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【日常編】3月下旬、貸し切りテーマパークデート
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3月下旬。
異能力者とは相手の気配を『探知』したり、一般人が持つ微量な気の流れでも動きを『先読み』する事が出来たりする。
『予感』や『未来予知』などもあり、それだと次に起こる事が何となく分かり、実力者になればなるほど、例えその異能力が無くても『虫の知らせ』くらいは備わると言っても過言ではなかった。
そんな訳で、
アンジェリカがブラッディームーン一族の権力を使って半日貸し切りにした千葉のテーマパークのアトラクションなど『予感』等々が備わってる実力のある異能力者にとっては子供騙しな訳だったのだが、アンジェリカが、
「はい、『予感封じ』のバングルよ。今日はテーマパークに遊びにきたんだから」
用意した腕輪によって『先読み』が封じられた為、
青夜、アンジェリカ、愛の3人は水のコースを乗り物で移動する海賊エリアの屋内のアトラクションの暗闇でのピカピカッと光る電飾と大音量の音源の前に、
「うおっ!」
「キャアっ!」
「イヤァ」
と大騒ぎして楽しんでいた。
乗り物が3人掛けで青夜が真ん中に乗った為に左側のアンジェリカだけでなく、右側の愛までが腕にしがみ付く始末である。
両腕に柔らかな胸が当たって役得である半面、
(今、狙撃されたら身動きが取れずに負傷するかも)
と青夜は心底思ったのだった。
千葉県のテーマパークは半日貸し切りである。
お陰でどのアトラクションも並ぶ必要がない。
青夜は正直初めてだったので、アンジェリカと愛が、
「次は西部開拓時代エリアに行きましょう」
「ちょっと嘘でしょ、アンちゃん? 女の子なら絵本エリアでしょ?」
「ママ、子供じゃないんだから」
「アンちゃん、西部開拓時代エリアなんて何も・・・」
どこに行くか喋ってると、青夜が不意にアンジェリカと愛の腰をそれぞれ片腕で抱いて軽々と、
「2人とも場所を変えるよ」
「キャア」
「青夜君?」
20メートル先の絵本エリアのお城の陰まで僅か3歩で高速で移動したのだった。
「もう何よ、青夜?」
照れたアンジェリカが満更でもなさそうな顔で尋ねる中、愛が、
「視線でしょ、少し害意が強かったものね、今のは。呪詛の準備でもしてたのかしら?」
と言いながら、
「お城に来ちゃったんだからこのまま絵本エリアを回りましょう」
そう提案して、アンジェリカが疑いの眼差しで愛を見ながら、
「まさか。今の視線、ママが眼を飛ばした自作自演なんじゃ・・・・・・」
「さすがに違うわよ。今のは・・・呪術師かしら?」
「いや、今のは・・・」
青夜が渋々と口を開き、
「えっ、誰か分かるの、青夜?」
アンジェリカが問うたのでバツが悪そうに、
「・・・妹だった」
と白状した。
「妹さん? 青夜君はお母様は確か・・・父方の血の繋がった?」
愛が確認し、
「うん」
青夜がそう認めると、
「東条院のお嬢さんがどうして?」
「妹はどういう訳かオレに懐いてて、オレに近付く美人が嫌いでね。過去にも先生を溺れさせたり、蜂を嗾けたりと悪戯を・・・」
「可愛いものじゃないの」
アンジェリカがそう笑い、
「そうね、悪戯程度なら」
鴨川家のお嬢様で意外と世間ズレをしている愛が『自分は義母だから狙われない』と思ったのか他人事のように相槌を打ったのだった。
だが、愛が狙われない訳もなく、その直後の事だった。
◇
誰しも苦手なものはある。
アンジェリカなら食べ物の納豆だ。
『ジャパンかぶれ』のアンジェリカもこれだけは克服出来なかった。
お陰で田中家の食卓に納豆が並ぶ事はない。
では、愛が苦手なものとは・・・
千葉県のテーマパークの地面は弾力を吸収する特殊な素材な訳だが・・・
総てが人工物ではない。
樹木が植えられて、花も咲き乱れている。
つまりは土があった訳だが、3月の花、チューリップが咲き乱れる親指姫ゾーンで、キャラクターの親指姫が倒れているのを見つけた。
親指姫なので『きぐるみ』ではなく『扮装』なのだが。
「何あれ?」
アンジェリカが眼を細め、
「さあ? まだ生きてるみたいだけど」
『予感封じ』のバングルを付けてた所為か、止せばいいのに愛が、
「大丈夫ですか?」
と無警戒に近付いた瞬間だった。
親指姫のキャラクターのドレスの襟元やスカートの隙間や陰から真っ赤な百足が20匹以上ウネウネと這い出てきて、
「ヒィーー」
余りの事に愛は悲鳴も上げられずに硬直したのだった。
その愛に百足が近付いてきて、靴に触れるまさにその瞬間、
「キャアアアアアアアアアアアア」
と愛は悲鳴を上げて青夜の許に戻ってきて、
「助けて、青夜君っ! 『あれ』だけは無理だからっ! さあ、今すぐに焼き払ってっ!」
飛び跳ねて青夜を樹木に見立てて、コアラのように足を挟んで抱き付いたのだった。
今日の愛の洋服は外出用のワンピースだったので、スカートが捲れてパンツまで見えてしまっているがお構いなしで。
青夜の顔に愛の胸がムニュッと当たる中、青夜が、
「うぶっ、ちょ、何をーー」
「青夜君、お願いだからっ! 早く、早くっ!」
「だから、前が見えないんだって。何の事を言ってるかも分からないのに」
青夜が愛に抱き付かれて立ち往生する中、アンジェリカが、
「ムカデね。へぇ~、ママってムカデが苦手だったんだ?」
『面白い物が見られたわ』と言わんばかりに口元を綻ばせる中、
「うぷっ、ママ、ムカデは毘沙門天の使いで焼き払ったら運気が下がるんだよ」
青夜が至極真っ当な異能界の常識を口にしたが、
「そんな御高説はいいから早くっ! 私、ゲジゲジだけはダメなのっ! お礼に何でもするからっ!」
取り乱した愛と、愛に抱き付かれて身動きが取れない青夜が右往左往する間に、アンジェリカが遠巻きに居たボディーガードに視線を向けて、そのボディーガードが百足を『虫除け』で追い払って解決したのだった。
10分後、(ベンチは隣が花壇だったので土があって百足が這い出てくるかもしれないので)店内で休憩した愛が恨めしそうに青夜を見て、
「青夜君って全然役に立たないのね。ダメよ、そんなんじゃあ男の子として」
「だってあそこでムカデを退治したらママがオレに惚れちゃうから」
青夜はそう適当に答えたが、
「惚れる訳ないでしょ、私は一狼さん一筋なのにっ!」
愛はまだ立ち直れずにドリンクをストローで飲んだのだった。
「ママは少しここで休んでたら? 私と青夜で見て回るから」
アンジェリカが『青夜と2人っきりになれるチャ~ンス』と言わんばかりに提案するが、愛が、
「酷い、アンちゃん。私をこんな場所に1人で残すだなんて。またゲジゲジが襲ってきたらどうするのよっ!」
「そんな事ある訳ないじゃないの」
「ってか、青夜君の妹の仕業よね、あれ?」
愛が青夜に狙いを定めるが、
「何言ってるの、ママ? ムカデは毘沙門天の使いで特別な異能力じゃないと使役出来ない事はママだって知ってるでしょ? 札やアイテムごときじゃ使役は無理なんだよ」
青夜に基礎知識を改めて説明されて『そうだったわ』と今更ながら思い出した愛が、
「だったら・・・そうよ、お姫様の命令で東条院のムカデ使いが――」
「無理無理。オレと関わるの妹の母親は嫌うから。頼んだ時点でバレてアウトだって」
「じゃあ・・・」
愛が言葉を続けるよりも早くアンジェリカが、
「えっ、もしかして攻撃されてるの、私達?」
「さあ? 案外あの親指姫に扮してた人員の方が敵でボディーガードが排除してくれただけだったりして」
青夜はそう適当に答えたのだった。
愛はその後のテーマパーク内の移動で、ずっと青夜の腕にピッタリと掴まり離さなかった。
お陰で愛の柔らかな胸の弾力が青夜の腕に伝わってる訳だが、
「ちょっと、ママ、それはないんじゃないの? 青夜は私のよ? 娘のボーイフレンドにちょっかいを掛けるだなんて」
負けじと青夜と腕を組んでるアンジェリカがそう見兼ねて注意するも、百足に怯えた愛が、
「だって、またムカデが出るかと思ったら・・・・・」
「そんなに怖いんなら、もう帰ったら?」
「嫌よっ! 今日は絶対に宇宙エリアの月面都市ブースに行くんだからっ!」
「あのねぇ~」
そう呆れながらもアンジェリカも貸し切りのテーマパークのデートを楽しんだのだったが、
◇
そのテーマパークでアンジェリカ達以外にも遊んでる連中が居た。
この千葉県のテーマパークは現在、BB財団の貸し切りである。
『貸し切り』とはつまり『他の一般客を締め出している』という事だ。
なのに、遊んでるのだから、それはもう不正をしている事になった。
ズバリ、異能力を駆使して何らかの方法で敷地内に侵入して遊んでいた訳だが。
そんな不審者の存在をBB財団のボディーガード部隊が許す訳もなく、攻撃対象となって、
ドゴォォォォンっ!
との爆発音と共に西部開拓時代エリアの方で火柱が上がったのだった。
「アトラクションの演出じゃないわよね、今の?」
愛が言い、
「どうせ雑魚がまた絡んできただけでしょ」
アンジェリカは興味も示さなかった。
「だね」
青夜もテーマパークのアトラクションで遊ぶ事を優先したのだが、
宇宙エリアの月面都市ブースを出た青夜達にアンジェリカのボディーガード筆頭のジョン・スミスという35歳、身長192センチ、金髪の白人でギリシャ彫刻のような顔と体型のギリシャ系アメリカ人の男が、
「アンジェリカ様、緊急事態ですので退避をお願いします」
そう英語で話し掛けてきた。
当然、英語が喋れるアメリカと日本の二重国籍のアンジェリカが英語で、
「緊急事態って具体的に何があったの?」
「テーマパーク内に4人の侵入を許しました。1人が男の『魅了使い』でサリーとチュランが敵陣営に操られる事態となっており退避願います」
「逃げる手筈を整えるくらいなら、さっさと狩りなさい」
事情を聞いて不機嫌になったアンジェリカがそう命令し、
「いけません、アンジェリカ様の安全が最優先ですので先に退避をーー」
ジョンが食い下がる中、実は青夜と愛も英語がペラペラなので内容が理解出来、その内の愛が、
「じゃあ、私が駆除してあげるわ。私、『フェロモン』に掛かってて『魅了』での上書きは出来ないはずだから」
『ムカデを差し向けた術者だ』と決め付けてやる気満々でそう言った直後には、大跳躍と空中ジャンプを駆使して突っ込んでいったのだった。
愛が跳んでいったのを見て、
「ええっと、いいの、1人で行かせて?」
青夜がアンジェリカに確認すると、
「拙いわね。ミイラ取りがミイラになったら。一応パパが選んだママだし。死んだらパパが悲しんで葉月達に吊るしあげを喰うかも」
「じゅあ、オレが陰ながら・・・」
「そこそこ強いのよね、青夜って?」
アンジェリカのそのニュアンスが気に入った青夜が、
「内緒だよ」
とウィンクして後を追ったが、
そのテーマパークに侵入した4人組は千葉県の大学生グループだった。
だが異能力者でもある。
男3人、女1人のカルテットで、更には操られたBB財団の女のボディーガード2人も居たが『そのグループが百足を嗾けた連中だ』と頭から決め付けて怒りマックスの愛が陰陽道の紙を依り代にして作った小鳥型の式神200羽で一斉攻撃すると、女のボディーガードは小鳥120羽までは何とか炎銃と恐竜因子手術で強化した軍隊式格闘術で叩き落したが、そちらは元々倒す気はなく釘付けにするのが目的で、残る80匹の方は容赦なく男3人と女1人に全方位から直撃して、
「グアアア」
「ギャア」
と倒され、
「あれ、私は何を?」
「本当に」
操られていた女のボディーガード2人も術者の気絶によって意識を取り戻していた。
つまり、青夜の陰からの支援などまったく必要なく、愛が独力で一撃であっさりと解決したのだった。
BB財団に敵対したのだ。
テーマパークの外に連れ出された4人組は制裁を受け、魔眼『魅了』を持っていた術者は魔眼を抉られる訳だが、それはまた別の話だ。
因みに百足使いはこの4人の中には居なかった。
当然だ。
犯人は東条院青花なのだから。
百足は確かに毘沙門天の使いで、札やアイテムでは普通は使役も出来ない。
だが、それは普通の札とアイテムでの話だ。
東条院が所有し、普段は宝物庫に安置されている重要文化財級の札ならチョチョイのチョイと遠隔でも使役出来ており、青夜も知っていたが害もなかったので(異母妹の青花を庇って)黙っていた。
なので、
愛が4人組を倒して青夜だけが合流した時、近くの花壇から百足が10匹程出て来て、
「ひぃぃぃっ! どうしてっ? 術者は倒したのにっ! 青夜君、青夜君っ! お願いだからゲジゲジを燃やしてっ!」
「うぷっ、だから、前が・・・」
ジャングルエリアの明らかに出るだろうという場所でも『予感封じ』のバングルで勘が悪くなってる3人は百足100匹に囲まれて、
「キャアアアアアア、どこの誰よっ! ゲジゲジを操ってるのっ! 絶対に許さないんだからぁぁぁぁっ!」
「うぶ、ママ、お願いだから・・・・・・」
「ママ、どうして青夜にだけ抱き付くのよっ!」
2回、愛は青夜相手に樹木に掴まるコアラの真似をしたのだった。
更には同じくジャングルエリアでポタ、ポタッと百足が枝から降ってきて愛のワンピースに落ちた時には本当に百足が嫌いらしく、
「キィヤアアアアア、イヤイヤ、ムカデが・・・」
愛が慌ててワンピースを脱ぎ出してストリップを始め、
「青夜、武士の情けよ。ママを見ないで上げて」
「うぷ」
アンジェリカが青夜の顔を自分の胸の谷間に導いてムニュッと目隠ししたのだった。
毎回顔に胸を押し付けられた青夜はポーカーフェイスでつまらなそうにしていたが、まあ、内心では満更でもなかった。
異母妹も暇ではなく(それとも宝具を持ち出した事がバレたのか)それ以降、百足による悪戯はなかった。
因みに愛は百足が触れたワンピースが着られず、テーマパークで売ってたキャラクターのなりきりお姫様ドレスを購入して着替えたのだった。
そして千葉県の貸し切りのテーマパークでララ・メイジェが懐中時計を見せながら、
「お嬢様、間もなく15時45分です」
「ああ、16時までだっけ、貸し切ってたの?」
青夜と腕を組んでイチャイチャしながら心行くまでテーマパークを楽しんだアンジェリカは御機嫌で家族とゲートへ向かって退出したのだった。
その帰りも何やら右翼に狙われたが、守るボディーガードと異能警察が優秀だったのでリムジンに乗る青夜達までは届かず、煩わされる事もなく田中ビルへと帰宅したのだった。
異能力者とは相手の気配を『探知』したり、一般人が持つ微量な気の流れでも動きを『先読み』する事が出来たりする。
『予感』や『未来予知』などもあり、それだと次に起こる事が何となく分かり、実力者になればなるほど、例えその異能力が無くても『虫の知らせ』くらいは備わると言っても過言ではなかった。
そんな訳で、
アンジェリカがブラッディームーン一族の権力を使って半日貸し切りにした千葉のテーマパークのアトラクションなど『予感』等々が備わってる実力のある異能力者にとっては子供騙しな訳だったのだが、アンジェリカが、
「はい、『予感封じ』のバングルよ。今日はテーマパークに遊びにきたんだから」
用意した腕輪によって『先読み』が封じられた為、
青夜、アンジェリカ、愛の3人は水のコースを乗り物で移動する海賊エリアの屋内のアトラクションの暗闇でのピカピカッと光る電飾と大音量の音源の前に、
「うおっ!」
「キャアっ!」
「イヤァ」
と大騒ぎして楽しんでいた。
乗り物が3人掛けで青夜が真ん中に乗った為に左側のアンジェリカだけでなく、右側の愛までが腕にしがみ付く始末である。
両腕に柔らかな胸が当たって役得である半面、
(今、狙撃されたら身動きが取れずに負傷するかも)
と青夜は心底思ったのだった。
千葉県のテーマパークは半日貸し切りである。
お陰でどのアトラクションも並ぶ必要がない。
青夜は正直初めてだったので、アンジェリカと愛が、
「次は西部開拓時代エリアに行きましょう」
「ちょっと嘘でしょ、アンちゃん? 女の子なら絵本エリアでしょ?」
「ママ、子供じゃないんだから」
「アンちゃん、西部開拓時代エリアなんて何も・・・」
どこに行くか喋ってると、青夜が不意にアンジェリカと愛の腰をそれぞれ片腕で抱いて軽々と、
「2人とも場所を変えるよ」
「キャア」
「青夜君?」
20メートル先の絵本エリアのお城の陰まで僅か3歩で高速で移動したのだった。
「もう何よ、青夜?」
照れたアンジェリカが満更でもなさそうな顔で尋ねる中、愛が、
「視線でしょ、少し害意が強かったものね、今のは。呪詛の準備でもしてたのかしら?」
と言いながら、
「お城に来ちゃったんだからこのまま絵本エリアを回りましょう」
そう提案して、アンジェリカが疑いの眼差しで愛を見ながら、
「まさか。今の視線、ママが眼を飛ばした自作自演なんじゃ・・・・・・」
「さすがに違うわよ。今のは・・・呪術師かしら?」
「いや、今のは・・・」
青夜が渋々と口を開き、
「えっ、誰か分かるの、青夜?」
アンジェリカが問うたのでバツが悪そうに、
「・・・妹だった」
と白状した。
「妹さん? 青夜君はお母様は確か・・・父方の血の繋がった?」
愛が確認し、
「うん」
青夜がそう認めると、
「東条院のお嬢さんがどうして?」
「妹はどういう訳かオレに懐いてて、オレに近付く美人が嫌いでね。過去にも先生を溺れさせたり、蜂を嗾けたりと悪戯を・・・」
「可愛いものじゃないの」
アンジェリカがそう笑い、
「そうね、悪戯程度なら」
鴨川家のお嬢様で意外と世間ズレをしている愛が『自分は義母だから狙われない』と思ったのか他人事のように相槌を打ったのだった。
だが、愛が狙われない訳もなく、その直後の事だった。
◇
誰しも苦手なものはある。
アンジェリカなら食べ物の納豆だ。
『ジャパンかぶれ』のアンジェリカもこれだけは克服出来なかった。
お陰で田中家の食卓に納豆が並ぶ事はない。
では、愛が苦手なものとは・・・
千葉県のテーマパークの地面は弾力を吸収する特殊な素材な訳だが・・・
総てが人工物ではない。
樹木が植えられて、花も咲き乱れている。
つまりは土があった訳だが、3月の花、チューリップが咲き乱れる親指姫ゾーンで、キャラクターの親指姫が倒れているのを見つけた。
親指姫なので『きぐるみ』ではなく『扮装』なのだが。
「何あれ?」
アンジェリカが眼を細め、
「さあ? まだ生きてるみたいだけど」
『予感封じ』のバングルを付けてた所為か、止せばいいのに愛が、
「大丈夫ですか?」
と無警戒に近付いた瞬間だった。
親指姫のキャラクターのドレスの襟元やスカートの隙間や陰から真っ赤な百足が20匹以上ウネウネと這い出てきて、
「ヒィーー」
余りの事に愛は悲鳴も上げられずに硬直したのだった。
その愛に百足が近付いてきて、靴に触れるまさにその瞬間、
「キャアアアアアアアアアアアア」
と愛は悲鳴を上げて青夜の許に戻ってきて、
「助けて、青夜君っ! 『あれ』だけは無理だからっ! さあ、今すぐに焼き払ってっ!」
飛び跳ねて青夜を樹木に見立てて、コアラのように足を挟んで抱き付いたのだった。
今日の愛の洋服は外出用のワンピースだったので、スカートが捲れてパンツまで見えてしまっているがお構いなしで。
青夜の顔に愛の胸がムニュッと当たる中、青夜が、
「うぶっ、ちょ、何をーー」
「青夜君、お願いだからっ! 早く、早くっ!」
「だから、前が見えないんだって。何の事を言ってるかも分からないのに」
青夜が愛に抱き付かれて立ち往生する中、アンジェリカが、
「ムカデね。へぇ~、ママってムカデが苦手だったんだ?」
『面白い物が見られたわ』と言わんばかりに口元を綻ばせる中、
「うぷっ、ママ、ムカデは毘沙門天の使いで焼き払ったら運気が下がるんだよ」
青夜が至極真っ当な異能界の常識を口にしたが、
「そんな御高説はいいから早くっ! 私、ゲジゲジだけはダメなのっ! お礼に何でもするからっ!」
取り乱した愛と、愛に抱き付かれて身動きが取れない青夜が右往左往する間に、アンジェリカが遠巻きに居たボディーガードに視線を向けて、そのボディーガードが百足を『虫除け』で追い払って解決したのだった。
10分後、(ベンチは隣が花壇だったので土があって百足が這い出てくるかもしれないので)店内で休憩した愛が恨めしそうに青夜を見て、
「青夜君って全然役に立たないのね。ダメよ、そんなんじゃあ男の子として」
「だってあそこでムカデを退治したらママがオレに惚れちゃうから」
青夜はそう適当に答えたが、
「惚れる訳ないでしょ、私は一狼さん一筋なのにっ!」
愛はまだ立ち直れずにドリンクをストローで飲んだのだった。
「ママは少しここで休んでたら? 私と青夜で見て回るから」
アンジェリカが『青夜と2人っきりになれるチャ~ンス』と言わんばかりに提案するが、愛が、
「酷い、アンちゃん。私をこんな場所に1人で残すだなんて。またゲジゲジが襲ってきたらどうするのよっ!」
「そんな事ある訳ないじゃないの」
「ってか、青夜君の妹の仕業よね、あれ?」
愛が青夜に狙いを定めるが、
「何言ってるの、ママ? ムカデは毘沙門天の使いで特別な異能力じゃないと使役出来ない事はママだって知ってるでしょ? 札やアイテムごときじゃ使役は無理なんだよ」
青夜に基礎知識を改めて説明されて『そうだったわ』と今更ながら思い出した愛が、
「だったら・・・そうよ、お姫様の命令で東条院のムカデ使いが――」
「無理無理。オレと関わるの妹の母親は嫌うから。頼んだ時点でバレてアウトだって」
「じゃあ・・・」
愛が言葉を続けるよりも早くアンジェリカが、
「えっ、もしかして攻撃されてるの、私達?」
「さあ? 案外あの親指姫に扮してた人員の方が敵でボディーガードが排除してくれただけだったりして」
青夜はそう適当に答えたのだった。
愛はその後のテーマパーク内の移動で、ずっと青夜の腕にピッタリと掴まり離さなかった。
お陰で愛の柔らかな胸の弾力が青夜の腕に伝わってる訳だが、
「ちょっと、ママ、それはないんじゃないの? 青夜は私のよ? 娘のボーイフレンドにちょっかいを掛けるだなんて」
負けじと青夜と腕を組んでるアンジェリカがそう見兼ねて注意するも、百足に怯えた愛が、
「だって、またムカデが出るかと思ったら・・・・・」
「そんなに怖いんなら、もう帰ったら?」
「嫌よっ! 今日は絶対に宇宙エリアの月面都市ブースに行くんだからっ!」
「あのねぇ~」
そう呆れながらもアンジェリカも貸し切りのテーマパークのデートを楽しんだのだったが、
◇
そのテーマパークでアンジェリカ達以外にも遊んでる連中が居た。
この千葉県のテーマパークは現在、BB財団の貸し切りである。
『貸し切り』とはつまり『他の一般客を締め出している』という事だ。
なのに、遊んでるのだから、それはもう不正をしている事になった。
ズバリ、異能力を駆使して何らかの方法で敷地内に侵入して遊んでいた訳だが。
そんな不審者の存在をBB財団のボディーガード部隊が許す訳もなく、攻撃対象となって、
ドゴォォォォンっ!
との爆発音と共に西部開拓時代エリアの方で火柱が上がったのだった。
「アトラクションの演出じゃないわよね、今の?」
愛が言い、
「どうせ雑魚がまた絡んできただけでしょ」
アンジェリカは興味も示さなかった。
「だね」
青夜もテーマパークのアトラクションで遊ぶ事を優先したのだが、
宇宙エリアの月面都市ブースを出た青夜達にアンジェリカのボディーガード筆頭のジョン・スミスという35歳、身長192センチ、金髪の白人でギリシャ彫刻のような顔と体型のギリシャ系アメリカ人の男が、
「アンジェリカ様、緊急事態ですので退避をお願いします」
そう英語で話し掛けてきた。
当然、英語が喋れるアメリカと日本の二重国籍のアンジェリカが英語で、
「緊急事態って具体的に何があったの?」
「テーマパーク内に4人の侵入を許しました。1人が男の『魅了使い』でサリーとチュランが敵陣営に操られる事態となっており退避願います」
「逃げる手筈を整えるくらいなら、さっさと狩りなさい」
事情を聞いて不機嫌になったアンジェリカがそう命令し、
「いけません、アンジェリカ様の安全が最優先ですので先に退避をーー」
ジョンが食い下がる中、実は青夜と愛も英語がペラペラなので内容が理解出来、その内の愛が、
「じゃあ、私が駆除してあげるわ。私、『フェロモン』に掛かってて『魅了』での上書きは出来ないはずだから」
『ムカデを差し向けた術者だ』と決め付けてやる気満々でそう言った直後には、大跳躍と空中ジャンプを駆使して突っ込んでいったのだった。
愛が跳んでいったのを見て、
「ええっと、いいの、1人で行かせて?」
青夜がアンジェリカに確認すると、
「拙いわね。ミイラ取りがミイラになったら。一応パパが選んだママだし。死んだらパパが悲しんで葉月達に吊るしあげを喰うかも」
「じゅあ、オレが陰ながら・・・」
「そこそこ強いのよね、青夜って?」
アンジェリカのそのニュアンスが気に入った青夜が、
「内緒だよ」
とウィンクして後を追ったが、
そのテーマパークに侵入した4人組は千葉県の大学生グループだった。
だが異能力者でもある。
男3人、女1人のカルテットで、更には操られたBB財団の女のボディーガード2人も居たが『そのグループが百足を嗾けた連中だ』と頭から決め付けて怒りマックスの愛が陰陽道の紙を依り代にして作った小鳥型の式神200羽で一斉攻撃すると、女のボディーガードは小鳥120羽までは何とか炎銃と恐竜因子手術で強化した軍隊式格闘術で叩き落したが、そちらは元々倒す気はなく釘付けにするのが目的で、残る80匹の方は容赦なく男3人と女1人に全方位から直撃して、
「グアアア」
「ギャア」
と倒され、
「あれ、私は何を?」
「本当に」
操られていた女のボディーガード2人も術者の気絶によって意識を取り戻していた。
つまり、青夜の陰からの支援などまったく必要なく、愛が独力で一撃であっさりと解決したのだった。
BB財団に敵対したのだ。
テーマパークの外に連れ出された4人組は制裁を受け、魔眼『魅了』を持っていた術者は魔眼を抉られる訳だが、それはまた別の話だ。
因みに百足使いはこの4人の中には居なかった。
当然だ。
犯人は東条院青花なのだから。
百足は確かに毘沙門天の使いで、札やアイテムでは普通は使役も出来ない。
だが、それは普通の札とアイテムでの話だ。
東条院が所有し、普段は宝物庫に安置されている重要文化財級の札ならチョチョイのチョイと遠隔でも使役出来ており、青夜も知っていたが害もなかったので(異母妹の青花を庇って)黙っていた。
なので、
愛が4人組を倒して青夜だけが合流した時、近くの花壇から百足が10匹程出て来て、
「ひぃぃぃっ! どうしてっ? 術者は倒したのにっ! 青夜君、青夜君っ! お願いだからゲジゲジを燃やしてっ!」
「うぷっ、だから、前が・・・」
ジャングルエリアの明らかに出るだろうという場所でも『予感封じ』のバングルで勘が悪くなってる3人は百足100匹に囲まれて、
「キャアアアアアア、どこの誰よっ! ゲジゲジを操ってるのっ! 絶対に許さないんだからぁぁぁぁっ!」
「うぶ、ママ、お願いだから・・・・・・」
「ママ、どうして青夜にだけ抱き付くのよっ!」
2回、愛は青夜相手に樹木に掴まるコアラの真似をしたのだった。
更には同じくジャングルエリアでポタ、ポタッと百足が枝から降ってきて愛のワンピースに落ちた時には本当に百足が嫌いらしく、
「キィヤアアアアア、イヤイヤ、ムカデが・・・」
愛が慌ててワンピースを脱ぎ出してストリップを始め、
「青夜、武士の情けよ。ママを見ないで上げて」
「うぷ」
アンジェリカが青夜の顔を自分の胸の谷間に導いてムニュッと目隠ししたのだった。
毎回顔に胸を押し付けられた青夜はポーカーフェイスでつまらなそうにしていたが、まあ、内心では満更でもなかった。
異母妹も暇ではなく(それとも宝具を持ち出した事がバレたのか)それ以降、百足による悪戯はなかった。
因みに愛は百足が触れたワンピースが着られず、テーマパークで売ってたキャラクターのなりきりお姫様ドレスを購入して着替えたのだった。
そして千葉県の貸し切りのテーマパークでララ・メイジェが懐中時計を見せながら、
「お嬢様、間もなく15時45分です」
「ああ、16時までだっけ、貸し切ってたの?」
青夜と腕を組んでイチャイチャしながら心行くまでテーマパークを楽しんだアンジェリカは御機嫌で家族とゲートへ向かって退出したのだった。
その帰りも何やら右翼に狙われたが、守るボディーガードと異能警察が優秀だったのでリムジンに乗る青夜達までは届かず、煩わされる事もなく田中ビルへと帰宅したのだった。
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