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新王即位
戴冠式【ルビアside】
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ミリアリリー王国の王都ラサリリーの王宮にある屋外の式場では戴冠式が執り行われていた。
屋外なのは、その方が多数の者が戴冠式に立ち会えるから。
室内で人数が制限されて、
「出席出来なかった」
「これだけ王家に忠義を尽くしてるのに蔑ろにされるだなんて」
「私が出席出来ないのに、あんな無能な男が出席だなんて、信じられん」
とか言われたらかなわないからね。
だから、屋外の式場にはミリアリリー王国の貴族、騎士侯、騎士、文官、侍従、メイド、使用人と多数の者達が立ち会い・・・
更にはこの戴冠式は王都ラサリリーの広場でも魔法で放映されていて平民達も見る事が出来るようになっていた。
さて。
戴冠式ってのは、先代の死去に伴う即位の場合は神官長なんかが王冠を被せるのだけど、今回は陛下、第15代国王、ルビートル・ロット・ミリアリリーが存命中のルビカルお兄様への戴冠だ。
その為、陛下の前に跪いたお兄様に、陛下が王冠を被せる事となった。
私は4月の中旬のあの騒動には色々と思うところがあるのだけど・・・・・・
それよりも今はこっちよね。
私の周囲に居る来賓達を盗み見た。
まず私の隣の、お父様の実の弟で、変わり者のルビジオ叔父様。
王位継承権をさっさと捨てて、1代限りで大公に臣籍降下してて、女嫌い(もちろん、男好きって意味じゃないわよ)というか、人間嫌いで、未婚で跡継ぎもなし。
薔薇の品種改良に命を賭けてる風変わりな叔父様。
というのが、世間の評価だけど・・・・・・・
それは故意に流した噂なだけ。
と言うのも私も含めたミリアリリー王族の継承能力は意外とありがちな【上に立つ者】で(【民の王】や【善王】、【忠誠を集める者】とか言い方は様々だけど)その能力をちゃんと継承していたから。
【上に立つ者】は国民の忠誠心を集めた分だけ、そのまま能力値の補正になる、かなり反則な能力だった。
100人の忠誠が集まっても微々たる上がりだが(大概この能力は上限がないので)、大国の王なんかにこの能力があると、能力値の補正幅が大きくて人間離れした強さになったりする。
叔父様の場合は陛下のスペアなので、能力の封印などは勿体無くて出来ず(一度封印すると再開封出来ないとかで)、変人を装って危険ではない事を周囲に知らしめていた。
なので、裏ではミリアリリー王国の重要人物な事は変わらず·······
顧問会議の議員や暗部組織の王家の影の長官だったりする。
お父様の信任は篤く、重用されてたけど、お兄様とも上手くやって欲しいものだわ。
こちらの叔父様よりも問題なのが・・・・・・
お父様の父親、つまりは私の祖父にあたり、既に死んでる第14代国王、本名、ルビートリック・ロット・ミリアリリーの妹の・・・
バスガム侯爵家に嫁いだ大叔母のルビアリア先代侯爵夫人ね。
こちらは【上に立つ者】を継承せずに無害なんだけど、王族出身だから『自分が産んだ息子を国王に出来ないかしら』とチラッと考えてるのが問題なのよね。
内心はともかく、表向きは一言もそんな事言ってないんだけど。
なのに、どうして分かるのかって?
それはお父様が在位中に、酩酊してそれを大っぴらにルビアリア先代侯爵夫人が産んだ、陛下の従弟にあたるバルガム侯爵令息が言ってしまって、反逆者として処刑してるからよ。
それで爵位が公爵から侯爵に格下げになってるんだし。
子供が口にしたって事は親がそう思ってるって事だから。
こっちは少し注意が必要だわ。
そして一番問題なのが、ルビーナお姉様の隣に居る、東側の隣国のチコルピア公国の25歳の若き公王のリヒテル・ロズ・チコルピア。
まあ、今日、ミリアリリー王国の国王になるお兄様の方が22歳で若いんだけどね。
私の実の姉である第1王女のルビーナお姉様の結婚相手。
つまり、私の義理の兄な訳だけど。
この男は、表向きはキラキラ王子様なんだけど、ムカつく奴で、私がお姉様にお父様が変だって出した手紙を握り潰した張本人だった事が判明してる。
味方のフリをして足を引っ張るのとか本当に有り得ないから。
国家間の騙し合いと言えばそれまでだけどさ。
他は問題なさそうね。
少なくともお兄様や私の敵になりそうなのはいないわ。
西側の隣国のトーキマス連合なんて外務卿の1人が義理で出席してるだけだからね。
私がそんな事を思ってると陛下がお兄様に王冠を被せて、(明日引退する)宰相が、
「ミリアリリー王国に新たな王が誕生した。第16代国王、ルビカル・ロット・ミリアリリー陛下に臣下の礼をっ!」
その言葉で、全員で、
「即位おめでとうございますっ! 我ら一同、新王に忠誠を誓わせていただきますっ! 新王陛下万歳っ! 前王陛下万歳っ!」
と全員で声を合わせてお兄様の即位を讃えたのだった。
屋外なのは、その方が多数の者が戴冠式に立ち会えるから。
室内で人数が制限されて、
「出席出来なかった」
「これだけ王家に忠義を尽くしてるのに蔑ろにされるだなんて」
「私が出席出来ないのに、あんな無能な男が出席だなんて、信じられん」
とか言われたらかなわないからね。
だから、屋外の式場にはミリアリリー王国の貴族、騎士侯、騎士、文官、侍従、メイド、使用人と多数の者達が立ち会い・・・
更にはこの戴冠式は王都ラサリリーの広場でも魔法で放映されていて平民達も見る事が出来るようになっていた。
さて。
戴冠式ってのは、先代の死去に伴う即位の場合は神官長なんかが王冠を被せるのだけど、今回は陛下、第15代国王、ルビートル・ロット・ミリアリリーが存命中のルビカルお兄様への戴冠だ。
その為、陛下の前に跪いたお兄様に、陛下が王冠を被せる事となった。
私は4月の中旬のあの騒動には色々と思うところがあるのだけど・・・・・・
それよりも今はこっちよね。
私の周囲に居る来賓達を盗み見た。
まず私の隣の、お父様の実の弟で、変わり者のルビジオ叔父様。
王位継承権をさっさと捨てて、1代限りで大公に臣籍降下してて、女嫌い(もちろん、男好きって意味じゃないわよ)というか、人間嫌いで、未婚で跡継ぎもなし。
薔薇の品種改良に命を賭けてる風変わりな叔父様。
というのが、世間の評価だけど・・・・・・・
それは故意に流した噂なだけ。
と言うのも私も含めたミリアリリー王族の継承能力は意外とありがちな【上に立つ者】で(【民の王】や【善王】、【忠誠を集める者】とか言い方は様々だけど)その能力をちゃんと継承していたから。
【上に立つ者】は国民の忠誠心を集めた分だけ、そのまま能力値の補正になる、かなり反則な能力だった。
100人の忠誠が集まっても微々たる上がりだが(大概この能力は上限がないので)、大国の王なんかにこの能力があると、能力値の補正幅が大きくて人間離れした強さになったりする。
叔父様の場合は陛下のスペアなので、能力の封印などは勿体無くて出来ず(一度封印すると再開封出来ないとかで)、変人を装って危険ではない事を周囲に知らしめていた。
なので、裏ではミリアリリー王国の重要人物な事は変わらず·······
顧問会議の議員や暗部組織の王家の影の長官だったりする。
お父様の信任は篤く、重用されてたけど、お兄様とも上手くやって欲しいものだわ。
こちらの叔父様よりも問題なのが・・・・・・
お父様の父親、つまりは私の祖父にあたり、既に死んでる第14代国王、本名、ルビートリック・ロット・ミリアリリーの妹の・・・
バスガム侯爵家に嫁いだ大叔母のルビアリア先代侯爵夫人ね。
こちらは【上に立つ者】を継承せずに無害なんだけど、王族出身だから『自分が産んだ息子を国王に出来ないかしら』とチラッと考えてるのが問題なのよね。
内心はともかく、表向きは一言もそんな事言ってないんだけど。
なのに、どうして分かるのかって?
それはお父様が在位中に、酩酊してそれを大っぴらにルビアリア先代侯爵夫人が産んだ、陛下の従弟にあたるバルガム侯爵令息が言ってしまって、反逆者として処刑してるからよ。
それで爵位が公爵から侯爵に格下げになってるんだし。
子供が口にしたって事は親がそう思ってるって事だから。
こっちは少し注意が必要だわ。
そして一番問題なのが、ルビーナお姉様の隣に居る、東側の隣国のチコルピア公国の25歳の若き公王のリヒテル・ロズ・チコルピア。
まあ、今日、ミリアリリー王国の国王になるお兄様の方が22歳で若いんだけどね。
私の実の姉である第1王女のルビーナお姉様の結婚相手。
つまり、私の義理の兄な訳だけど。
この男は、表向きはキラキラ王子様なんだけど、ムカつく奴で、私がお姉様にお父様が変だって出した手紙を握り潰した張本人だった事が判明してる。
味方のフリをして足を引っ張るのとか本当に有り得ないから。
国家間の騙し合いと言えばそれまでだけどさ。
他は問題なさそうね。
少なくともお兄様や私の敵になりそうなのはいないわ。
西側の隣国のトーキマス連合なんて外務卿の1人が義理で出席してるだけだからね。
私がそんな事を思ってると陛下がお兄様に王冠を被せて、(明日引退する)宰相が、
「ミリアリリー王国に新たな王が誕生した。第16代国王、ルビカル・ロット・ミリアリリー陛下に臣下の礼をっ!」
その言葉で、全員で、
「即位おめでとうございますっ! 我ら一同、新王に忠誠を誓わせていただきますっ! 新王陛下万歳っ! 前王陛下万歳っ!」
と全員で声を合わせてお兄様の即位を讃えたのだった。
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