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7月になり、周辺国に中国神話が流出するのは古来から、風水羅盤とトリック
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七夕の節句とは7月7日に行われる日本の五節句の1つだが、東条院にとっては神聖な儀式だ。
当然、七夕の節句が催される場所は東条院の開祖の出身地である和歌山県青龍村だった。
だが、東条院が脈々と受け継いでいる伝統行事は七夕の当日にチョロっと出向いて終わらせてくれるようなお気軽なものではなく、その前後の日程は、
7月1日、一門衆(仁王家を除く)挨拶。皇居四柱殿上式。四柱晩餐会。
7月2日、東条院の節句前大挨拶会。白鳳院本邸挨拶。
7月3日、移動日。日の出と同時に和歌山県に出発。青龍村へ到着。
7月4日、日の出の熊野詣で。笹清めの儀。
7月5日、地元重鎮の挨拶。
7月6日、笹取り出しの儀。龍門神社で七夕飾りの準備。
7月7日、七夕の儀(夕、夜2回)。青龍穴の儀。代参による東京龍門神社での奉納の儀式。白鳳院令の誕生日。吉田能上の誕生日。月御門閻魔の誕生日。
7月8日、移動日。東京へ出発。都内到着。
このようにギッシリと詰まっていた。
緑子がまだ4歳なので東条院の副宗家として青夜がそれら総てを取り仕切る事となった。
まずは7月1日、午前中に東条院の宗家屋敷で一門衆の挨拶があり(青夜は欠席)、午後からは皇居で四柱家による殿上式、挨拶が終われば四柱晩餐会となった。
晩餐会とは言っても四柱家と呼ばれる月御門、吉備、東条院、白虎寺の4家の当主による夕食会なだけで、目的は親睦なのだから懇親会みたいなものだった。
この4家が仲違いしたら日本は本当に拙い事になるので。
だが、今回の出席者は、
月御門の当主、閻魔。
白虎寺の大僧正、雷司。
トップはこの2人だけで、更に、
東条院のナンバー2である副宗家、田中青夜(緑子は殿上式も(顔見せは端午の節句前に済ませてるので)欠席。晩餐会は端午の節句前同様に欠席)。
が参加している。
だが、吉備は棟梁の桃矢が死んだ直後でトップの座が空位な事から不参加だった。
今や代理も立てられない状況だ。
跡目争いが勃発しており、代理を出席させて『実は次期棟梁は既に内定しておりまして』などと皇居や他の四柱家に嘘の宣伝をされては堪らないので。
まあ、四柱家は『四柱協定』があるので他家の跡目相続のゴタゴタには関わらないが。
今回の晩餐会は高級中華だった。
中華と言えば丸テーブルに乗った大皿を取り分ける訳だが、この晩餐会ではそんな事はしない。
暗殺の危険もあるのに同じ皿などあり得ないので、全員が一人前の料理を5種類くらい頼んで(残す前提で)食べていた。
「皇居でもチラッと話したが吉備が拙い事になり始めた」
食事中に月御門閻魔が真面目な顔で切り出した。
「死んだ桃矢君の下の居た5人衆と呼ばれていた補佐役の残る2人、吉備朔也君と吉備水木殿の全面対決ですね?」
情報を掴んでいる法衣よりはラフなスーツ姿の白虎寺雷司が頷く。
青夜がお気に入りの小籠包を食べながら、
「確かに桃矢さんの葬儀の時も妙にピリ付いてましたっけ。でも『四柱協定』があるんだから後継者決めには介入出来ず静観でしょ? 2人とも何をそんなに真剣になってるんですか?」
「今回は継げなかった方が吉備を割る気配だ」
『何をやってるんだか』と閻魔は呆れ果てていたが、
「予知に出たのですか?」
「ああ」
「割れた後の展開は?」
「『吉備開戦』だ。最長で2年は揉める事となる」
「・・・おお怖、不干渉の『四柱協定』があって助かったな」
青夜が素直にそう感想を呟く中、閻魔が、
「この争いに中国が干渉して大事にならない事だけが唯一の救いだが」
「そうなんですか?」
「今、中国は『信長の亡霊』騒動時に日本に現れた『青麒麟』探しに御執心らしいからね。何かが干渉してて居場所を特定出来ないらしく日本中を必死に探ってるらしいよ」
閻魔の言葉に、青夜が、
「へぇ~、麒麟って色があるんだぁ~。いったい、どこの誰が異能力者なんだか」
「白々しい。いつからなんだ、麒麟児? 『日本神話ワタツミ』と『中国神話・青麒麟』?」
雷司が張本人の青夜に問い、『やはり『青龍』は『東条院流青龍拳』と『日本神話ワタツミ』のお陰でバレてないか。高く付いた今年の信長鎮魂祭でそれだけが救いだな』と確信した青夜が、
「生まれた時かららしいですよ、オレのお母様が誕生日を調節した関係で」
「二千院貴子か、敵わんな」
「文字通り麒麟児だった訳ね」
そう閻魔と雷司は呆れ、その後も四柱家のトップ達による情報交換は続いた。
◇
中国神話とは文字通り、中国の神話である。
そして異能力『中国神話』とは、中国神話に出てくる強力無比な異能力の事であった。
なので、中国神話の異能力は中国の国内でしか使えない。
ーーと思いきや、何故か周辺諸国でも使え、そして発現した。
当然、日本でも。
まあ、西洋の天使や悪魔、それにギリシャ神話の異能力が日本人に発現する事を考えれば、まだ近場なので可愛い方だったが。
因みに逆はない。
日本神話の異能力の発現者は日本国内に限られている。
その原因は不明だ。
大戦時の国土を拡大した日本であっても、日本神話の異能力の発現者は日本列島のみに限られていた。
中国神話がメジャーで日本神話がマイナーだからだろうか?
ともかくそんな理不尽な現象が起こり、他国の人間に中国神話の異能力が流れる事はザラだった。
当然、中国神話の異能力が他国に流れて困るのは中国だ。
そう想像するのが普通だが、実はそうでもない。
古来より中国はこの現象を歓迎していた。
周辺国が荒れて中国が利するからだ。
なので古来より中国神話の発現者への対処法も決まっていた。
敵対などはしない。
賄賂や金印を使って、その発現者を懐柔して、他国を支配させるように仕向けるのだから。
◇
『中国神話・麒麟』とは中国の聖獣であるが、種類が幾つかある。
青色を『聳狐』。
赤色を『炎駒』。
白色を『索冥』。
黒色を『角端』。
黄色を『麒麟』。
そう呼んだが、いつの頃からか日本では麒麟に色が付けられて『青麒麟』『赤麒麟』『白麒麟』『黒麒麟』と呼ばれるようになっていた。
◇
そして中国神話なだけに中国には出現や異能力を使ったのが分かる術式が存在し、中国政府は当然、1年365日ずっと、周辺諸国にまで眼を光らせており、これまでは青夜が使わないので隠し通せていたが、使った事で日本国内に『青麒麟』が出現した事を『信長の亡霊退治』の際に中国の異能界は知った次第だった。
まあ、それでも青夜の『中国神話・青龍』の方は『中国神話神仙術・北斗派青龍』と『日本神話ワタツミ』で完全に匂いを消しており悟られる事はなかったのだが。
だがしかし、『青麒麟』の方は無理で当然、中国側は捜索する為に人員を日本に派遣する事となった。
『青麒麟』の候補で一番に疑われるのは、水系で、才能溢れる天才だ。
そんな訳で、世間的に『落ちこぼれ』だったのに一夜にして人が変わったように優秀になり、『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首』の第2戦功にまで上り詰めた東条院の副宗家、田中青夜が真っ先に疑われたのだった。
◇
国士無双の英雄を籠絡するには、古来より傾国傾城の美女。
それが中国式だが、まずは確認だ。
だが、青夜は生まれてからずっと使わず『日本神話ワタツミ』があったからか『青麒麟』を隠せてきた。
遠目から見たくらいでは全く分からない。
実は接触しても『青麒麟』か分からないくらい封印出来ているのだが、東条院の副宗家で、皇軍の司令官でもある青夜にはその接触すら中国側は出来なかった。
何せ、青夜は日本異能界の重要人物なので護衛がたんまり付いている。
更にはブラッディームーン一族のアンジェリカまでが義姉として絡んでおり、とてもじゃないが面識ない者には近付けなかった。
それでも引き下がる訳にはいかない。
『中国神話・青麒麟』の異能力者の発見は、中国側の必須の課題なのだから。
6月下旬に日本国内での出現を感知し、青夜を調査しようとし、あの手この手で接触しようとして中国側は7月初日にどうにか青夜の前にまで辿り着いていた。
その仲介をしたのはBB財団の日本支部の支配人、つまりは青夜の義姉の田中アンジェリカだった。
アンジェリカは重要人物だ。
17歳で日本に来日して今年で20歳となっており、中国側も既に日本国内でアンジェリカと幾つかのパイプを構築していた。
そしてアンジェリカと言えば日本古美術の蒐集家だ。
なので、異能力の効果がある浮世絵14点、こけし8点、屏風3点、古伊万里8点をプレゼントしたら快く紹介してくれて、田中邸はシャンリーが居るのでさすがにアンジェリカもそれは許さず、7月1日の四柱晩餐会の帰りの車がBB財団のリムジンで、その車内にて、
「青夜、こちら、私の友人の中国のコロン財閥のレイシャオよ」
「タオ・レイシャオと申します」
青夜の前で綺麗な日本語でタオ・レイシャオは挨拶した。
レイシャオは22歳、167センチ、長い黒髪を複雑に編み込み、知的な切れ長の瞳をした白肌の美人だった。
恰好は別にチャイナドレスではない。7月の日本に馴染むノースリーブのワンピースを纏っていた。知的な雰囲気だがアジア人離れした巨乳の持ち主でもあり、ワンピースの布地が薄く、更には胸の谷間に布地がなかったのでその事が良く分かった。
「お久しぶりです、アンの弟の青夜です」
青夜も挨拶し、アンジェリカが、
「青夜、知り合いだったの?」
との問いに対して、
「いやいや、アンの20歳の誕生日パーティーにきてたでしょ」
「ああ。でも、あれだけの数が居て青夜は覚えていたんだ? あの時のレイシャオ、黒のチャイナドレスで左右スリットだったものね」
アンジェリカが邪推する中、青夜が、
「同じパーティーに来ていたもう1人の姉のシャンリーをずっと遠巻きに見てたからね、こちらのお姉さん」
そう指摘し、レイシャオがバツが悪そうに、
「コホン、いや、あれは別に、どうにかしようとかは思ってなくて・・・」
「まあ、いいですけど。ってか、どうせ、あれでしょ? 日本に発現者が出たとか噂になってる『青麒麟』?」
青夜が面倒臭そうに本題を切り出した。
アンジェリカが、
「ああ、そう言えばそんな話を聞いたような・・・えっ、あれって青夜の事だったの?」
「まさか、そんな訳ないって」
青夜がそうとぼける中、レイシャオが青銅製の古い風水羅盤を出してきた。
「あの、この宝具に触れて貰ってもいいですか?」
『そうなる訳ね』と青夜が警戒しつつ、
「触った瞬間に夢の中とかはありませんよね?」
「無論です、ただの属性確認のアイテムですので」
「でも、これだと青龍に反応しますよ、多分?」
「『北斗派青龍』ですね?」
「さて、何の事だか」
青夜はとぼけた。
『東条院流青龍拳』は日本発祥という事になっているのだから。
「それで触っていただけるのでしょうか?」
「ふぅ~。アンの紹介だから特別ですよ」
青夜はそう言って気軽に風水羅盤に触れた。
風水羅盤が反応して、数カ所が輝く。
「神仙級の『青龍』『北斗』だけですね」
とレイシャオは些か残念そうに結果を伝えた。
これは風水羅盤が役立たずなのでも、誤作動をしたのでも、本当は他にも反応しているのに青夜が幻術を掛けてレイシャオにそう見せてるのでも、レイシャオの意識を操ったのでもない。
ちゃんと『正しい結果』が出ていた。
「ありがとうございました」
「いえいえ」
「アンジェリカ様、ここで降りたいのですけど」
「要件が済んだから? 露骨ね」
アンジェリカもさすがに呆れた。
「すぐに報告したいので」
「はいはい」
アンジェリカがマイクのボタンを押して、運転手に指示した。
リムジンが路肩に停車すると、
「では私はこれで。良い夜を」
そう言ってレイシャオは本当にリムジンから出て行ったのだった。
リムジンが再び走り出す。
20秒間リムジンが走ってレイシャオが見えなくなった瞬間、ブチキレたアンジェリカが右腕1本で軽々と青夜の首にコブラクローを決めて、そのままリムジン内のソファーに押し倒し、
「誰、おまえ? 青夜じゃないわよねっ!」
「・・・ぐっ、ちょ、苦しい・・・」
「変化を解きなさい、今すぐにっ!」
コブラクローで締めあげるアンジェリカの命令で青夜はポンッと変身を解いた。
元の姿に戻った相手は鵜殿青刃だった。
つまりは青夜の異母弟だ。
アンジェリカも写真で知っており、コブラクローをしていた右手を離しながら、
「青夜の弟クン? 何してるワケ?」
「ゲホゲホッ・・・信じられない」
「何してるの? 答えなさいっ!」
「ハアハア、兄貴に頼まれたんですよ。多分、さっきの『あれ』です」
『ああ』と納得したアンジェリカが、
「でも、どうして弟のアナタが身代わりをしてるのよ?」
「兄貴が『青麒麟』だからですよ」
「私、聞いてないけど?」
一部ではツンデレで有名な青刃がツンと、
「家族として認められてないんじゃないですか・・・嘘ですよ。そんなに殺気剥き出しで睨まないで下さい。兄貴は元々、秘密主義の個人主義なんです。あれだけ強いのに、そちらの家に出されるまでの間、長年『落ちこぼれ』のフリをし続けていたんですから。そのやり方が染み付いているだけで『信じてない』のとは違いますから安心して下さい。現に弟のオレでさえ、呼び出されてこの車に乗る5分前に店の中で聞かされたくらいですから、『青麒麟』の事」
青刃の説明に青夜が『青麒麟』だという事を黙っていたのには納得したが、
「でも、どうして隠すのよ? 『青麒麟』だとバレても危害は加えないってレイシャオは言っていたわよ?」
「『中国は』でしょ? 他からは警戒されますから」
「『アメリカ』とか?」
アンジェリカが試すように問い掛けたが、青刃は相手にせず、
「ロシアでしょ。険悪ですから、兄貴とロシア」
「あら、そうなの?」
「ええ、サミットがあった時の沈没したロシア艦隊、あれ、多分、父じゃなくて兄貴ですから、やったの」
との青刃の発言にアンジェリカが眼を輝かせて、
「そうなの?」
と確認し『拙い。失言した』と青刃は警戒したのだった。
当然、七夕の節句が催される場所は東条院の開祖の出身地である和歌山県青龍村だった。
だが、東条院が脈々と受け継いでいる伝統行事は七夕の当日にチョロっと出向いて終わらせてくれるようなお気軽なものではなく、その前後の日程は、
7月1日、一門衆(仁王家を除く)挨拶。皇居四柱殿上式。四柱晩餐会。
7月2日、東条院の節句前大挨拶会。白鳳院本邸挨拶。
7月3日、移動日。日の出と同時に和歌山県に出発。青龍村へ到着。
7月4日、日の出の熊野詣で。笹清めの儀。
7月5日、地元重鎮の挨拶。
7月6日、笹取り出しの儀。龍門神社で七夕飾りの準備。
7月7日、七夕の儀(夕、夜2回)。青龍穴の儀。代参による東京龍門神社での奉納の儀式。白鳳院令の誕生日。吉田能上の誕生日。月御門閻魔の誕生日。
7月8日、移動日。東京へ出発。都内到着。
このようにギッシリと詰まっていた。
緑子がまだ4歳なので東条院の副宗家として青夜がそれら総てを取り仕切る事となった。
まずは7月1日、午前中に東条院の宗家屋敷で一門衆の挨拶があり(青夜は欠席)、午後からは皇居で四柱家による殿上式、挨拶が終われば四柱晩餐会となった。
晩餐会とは言っても四柱家と呼ばれる月御門、吉備、東条院、白虎寺の4家の当主による夕食会なだけで、目的は親睦なのだから懇親会みたいなものだった。
この4家が仲違いしたら日本は本当に拙い事になるので。
だが、今回の出席者は、
月御門の当主、閻魔。
白虎寺の大僧正、雷司。
トップはこの2人だけで、更に、
東条院のナンバー2である副宗家、田中青夜(緑子は殿上式も(顔見せは端午の節句前に済ませてるので)欠席。晩餐会は端午の節句前同様に欠席)。
が参加している。
だが、吉備は棟梁の桃矢が死んだ直後でトップの座が空位な事から不参加だった。
今や代理も立てられない状況だ。
跡目争いが勃発しており、代理を出席させて『実は次期棟梁は既に内定しておりまして』などと皇居や他の四柱家に嘘の宣伝をされては堪らないので。
まあ、四柱家は『四柱協定』があるので他家の跡目相続のゴタゴタには関わらないが。
今回の晩餐会は高級中華だった。
中華と言えば丸テーブルに乗った大皿を取り分ける訳だが、この晩餐会ではそんな事はしない。
暗殺の危険もあるのに同じ皿などあり得ないので、全員が一人前の料理を5種類くらい頼んで(残す前提で)食べていた。
「皇居でもチラッと話したが吉備が拙い事になり始めた」
食事中に月御門閻魔が真面目な顔で切り出した。
「死んだ桃矢君の下の居た5人衆と呼ばれていた補佐役の残る2人、吉備朔也君と吉備水木殿の全面対決ですね?」
情報を掴んでいる法衣よりはラフなスーツ姿の白虎寺雷司が頷く。
青夜がお気に入りの小籠包を食べながら、
「確かに桃矢さんの葬儀の時も妙にピリ付いてましたっけ。でも『四柱協定』があるんだから後継者決めには介入出来ず静観でしょ? 2人とも何をそんなに真剣になってるんですか?」
「今回は継げなかった方が吉備を割る気配だ」
『何をやってるんだか』と閻魔は呆れ果てていたが、
「予知に出たのですか?」
「ああ」
「割れた後の展開は?」
「『吉備開戦』だ。最長で2年は揉める事となる」
「・・・おお怖、不干渉の『四柱協定』があって助かったな」
青夜が素直にそう感想を呟く中、閻魔が、
「この争いに中国が干渉して大事にならない事だけが唯一の救いだが」
「そうなんですか?」
「今、中国は『信長の亡霊』騒動時に日本に現れた『青麒麟』探しに御執心らしいからね。何かが干渉してて居場所を特定出来ないらしく日本中を必死に探ってるらしいよ」
閻魔の言葉に、青夜が、
「へぇ~、麒麟って色があるんだぁ~。いったい、どこの誰が異能力者なんだか」
「白々しい。いつからなんだ、麒麟児? 『日本神話ワタツミ』と『中国神話・青麒麟』?」
雷司が張本人の青夜に問い、『やはり『青龍』は『東条院流青龍拳』と『日本神話ワタツミ』のお陰でバレてないか。高く付いた今年の信長鎮魂祭でそれだけが救いだな』と確信した青夜が、
「生まれた時かららしいですよ、オレのお母様が誕生日を調節した関係で」
「二千院貴子か、敵わんな」
「文字通り麒麟児だった訳ね」
そう閻魔と雷司は呆れ、その後も四柱家のトップ達による情報交換は続いた。
◇
中国神話とは文字通り、中国の神話である。
そして異能力『中国神話』とは、中国神話に出てくる強力無比な異能力の事であった。
なので、中国神話の異能力は中国の国内でしか使えない。
ーーと思いきや、何故か周辺諸国でも使え、そして発現した。
当然、日本でも。
まあ、西洋の天使や悪魔、それにギリシャ神話の異能力が日本人に発現する事を考えれば、まだ近場なので可愛い方だったが。
因みに逆はない。
日本神話の異能力の発現者は日本国内に限られている。
その原因は不明だ。
大戦時の国土を拡大した日本であっても、日本神話の異能力の発現者は日本列島のみに限られていた。
中国神話がメジャーで日本神話がマイナーだからだろうか?
ともかくそんな理不尽な現象が起こり、他国の人間に中国神話の異能力が流れる事はザラだった。
当然、中国神話の異能力が他国に流れて困るのは中国だ。
そう想像するのが普通だが、実はそうでもない。
古来より中国はこの現象を歓迎していた。
周辺国が荒れて中国が利するからだ。
なので古来より中国神話の発現者への対処法も決まっていた。
敵対などはしない。
賄賂や金印を使って、その発現者を懐柔して、他国を支配させるように仕向けるのだから。
◇
『中国神話・麒麟』とは中国の聖獣であるが、種類が幾つかある。
青色を『聳狐』。
赤色を『炎駒』。
白色を『索冥』。
黒色を『角端』。
黄色を『麒麟』。
そう呼んだが、いつの頃からか日本では麒麟に色が付けられて『青麒麟』『赤麒麟』『白麒麟』『黒麒麟』と呼ばれるようになっていた。
◇
そして中国神話なだけに中国には出現や異能力を使ったのが分かる術式が存在し、中国政府は当然、1年365日ずっと、周辺諸国にまで眼を光らせており、これまでは青夜が使わないので隠し通せていたが、使った事で日本国内に『青麒麟』が出現した事を『信長の亡霊退治』の際に中国の異能界は知った次第だった。
まあ、それでも青夜の『中国神話・青龍』の方は『中国神話神仙術・北斗派青龍』と『日本神話ワタツミ』で完全に匂いを消しており悟られる事はなかったのだが。
だがしかし、『青麒麟』の方は無理で当然、中国側は捜索する為に人員を日本に派遣する事となった。
『青麒麟』の候補で一番に疑われるのは、水系で、才能溢れる天才だ。
そんな訳で、世間的に『落ちこぼれ』だったのに一夜にして人が変わったように優秀になり、『日本神話ヤマタノオロチ・伍ノ首』の第2戦功にまで上り詰めた東条院の副宗家、田中青夜が真っ先に疑われたのだった。
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『中国神話・青麒麟』の異能力者の発見は、中国側の必須の課題なのだから。
6月下旬に日本国内での出現を感知し、青夜を調査しようとし、あの手この手で接触しようとして中国側は7月初日にどうにか青夜の前にまで辿り着いていた。
その仲介をしたのはBB財団の日本支部の支配人、つまりは青夜の義姉の田中アンジェリカだった。
アンジェリカは重要人物だ。
17歳で日本に来日して今年で20歳となっており、中国側も既に日本国内でアンジェリカと幾つかのパイプを構築していた。
そしてアンジェリカと言えば日本古美術の蒐集家だ。
なので、異能力の効果がある浮世絵14点、こけし8点、屏風3点、古伊万里8点をプレゼントしたら快く紹介してくれて、田中邸はシャンリーが居るのでさすがにアンジェリカもそれは許さず、7月1日の四柱晩餐会の帰りの車がBB財団のリムジンで、その車内にて、
「青夜、こちら、私の友人の中国のコロン財閥のレイシャオよ」
「タオ・レイシャオと申します」
青夜の前で綺麗な日本語でタオ・レイシャオは挨拶した。
レイシャオは22歳、167センチ、長い黒髪を複雑に編み込み、知的な切れ長の瞳をした白肌の美人だった。
恰好は別にチャイナドレスではない。7月の日本に馴染むノースリーブのワンピースを纏っていた。知的な雰囲気だがアジア人離れした巨乳の持ち主でもあり、ワンピースの布地が薄く、更には胸の谷間に布地がなかったのでその事が良く分かった。
「お久しぶりです、アンの弟の青夜です」
青夜も挨拶し、アンジェリカが、
「青夜、知り合いだったの?」
との問いに対して、
「いやいや、アンの20歳の誕生日パーティーにきてたでしょ」
「ああ。でも、あれだけの数が居て青夜は覚えていたんだ? あの時のレイシャオ、黒のチャイナドレスで左右スリットだったものね」
アンジェリカが邪推する中、青夜が、
「同じパーティーに来ていたもう1人の姉のシャンリーをずっと遠巻きに見てたからね、こちらのお姉さん」
そう指摘し、レイシャオがバツが悪そうに、
「コホン、いや、あれは別に、どうにかしようとかは思ってなくて・・・」
「まあ、いいですけど。ってか、どうせ、あれでしょ? 日本に発現者が出たとか噂になってる『青麒麟』?」
青夜が面倒臭そうに本題を切り出した。
アンジェリカが、
「ああ、そう言えばそんな話を聞いたような・・・えっ、あれって青夜の事だったの?」
「まさか、そんな訳ないって」
青夜がそうとぼける中、レイシャオが青銅製の古い風水羅盤を出してきた。
「あの、この宝具に触れて貰ってもいいですか?」
『そうなる訳ね』と青夜が警戒しつつ、
「触った瞬間に夢の中とかはありませんよね?」
「無論です、ただの属性確認のアイテムですので」
「でも、これだと青龍に反応しますよ、多分?」
「『北斗派青龍』ですね?」
「さて、何の事だか」
青夜はとぼけた。
『東条院流青龍拳』は日本発祥という事になっているのだから。
「それで触っていただけるのでしょうか?」
「ふぅ~。アンの紹介だから特別ですよ」
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風水羅盤が反応して、数カ所が輝く。
「神仙級の『青龍』『北斗』だけですね」
とレイシャオは些か残念そうに結果を伝えた。
これは風水羅盤が役立たずなのでも、誤作動をしたのでも、本当は他にも反応しているのに青夜が幻術を掛けてレイシャオにそう見せてるのでも、レイシャオの意識を操ったのでもない。
ちゃんと『正しい結果』が出ていた。
「ありがとうございました」
「いえいえ」
「アンジェリカ様、ここで降りたいのですけど」
「要件が済んだから? 露骨ね」
アンジェリカもさすがに呆れた。
「すぐに報告したいので」
「はいはい」
アンジェリカがマイクのボタンを押して、運転手に指示した。
リムジンが路肩に停車すると、
「では私はこれで。良い夜を」
そう言ってレイシャオは本当にリムジンから出て行ったのだった。
リムジンが再び走り出す。
20秒間リムジンが走ってレイシャオが見えなくなった瞬間、ブチキレたアンジェリカが右腕1本で軽々と青夜の首にコブラクローを決めて、そのままリムジン内のソファーに押し倒し、
「誰、おまえ? 青夜じゃないわよねっ!」
「・・・ぐっ、ちょ、苦しい・・・」
「変化を解きなさい、今すぐにっ!」
コブラクローで締めあげるアンジェリカの命令で青夜はポンッと変身を解いた。
元の姿に戻った相手は鵜殿青刃だった。
つまりは青夜の異母弟だ。
アンジェリカも写真で知っており、コブラクローをしていた右手を離しながら、
「青夜の弟クン? 何してるワケ?」
「ゲホゲホッ・・・信じられない」
「何してるの? 答えなさいっ!」
「ハアハア、兄貴に頼まれたんですよ。多分、さっきの『あれ』です」
『ああ』と納得したアンジェリカが、
「でも、どうして弟のアナタが身代わりをしてるのよ?」
「兄貴が『青麒麟』だからですよ」
「私、聞いてないけど?」
一部ではツンデレで有名な青刃がツンと、
「家族として認められてないんじゃないですか・・・嘘ですよ。そんなに殺気剥き出しで睨まないで下さい。兄貴は元々、秘密主義の個人主義なんです。あれだけ強いのに、そちらの家に出されるまでの間、長年『落ちこぼれ』のフリをし続けていたんですから。そのやり方が染み付いているだけで『信じてない』のとは違いますから安心して下さい。現に弟のオレでさえ、呼び出されてこの車に乗る5分前に店の中で聞かされたくらいですから、『青麒麟』の事」
青刃の説明に青夜が『青麒麟』だという事を黙っていたのには納得したが、
「でも、どうして隠すのよ? 『青麒麟』だとバレても危害は加えないってレイシャオは言っていたわよ?」
「『中国は』でしょ? 他からは警戒されますから」
「『アメリカ』とか?」
アンジェリカが試すように問い掛けたが、青刃は相手にせず、
「ロシアでしょ。険悪ですから、兄貴とロシア」
「あら、そうなの?」
「ええ、サミットがあった時の沈没したロシア艦隊、あれ、多分、父じゃなくて兄貴ですから、やったの」
との青刃の発言にアンジェリカが眼を輝かせて、
「そうなの?」
と確認し『拙い。失言した』と青刃は警戒したのだった。
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その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
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劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
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シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
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そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
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この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
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