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【日常編】3月下旬、田村塾大学医学部付属病院『異能病棟』
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青夜達が千葉県のテーマパークを貸し切って楽しんだ日の夜。
日付を跨いだ深夜2時の事である。
田中ビルから100メートル離れたビルの屋上で男と女が異能力バトルを展開していた。
男は七星一族の幹部、七星万死。
格好は七星一族の黒ラバーの全身タイツと手甲や肘や肩や左胸に装甲がある暗殺スーツ。
異能力は『七星暗殺拳(中国邪教、蚩尤教・北斗一星、赤の章)』、『七星忍術(甲賀派生下忍)』。
女は警視庁異能課、小手紗璃奈。
格好は警視庁異能課の女性用の青色のバトルスーツ。
異能力は『妖精猫』、『聖ガラシャ教神聖術』、『ガラシャ流長刀』。
「どうして邪魔をする?」
「仕事だからよっ! それに東条院のボーヤを殺したら面倒になるのはそっちの方よ? 言わば私はアンタラ一族の命の恩人なんだからっ!」
「世迷い事を・・・」
気で強化した拳と気で作った長刀が激突し、
5分の激闘の末、勝ったのは妖精猫化して気の猫耳と尻尾状態の紗璃奈だった。
決着後、ビルの屋上で倒れた万死の頭をグリグリと踏みながら、
「私に勝とうなんて百年早いのよっ!」
と品悪く勝ち誇っていたところに、ようやく警視庁異能課の仲間3人がやってきて、
「遅いわよ」
と言った時、何もない屋上の床でグキッと足を捻挫して派手にズッコケてゴチンッと顔面を打って、
「イッタァァァっ!」
紗璃奈の悲鳴が深夜のビルの屋上に響いたのだった。
そんな事があり、
◇
翌朝の朝食時、田中ビルにて葉月が受験勉強で朝は眠そうなシャンリーに、
「シャンリー、悪いけど今日の午前中の空手道場の子供教室、私の代わりにお願いね」
「どうしてよ?」
「サリナが怪我をして入院してるらしくってさ。そのお見舞いに行ってくるから」
「そんなの午後からでいいでしょ?」
「ダメよ。このビルの警邏をやってて不審者とかち合って怪我をしたんだから」
というのが葉月が紗璃奈から送られたSNSで知った『名誉の負傷』の内容である。
嘘ではないが真実からは程遠かった。
「えっ、紗璃奈さん、入院したの? ふ~ん、オレもそのお見舞いについていっていい?」
青夜はそう尋ねた。
「あら、青夜、いつの間にそんなにサリナと仲良くなったの?」
「知り合いが入院したらお見舞いに行くのが礼儀だから」
青夜はそう言ったが、無論、本当の目的は青夜の顔にうっすらと死相が出ている事に対するこちらに波及する危険度の確認の為で、つまりは自分の身を守る為だった。
「そんな訳でよろしくね、シャンリー」
「はいはい、午前中だけよ」
との会話がされたのだった。
さて。
警視庁異能課の異能力者の御用達の病院は田村塾大学医学部付属病院である。
そんな訳で、葉月と一緒にデパ地下でお見舞い品を購入した後、タクシーで田村塾大学医学部付属病院へと出向いた。
この付属病院は一般病棟と異能病棟がある。
建物が完全に独立しており、一般人は異能病棟に立ち寄れない訳だが、それ以外の異能病棟の見分け方として異能病棟は看護師の制服がミニスカと各種のタイツとガーターベルトな事が挙げられた。
なので、
「青夜もミニスカが好きなの?」
異能病棟を移動中にミニスカナースを見た葉月が問う中、青夜は真顔で、
「病院に良い思い出なんて1つもないよ」
などと会話しながら病室に出向くも紗璃奈が居らず、ナースに、
「あの、昨夜、入院した警視庁異能課の小手警視はどこに?」
『容態が急変したのか』と葉月が心配しながら問うと、
「ああ、その方なら現在は治療室ですよ。ご案内します」
そうミニスカナースの22歳、163センチ(+黒のハイヒール)、日本人なのに金色に染めた長髪にカラコンで化粧も香水も派手なミニスカのナース服で豹柄のタイツのお姉さんに案内されて治療室へと出向けば、
最早お約束だが、治療室には1基の近未来的な縦型のカプセルがあり、そのカプセル内には緑色の治癒液が満たされていて、その中で真っ裸の紗璃奈が頭まで液体に浸かり口に装着した酸素マスクでボコボコッと呼吸をしていた訳だが、
「はぁ~い、サリナ。元気ぃ~」
『ボコボコッ・・・ちょ、葉月。どうして青夜君までこの部屋に通すのよっ!』
「そりゃあ一緒にお見舞いに来たからですけど?」
青夜が真顔で答える中、
『ボコボコッ・・・違うでしょ、『私の裸を見るなっ!』って言ってるのよ、こっちはっ!』
「ああ、褒めるんですね。綺麗ですよ、紗璃奈さん」
『ボコボコッ・・・怒るわよ』
「はいはい、廊下で待ってますね」
青夜はそう言って治療室を後にしたのだった。
廊下に出た青夜は珍しい人物と遭遇した。
警視庁異能課課長、後藤雷鳥である。
52歳、170センチ、額が禿げた総髪の恵比寿顔で樽腹だ。普段は警察服の男だが病院訪問という事でスーツを纏っていた。
「これはどうも」
「ああ、東条院の」
「元ですがね」
「本当に元なんですか?」
雷鳥がそう探りを入れたのは無論、青夜が強いのを『知ってる側』だからである。
青夜が強いのを知ってる側からすれば『無能で東条院宗家を廃嫡』は意味が分からず、裏があるとしか思えなかったのだ。
「ええ、ちゃんと田中青夜になってます」
と青夜は断言してから、
(あれ、もしかして書類の変更がまだされていない? だから死相がまだ出てる?)
そう疑って、
「ええっと、書類的には・・・」
不安になった青夜が雷鳥に確認すると、雷鳥が、
「書類上は確かに田中となってますよ。戸籍もバッチリと移されていますし」
「なら問題ないか。良かった」
青夜は安堵してから雷鳥に、
「どこかお怪我でも?」
「いや、部下が職務中に負傷したというので様子を確認しに」
と治療室を見たので、
「今、カプセルの中で治癒液に浸かって治療中ですよ。真っ裸だから追い出されたところです」
青夜はそう教えた。
「それは間が悪かったな」
「部下の負傷にお見舞いに出向くなんて人格者なんですね」
世間知らずの東条院のお坊ちゃんである青夜は素でそう感心していたが、戦闘が生業の組織で一々部下の負傷に駆け付ける上司などは居らず(毎回部下の負傷の度に駆け付けるなど時間的に不可能なのだから)、この病院での雷鳥の登場は青夜に遭い来るのが目的だった。
なので、
「上司として当然ですよ」
さらっと雷鳥は嘘をついた。
それが悪手で、青夜は世間ズレはしていたが、東条院のお坊ちゃんだっただけあって人に会う機会が多く、実力者な事もあり『気』の揺らぎや直感等々で嘘を見抜ける。
ポーカーフェイスを保ちながら青夜は内心で、
(・・・今、嘘をついたぞ。何だ? もしかしてこの病院に大物が極秘入院でもしてるのか?)
と雷鳥の登場の目的を空想したのだった。
「それは御立派ですね」
「ええ、小手と面会出来ないのなら他の入院中の部下の面会に行くかな。では」
そう言って雷鳥は廊下を歩いていき、暇なので青夜がその後ろ姿を眺めてると、7メートル先の廊下で反対側から歩いてきた老婆に変身していた男に雷撃を喰らわせて(それで男に戻った)気絶させて部下に逮捕させて、青夜が見てるのに気付いて軽く手を挙げて合図して去っていった。
◇
治療室で治癒を終えた紗璃奈は病室にて青夜と2人っきりになっていた。
理由は単純。
田中家は簡単な除霊の仕事を家業としており、治療室から病室へと廊下を歩いてる時に依頼の電話一本で葉月が、
「依頼が入ったわ。またね、サリナ。青夜はゆっくりしてていいわよ。でも昼ご飯までに帰ってきてね。青夜は金星PAYをスマホに入れてないわよね? これを渡しておくわ」
青夜にクレジットカードを渡して、さっさと帰っていったのだから。
「もう信じられない、葉月も。親友が負傷したのに、除霊の仕事を優先するんだから」
「さっきチラッと見た時はいつも通り綺麗な身体でしたが、どこを負傷したんですか?」
「自慢の足よ、骨折したんだから。もう骨はくっついたけど。額も負傷して。後2回、治癒液に浸からないとダメらしいわ」
ベッドの中で紗璃奈が骨が繋がった足を上げる中、
「相手は?」
「七星万死よ」
「聞いた事ないな。強かったんですか?」
「ええ、七星暗殺拳が使えたからね」
「なるほど。で、田中家の誰を狙ってたので?」
「もちろん青夜君よ」
「へぇ~」
青夜が不機嫌そうにそう呟く中、悪戯な顔をした紗璃奈が、
「それを私が守ってあげたのよ。偉いでしょ」
「偉いって職務なだけでしょ」
「違うわよ。顔見知りの青夜君が狙われてたから負傷するまで頑張ったんでしょ」
青夜も紗璃奈が何かを言いたかった事くらいは分かり、
「つまり? 何アピールですか?」
「もう、負傷してまで助けたんだからお礼くらいしてよね」
と言われたので青夜が仕方なく紗璃奈の頭を撫でながら、
「紗璃奈さん、守ってくれてありがとうございました。紗璃奈さんは警察の鑑です。紗璃奈さんが居るから安心してオレは暮らせる事が出来ます。感謝してます」
「あのねぇ~。まさか、言葉だけで済ますつもりじゃないでしょうね? って、いつまで頭を撫でてるのよ?」
「これは失礼、耳の方が良かったですか?」
青夜が素で誤解して耳を触り始めて、
「ちょ、嘘でしょ、違うわよ。触るなって言って・・・」
赤面しながら紗璃奈は文句を言ったが、心地良かったのか青夜の手を払い除ける事はしなかった。
なので、青夜が3分間も耳を優しく触ると、紗璃奈が蕩けた顔で、
「ねえ、いつまで触ってるのよ?」
「他の場所が良かったですか? 例えば、骨折された足とか?」
「違うわよ。そうじゃなくて・・・・・・」
「七星の呪いが祓われるまでですよ」
「えっ? そう言えば、そんなのがあるって聞いてたけど、でも別に邪気は・・・」
「邪気じゃなくて運気が喰われて枯渇してるんですよ」
「ええっ! そうなの?」
「運が悪くなった自覚は?」
青夜に問われて一番に思い当たったのは自爆でズッコケて足を骨折して入院した事だったが、
「裸を見られた事かしら?」
「それなら普段通りじゃないですか?」
「それが普段通りなのも十分おかしいでしょうがっ!」
などと話ながら後2分間触って、
「これで少しは運気が戻ったと思いますよ」
「少しだけなの?」
最早甘えた口調で紗璃奈が問う中、青夜が、
「『落ちこぼれ』のオレに何を期待してるんですか?」
と呆れたのだった。
その後も紗璃奈の名誉の負傷アピールは続き、
「冷蔵庫にデパ地下で葉月が購入したプリンが入ってますので後で食べて下さいね」
と青夜が教えたら、
「食べさせてよ、青夜君が今」
と言ってきて、東条院のお坊ちゃんで看病をした事がない(母や異母弟妹の時は使用人がやって出来なかった)青夜が、少し憧れもあってやってみたくもあったので、
「特別ですよ」
とプリンを食べさせたのだが、
プリンだ。
そして、例えデパ地下の高級プリンだろうと付属のプラスチックのスプーンは程度が知れてる。
なので食べさせようとして、プリンがスプーンからツルッと落ちて、
「・・・あん、ちょっと、どこに落としてるのよ」
紗璃奈の入院着の胸の谷間にプリンが乗り、
「はいはい、ちゃんと掬いますね」
青夜が面倒臭そうにプラスチックのスプーンで胸の谷間の素肌にギリ引っ掛かったプリンを掬おうとして、
「ちょ、何を考えて・・・・・・待った、青夜君。私がやるから・・・」
「いえいえ、ちゃんと責任を持って掬いますから」
「待ちなさいっ! ちょ・・・」
「って、入院着が邪魔ですから開いてくれません?」
「セクハラよ、完全にそれっ! こっちはブラしてないのにっ!」
「ちょ、動かないで下さいよ。掬えないじゃないですか」
結局は紗璃奈が抵抗して動いた為にプリンは胸の谷間を滑り落ちてしまい、ヘソまで移動したプリンを、
「見たら許さないからね、青夜君」
「今更照れなくてもいいのに」
ベッドに背を向けて青夜がボヤく中、
「照れてないわよっ!」
入院着を開いて紗璃奈が指で掬ったのだった。
更に20分ほど喋って、
「じゃあ、紗璃奈さん」
「もう帰るの?」
「昼ご飯までに帰る約束ですから。養生して下さいね」
「ええ」
と挨拶して青夜は紗璃奈の個室の病室から出たのだった。
病室から出た異能病棟の廊下では東条院の嫡子だった時に見知った護衛部隊が6人も勢揃いしていた。
そればかりか、宗家当主の青蓮直属、というか東条院の暗部部門『顎門』トップの日ノ岡月雄までが待っており、
「どうしたの、日ノ岡さんまで?」
「田村塾大学医学部付属病院の異能病棟なんかに入ったらこうなりますよ」
「オレ、廃縮されてるよね?」
「それでも一応、東条院の血を引かれておられますので。『精液を抜かれてないか』宗家が心配されて最悪戦争の命令まで出ておりまして」
本当に東条院の精鋭50人が出動して異能病棟を包囲して異能病棟の警備と睨み合ってる事など知らない青夜が、
「精液って・・・ないって。ただの知人のお見舞いなのに」
そう気楽に笑った。
「そのようですね。では田中家までお送りしましょう」
「ではお言葉に甘えて。甘えるついでにオレの命を狙ってる七星一族をどうにかして欲しいなぁ~」
「もうやっております」
(仕事が早いのか、それとも遅いのか)
「なら結構」
と答えた青夜が月雄を見て、
「そう言えば、警視庁異能課の課長を見たけど、この病棟、重要人物でも入院してるの?」
(雷鳥の登場は青夜が姿を見せたからなのだが)そう問い、月雄も理解していたが、
「いえ、そのような噂は聞いておりませんが『これから』あるかもしれませんね」
「ああ、そっちか。つまりオレが何かするかもしれないと・・・どれだけ危険人物なんだか。やれやれだな」
青夜はそんな事を喋りながら廊下を歩いて田村塾大学医学部付属病院の異能病棟から帰っていったのだった。
東条院の精鋭の包囲が解かれた異能病棟の紗璃奈の個室では何故か上司の雷鳥がやってきて緊張の余りベッドの上で正座してる紗璃奈に向かって、
「随分、東条院の若様と仲が良いようだな?」
「いえいえ、いつも酷い目に遭わされております」
「その調子で励むようにな」
「いえいえ、出来れば田中ビルの偵察や警邏から別のエリアへの異動をーー」
「励むようにな」
雷鳥に二度言われて、
「・・・はい」
紗璃奈は渋々と返事し、
「運気を吸われたと聞いたが完全に戻ってるな?」
「本当に運気を吸われてたんですか?」
「ああ。その調子なら明日にでも現場復帰が可能だな」
「冗談ですよね?」
「本当だよ。戦闘後にズッコケて怪我しただけだろ? 本来なら田村塾大学医学部付属病院の治療費も自腹なところを異能課が労災で負担してるんだから」
と嫌味を言われて、
(どう見てもまだ運気は戻ってないじゃないのっ!)
紗璃奈はウンザリし、
翌日、紗璃奈は当たり前のように田中ビルの4階に顔を出したのだった。
◇
因みに北陸の石川県の七星一族の里では昨夜の内に、
「どうして東条院が? オレ達は東条院の夫人の依頼で・・・」
「奥様は七星一族なんて連中、知らないそうだぞ」
日ノ岡月雄が東条院の暗部部隊『顎門』らしく片っ端から七星一族を抹殺していったのだった。
日付を跨いだ深夜2時の事である。
田中ビルから100メートル離れたビルの屋上で男と女が異能力バトルを展開していた。
男は七星一族の幹部、七星万死。
格好は七星一族の黒ラバーの全身タイツと手甲や肘や肩や左胸に装甲がある暗殺スーツ。
異能力は『七星暗殺拳(中国邪教、蚩尤教・北斗一星、赤の章)』、『七星忍術(甲賀派生下忍)』。
女は警視庁異能課、小手紗璃奈。
格好は警視庁異能課の女性用の青色のバトルスーツ。
異能力は『妖精猫』、『聖ガラシャ教神聖術』、『ガラシャ流長刀』。
「どうして邪魔をする?」
「仕事だからよっ! それに東条院のボーヤを殺したら面倒になるのはそっちの方よ? 言わば私はアンタラ一族の命の恩人なんだからっ!」
「世迷い事を・・・」
気で強化した拳と気で作った長刀が激突し、
5分の激闘の末、勝ったのは妖精猫化して気の猫耳と尻尾状態の紗璃奈だった。
決着後、ビルの屋上で倒れた万死の頭をグリグリと踏みながら、
「私に勝とうなんて百年早いのよっ!」
と品悪く勝ち誇っていたところに、ようやく警視庁異能課の仲間3人がやってきて、
「遅いわよ」
と言った時、何もない屋上の床でグキッと足を捻挫して派手にズッコケてゴチンッと顔面を打って、
「イッタァァァっ!」
紗璃奈の悲鳴が深夜のビルの屋上に響いたのだった。
そんな事があり、
◇
翌朝の朝食時、田中ビルにて葉月が受験勉強で朝は眠そうなシャンリーに、
「シャンリー、悪いけど今日の午前中の空手道場の子供教室、私の代わりにお願いね」
「どうしてよ?」
「サリナが怪我をして入院してるらしくってさ。そのお見舞いに行ってくるから」
「そんなの午後からでいいでしょ?」
「ダメよ。このビルの警邏をやってて不審者とかち合って怪我をしたんだから」
というのが葉月が紗璃奈から送られたSNSで知った『名誉の負傷』の内容である。
嘘ではないが真実からは程遠かった。
「えっ、紗璃奈さん、入院したの? ふ~ん、オレもそのお見舞いについていっていい?」
青夜はそう尋ねた。
「あら、青夜、いつの間にそんなにサリナと仲良くなったの?」
「知り合いが入院したらお見舞いに行くのが礼儀だから」
青夜はそう言ったが、無論、本当の目的は青夜の顔にうっすらと死相が出ている事に対するこちらに波及する危険度の確認の為で、つまりは自分の身を守る為だった。
「そんな訳でよろしくね、シャンリー」
「はいはい、午前中だけよ」
との会話がされたのだった。
さて。
警視庁異能課の異能力者の御用達の病院は田村塾大学医学部付属病院である。
そんな訳で、葉月と一緒にデパ地下でお見舞い品を購入した後、タクシーで田村塾大学医学部付属病院へと出向いた。
この付属病院は一般病棟と異能病棟がある。
建物が完全に独立しており、一般人は異能病棟に立ち寄れない訳だが、それ以外の異能病棟の見分け方として異能病棟は看護師の制服がミニスカと各種のタイツとガーターベルトな事が挙げられた。
なので、
「青夜もミニスカが好きなの?」
異能病棟を移動中にミニスカナースを見た葉月が問う中、青夜は真顔で、
「病院に良い思い出なんて1つもないよ」
などと会話しながら病室に出向くも紗璃奈が居らず、ナースに、
「あの、昨夜、入院した警視庁異能課の小手警視はどこに?」
『容態が急変したのか』と葉月が心配しながら問うと、
「ああ、その方なら現在は治療室ですよ。ご案内します」
そうミニスカナースの22歳、163センチ(+黒のハイヒール)、日本人なのに金色に染めた長髪にカラコンで化粧も香水も派手なミニスカのナース服で豹柄のタイツのお姉さんに案内されて治療室へと出向けば、
最早お約束だが、治療室には1基の近未来的な縦型のカプセルがあり、そのカプセル内には緑色の治癒液が満たされていて、その中で真っ裸の紗璃奈が頭まで液体に浸かり口に装着した酸素マスクでボコボコッと呼吸をしていた訳だが、
「はぁ~い、サリナ。元気ぃ~」
『ボコボコッ・・・ちょ、葉月。どうして青夜君までこの部屋に通すのよっ!』
「そりゃあ一緒にお見舞いに来たからですけど?」
青夜が真顔で答える中、
『ボコボコッ・・・違うでしょ、『私の裸を見るなっ!』って言ってるのよ、こっちはっ!』
「ああ、褒めるんですね。綺麗ですよ、紗璃奈さん」
『ボコボコッ・・・怒るわよ』
「はいはい、廊下で待ってますね」
青夜はそう言って治療室を後にしたのだった。
廊下に出た青夜は珍しい人物と遭遇した。
警視庁異能課課長、後藤雷鳥である。
52歳、170センチ、額が禿げた総髪の恵比寿顔で樽腹だ。普段は警察服の男だが病院訪問という事でスーツを纏っていた。
「これはどうも」
「ああ、東条院の」
「元ですがね」
「本当に元なんですか?」
雷鳥がそう探りを入れたのは無論、青夜が強いのを『知ってる側』だからである。
青夜が強いのを知ってる側からすれば『無能で東条院宗家を廃嫡』は意味が分からず、裏があるとしか思えなかったのだ。
「ええ、ちゃんと田中青夜になってます」
と青夜は断言してから、
(あれ、もしかして書類の変更がまだされていない? だから死相がまだ出てる?)
そう疑って、
「ええっと、書類的には・・・」
不安になった青夜が雷鳥に確認すると、雷鳥が、
「書類上は確かに田中となってますよ。戸籍もバッチリと移されていますし」
「なら問題ないか。良かった」
青夜は安堵してから雷鳥に、
「どこかお怪我でも?」
「いや、部下が職務中に負傷したというので様子を確認しに」
と治療室を見たので、
「今、カプセルの中で治癒液に浸かって治療中ですよ。真っ裸だから追い出されたところです」
青夜はそう教えた。
「それは間が悪かったな」
「部下の負傷にお見舞いに出向くなんて人格者なんですね」
世間知らずの東条院のお坊ちゃんである青夜は素でそう感心していたが、戦闘が生業の組織で一々部下の負傷に駆け付ける上司などは居らず(毎回部下の負傷の度に駆け付けるなど時間的に不可能なのだから)、この病院での雷鳥の登場は青夜に遭い来るのが目的だった。
なので、
「上司として当然ですよ」
さらっと雷鳥は嘘をついた。
それが悪手で、青夜は世間ズレはしていたが、東条院のお坊ちゃんだっただけあって人に会う機会が多く、実力者な事もあり『気』の揺らぎや直感等々で嘘を見抜ける。
ポーカーフェイスを保ちながら青夜は内心で、
(・・・今、嘘をついたぞ。何だ? もしかしてこの病院に大物が極秘入院でもしてるのか?)
と雷鳥の登場の目的を空想したのだった。
「それは御立派ですね」
「ええ、小手と面会出来ないのなら他の入院中の部下の面会に行くかな。では」
そう言って雷鳥は廊下を歩いていき、暇なので青夜がその後ろ姿を眺めてると、7メートル先の廊下で反対側から歩いてきた老婆に変身していた男に雷撃を喰らわせて(それで男に戻った)気絶させて部下に逮捕させて、青夜が見てるのに気付いて軽く手を挙げて合図して去っていった。
◇
治療室で治癒を終えた紗璃奈は病室にて青夜と2人っきりになっていた。
理由は単純。
田中家は簡単な除霊の仕事を家業としており、治療室から病室へと廊下を歩いてる時に依頼の電話一本で葉月が、
「依頼が入ったわ。またね、サリナ。青夜はゆっくりしてていいわよ。でも昼ご飯までに帰ってきてね。青夜は金星PAYをスマホに入れてないわよね? これを渡しておくわ」
青夜にクレジットカードを渡して、さっさと帰っていったのだから。
「もう信じられない、葉月も。親友が負傷したのに、除霊の仕事を優先するんだから」
「さっきチラッと見た時はいつも通り綺麗な身体でしたが、どこを負傷したんですか?」
「自慢の足よ、骨折したんだから。もう骨はくっついたけど。額も負傷して。後2回、治癒液に浸からないとダメらしいわ」
ベッドの中で紗璃奈が骨が繋がった足を上げる中、
「相手は?」
「七星万死よ」
「聞いた事ないな。強かったんですか?」
「ええ、七星暗殺拳が使えたからね」
「なるほど。で、田中家の誰を狙ってたので?」
「もちろん青夜君よ」
「へぇ~」
青夜が不機嫌そうにそう呟く中、悪戯な顔をした紗璃奈が、
「それを私が守ってあげたのよ。偉いでしょ」
「偉いって職務なだけでしょ」
「違うわよ。顔見知りの青夜君が狙われてたから負傷するまで頑張ったんでしょ」
青夜も紗璃奈が何かを言いたかった事くらいは分かり、
「つまり? 何アピールですか?」
「もう、負傷してまで助けたんだからお礼くらいしてよね」
と言われたので青夜が仕方なく紗璃奈の頭を撫でながら、
「紗璃奈さん、守ってくれてありがとうございました。紗璃奈さんは警察の鑑です。紗璃奈さんが居るから安心してオレは暮らせる事が出来ます。感謝してます」
「あのねぇ~。まさか、言葉だけで済ますつもりじゃないでしょうね? って、いつまで頭を撫でてるのよ?」
「これは失礼、耳の方が良かったですか?」
青夜が素で誤解して耳を触り始めて、
「ちょ、嘘でしょ、違うわよ。触るなって言って・・・」
赤面しながら紗璃奈は文句を言ったが、心地良かったのか青夜の手を払い除ける事はしなかった。
なので、青夜が3分間も耳を優しく触ると、紗璃奈が蕩けた顔で、
「ねえ、いつまで触ってるのよ?」
「他の場所が良かったですか? 例えば、骨折された足とか?」
「違うわよ。そうじゃなくて・・・・・・」
「七星の呪いが祓われるまでですよ」
「えっ? そう言えば、そんなのがあるって聞いてたけど、でも別に邪気は・・・」
「邪気じゃなくて運気が喰われて枯渇してるんですよ」
「ええっ! そうなの?」
「運が悪くなった自覚は?」
青夜に問われて一番に思い当たったのは自爆でズッコケて足を骨折して入院した事だったが、
「裸を見られた事かしら?」
「それなら普段通りじゃないですか?」
「それが普段通りなのも十分おかしいでしょうがっ!」
などと話ながら後2分間触って、
「これで少しは運気が戻ったと思いますよ」
「少しだけなの?」
最早甘えた口調で紗璃奈が問う中、青夜が、
「『落ちこぼれ』のオレに何を期待してるんですか?」
と呆れたのだった。
その後も紗璃奈の名誉の負傷アピールは続き、
「冷蔵庫にデパ地下で葉月が購入したプリンが入ってますので後で食べて下さいね」
と青夜が教えたら、
「食べさせてよ、青夜君が今」
と言ってきて、東条院のお坊ちゃんで看病をした事がない(母や異母弟妹の時は使用人がやって出来なかった)青夜が、少し憧れもあってやってみたくもあったので、
「特別ですよ」
とプリンを食べさせたのだが、
プリンだ。
そして、例えデパ地下の高級プリンだろうと付属のプラスチックのスプーンは程度が知れてる。
なので食べさせようとして、プリンがスプーンからツルッと落ちて、
「・・・あん、ちょっと、どこに落としてるのよ」
紗璃奈の入院着の胸の谷間にプリンが乗り、
「はいはい、ちゃんと掬いますね」
青夜が面倒臭そうにプラスチックのスプーンで胸の谷間の素肌にギリ引っ掛かったプリンを掬おうとして、
「ちょ、何を考えて・・・・・・待った、青夜君。私がやるから・・・」
「いえいえ、ちゃんと責任を持って掬いますから」
「待ちなさいっ! ちょ・・・」
「って、入院着が邪魔ですから開いてくれません?」
「セクハラよ、完全にそれっ! こっちはブラしてないのにっ!」
「ちょ、動かないで下さいよ。掬えないじゃないですか」
結局は紗璃奈が抵抗して動いた為にプリンは胸の谷間を滑り落ちてしまい、ヘソまで移動したプリンを、
「見たら許さないからね、青夜君」
「今更照れなくてもいいのに」
ベッドに背を向けて青夜がボヤく中、
「照れてないわよっ!」
入院着を開いて紗璃奈が指で掬ったのだった。
更に20分ほど喋って、
「じゃあ、紗璃奈さん」
「もう帰るの?」
「昼ご飯までに帰る約束ですから。養生して下さいね」
「ええ」
と挨拶して青夜は紗璃奈の個室の病室から出たのだった。
病室から出た異能病棟の廊下では東条院の嫡子だった時に見知った護衛部隊が6人も勢揃いしていた。
そればかりか、宗家当主の青蓮直属、というか東条院の暗部部門『顎門』トップの日ノ岡月雄までが待っており、
「どうしたの、日ノ岡さんまで?」
「田村塾大学医学部付属病院の異能病棟なんかに入ったらこうなりますよ」
「オレ、廃縮されてるよね?」
「それでも一応、東条院の血を引かれておられますので。『精液を抜かれてないか』宗家が心配されて最悪戦争の命令まで出ておりまして」
本当に東条院の精鋭50人が出動して異能病棟を包囲して異能病棟の警備と睨み合ってる事など知らない青夜が、
「精液って・・・ないって。ただの知人のお見舞いなのに」
そう気楽に笑った。
「そのようですね。では田中家までお送りしましょう」
「ではお言葉に甘えて。甘えるついでにオレの命を狙ってる七星一族をどうにかして欲しいなぁ~」
「もうやっております」
(仕事が早いのか、それとも遅いのか)
「なら結構」
と答えた青夜が月雄を見て、
「そう言えば、警視庁異能課の課長を見たけど、この病棟、重要人物でも入院してるの?」
(雷鳥の登場は青夜が姿を見せたからなのだが)そう問い、月雄も理解していたが、
「いえ、そのような噂は聞いておりませんが『これから』あるかもしれませんね」
「ああ、そっちか。つまりオレが何かするかもしれないと・・・どれだけ危険人物なんだか。やれやれだな」
青夜はそんな事を喋りながら廊下を歩いて田村塾大学医学部付属病院の異能病棟から帰っていったのだった。
東条院の精鋭の包囲が解かれた異能病棟の紗璃奈の個室では何故か上司の雷鳥がやってきて緊張の余りベッドの上で正座してる紗璃奈に向かって、
「随分、東条院の若様と仲が良いようだな?」
「いえいえ、いつも酷い目に遭わされております」
「その調子で励むようにな」
「いえいえ、出来れば田中ビルの偵察や警邏から別のエリアへの異動をーー」
「励むようにな」
雷鳥に二度言われて、
「・・・はい」
紗璃奈は渋々と返事し、
「運気を吸われたと聞いたが完全に戻ってるな?」
「本当に運気を吸われてたんですか?」
「ああ。その調子なら明日にでも現場復帰が可能だな」
「冗談ですよね?」
「本当だよ。戦闘後にズッコケて怪我しただけだろ? 本来なら田村塾大学医学部付属病院の治療費も自腹なところを異能課が労災で負担してるんだから」
と嫌味を言われて、
(どう見てもまだ運気は戻ってないじゃないのっ!)
紗璃奈はウンザリし、
翌日、紗璃奈は当たり前のように田中ビルの4階に顔を出したのだった。
◇
因みに北陸の石川県の七星一族の里では昨夜の内に、
「どうして東条院が? オレ達は東条院の夫人の依頼で・・・」
「奥様は七星一族なんて連中、知らないそうだぞ」
日ノ岡月雄が東条院の暗部部隊『顎門』らしく片っ端から七星一族を抹殺していったのだった。
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