王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・黒勇者討伐編〜

竹井ゴールド

文字の大きさ
上 下
3 / 22
イザベラの誕生日

成長期だからね【ラライアside】

しおりを挟む
 私はイザベラさんの誕生会に来ていた。

 私の家も同じ騎士だけど、イザベラさんの御屋敷の方が大きかった。

 まあ、イザベラさんは受勲時には既に【2路循環覚醒者】で将来有望だったからね。

 現に【3路】目の【霊魂循環】を覚醒してるし。

 【3路】って、完全に達人レベルだから。

 そんな事を思ってると、イザベラさんが私を見てきた。

「ナニ? 私の口元にクリームでも付いてる?」

「ううん、そうじゃなくて随分と成長したなぁ~って思って」

 そうイザベラさんが私に言ったので、私は左腕一本で両胸を下から掬いながら、

「こんなにみのっちゃいましたぁ~♪」

 と御機嫌で返事したのだった。

 私は元々はガリ勉少女で、小柄でガリガリだった。

 それが今や、エニスさまどころかパリナさまを越えたナイスバディーを手に入れていた。

 まあ、相変わらずの眼鏡で、それが逆にエロイって言われるようになってるんだけど。

「胸はともかく、背はどうやって伸ばしたの? 生徒会に入った時は同じくらいだったよね? リリーデーの時も?」

 イザベラさんが真面目な顔で質問してきた。

「成長期だからね。それに毎日、グランドで走ってるから。その所為せいか食欲も出てきたし。まあ、走るのに胸が邪魔になってサラシを巻く破目になったけど」

 私はそうとぼけておいた。





 ◇





 私が急成長したのは2月中旬のダンスホールの崩落事件がきっかけだ。

 騎士団が検査した結果、私は能力非開眼組のその他大勢だった。

 なのに、エニスさまが、

「ラライア。アナタ、能力を開眼したわね。それも【理想体型】って。凄いんだか凄くないんだか」

 そう笑いながら私に指摘されて、私が、

「いえ、能力は開眼してませんけど?」

 と言ったけど、

「あら、騎士団の検査からは漏れたの? まあ、確かに戦闘系じゃないからね。けど、使い方次第じゃあ、これも結構凄い能力なのに」

「あの【理想体型】ってどんな能力なんですか?」

 聞いた事もない能力だったのでそう問うと、エニスさまが、

「理想の体型になれる能力よ。理想が叶うと消えるけど。さすがは成長期の乙女よね」

「・・・あの全然凄くないじゃないですか?」

 私が率直な思想を答えると、

「それはアナタの理想が低いからよ。ラライアは確か毎日、放課後グランドを走ってるわよね?」

「はい」

「なら、これからは毎朝、通学前に神殿に通って最初に惹かれた女神の像の体型を理想としなさい。上手く成長したら【聖属性】に化けるかもよ」

「【聖属性?】 魔力がですか? まさか?」

「試して御覧なさいな。強く念じるのよ。礼拝の時と夜寝る前に。当然、【視力強化】と【頭脳強化】で女神像の映像を脳裏に焼き付けて。夢でもその女神様を見るくらいの思い入れで」

 とエニスきまに言われて、私は翌日からは通学前の神殿への朝の礼拝を日課とし・・・

 神殿の中に立つナイスバディーの【戦女神】ディーナシス様の像を理想とし・・・





 ディーナシス様のようなナイスバディーになりたい。ならせて下さいっ!





 と願ったら、それから背が伸びて、胸が急成長して・・・・・・

 2年生になった4月には16歳ながら、僅か1ヶ月チョイで別人と思えるくらいのこのナイスバディーを手に入れていた。





 まあ、【聖属性】はさすがにまだなんだけどね。

 でも私の薄紫色の髪の一部が自然にディーナシス様の髪のエメラルドグリーン色に染まり始めてメッシュになってきてるし。

 エニスさまも成長した私を見て、

「あらら、ラライア、アナタ凄いわね」

 と目を丸くされていたし、なんか会得しそうな予感がする。





 ◇





 イザベラさんが私に口を尖らせて、

「私も毎日お肉を食べてるよ」

「食べる量が足りないんじゃないの? エニスさまもそう思って・・・ほら」

 私は誕生会のやってる部屋の片隅に積まれた竜肉の塊300キロを見た。

 エニスさまのイザベラさんへの誕生日プレゼントはこの地竜の肉の塊と地竜の素材の鎧一式だった。

 地竜って。

 完全にランク【SSS】だからね。

 エニスさんが狩猟したそうだ。

「ああ、気にしないで。余裕だったから」

 そうエニスさまは言ってたけど、地竜討伐って新聞に載るくらい凄い事がだからね。

 実際に載ってたし、春休みに。

 あれ、エニスさんが狩猟したんだぁ~と思ったくらいだから。





 その後も誕生会は続いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・傾国騒動編〜

竹井ゴールド
ファンタジー
 ミリアリリー王国の王都ラサリリーにある王立ミリアリリー女学園。  昨年度の2月の中旬のお別れ会の舞踏会で能力を覚醒した生徒達。  更には昨年の御前対校戦を見て、入学してきた新入生達がミリアリリー女学園に加わる中・・・  3年生になったエニスの学園生活が始まる。 【2022/12/2、出版申請、12/15、慰めメール】

糸と蜘蛛

犬若丸
ファンタジー
瑠璃が見る夢はいつも同じ。地獄の風景であった。それを除けば彼女は一般的な女子高生だった。 止まない雨が続くある日のこと、誤って階段から落ちた瑠璃。目が覚めると夢で見ていた地獄に立っていた。 男は独り地獄を彷徨っていた。その男に記憶はなく、名前も自分が誰なのかさえ覚えていなかった。鬼から逃げる日々を繰り返すある日のこと、男は地獄に落ちた瑠璃と出会う。 地獄に落ちた女子高生と地獄に住む男、生と死の境界線が交差し、止まっていた時間が再び動き出す。 「カクヨム」にも投稿してます。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

王立ミリアリリー女学園〜エニス乙女伝説・春の乙女祭編〜

竹井ゴールド
ファンタジー
 ミリアリリー王国の王都ラサリリーにある王立ミリアリリー女学園。  ミリアリリー女学園の四季にある乙女祭。  春の乙女祭は武を競う。  当初は純粋な武闘大会だったが、今や賄賂が飛び交う不正塗れの大会となっていた。  今年は特に陰謀が渦巻き、その陰謀が優勝候補と目されるエニスへと向けられるのだった。 【2022/12/6、出版申請、2023/1/4、慰めメール】

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~

岡本剛也
ファンタジー
駆け出しの冒険者であるシルヴァ・ベルハイスは、ダンジョン都市フェルミでダンジョン攻略を生業としていた。 順風満帆とはいかないものの、着実に力をつけてシルバーランク昇格。 そしてついに一つの壁とも言われる十階層の突破を成し遂げた。 仲間との絆も深まり、ここから冒険者としての明るい未来が待っていると確信した矢先——とある依頼が舞い込んできた。 その依頼とは勇者パーティの荷物持ちの依頼。 勇者の戦闘を近くで見られることができ、高い報酬ということもあって引き受けたのだが、この一回の依頼がシルヴァを地獄の底に叩き落されることとなった。 ダンジョン内で勇者達からゴミのような扱いを受け、信頼していた仲間にからも見放され……ダンジョンの奥地に放置されたシルヴァは、匂いに釣られてやってきた魔物に襲われた。 魔物に食われながら、シルヴァが心の底から願ったのは勇者への復讐。 そんな願いが叶ったのか、それとも叶わなかったのか。 事実のほどは神のみぞ知るが、シルヴァは記憶を持ったままとある魔物に転生した。 その魔物とは、最弱と名高いゴブリン。 追い打ちをかけるような最悪な状況に常人なら心が折れてもおかしくない中、シルヴァは折れることなく勇者への復讐を掲げた。 これは最弱のゴブリンに転生したシルヴァが、最強である勇者への復讐を果たす物語。

処理中です...