら結構大変な事になるかもね。
「ってか、ルビア。アナタが20歳で宰相になるの?」
「はい、陛下を支える為に」
「大丈夫なの?」
「もちろんですわ」
「でも、随分と性急ね。お父様も最愛のお母様が突然死んだ所為か、抜け殻のようだし。お父様、どこかお身体が悪いなんて事はないわよね?」
ミリアリリー王室の醜聞を一切知らないルビーナお姉様に、
「お母様が死んで気落ちしてるだけですわ」
私は笑顔で答えた。
他国に嫁いだ実の姉に嘘をつかなければならないなんて。
王族ってのは大変よね。
と私が苦笑してると、ムカつくリヒテル(呼び捨てで十分よっ!)がやってきた。
金髪で、左の碧眼に金色の五芒星の模様の魔眼ーー【五星眼】を持ってる。
【五星眼】は有名な魔眼で、【聖域】が展開出来た。その【聖域】の中では味方は魔法を使えるのに敵認定の相手は魔法が使えないとか、味方は補正を受けるとかやりたい放題だ。
属性も【聖】だし、魔眼というよりかは【聖眼】ね。
「姉妹水入らずのところお邪魔するよ」
「あら、挨拶回りは済んだの、陛下?」
ルビーナお姉様の問いに、リヒテルが、
「いや、まだだが明日からの宰相殿にも御挨拶をと思ってね。そう言えば、何やら公妃に手紙を送ってきたと聞いたが?」
ぬけぬけと、コイツ。
「あら、そうなの?」
「野暮用ですからルビーナお姉様が気にする必要はありませんわ」
「そうなの? なら、いいけど」
「時に、エニスってミリアリリー女学園の学生に会えたりはしないだろうか?」
コイツ、言うに事欠いて。
「ルビーナお姉様の前で側妃漁りですか?」
「違う違う。凄腕と聞いて興味が湧いただけで・・・・・」
「凄腕ねぇ~」
私がそうとぼけるとルビーナお姉様が、
「ルビア、誰なの、その人?」
「ミリアリリー女学園の冬の乙女祭の優勝者ですよ」
と私が伝えると、次の瞬間、ルビーナお姉様は笑顔のままリヒテルの足の甲をヒールで踏みながら、
「それは大層美人なんでしょうね?」
「ええ、ルビーナお姉様に匹敵するくらい。胸はお姉様が負けてるかしら?」
「まあ、そうなの。オホホホ」
笑ったままルビーナお姉様がヒールでグリグリとリヒテルの足の甲を踏み、
「・・・そろそろ許してくれないかな」
遂にはリヒテルがルビーナお姉様に泣きを入れる中、私は溜飲を下げながら談笑した。
戴冠式があった日の夜は、高位貴族相手の晩餐会で、それを終えて、ようやく客を帰らせて、本日の疲れを取るべくゆっくりとお風呂に入ってたのだけど・・・
ターベラの後任の親衛隊長のアキラトーネが、
「姫様、離宮のカウービーが毒で死んだと報告がありました」
「カウーナお義姉様の妹の? 離宮で生涯隔離との裏取引で決着した? 本当に死んだのね? 離宮脱出の工作とかじゃなくて?」
「はい。そして、その情報を掴んだと思われるルーンサード侯爵家のカウーナ様を乗せた狼車が、王宮からルーンサード侯爵家に向かわず、先程、騎士団長の屋敷に入ったと報告が」
と言われて、湯に浸かっていた私は、
「拙いっ! エニスには『カウービーは貴族籍を抜かれて平民牢に入れた』って言ってあるからカウービーの死とは無関係なのにっ!」
湯から立ち上がってそう叫んだのだった。
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